464 / 1,157
第6章 移ろう魂編
エビルズピーク 8
しおりを挟む
<剣姫イリサヴィア視点>
ミルト山に続いて始まったエビルズピークでの調査。
想定外というか、予想通りというか……。
これまでと同様、現れる魔物をただ倒しているだけの時間が過ぎていく。
中にはそれなりの個体もいたものの、ブラッドウルフ以上の魔物に遭遇することはなく。
メルビン率いる冒険者たちの敵ではない相手ばかりだった。
そして、いまだ依頼解決の糸口すら見つけることができていない。
だというのに……。
手掛かりがないこと自体、もはや想定内と思えてしまう。
そんな調査が数日続き、諦念が我々を覆い始めた5日目の午後。
ミルト、エビルズピークと歩き続けた我々の耳に初めて響く物音が?
「イリサヴィアさん、これは戦闘音では?」
「間違いない。剣戟と……」
「魔物の咆哮ですね」
「ああ」
「我ら以外が魔物と戦っている。つまりワディン辺境伯一行?」
「可能性はあるな」
魔物に対しているのはレザンジュ王軍と考えることもできる。
が、この手掛かり、逃す手はない。
「急ぎましょう」
******************
<ヴァーンベック視点>
2頭のブラッドウルフ相手に、こちらも二手に分かれ。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーアロー!」
シア、ユーフィリアが魔法を放ち。
「アイスアロー!」
「ストーンバレット!」
騎士の魔法の使い手も魔法を放つ。
「おおぉ!」
「おりゃ!」
続いて、前衛の剣による攻撃。
「グルゥゥ……」
「グロォォ……」
硬い皮膚を持つ上に素早い身のこなしを見せるブラッドウルフを倒すのは容易じゃない。
ここまでの攻撃で、それなりにブラッドウルフに傷は与えているものの、致命傷には程遠いだろう。
「グルルゥ……」
はっきり言うと、こっちは手数が多いだけ。
ほとんど効いてねえってことだ。
このまま普通に戦い続けると、倒しきるまでには相当時間がかかっちまう。
本当に厄介な相手だぜ。
こんな魔物と戦った後にレザンジュの兵士と戦うなんて、考えたくもねえ。
だからよ。
ブラッドウルフをレザンジュ兵にぶつければいい。
「少しずつだ。少しづつ向こうに誘導しろよ」
「分かっている」
「「「「了解」」」」
ディアナとアル、俺にワディン騎士が対するブラッドウルフをテポレン方面の坂に誘導する。
「我らもヴァーン殿に続くんだ」
「「「「「「おう!」」」」」」
ルボルグ隊長たちも同様に坂に向かっている。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
魔法を牽制に使いながら、前衛が攻撃を仕掛け続け。
進路を絞り、坂上へ。
「おりゃ!」
「だあぁ!」
斬っては退き、退いては斬る。
そこに、魔法攻撃。
また剣撃。
「グルォォ!」
「グロォォォ!」
与える傷は、かすり傷程度の浅いものばかり。
そんな傷でも積み重なれば、多少の効果はある。
こちらを見るブラッドウルフの眼に苛立ちが浮かんできたからな。
状況は悪くねえ。
ミルト山に続いて始まったエビルズピークでの調査。
想定外というか、予想通りというか……。
これまでと同様、現れる魔物をただ倒しているだけの時間が過ぎていく。
中にはそれなりの個体もいたものの、ブラッドウルフ以上の魔物に遭遇することはなく。
メルビン率いる冒険者たちの敵ではない相手ばかりだった。
そして、いまだ依頼解決の糸口すら見つけることができていない。
だというのに……。
手掛かりがないこと自体、もはや想定内と思えてしまう。
そんな調査が数日続き、諦念が我々を覆い始めた5日目の午後。
ミルト、エビルズピークと歩き続けた我々の耳に初めて響く物音が?
