327 / 351
[29]そして独り
-318-:覚悟を決めてもらうわよ!ジョーカー!
しおりを挟む
ひとつ壁をとっぱらったところで、まだカムロが健在だ。
クレハはスナイパーライフルの照準をカムロに向けた。
ガンサイトから覗くカムロは。
相変わらずふざけたデザインをしている…。
まん丸の頭にサイコロの6の目状に並ぶカメラアイ。そして半月状に開いた口。
おまけに火の点いた蚊取り線香のような髪型ときたら。
あんなのに殺されたら、成仏なんぞできんわ。
募る苛立ちを抑えて引き金を引く。
遠くで火花が散った。
着弾したものの、背中に背負っているバイザーを下されてライフルの弾を弾きかえしたのだ。
「味なマネを…」
シャドーだと侮るなかれ。
ひとつの教訓とした。
姿を晒して狙撃なんてするもんじゃない。と。
対戦ゲームなら、ピョンピョン跳ね回ってスナイパーライフルを撃っておけば向こうからの弾は当たらないし生存率は上がるけど、いざ実戦となると、標的に姿を晒すのは悪手でしかない。
狙撃用ライフルは威力は絶大だが、これ以上敵との距離を詰めるともなると、取り回しの悪い武器でしかなく後手に回ってしまう。
思い切って狙撃ライフルを捨ててハンドガンの2丁拳銃へと武器交換。
とにかく近距離で、とことん敵に弾をブチ込む作戦に切り替えた。
カムロがガンランチャーに気付いたようだ。こちらに向かって飛び発った。
お互いに接近を試みているので、相対速度は一気に上がる。
カムロが右腕をこちらに向けてきた。
すかさず騎体を左右に揺らして回避運動を開始。
何が何でも超電磁砲の射線には入れさせない。入ったとたん、亜光速の弾丸の餌食になってしまう。
性懲りも無くバイザーを下したままのカムロ。しかし、人が乗っていないためにクロックアップは発動される事なく、ただデッカイ兜を被った敵としか認識されない。
盾の代わりとしているようだが、元から騎体サイズが大きいので格好の的だ。
レールガン以外の地上で使える射撃武器を持たないカムロは、ガンランチャーに接近する頃にはすでにバイザー以外を蜂の巣にされて爆散していた。
その爆炎を突き抜けてガンランチャーが、姿を現すなり妲己に向けてハンドガンを撃ち込んだ。
一発はドラゴンヘッドにより吸収。即反撃してきたが、もう一発は右大腿部に直撃。
ようやく風穴を開けてやったが、すぐさま超治癒回復能力によって破損部分を修復されてしまった。
2点同時以上の同時攻撃なら、妲己に攻撃は通るものの、やはりあの超治癒回復能力は厄介だ。
手にするハンドガンに目を移す。
こんな“点”の武器では妲己の城門を崩せない。だけど。
「覚悟を決めてもらうわよ!ジョーカー!」
とにかく2点同時攻撃を連続で行いまくる。
オトギを人間の盾にしようが、ドラゴンヘッドはロックオンされた攻撃に自動的に対応してくれるし、脚を狙って撃っておけば、彼女に被害が及ぶ事はまず無い。
あとはガンガン相手の霊力が尽きるまで攻撃し続けるまで。
「ナメやがってぇぇ!」
激高するジョーカー。
しかし、いくら能力が優れていようとも、それを活かす技量がなければ劣勢に追いやられるのは必至。
ドラゴンヘッドがハンドガンの銃弾に反応して、吸引した弾をガンランチャーへと向けて応射した。
と、同時に妲己の騎体に大きな衝撃が走った。
「な、何ィィ!!」
地面へと落下したドラゴンヘッドを見下ろす。
ガンランチャーにばかり気を取られていたせいで、ダナの接近に気付かずにいた。
しかも、あまりにもコールブランドが飛び回るもので、集中力が散漫になっていたのも要因。
「だけど、この程度の事で!」
余裕の笑みを取り戻し、切り落とされた肩関節からドラゴンヘッドへとケーブルを伸ばした。
バスッ!バスッ!バスッ!
地に転がるドラゴンヘッドに次々と弾丸が撃ち込まれる。そして小規模ながら爆発。
クレハたちは、とうとう妲己の腕を破壊したのだ。
「ククク。これで勝ったつもり?腕なんてねぇ」
妲己の左肩部に紫色に光り輝く魔法陣が描かれた。
「損傷回復の効果を発動!ザァンネンだったね。キミたち。ハハハハハ」
声高らかに笑うジョーカーを眺めて、クレハは含み笑いをした。
「やっぱ、破壊されたらリペアに頼るんだ」
超治癒回復能力にも限界がある事が、これで判明した。
チクチクとオトギから離れた箇所を叩くしか無くてまどろっこしいけれど、妲己を叩くのは決して不可能な事ではない。
やれる!
