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第6章 移ろう魂編
メッセージ
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見失ってしまった?
「……」
非常に多くの人々が往来しているこの大通り。
周りを見渡しても、それらしき姿は見つからない。
気配を探るのも、喧騒の中じゃ難しい。
「……」
仕方ないか。
この人混みの中なんだから。
それにまあ、光の加減で白銀に見えただけかもしれない。
見間違いの可能性も低くないだろう。
「もういいのですか?」
「はい。待たせてしまって、すみません」
「問題ないですよ。では、宿に向かいましょう」
王都カーンゴルムに入った日の夜。
ウィルさんとヴァルターさんから、王都には10日程度滞在することになりそうだと予定を告げられた。
その間は自由に行動して良いとの許可も。
また休日だらけになってしまう。
キュベルリアの休日と同様、散策くらいしか思いつかないのに。
散策に10日かぁ……。
まっ、ゆっくり黒都を見物するとしようか。
しかし……。
今回も、俺だけ自由。
俺だけ蚊帳の外か。
お家の事情やら何やら問題があるのは理解しているし、俺を巻き込まないように配慮してくれているというのも分かっている。
それでも……。
俺ももう片足を突っ込んでいるような気がするんだが。
「……」
深く関わるなというなら、そうするだけ。
ただし、今後は必要な情報はしっかりと伝えてもらうぞ。
ということで、翌日はカーンゴルムの街を散策して過ごすことに。
当然、ひとりでの散策だ。
一日中ゆっくりと街の中を歩き……。
色々と見て回って……。
悪くない1日だった。
想像通りキュベルリアと同様に見所がたっぷりの街だったな。
うん、充分に楽しめた。
これならあと数日は散策しても飽きることはないだろう。
けど、その前に。
今夜は日本に戻ろうかと思っている。
武志が戻ったばかりで、何も問題などないとは思うが。
一応、確認しないとな。
さてと。
「異世界間移動!」
自室に戻った俺は、まずは入浴。
久しぶりの風呂をゆっくりと楽しんだ後。
良い気分で部屋に戻ると。
ん?
電話機の表示部分が点滅している。
留守番電話のメッセージか?
俺はまだ携帯電話を手に入れていないので、連絡手段は古野白さんにもらったポケベルと家の電話のみ。
ポケベルを使うのは古野白さんくらいで、家の電話番号を知っている者も数人だけ。
自身で電話を使うことも多くはない。
つまり……。
メッセージが残っているなんて、珍しいことなんだ。
「……」
電話に近寄り、ボタンに指を。
『ピィィィ……23件です』
はあ!?
何だ??
この俺にその数は、多すぎるだろ!
不在にしていたこの数日で、そんなに連絡があったなんて!
異能関係か?
古野白さんに何かあった?
いや、違うな。
古野白さんならポケベルにも連絡があるはずだが、そこには何も入っていない。
となると、誰だ?
香澄か、母さんか?
里村、武上か?
それとも、武志?
幸奈か?
「……」
嫌な予感がする。
何か良からぬことが起こっているような。
一体何なんだ?
今は問題になるようなことなど、ないはずなのに。
焦る俺の前では、電話機がゆっくりと録音メッセージを再生するべく準備をしている。
留守番電話の再生準備が終わり、そして。
『…………………………〇月〇日〇時〇分です』
無言。
メッセージは無しか。
これだと誰だか分からないな。
『…………………………〇月〇日〇時〇分です』
次も無言。
『…………………………〇月〇日〇時〇分です』
3件続けての無言!
まさか、23件全て無言とか?
質の悪いイタズラじゃないだろうな。
「……」
まっ、それなら、それでいいか。
何も起こっていないのなら。
そんなことを考えながら、聞こえてきた4件目。
『兄さん! 兄さんいないのかよ!? くそっ…………〇月〇日〇時〇分です』
武志だ。
が、用件が入っていない。
時間は、2日前。
慌てている感じだったが、何かあったのか?
と、次のメッセージだ。
『まだいないのか…………〇月〇日〇時〇分です』
また武志。
『どこいったんだよ…………〇月〇日〇時〇分です』
『いい加減にしろよ。こんな時に…………〇月〇日〇時〇分です』
『まだかよ…………〇月〇日〇時〇分です』
武志からの連続メッセージ。
でも、これじゃあ、何の用件か分からない!
いったい、何があったんだ?
『…………〇月〇日〇時〇分です』
『ちっ…………〇月〇日〇時〇分です』
『…………〇月〇日〇時〇分です』
『……何してんだよ…………〇月〇日〇時〇分です』
『…………〇月〇日〇時〇分です』
無言も含めてすべて武志なのか?
もう、嫌な予感どころじゃない!
けど、まだメッセージは残っている。
次は。
『……武志だ。姉さんが、姉さんが倒れた…………〇月〇日〇時〇分です』
「……」
非常に多くの人々が往来しているこの大通り。
周りを見渡しても、それらしき姿は見つからない。
気配を探るのも、喧騒の中じゃ難しい。
「……」
仕方ないか。
この人混みの中なんだから。
それにまあ、光の加減で白銀に見えただけかもしれない。
見間違いの可能性も低くないだろう。
「もういいのですか?」
「はい。待たせてしまって、すみません」
「問題ないですよ。では、宿に向かいましょう」
王都カーンゴルムに入った日の夜。
ウィルさんとヴァルターさんから、王都には10日程度滞在することになりそうだと予定を告げられた。
その間は自由に行動して良いとの許可も。
また休日だらけになってしまう。
キュベルリアの休日と同様、散策くらいしか思いつかないのに。
散策に10日かぁ……。
まっ、ゆっくり黒都を見物するとしようか。
しかし……。
今回も、俺だけ自由。
俺だけ蚊帳の外か。
お家の事情やら何やら問題があるのは理解しているし、俺を巻き込まないように配慮してくれているというのも分かっている。
それでも……。
俺ももう片足を突っ込んでいるような気がするんだが。
「……」
深く関わるなというなら、そうするだけ。
ただし、今後は必要な情報はしっかりと伝えてもらうぞ。
ということで、翌日はカーンゴルムの街を散策して過ごすことに。
当然、ひとりでの散策だ。
一日中ゆっくりと街の中を歩き……。
色々と見て回って……。
悪くない1日だった。
想像通りキュベルリアと同様に見所がたっぷりの街だったな。
うん、充分に楽しめた。
これならあと数日は散策しても飽きることはないだろう。
けど、その前に。
今夜は日本に戻ろうかと思っている。
武志が戻ったばかりで、何も問題などないとは思うが。
一応、確認しないとな。
さてと。
「異世界間移動!」
自室に戻った俺は、まずは入浴。
久しぶりの風呂をゆっくりと楽しんだ後。
良い気分で部屋に戻ると。
ん?
電話機の表示部分が点滅している。
留守番電話のメッセージか?
俺はまだ携帯電話を手に入れていないので、連絡手段は古野白さんにもらったポケベルと家の電話のみ。
ポケベルを使うのは古野白さんくらいで、家の電話番号を知っている者も数人だけ。
自身で電話を使うことも多くはない。
つまり……。
メッセージが残っているなんて、珍しいことなんだ。
「……」
電話に近寄り、ボタンに指を。
『ピィィィ……23件です』
はあ!?
何だ??
この俺にその数は、多すぎるだろ!
不在にしていたこの数日で、そんなに連絡があったなんて!
異能関係か?
古野白さんに何かあった?
いや、違うな。
古野白さんならポケベルにも連絡があるはずだが、そこには何も入っていない。
となると、誰だ?
香澄か、母さんか?
里村、武上か?
それとも、武志?
幸奈か?
「……」
嫌な予感がする。
何か良からぬことが起こっているような。
一体何なんだ?
今は問題になるようなことなど、ないはずなのに。
焦る俺の前では、電話機がゆっくりと録音メッセージを再生するべく準備をしている。
留守番電話の再生準備が終わり、そして。
『…………………………〇月〇日〇時〇分です』
無言。
メッセージは無しか。
これだと誰だか分からないな。
『…………………………〇月〇日〇時〇分です』
次も無言。
『…………………………〇月〇日〇時〇分です』
3件続けての無言!
まさか、23件全て無言とか?
質の悪いイタズラじゃないだろうな。
「……」
まっ、それなら、それでいいか。
何も起こっていないのなら。
そんなことを考えながら、聞こえてきた4件目。
『兄さん! 兄さんいないのかよ!? くそっ…………〇月〇日〇時〇分です』
武志だ。
が、用件が入っていない。
時間は、2日前。
慌てている感じだったが、何かあったのか?
と、次のメッセージだ。
『まだいないのか…………〇月〇日〇時〇分です』
また武志。
『どこいったんだよ…………〇月〇日〇時〇分です』
『いい加減にしろよ。こんな時に…………〇月〇日〇時〇分です』
『まだかよ…………〇月〇日〇時〇分です』
武志からの連続メッセージ。
でも、これじゃあ、何の用件か分からない!
いったい、何があったんだ?
『…………〇月〇日〇時〇分です』
『ちっ…………〇月〇日〇時〇分です』
『…………〇月〇日〇時〇分です』
『……何してんだよ…………〇月〇日〇時〇分です』
『…………〇月〇日〇時〇分です』
無言も含めてすべて武志なのか?
もう、嫌な予感どころじゃない!
けど、まだメッセージは残っている。
次は。
『……武志だ。姉さんが、姉さんが倒れた…………〇月〇日〇時〇分です』
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