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第16話 準備3
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「大きい……」
寝室に入って第一印象はこれだった。
備え付けのクローゼット、半分飾り棚になっている低めの本棚、大きな鉢の観葉植物、小さめのサイドボード、そして……部屋の中ほどにダブル……よりも大きいな。クイーン? キング? 大きなベッド。
何でアルファの人って大きなベッドにするんだろう。
……いつでもオメガが巣作りできるように本能的に大きなベッドを選ぶって聞いたことあるけど、本当? アルファの兄も、小学校の頃すでに六畳の子ども部屋にダブルベッドを買ってもらっていたな。
「……」
他人の家をじろじろ見ちゃダメなんだけど……番になる人の寝室なんて、興味深すぎてどうしても視線が色々な方を向いてしまう。
これからするんだっていうこともあって、じっと座ってなんていられないし……。
「……へぇ……」
本棚に並んでいる本は、大きな賞をとった有名小説本がほとんど。有名人のエッセイも少し。
こういうのが好きなんだ。どの本も読んでいないけど、映画やドラマになった時に見たことがある作品は多い。
「……こっちは?」
本棚の上の方は飾り棚になっていて、誰のかは解らないけどサイン色紙とサイン入りサッカーボール、多分海外のクラブチームのグッズが少し飾られていた。
サッカー好きなんだ? 観るだけ? サッカー部だったのかな?
……あ、棚の上の木の板に金色の文字盤がはまっている置時計、これ、高級ブランドのロゴと大学のマークが入っているから大学の卒業記念……あ、違う! 主席卒業記念? え、すごい! こんなすごい大学、主席?
「ミチくん、おまたせ」
興味深い物が多すぎて、つい夢中で見てしまっていると、いつの間にか後ろにアキヤさんが立っていた。
さっきと同じシャツとズボンを身に付けてはいるけど……さっきとなんとなく雰囲気が違う。
「あ……アキヤさん。ごめんなさい、色々あるなって、つい……」
シャワー浴びたてというだけで、妙に照れてアキヤさんが見られない。
誤魔化すように……あと、本当にごめんと思って本棚を指差すと、アキヤさんは何でもないことのように笑ってくれた。
「ん? あぁ、別に良いよ。それより、ミチくんもシャワー浴びてきて? タオルとか、脱衣所に置いているから好きに使って」
「はい……」
……少し距離があるのに。
アキヤさん、シャワー浴びたところなのに。
フェロモン、感じる……。
どうしようもないくらいドキドキする。
この人のこと、好きだなって思う。
出身大学は今知った。
趣味も、なんとなく今予想しただけ。
考えてみれば目の前の人のこと、まだあまり良く知らない。
でも……
今からこの人とセックスをすることにためらいはなかった。
◆
シャワーを浴びて……一応、オメガの大人の男として、いつそういうことがあっても良いように練習だけはしていた「準備」をして……脱衣所のふわふわのバスタオルで体を拭く。
「うーん……どうしよう」
初めてのセックスだから解らないことだらけだけど、一応知識はある。
ただ、こういう細かいところが一番悩ましい。
「服、着ていく?」
アキヤさんはシャツとズボンだけ着ていた。
俺もそうする?
すぐに脱ぐし、この大きなバスタオルを巻いていくとかでも……やりすぎ?
アルファってオメガがどんな格好で出て来たら喜ぶ?
下着は付けるべき?
……こういう覚悟をしてちょっといいブランドのボクサーパンツを履いてきたから見せたい気持ちも……。
……。
…………。
「これで、いいか」
しばらく悩んでから、濃いグレーの下着を身に着けて、オーバーサイズで足の付け根まで隠れる淡い青色のニットだけ着て、寝室へ戻った。
寝室に入って第一印象はこれだった。
備え付けのクローゼット、半分飾り棚になっている低めの本棚、大きな鉢の観葉植物、小さめのサイドボード、そして……部屋の中ほどにダブル……よりも大きいな。クイーン? キング? 大きなベッド。
何でアルファの人って大きなベッドにするんだろう。
……いつでもオメガが巣作りできるように本能的に大きなベッドを選ぶって聞いたことあるけど、本当? アルファの兄も、小学校の頃すでに六畳の子ども部屋にダブルベッドを買ってもらっていたな。
「……」
他人の家をじろじろ見ちゃダメなんだけど……番になる人の寝室なんて、興味深すぎてどうしても視線が色々な方を向いてしまう。
これからするんだっていうこともあって、じっと座ってなんていられないし……。
「……へぇ……」
本棚に並んでいる本は、大きな賞をとった有名小説本がほとんど。有名人のエッセイも少し。
こういうのが好きなんだ。どの本も読んでいないけど、映画やドラマになった時に見たことがある作品は多い。
「……こっちは?」
本棚の上の方は飾り棚になっていて、誰のかは解らないけどサイン色紙とサイン入りサッカーボール、多分海外のクラブチームのグッズが少し飾られていた。
サッカー好きなんだ? 観るだけ? サッカー部だったのかな?
……あ、棚の上の木の板に金色の文字盤がはまっている置時計、これ、高級ブランドのロゴと大学のマークが入っているから大学の卒業記念……あ、違う! 主席卒業記念? え、すごい! こんなすごい大学、主席?
「ミチくん、おまたせ」
興味深い物が多すぎて、つい夢中で見てしまっていると、いつの間にか後ろにアキヤさんが立っていた。
さっきと同じシャツとズボンを身に付けてはいるけど……さっきとなんとなく雰囲気が違う。
「あ……アキヤさん。ごめんなさい、色々あるなって、つい……」
シャワー浴びたてというだけで、妙に照れてアキヤさんが見られない。
誤魔化すように……あと、本当にごめんと思って本棚を指差すと、アキヤさんは何でもないことのように笑ってくれた。
「ん? あぁ、別に良いよ。それより、ミチくんもシャワー浴びてきて? タオルとか、脱衣所に置いているから好きに使って」
「はい……」
……少し距離があるのに。
アキヤさん、シャワー浴びたところなのに。
フェロモン、感じる……。
どうしようもないくらいドキドキする。
この人のこと、好きだなって思う。
出身大学は今知った。
趣味も、なんとなく今予想しただけ。
考えてみれば目の前の人のこと、まだあまり良く知らない。
でも……
今からこの人とセックスをすることにためらいはなかった。
◆
シャワーを浴びて……一応、オメガの大人の男として、いつそういうことがあっても良いように練習だけはしていた「準備」をして……脱衣所のふわふわのバスタオルで体を拭く。
「うーん……どうしよう」
初めてのセックスだから解らないことだらけだけど、一応知識はある。
ただ、こういう細かいところが一番悩ましい。
「服、着ていく?」
アキヤさんはシャツとズボンだけ着ていた。
俺もそうする?
すぐに脱ぐし、この大きなバスタオルを巻いていくとかでも……やりすぎ?
アルファってオメガがどんな格好で出て来たら喜ぶ?
下着は付けるべき?
……こういう覚悟をしてちょっといいブランドのボクサーパンツを履いてきたから見せたい気持ちも……。
……。
…………。
「これで、いいか」
しばらく悩んでから、濃いグレーの下着を身に着けて、オーバーサイズで足の付け根まで隠れる淡い青色のニットだけ着て、寝室へ戻った。
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