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第5章 旅の話
第91話 エルフの森(7)
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俺とイルズちゃん、魔王さんと森の王様が向かい合う形になって四人で円卓を囲み、宴会が始まった。
料理はお城とあまり変わらないけど、時々ハーブが強かったりベリーソースやオレンジ煮込みみたいなフルーツと肉の組み合わせがあったり、「違う国の料理なんだな」と思うものがあって楽しい。
……ちょっとだけ、恋しい和食に近い料理や食材が出ないか期待していたんだけど……全体的に元の世界で言う北欧の料理に近いごちそうだった。まぁ、エルフの国に来てみそ汁とおにぎりが出てきても違和感があるんだろうけど……うん。充分美味しい。
そして、お酒も入ってきて……みんな、だんだん饒舌になっていく。
「……個人的に、ライト様のことはとても気に入っている。ただし、私たちエルフの美醜の感覚で言えば、イルズの方がはるかに美しい。種族ごとの好みなので、逆に魔族の感覚ではイルズよりもライト様のような顔立ちの方が美しいと感じるのだろう?」
「あぁそうだな。イルズ様も特別美しいとは思うが、好みというわけではない」
特にお酒の進んでいる森の王様と魔王さんは、さっきからだいたいイルズちゃんと俺の良いところの言い合いになっている。
俺は言われて嬉しいだけだけど、イルズちゃんはちょっとむず痒そうな顔だな。
「そう、好みではないはずなのだが……私が世界一愛しているのはイルズであって、それは絶対に変わらないが……ただ……」
森の王様が、お酒で少しとろんとしているけど彫刻のように美しい視線を俺に向ける。
「ライト様に対するこの、『かわいい』『かわいがりたい』と思う気持ちは、恋や家族愛、友情ともまた違う……なんと表現すればよいのか難しい。今までにない、新しい好きという気持ちを見つけた気がする。『ペット』という愛の形がこれだとすれば、ペットというのも悪くないのかもしれないな……」
魔王さんと、なぜか後ろのローズウェルさんとファイさん、騎士のみんなも頷いている。
イルズちゃんまで。
……そんなに同意すること言っているかな?
「なんでこんなにもかわいいんだ? 魔王、なにか特別な教育か契約でもしているのか?」
「契約もなにも、ライトは元からかわいいだけだ」
魔王さんは森の王様の言葉に、ワインの入ったグラスを傾けながら自慢げに頷く。
実はこんな感じのやり取り、もう五回目だけどね。二人とも楽しそうだからいいか。
「元から? 信じられない。……あ、そういえばライト様、常に翻訳魔法がかかっているように見えるが……魔族語圏外のご出身か?」
「え? 俺は……」
言っていいのかな?
一応魔王さんに視線を向けると、魔王さんは小さく頷いた。
隠すことではないのか……。
「異世界から来たから。この世界の人間と少し感覚が違うのかもね?」
「異世界?」
森の王様は一瞬不思議そうにした後、すぐに納得したのか笑顔で頷く。
「あぁ、そうだったのか。どちらの異世界から? ●●●? ●●●? それとも、地球あたりだろうか?」
先の二つは聞き取れなかった。俺に無い概念だからかな?
それにしても……
「え……地球、知っているんだ?」
「詳しくはないが、物好きな先祖が行き来していたようで、文献に残っている」
エルフ、地球に来ていたんだ?
それって……
「あっ! だから地球にエルフがいないのにエルフの話があるんだ……」
魔族もそうだけど、不思議だったんだよね。
元の世界でいう「異世界」のイメージ通りの種族や魔法がこっちの世界に存在するの。
昔の人がエルフを見ていて、その話が神話か物語か何かで伝わっているのなら納得……って、あれ? ちょっと待って……今……。
「ん? あれ? 今……行き来って、言った?」
料理はお城とあまり変わらないけど、時々ハーブが強かったりベリーソースやオレンジ煮込みみたいなフルーツと肉の組み合わせがあったり、「違う国の料理なんだな」と思うものがあって楽しい。
……ちょっとだけ、恋しい和食に近い料理や食材が出ないか期待していたんだけど……全体的に元の世界で言う北欧の料理に近いごちそうだった。まぁ、エルフの国に来てみそ汁とおにぎりが出てきても違和感があるんだろうけど……うん。充分美味しい。
そして、お酒も入ってきて……みんな、だんだん饒舌になっていく。
「……個人的に、ライト様のことはとても気に入っている。ただし、私たちエルフの美醜の感覚で言えば、イルズの方がはるかに美しい。種族ごとの好みなので、逆に魔族の感覚ではイルズよりもライト様のような顔立ちの方が美しいと感じるのだろう?」
「あぁそうだな。イルズ様も特別美しいとは思うが、好みというわけではない」
特にお酒の進んでいる森の王様と魔王さんは、さっきからだいたいイルズちゃんと俺の良いところの言い合いになっている。
俺は言われて嬉しいだけだけど、イルズちゃんはちょっとむず痒そうな顔だな。
「そう、好みではないはずなのだが……私が世界一愛しているのはイルズであって、それは絶対に変わらないが……ただ……」
森の王様が、お酒で少しとろんとしているけど彫刻のように美しい視線を俺に向ける。
「ライト様に対するこの、『かわいい』『かわいがりたい』と思う気持ちは、恋や家族愛、友情ともまた違う……なんと表現すればよいのか難しい。今までにない、新しい好きという気持ちを見つけた気がする。『ペット』という愛の形がこれだとすれば、ペットというのも悪くないのかもしれないな……」
魔王さんと、なぜか後ろのローズウェルさんとファイさん、騎士のみんなも頷いている。
イルズちゃんまで。
……そんなに同意すること言っているかな?
「なんでこんなにもかわいいんだ? 魔王、なにか特別な教育か契約でもしているのか?」
「契約もなにも、ライトは元からかわいいだけだ」
魔王さんは森の王様の言葉に、ワインの入ったグラスを傾けながら自慢げに頷く。
実はこんな感じのやり取り、もう五回目だけどね。二人とも楽しそうだからいいか。
「元から? 信じられない。……あ、そういえばライト様、常に翻訳魔法がかかっているように見えるが……魔族語圏外のご出身か?」
「え? 俺は……」
言っていいのかな?
一応魔王さんに視線を向けると、魔王さんは小さく頷いた。
隠すことではないのか……。
「異世界から来たから。この世界の人間と少し感覚が違うのかもね?」
「異世界?」
森の王様は一瞬不思議そうにした後、すぐに納得したのか笑顔で頷く。
「あぁ、そうだったのか。どちらの異世界から? ●●●? ●●●? それとも、地球あたりだろうか?」
先の二つは聞き取れなかった。俺に無い概念だからかな?
それにしても……
「え……地球、知っているんだ?」
「詳しくはないが、物好きな先祖が行き来していたようで、文献に残っている」
エルフ、地球に来ていたんだ?
それって……
「あっ! だから地球にエルフがいないのにエルフの話があるんだ……」
魔族もそうだけど、不思議だったんだよね。
元の世界でいう「異世界」のイメージ通りの種族や魔法がこっちの世界に存在するの。
昔の人がエルフを見ていて、その話が神話か物語か何かで伝わっているのなら納得……って、あれ? ちょっと待って……今……。
「ん? あれ? 今……行き来って、言った?」
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