猫宰相と皇帝陛下

ひつじ

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猫宰相の執務記録

〜猫宰相と本棚〜

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皆様、本日もお疲れ様でございます。

猫宰相は、執務をされる際に、時々専門書をご覧になります…

ですが、猫の姿では本を取ることができませんので、

僭越ながら、私がそのお役目を担っております…




これは、陛下が宰相閣下が本棚で猫っぽい仕草をするのが見たい!と、

陛下が宰相に無許可で本棚を総入れ替えした時の記録でございます…


それでは、皆様、楽しみくださいませ。






~猫宰相の執務記録~



「むっ…、今年の改正法案について、あの本が欲しい…」


宰相閣下が、本棚に向かわれ、お目当ての本をお探しになります…


「にゃっ…っ?!

この本棚はっ?!


誰だ勝手に変えたのはっ…!

まさか、陛下っ…


(ぎろりっ…)」



宰相閣下は、同室で執務をされている皇帝陛下を睨みつけますが、陛下はどこ吹く風です…



むしろ、きらきらの美しい瞳で見つめられて、でれでれしていらっしゃいます…



陛下の胸の内と共に、本棚の解説をお願いしましょう…





「(さ、宰相、そんなじっと見つめないでくれ…

あぁ…細い瞳孔がぐわっと開いてまぁるい瞳…

そんなに怒らなくてもいいじゃないか…

お前らしく、几帳面に、一定の法則に則って、並んでいる本の配置は一冊たりとも変えてないし…


今までの本棚では、猫化した宰相が歩くのに、本棚の奥行きが狭くて

いつか落っこちてしまうのではないかと

冷や冷やしていたんだぞっ…!

落っこちても、絶対に私が、何を置いても抱き止めるが!

この期に、もふもふで、もふもふな、もっふもふなっボディーを思う存分、むぎゅっとっ…!!


んんっ…おっと失礼…



膨大な書物を収納しつつ、

かつ、宰相が本を探して歩き回りやすいように、本棚の奥行きを充分に確保し、

さらに、本棚を上へ下へ、行き来しやすいようにまぁるい抜け穴をいくつも作ったのだ…

抜け穴ばかりだと、宰相が

《また猫扱いして!》

と、怪しむのではないかと思い、

本棚の奥行きが、広いところと狭いところを作り、

本棚の中で、階段のように昇り降りできる棚を作ったのだ!


あぁ、…

目当ての本を探して、私が作った特注本棚を、

縦横無尽に歩き回る宰相!

とうといっ…


まぁるい穴を上に抜けるときは…


はじめての場所ゆえか、少し警戒気味に、

前足をちょこんとのせて…


鼻をぴくぴくさせてから!


するっっ…と抜けてゆく…


あぁうつくしいっ…!銀色のつやつやな毛の光沢が、本棚を移動する動きに合わせて、きらきらと煌めくっ…!!


さらに、本棚の材質は、天然の高級国産木材だ!


色味は宰相の銀色を引き立たせる黒檀


さらに、頭をぶつけても痛くないように、角は全てなめらかなカーブを描く曲線にした!


いつか、すりすりするのも見たい!

宰相がすりすりっ…


いかんっ…鼻血がっ…


そうこう言ってる間に、宰相が目当ての本を見つけたようだ…


な、なに?!一番上にあるのかっ…!!


そこはっ…ッッッツ!!!)」
















「むっ…


にゃっ…


ど、どうしてここだけ透明な本棚なのだ…?


まぁ、いい、これを取ってくれ…」



宰相閣下が、お目当ての専門書を発見なさったようです。


し、しかし、っ…!!!そこは、陛下がめちゃくちゃにこだわって作られたスペースですっ…!!


な、なんと、本棚が透明なのですっ!!


と、いうことはですね…


宰相閣下のぷにぷにで、ピンク色の、あの、滅多に見られない、とうとい肉球が…


無防備に、日の元に、曝け出されてしまうっ…

ということでございますっ…!


あぁ…、うつくしい


ぷにぷにっ…


たらりっ…(鼻血)


ッッ…失礼いたしました…


陛下が我慢できずに、本棚の下からじっくり覗き見していらっしゃいますね…!


私も覗き見したいです…!


陛下っ…!後はよろしくお願い致しますっ…

















「(あぁ~透明ってなんて素晴らしいんだ…


いつもはなかなか見せてもくれない肉球が、

材質を透明にするだけで、こんなにも簡単にっ…

隠さなければならないものを、無防備に曝け出させてしまうという、背徳感っ…


実はこれ、ちゃんとした高級木材を特殊な魔法技術で透明にしたやつなのだ!


かつ、スイッチ一つで、透明じゃなくできる優れた技術だ!


これで宰相が怪しんで、透明本棚に登らなくなっても、スイッチ一つで、元に戻せる…


油断したところをまた、透明にして、肉球を覗き見っ…


最高すぎるっ…


ぷにっ、ぷにっと…


歩くたびに、ぷにっ…ぷにっ…


ぷにっ…ぷにっ…


肉球が少し、もふもふな毛に隠されてしまうのも、また良い!!

はみ出てる毛、後で切ってやろうな…宰相…


報酬として、ぷにぷにの肉球をぷにぷにぷにぷにさせてくれっ…


たら~…(鼻血)


まずいっ…想像するだけで、この威力っ…

宰相…おそろしいこっ…)」




じーーーーーー




じーーーーーーーーー




じーーーーーーーーーーーーー




「にゃっ…視線を感じるっ…(ぶるり…)



んっ?!

へ、陛下っ!

下から覗きみないでくださいっ…!!

この、変態っ…!!!」




ふしゃぁ!!ッと宰相閣下がお怒りになり、


尻尾を上げてしまったところっ…



「ッッッっ…っ!!!!!


おしりっ…ぷりけつっ…


かわいぃ…」











ばたーんっ!!!











「へ、陛下?!?!

なぜお倒れに?!

だれかっ!宮廷医を呼べっ!!」




陛下は、あまりの尊さに、意識を失ってしまわれましたっ…


記録係の私は、そこまで見てしまった陛下に物理的に首を刎ねられかねませんので、咄嗟に目をつぶりましたっ…泣!


陛下、お幸せそうなお顔で、昇天されてますね…


羨ましいです…



それからしばらく、《余計な仕事を増やすな!》とお怒りになった宰相閣下のご命令で、透明本棚は透明になることはなかったのですが…(陛下が昇天してしまうため…)


透明本棚に記録された、ぷにぷに肉球映像を、夜な夜な見ては昇天して、お幸せそうに寝る陛下がいたとか、いなかったとか…


私もその映像、欲しいです…許されませんがっ…







本日の記録は以上でございます。

お読みいただき、ありがとうございました。
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