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[22]聖剣&魔剣

-230-:俺サマの前で調子こいていると、こうなるんだよ!

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 総数140発もの超小型マイクロミサイルが一斉に発射された!

 ガンランチャーの正面ディスプレイには、いくつものLock ONマーカーが表示されているけれども、全く処理が追いついていない。


 それでも!

 向かって来るミサイル群を片っ端から撃ち落としてゆく。

 さらに!

 出来る限り速力を上げて、後方へと移動。

 しかし。

 超小型だからとて、逃げ遂せるほどに射程距離は短くは無いし、とてもではないが、当然ながら全てを撃ち落とす事なんて不可能。

 

 ガンランチャーは幾つものミサイルの着弾を受けて、とうとう爆炎に包まれてしまった。

 さすがのクレハも、あれだけのミサイルの前ではひとたまりも無かった。


「クレハさん!」
 魔導書に向かってココミが叫ぶ。


 戦闘空域にいる全ての騎体が動きを止めた。

「鈴木さん…」「クレハさぁん!」「クレハ先輩!」
 それぞれが呼ぶクレハの名が、無情にも爆炎立ち込める空域に木霊する。

「思った以上にしぶとかったわね」
 呟きながら、シンジュは周囲に手下を召喚、守りを固めた。


「クレハ…」
 敵を倒したというのに、ツウラ本人は胸を締め付けられる思いに駆られていた。

 彼女を失った高砂・飛遊午はどんな表情かおをするのだろう…?それにクラスメイトたちは…?

 自らが直接手を下した訳ではないけれど、やはり罪悪感にさいなまれる。


「俺サマの前で調子こいていると、こうなるんだよ!」
 釘バットを担いで、思い知ったかと言わんばかりに豪語する。

 そんな敵に敬意を払わないマスターに、ツウラは嫌悪感を抱いた。

 ツウラの騎体が再びピンクの魔方陣をまとった。

 今度は世紀末スタイル!全身にスパイクを備え付けた装甲姿へと換装を遂げた。

「シズカちゃんの所にダナが向かっている。ヤツらを倒しに行くぞ!ツウラ」
 告げるも、すでにマスターのイエヤスを見限っているツウラは返事すらしない。

「オイ!ツウラ!聞こえているのか!」
 再度返事を求めるも、ツウラは無視を貫き通す。

 まったく…。

 空耳!?ツウラは、拾った外部音声の中に、聞き覚えのある声に気付いた。

「イエヤス!」
 思わずイエヤスを呼び止めてしまう。

 爆炎が風に流され、センサーが反応を示した。

 イエヤスが!ツウラが振り返る。

「馬鹿な…。あれだけのミサイルを食らって、まだ生きているなんて」
 それは天地がひっくり返っても有り得ない事。

「うぉぉぉぉぉーッ」
 イエヤスは絶叫スクリームバズーカを構えると、未だ煙の中から姿を現さないガンランチャーへ向けて音声弾を発射!

 発射された弾は周りの煙を払い飛ばしながら標的ターゲットに着弾!再び爆発を巻き起こした。

「や、やったか!?今度こそ」
 だけど、センサーは未だ敵の存在を示している。

「何度も何度もやってくれるわね」
 煙の無から姿を現したガンランチャーは。


「何だテメェ!その姿は!?」
 それは、ガンランチャーの姿にあらず。

 縦長六角形の大盾が中央から上下二分されたかと思えば。

 ガランと大盾は落下してしまい、紫と黒を基調とした、がっしりとした体格の盤上戦騎ディザスターが姿を現した。

 バイザーには六角形ののぞき穴が複数。それに紫の髪を三つ編みに結った髪がバイザーの裾で揺らいでいる。恐らくこめかみ辺りの髪を結っているのだろう。

 未確認アンノウン騎が右手に魔方陣を展開。

 紫色の魔方陣が回転を始め、盤上戦騎が手にした武器は!

 長柄の先に、白い手袋をはめたマジックハンドが、片方が円錐の、片方が円盤状の“大釘”を握っているではないか!

「クレハさぁん。お主、中々機転が利きますなぁ。あの状況でクロックアップを選択せずに、ものまねミミックのカードを引き当てるなんて」
 ガンランチャーが称賛するクレハの選択は。

「装甲強度特化仕様騎のアーマーテイカーさんを選ぶなんて、思いもしませんでしたよぉ」
 ミサイル群に取り囲まれる中、クレハは迎撃する事ガンランチャーよりも、高速戦線離脱クィックフォワードよりも、敵の攻撃を耐え抜くアーマーテイカーを選択したのだった。

「野郎ぉッ!!」
 イエヤスは再びスクリームバズーカを発射。

 だけど、クレハ駆るアーマーテイカーはそれを左腕で受けてものともぜす、ツウラに接近!ハンマーを振りかぶってスクリームバズーカを叩き潰した。

 紫の髪をなびかせて、アーマーテイカーがツウラを睨み付ける。

 ツウラはクレハの生存に安堵する一方で、彼女の見せる鬼神のごとき戦いぶりに「やってくれたわね…」ただ冷や汗を流す。
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