この戦い、全然負ける気がしない!
圧倒的なまでの自信が湧いてくる。
2丁拳銃を水平にして構える。
「ククク。フフッ。ハハハハハ」
妲己がお腹を抱えて笑っている。もう、そんな余裕なんて無いだろうに。
ジョーカーの道化っぷりに、クレハもつられて笑い始めた。
戦場に二人の笑い声が木霊する。
「フフフ。何をそんなに楽しそうに笑っているのか知らないけど、クレハ。そろそろタイムリミットが迫っているんじゃないのかい?」
この期に及んで何をほざいているのか?
「あと1分くらいかな?シンデレラの魔法が解けてしまうのは」
「あ?シンデレラ?」
突然何を言い出すのかと思えば…。
!!
すっかり忘れていた!
ものまねの魔法が解けてしまう!
そうなると、今の戦法はもう使えない!
クレハはスナイパーライフルの照準をカムロに向けた。
ガンサイトから覗くカムロは。
相変わらずふざけたデザインをしている…。
まん丸の頭にサイコロの6の目状に並ぶカメラアイ。そして半月状に開いた口。
おまけに火の点いた蚊取り線香のような髪型ときたら。
あんなのに殺されたら、成仏なんぞできんわ。
募る苛立ちを抑えて引き金を引く。
遠くで火花が散った。
着弾したものの、背中に背負っているバイザーを下されてライフルの弾を弾きかえしたのだ。
「味なマネを…」
シャドーだと侮るなかれ。
ひとつの教訓とした。
姿を晒して狙撃なんてするもんじゃない。と。
対戦ゲームなら、ピョンピョン跳ね回ってスナイパーライフルを撃っておけば向こうからの弾は当たらないし生存率は上がるけど、いざ実戦となると、標的に姿を晒すのは悪手でしかない。
狙撃用ライフルは威力は絶大だが、これ以上敵との距離を詰めるともなると、取り回しの悪い武器でしかなく後手に回ってしまう。
思い切って狙撃ライフルを捨ててハンドガンの2丁拳銃へと武器交換。
とにかく近距離で、とことん敵に弾をブチ込む作戦に切り替えた。
カムロがガンランチャーに気付いたようだ。こちらに向かって飛び発った。
お互いに接近を試みているので、相対速度は一気に上がる。
カムロが右腕をこちらに向けてきた。
すかさず騎体を左右に揺らして回避運動を開始。
何が何でも超電磁砲の射線には入れさせない。入ったとたん、亜光速の弾丸の餌食になってしまう。
性懲りも無くバイザーを下したままのカムロ。しかし、人が乗っていないためにクロックアップは発動される事なく、ただデッカイ兜を被った敵としか認識されない。
盾の代わりとしているようだが、元から騎体サイズが大きいので格好の的だ。
レールガン以外の地上で使える射撃武器を持たないカムロは、ガンランチャーに接近する頃にはすでにバイザー以外を蜂の巣にされて爆散していた。
その爆炎を突き抜けてガンランチャーが、姿を現すなり妲己に向けてハンドガンを撃ち込んだ。
一発はドラゴンヘッドにより吸収。即反撃してきたが、もう一発は右大腿部に直撃。
ようやく風穴を開けてやったが、すぐさま超治癒回復能力によって破損部分を修復されてしまった。
2点同時以上の同時攻撃なら、妲己に攻撃は通るものの、やはりあの超治癒回復能力は厄介だ。
手にするハンドガンに目を移す。
こんな“点”の武器では妲己の城門を崩せない。だけど。
「覚悟を決めてもらうわよ!ジョーカー!」
とにかく2点同時攻撃を連続で行いまくる。
オトギを人間の盾にしようが、ドラゴンヘッドはロックオンされた攻撃に自動的に対応してくれるし、脚を狙って撃っておけば、彼女に被害が及ぶ事はまず無い。
あとはガンガン相手の霊力が尽きるまで攻撃し続けるまで。
「ナメやがってぇぇ!」
激高するジョーカー。
しかし、いくら能力が優れていようとも、それを活かす技量がなければ劣勢に追いやられるのは必至。
ドラゴンヘッドがハンドガンの銃弾に反応して、吸引した弾をガンランチャーへと向けて応射した。
と、同時に妲己の騎体に大きな衝撃が走った。
「な、何ィィ!!」
地面へと落下したドラゴンヘッドを見下ろす。
ガンランチャーにばかり気を取られていたせいで、ダナの接近に気付かずにいた。
しかも、あまりにもコールブランドが飛び回るもので、集中力が散漫になっていたのも要因。
「だけど、この程度の事で!」
余裕の笑みを取り戻し、切り落とされた肩関節からドラゴンヘッドへとケーブルを伸ばした。
バスッ!バスッ!バスッ!