「イリサヴィアさん、これは戦闘音では?」
「間違いない。剣戟と……」
「魔物の咆哮ですね」
「ああ」
「我ら以外が魔物と戦っている。つまりワディン辺境伯一行?」
「可能性はあるな」
魔物に対しているのはレザンジュ王軍と考えることもできる。
が、この手掛かり、逃す手はない。
「急ぎましょう」
******************
<ヴァーンベック視点>
2頭のブラッドウルフ相手に、こちらも二手に分かれ。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーアロー!」
シア、ユーフィリアが魔法を放ち。
「アイスアロー!」
「ストーンバレット!」
騎士の魔法の使い手も魔法を放つ。
「おおぉ!」
「おりゃ!」
続いて、前衛の剣による攻撃。
「グルゥゥ……」
「グロォォ……」
硬い皮膚を持つ上に素早い身のこなしを見せるブラッドウルフを倒すのは容易じゃない。
ここまでの攻撃で、それなりにブラッドウルフに傷は与えているものの、致命傷には程遠いだろう。
「グルルゥ……」
はっきり言うと、こっちは手数が多いだけ。
ほとんど効いてねえってことだ。
このまま普通に戦い続けると、倒しきるまでには相当時間がかかっちまう。
本当に厄介な相手だぜ。
こんな魔物と戦った後にレザンジュの兵士と戦うなんて、考えたくもねえ。
だからよ。
ブラッドウルフをレザンジュ兵にぶつければいい。
「少しずつだ。少しづつ向こうに誘導しろよ」
「分かっている」
「「「「了解」」」」
ディアナとアル、俺にワディン騎士が対するブラッドウルフをテポレン方面の坂に誘導する。
「我らもヴァーン殿に続くんだ」
「「「「「「おう!」」」」」」
ルボルグ隊長たちも同様に坂に向かっている。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
魔法を牽制に使いながら、前衛が攻撃を仕掛け続け。
進路を絞り、坂上へ。
「おりゃ!」
「だあぁ!」
斬っては退き、退いては斬る。
そこに、魔法攻撃。
また剣撃。
「グルォォ!」
「グロォォォ!」
与える傷は、かすり傷程度の浅いものばかり。
そんな傷でも積み重なれば、多少の効果はある。
こちらを見るブラッドウルフの眼に苛立ちが浮かんできたからな。
状況は悪くねえ。
10
お気に入りに追加
527
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
辺境で魔物から国を守っていたが、大丈夫になったので新婚旅行へ出掛けます!
naturalsoft
ファンタジー
王国の西の端にある魔物の森に隣接する領地で、日々魔物から国を守っているグリーンウッド辺境伯爵は、今日も魔物を狩っていた。王国が隣接する国から戦争になっても、王国が内乱になっても魔物を狩っていた。
うん?力を貸せ?無理だ!
ここの兵力を他に貸し出せば、あっという間に国中が魔物に蹂躙されるが良いのか?
いつもの常套句で、のらりくらりと相手の要求を避けるが、とある転機が訪れた。
えっ、ここを守らなくても大丈夫になった?よし、遅くなった新婚旅行でも行くか?はい♪あなた♪
ようやく、魔物退治以外にやる気になったグリーンウッド辺境伯の『家族』の下には、実は『英雄』と呼ばれる傑物達がゴロゴロと居たのだった。
この小説は、新婚旅行と称してあっちこっちを旅しながら、トラブルを解決して行き、大陸中で英雄と呼ばれる事になる一家のお話である!
(けっこうゆるゆる設定です)
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
俺を追い出した元パーティメンバーが速攻で全滅したんですけど、これは魔王の仕業ですか?
ほーとどっぐ
ファンタジー
王国最強のS級冒険者パーティに所属していたユウマ・カザキリ。しかし、弓使いの彼は他のパーティメンバーのような強力な攻撃スキルは持っていなかった。罠の解除といったアイテムで代用可能な地味スキルばかりの彼は、ついに戦力外通告を受けて追い出されてしまう。
が、彼を追い出したせいでパーティはたった1日で全滅してしまったのだった。
元とはいえパーティメンバーの強さをよく知っているユウマは、迷宮内で魔王が復活したのではと勘違いしてしまう。幸か不幸か。なんと封印された魔王も時を同じくして復活してしまい、話はどんどんと拗れていく。
「やはり、魔王の仕業だったのか!」
「いや、身に覚えがないんだが?」
チートなかったからパーティー追い出されたけど、お金無限増殖バグで自由気ままに暮らします
寿司
ファンタジー
28才、彼女・友達なし、貧乏暮らしの桐山頼人(きりやま よりと)は剣と魔法のファンタジー世界に"ヨリ"という名前で魔王を倒す勇者として召喚される。
しかしそこでもギフトと呼ばれる所謂チート能力がなかったことから同じく召喚された仲間たちからは疎まれ、ついには置き去りにされてしまう。
「ま、良いけどね!」
ヨリはチート能力は持っていないが、お金無限増殖というバグ能力は持っていた。
大金を手にした彼は奴隷の美少女を買ったり、伝説の武具をコレクションしたり、金の力で無双したりと自由気ままに暮らすのだった。
異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる