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第6章 移ろう魂編
カーンゴルムへ 7
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<ヴァーンベック視点>
「ヴァーンさん、下がってください」
ありがたい。
「はやく!」
ほんと、ありがたい言葉だけどよ。
もう、大丈夫だ。
ホーンベアーはセレスさんの攻撃を恐れて、動きを止めている。
俺も回復しつつある。
何より。
「セレス様、あとは私たちが!」
シアがセレスさんの傍らに。
「ヴァーン、大丈夫か?」
「待たせた」
「もう休んでいいぜ。おれが決めてやるから」
ディアナ、ユーフィリア、アルの3人が前線に復帰。
これじゃあ、心配も要らねえってもんだろ。
そこからは早かった。
咆哮を使い動きが鈍っていた上に、俺の攻撃とセレスさんの魔道具で傷を負っていたホーンベアー。
4人での戦闘が可能となったこちらの敵でないのは言うまでもないことだからな。
しかし……。
ホーンベアー2頭を相手に、少々危ない場面があったとはいえ、重傷者を出すこともなく倒し切っちまうとはよぉ。
あのホーンベアーだぞ。
このメンバー、思っていた以上の実力なんじゃないか。
シアと俺の魔法も上達してるようだし……。
はは。
こいつぁ、今後が楽しみだぜ。
「お疲れさまでした。怪我はありませんか?」
戦闘後。
咆哮による目眩が治まったセレスさんが、こちらを気遣ってくれる。
「ええ、大丈夫ですよ」
ほぼ無傷。
それは皆も同じ。
なのに。
「セレス様、ヴァーンが怪我をしています」
「おいおい、これくらい何でもねえって」
かすり傷程度だ。
「でも、魔物戦での負傷に違いないでしょ」
「そうだけどよ……」
「ふふ、分かりましたよ、シア」
「セレス様……」
「ヴァーンさん、治療しましょうか」
「……」
いや、ホント、大丈夫なんだけど。
「ヴァーン、セレス様がこう言ってくださっているのだから」
セレスさん、俺とシアを微笑ましいものを見るような目で見てるぞ。
シア、分かってんのか。
「ヴァーン!」
「……分かったよ。セレスさん、お願いします」
「はい。では、始めますね」
セレスさんの治療は魔法じゃない。
スキルによる治療だ。
初めて見る祝福というスキル。
俺の傷が、かなりの速さで塞がっていく。
これはなかなか……。
「これで大丈夫ですね」
「ええ」
このスキル、以前は上手く使えなかったそうだが、コーキとの特訓を経て今ではかなり使えるようになったらしい。
さっきの魔道具による攻撃といい、この治療といい。
セレスさん、大したものだな。
「では、少し移動して、そこで休みましょうか」
朝まではまだ時間がある。
旅の初日を徹夜に近い状態で始めるわけにはいかねえ。
とはいえ、こんな戦闘跡でゆっくりもできないからな。
場所は変えたいところだ。
「ヴァーンさん、魔物は大丈夫なのですか?」
「もう襲ってこないとは言えませんが、それはどのような野営でも同じですし」
「……」
「なので、移動後はしっかり休んでください」
「……はい」
あんな戦闘後では、ゆっくり眠れないかもしれないけどよ。
ということで、場所を移して野営を再開。
次の見張りはアルとディアナだ。
「アル、ディアナ頼んだぞ」
「任せてくれ」
「ヴァーン……。さっきは助かった。礼を言う」
「礼なんて要らねえぞ。つうか、俺も助かったぜ」
「あれは、セレスティーヌ様のお力だ」
「まあな」
それでも、おまえたちが復帰してくれねえと、難しかったことに変わりはねえ。
「何にしても、戦闘中はお互い様だからよ」
「それでもだ。ただ……」
「ん?」
「貴様のその態度と口調は認めていないからな」
まだ言ってるぜ。
「セレス様が許しても、わたしは認めんぞ」
「おう、了解だ」
「分かっているのか!」
「分かってるさ。俺とお前じゃあ、住む世界が違うってことだろ」
「……まあいい。今日だけは見逃がしてやる」
「ありがとよ」
「ヴァーンさん、下がってください」
ありがたい。
「はやく!」
ほんと、ありがたい言葉だけどよ。
もう、大丈夫だ。
ホーンベアーはセレスさんの攻撃を恐れて、動きを止めている。
俺も回復しつつある。
何より。
「セレス様、あとは私たちが!」
シアがセレスさんの傍らに。
「ヴァーン、大丈夫か?」
「待たせた」
「もう休んでいいぜ。おれが決めてやるから」
ディアナ、ユーフィリア、アルの3人が前線に復帰。
これじゃあ、心配も要らねえってもんだろ。
そこからは早かった。
咆哮を使い動きが鈍っていた上に、俺の攻撃とセレスさんの魔道具で傷を負っていたホーンベアー。
4人での戦闘が可能となったこちらの敵でないのは言うまでもないことだからな。
しかし……。
ホーンベアー2頭を相手に、少々危ない場面があったとはいえ、重傷者を出すこともなく倒し切っちまうとはよぉ。
あのホーンベアーだぞ。
このメンバー、思っていた以上の実力なんじゃないか。
シアと俺の魔法も上達してるようだし……。
はは。
こいつぁ、今後が楽しみだぜ。
「お疲れさまでした。怪我はありませんか?」
戦闘後。
咆哮による目眩が治まったセレスさんが、こちらを気遣ってくれる。
「ええ、大丈夫ですよ」
ほぼ無傷。
それは皆も同じ。
なのに。
「セレス様、ヴァーンが怪我をしています」
「おいおい、これくらい何でもねえって」
かすり傷程度だ。
「でも、魔物戦での負傷に違いないでしょ」
「そうだけどよ……」
「ふふ、分かりましたよ、シア」
「セレス様……」
「ヴァーンさん、治療しましょうか」
「……」
いや、ホント、大丈夫なんだけど。
「ヴァーン、セレス様がこう言ってくださっているのだから」
セレスさん、俺とシアを微笑ましいものを見るような目で見てるぞ。
シア、分かってんのか。
「ヴァーン!」
「……分かったよ。セレスさん、お願いします」
「はい。では、始めますね」
セレスさんの治療は魔法じゃない。
スキルによる治療だ。
初めて見る祝福というスキル。
俺の傷が、かなりの速さで塞がっていく。
これはなかなか……。
「これで大丈夫ですね」
「ええ」
このスキル、以前は上手く使えなかったそうだが、コーキとの特訓を経て今ではかなり使えるようになったらしい。
さっきの魔道具による攻撃といい、この治療といい。
セレスさん、大したものだな。
「では、少し移動して、そこで休みましょうか」
朝まではまだ時間がある。
旅の初日を徹夜に近い状態で始めるわけにはいかねえ。
とはいえ、こんな戦闘跡でゆっくりもできないからな。
場所は変えたいところだ。
「ヴァーンさん、魔物は大丈夫なのですか?」
「もう襲ってこないとは言えませんが、それはどのような野営でも同じですし」
「……」
「なので、移動後はしっかり休んでください」
「……はい」
あんな戦闘後では、ゆっくり眠れないかもしれないけどよ。
ということで、場所を移して野営を再開。
次の見張りはアルとディアナだ。
「アル、ディアナ頼んだぞ」
「任せてくれ」
「ヴァーン……。さっきは助かった。礼を言う」
「礼なんて要らねえぞ。つうか、俺も助かったぜ」
「あれは、セレスティーヌ様のお力だ」
「まあな」
それでも、おまえたちが復帰してくれねえと、難しかったことに変わりはねえ。
「何にしても、戦闘中はお互い様だからよ」
「それでもだ。ただ……」
「ん?」
「貴様のその態度と口調は認めていないからな」
まだ言ってるぜ。
「セレス様が許しても、わたしは認めんぞ」
「おう、了解だ」
「分かっているのか!」
「分かってるさ。俺とお前じゃあ、住む世界が違うってことだろ」
「……まあいい。今日だけは見逃がしてやる」
「ありがとよ」
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