地に転がるドラゴンヘッドに次々と弾丸が撃ち込まれる。そして小規模ながら爆発。
クレハたちは、とうとう妲己の腕を破壊したのだ。
「ククク。これで勝ったつもり?腕なんてねぇ」
妲己の左肩部に紫色に光り輝く魔法陣が描かれた。
「損傷回復の効果を発動!ザァンネンだったね。キミたち。ハハハハハ」
声高らかに笑うジョーカーを眺めて、クレハは含み笑いをした。
「やっぱ、破壊されたらリペアに頼るんだ」
超治癒回復能力にも限界がある事が、これで判明した。
チクチクとオトギから離れた箇所を叩くしか無くてまどろっこしいけれど、妲己を叩くのは決して不可能な事ではない。
やれる!
この戦い、全然負ける気がしない!
圧倒的なまでの自信が湧いてくる。
2丁拳銃を水平にして構える。
「ククク。フフッ。ハハハハハ」
妲己がお腹を抱えて笑っている。もう、そんな余裕なんて無いだろうに。
ジョーカーの道化っぷりに、クレハもつられて笑い始めた。
戦場に二人の笑い声が木霊する。
「フフフ。何をそんなに楽しそうに笑っているのか知らないけど、クレハ。そろそろタイムリミットが迫っているんじゃないのかい?」
この期に及んで何をほざいているのか?
「あと1分くらいかな?シンデレラの魔法が解けてしまうのは」
「あ?シンデレラ?」
突然何を言い出すのかと思えば…。
!!
すっかり忘れていた!
ものまねの魔法が解けてしまう!
そうなると、今の戦法はもう使えない!
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
リアゼノン・オンライン ~プレイ中のゲームから異世界に連行された俺は、多くの人に学ぶ中で最強を目指す。現在地球は大変だそうです
八ッ坂千鶴
SF
レベルアップするとステータスの数値が減少するデスゲーム
〈リアゼノン・オンライン〉
そんなゲームにログインしたのは、要領が悪い高校1年生宮鳥亜蓮十六歳。
ひょんなことから攻略ギルド【アーサーラウンダー】へ参加することになり、ギルド団長ルグア/巣籠明理に恋をしてしまう。
第十層で離れ離れになっても、両思いし続け、ルグアから団長の座をもらったアレン。
スランプになりながらも、仲間を引っ張って行こうとしていたが、それは突然崩されてしまった。
アレンはルーアという謎の人物によって、異世界【アルヴェリア】へと誘拐されて行方不明に……。
それを聞きつけてきた明理は、アレンを知っているメンバーと共に、異世界から救出するため旅に出る。
しかし、複数の世界が混じり合い、地球が破滅の一途に進んでいたとは、この時誰も知らなかった。
たった一人を除いて……。
※なろう版と同じにしている最中なので、数字表記や記号表記が異なる場合があります
宇宙からの女体化ウィルスが俺をTS少女に変えたんだが
中七七三
SF
隕石に付着していた謎のウィルスは男を女体化させる病原体だった。
ウィルスに感染した男は女体化し、猛烈なメスフェロモンを出すことになる。
そのフェロモンが男を発情させ、レイパーに変貌させるのだ。
「犯される!」
その恐怖の中、夜の街を逃げるTS少女――
そこに救いの手がのびた「TS団」。
それは、「TS少女」を守るための組織であった――
■イーデスブックスより電子書籍化しました■
【完結】中身は男子高校生が全寮制女子魔法学園初等部に入学した
まみ夜
SF
俺の名は、エイミー・ロイエンタール、六歳だ。
女の名前なのに、俺と自称しているのには、訳がある。
魔法学園入学式前日、頭をぶつけたのが原因(と思われていたが、検査で頭を打っていないのがわかり、謎のまま)で、知らない記憶が蘇った。
そこでは、俺は男子高校生で科学文明の恩恵を受けて生活していた。
前世(?)の記憶が蘇った六歳幼女が、二十一世紀初頭の科学知識(高校レベル)を魔法に応用し、産業革命直前のプロイセン王国全寮制女子魔法学園初等部で、この時代にはない『フレンチ・トースト』を流行らせたりして、無双する、のか?
題名のわりに、時代考証、当時の科学技術、常識、魔法システムなどなど、理屈くさいですが、ついてきてください。
【読んで「騙された」にならないための説明】
・ナポレオンに勝つには、どうすればいいのかを検討した結果、「幼女が幼女のままの期間では魔法でもないと無理」だったので、魔法がある世界設定になりました
・主人公はこの世界の住人で、死んでいませんし、転生もしていません。また、チート能力もありません。むしろ、肉体、魔法能力は劣っています。あるのは、知識だけです
・魔法はありますが、万能ではないので、科学技術も(産業革命直前レベルで)発達しています。
表紙イラストは、SOZAI LABより、かえるWORKS様の「フレンチトースト」を使用させていただいております。
エルフだったの忘れてた……
ころキャベ
SF
80歳の青山アリアは、ボランティアとして草むしり中に突然意識を失う。目覚めると、彼女はエルフの姿となって異世界。そこは彼女が80年間過ごした世界ではなく、現実の世界だった。以前いた世界が作られた世界だったと知る。アリアに寄り添うのは、かつてのロボット同僚である紗夜。紗夜から魔力を授かり、アリアは新たな冒険に向けて魔法を学びを始める。彼女の現実生活は、果たしてどんな展開を迎えるのか?
♡女子高生と黒ずんだアレ◆ 〜△本小説には、一部刺激の強いシーンがあります(R15♡)〜
大和田大和
SF
◆◇「私まだ女子高生なのに……子育て?」◇◆
○突然ですが、女子高生を妊娠させる方法を知っていますか?
『知りません』と答えたピュアなあなた! この小説はあなたにはまだ早いかもしれません。
あなたは今すぐブラウザバックして他の小説を読んでください。(おすすめはリゼロです!)
●本小説では、たくさんの女性が妊娠します。女子高生の妊娠に興味がない人は読むことを推奨しません(リゼロの方が面白いのでそちらを読んでください!)
○それでは以下があらすじと本編の妊娠シーンです。(リゼロが見たい方はブラバして、長月達平で検索してください!)
◆◇【あらすじ】◇◆
世界中に突如、謎の黒い箱が出現した。
それは大きさ三〇立法センチほど。
宛名も差出人もなく、ただ『開けないでね』とだけ書かれている。
ある箱は公園のベンチの上に置かれ、別の箱は浜辺に流れ着き、また別の箱は普通にポストに届いたりした。
箱を開けるとその中には、気持ちがいいことをした時にできるアレが入っていた。
この物語は、一人の女子高生が子作りと子育てをするお話。
◆◇【妊娠】◇◆
男は白いシーツがかかったベッドを指差し、私にこう言った。
「いいか? お嬢さんは今から俺にここで妊娠させられるんだ? 何をされるかわかるな?」
私はこくんと力なく頷いた。
「嬢ちゃんはベッドでの経験はあるのか?」
私は首を横にフルフルと振った。
「そっか女子高生だもんな。処女だろうな……へへ。安心してくれ、大人しくしてれば痛くしないから……よ?」
男は、ニヤケ面で私の体に視線を這わせた。太もも、胸の谷間、そして股間のあたりをジロジロと見られた。
彼は私をベッドに座らせると、
「今から俺と何するか言ってみな?」
そして、私はこう答えた。
「…………生で……セック(本編へ続く♡)」
(◎本小説は、カクヨムなどで重複投稿しています。詳しくはプロフで)
エッチで淫らな性的行為が原因で性病を患った女性。そして性病を根絶しようと企む素粒子物理学者。世界はその二人によって思いもよらぬ最後を迎える。
ねんごろ
SF
この虚構は一切の現実と関係していない。またあらゆる現実に対してこれは絶対的に独立している。
烈火の大東亜
シャルリアちゃんねる
SF
現代に生きる男女2人の学生が、大東亜戦争[太平洋戦争]の開戦直後の日本にタイムスリップする。
2人はその世界で出会い、そして共に、日本の未来を変えようと決意し、
各海戦に参加し、活躍していく物語。その時代の日本そして世界はどうなるのかを描いた話。
史実を背景にした物語です。
本作はチャットノベル形式で書かせて頂きましたので、凝った小説らしさというより
漫画の様な読みやすさがあると思いますので是非楽しんでください。
それと、YOUTUBE動画作製を始めたことをお知らせします。
名前は シャリアちゃんねる です。
シャリアちゃんねる でぐぐってもらうと出てくると思います。
URLは https://www.youtube.com/channel/UC95-W7FV1iEDGNZsltw-hHQ/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0 です。
皆さん、結構ご存じかと思っていましたが、意外と知られていなかった、第一話の真珠湾攻撃の真実等がお勧めです。
良かったらこちらもご覧ください。
主に政治系歴史系の動画を、アップしています。
小説とYOUTUBEの両方を、ごひいきにして頂いたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる