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[19]悪魔の王
-205-:恩返しが出来て何よりです
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「どうするんだ?コレ」
惨劇の場と化した道場を眺めながら、ヒューゴは唖然として呟いた。
と。
急に足元がフラついて、ヒューゴは崩れ落ちる。
すると、駆け寄ってくるリョーマの姿が見えるも、ヒューゴの体は崩れ落ちる事は無かった。
フェネクスが彼を抱き留めてくれたのだ。
フェネクスの優しい笑顔に、ヒューゴは安堵を覚えて意識を失い…ムギュゥゥと鼻を思いっ切りつままれてしまい、遠退く意識は、あっという間に現実へと連れ戻されてしまった。
「痛ってぇ!」
痛みに声を上げれば、サツキの顔があった。
「ブッ倒れる前に、先にお礼を言いなさい」
言いたいのは山々だが、今頃になって左腕を失った痛みが、激しくヒューゴを襲った。
痛みに悲鳴を上げる中、「君たちに恩返しが出来て何よりです」フェネクスが告げた。
「恩返し?僕たちに?」リョーマが訊ねた。
「先の戦いに於いて、君たちに命を救ってもらった盤上戦騎が私だったのです」
アルルカンたちとの戦いに乱入してきて返り討ちにしてやった、オフィエルとエプシロンにダルマにされていたアイツだ。
「あ、あの時の」
すっかりと相手がいたのを忘れていた。
「ついでにヤツらを倒してもらって、これくらいじゃ、まだ恩返しできたものではないですね」
命を救ってもらっただけでも十分なのに、フェネクスは自らのモヒカン頭から大量の髪の毛をむしり取ってヒューゴの左腕に巻き付けた。
そして、床に転がるヒューゴの左腕にも、同じように髪の毛を巻きつけて、両方をくっ付ける。
すると、魔方陣が展開されて、何と!ヒューゴの腕が見事にくっ付いたではないか。
「さすがは本体同士。即座に元通りになりましたね」
フェネクスは優しい笑顔を向けてくれた。
「本体同士?他と他のモノもくっ付けられるのですか?」
リョーマが恐ろしい事を訊ねた。
すると。
「ええ。私の回復魔法は、私の髪の毛を媒介に、何でもくっ付けられますよ。もしも左腕が失われていたのなら、どこかから腕を調達してくっ付けるまでですが」
実に恐ろしい事をあっけらかんと仰ってくれます。
その、どこかからとは、どこを指すのでしょう?
とりあえず、敵を倒してくれた事、それに腕を治療してくれた事にお礼を言う。
「おぉー。アナタ方がヒューゴボーイとリョーマボーイですね。フェネクスから報告を受けてイマース」
突然現れた男性は土足で道場に上がっていた。
「オイ!ここは土足禁止!」「でもデース。サツキは土足デスよネー」
「それでもアカンものはアカンのだ」
口答えする謎の人物に再度注意を促す。
それにしても。
何とも胡散臭い出で立ち。
藍色なのか?濃緑の大きな本を抱えた、やたら肩幅の広い紫色のスーツをまとった、跳っ毛気味の長髪、しかも左目を前髪で隠した、変なイントネーションで喋る男性。
「高砂・飛遊午。僕はこの男は敵だと思う」
「ああ、コイツは間違いなく俺たちの敵だ」
二人して剣を取ろうとすると、男性は慌てて。
「待ってクダサーイ。私の名前はミュッセ・ペンドラゴン。正確にはミュッセ・グラーフ・ペンドラゴン。魔導書ゴエティアの持ち主にして黒側のプレイヤー。以後、お見知りおきを」
訊いてもいないのに自己紹介してくれた。だけど。
「正確にとは何だよ?」
ツッコまれてしまった。
「ほとんど使われる事の無いミドルネームですヨ。我が世界では、頻繁に変える者が多々いるので、あまり意味をなさないノデス」
ココミやライクもそうなのだろうか?だけど、あの二人は省略せずにキチンと名乗っている。
「コラコラ二人とも。お客様がお見えなんだから、ちゃんとお出迎えしなきゃ失礼でしょう?」
言われても、道場はメチャクチャ。おまけに血の惨劇と来たものだ。
「あれ?」
二人が途方に暮れて道場を見渡していると、見る見る内に飛び散った血液やハギトの遺体が光の粒となって消えて行く。
「心配はアリマセーン。魔者や私の体は元々この世界に存在しないモノ。なので、死んでしまえば跡形も無くこの世から消え去るノデース」
しかし、メチャクチャにされた道場はそのまま。
話せば話すほどに胡散臭さを増すこのミュッセなる男を、二人は殺してもどうせ死なないんだし、いっその事、一度殺してしまおうかと企むのだった。
惨劇の場と化した道場を眺めながら、ヒューゴは唖然として呟いた。
と。
急に足元がフラついて、ヒューゴは崩れ落ちる。
すると、駆け寄ってくるリョーマの姿が見えるも、ヒューゴの体は崩れ落ちる事は無かった。
フェネクスが彼を抱き留めてくれたのだ。
フェネクスの優しい笑顔に、ヒューゴは安堵を覚えて意識を失い…ムギュゥゥと鼻を思いっ切りつままれてしまい、遠退く意識は、あっという間に現実へと連れ戻されてしまった。
「痛ってぇ!」
痛みに声を上げれば、サツキの顔があった。
「ブッ倒れる前に、先にお礼を言いなさい」
言いたいのは山々だが、今頃になって左腕を失った痛みが、激しくヒューゴを襲った。
痛みに悲鳴を上げる中、「君たちに恩返しが出来て何よりです」フェネクスが告げた。
「恩返し?僕たちに?」リョーマが訊ねた。
「先の戦いに於いて、君たちに命を救ってもらった盤上戦騎が私だったのです」
アルルカンたちとの戦いに乱入してきて返り討ちにしてやった、オフィエルとエプシロンにダルマにされていたアイツだ。
「あ、あの時の」
すっかりと相手がいたのを忘れていた。
「ついでにヤツらを倒してもらって、これくらいじゃ、まだ恩返しできたものではないですね」
命を救ってもらっただけでも十分なのに、フェネクスは自らのモヒカン頭から大量の髪の毛をむしり取ってヒューゴの左腕に巻き付けた。
そして、床に転がるヒューゴの左腕にも、同じように髪の毛を巻きつけて、両方をくっ付ける。
すると、魔方陣が展開されて、何と!ヒューゴの腕が見事にくっ付いたではないか。
「さすがは本体同士。即座に元通りになりましたね」
フェネクスは優しい笑顔を向けてくれた。
「本体同士?他と他のモノもくっ付けられるのですか?」
リョーマが恐ろしい事を訊ねた。
すると。
「ええ。私の回復魔法は、私の髪の毛を媒介に、何でもくっ付けられますよ。もしも左腕が失われていたのなら、どこかから腕を調達してくっ付けるまでですが」
実に恐ろしい事をあっけらかんと仰ってくれます。
その、どこかからとは、どこを指すのでしょう?
とりあえず、敵を倒してくれた事、それに腕を治療してくれた事にお礼を言う。
「おぉー。アナタ方がヒューゴボーイとリョーマボーイですね。フェネクスから報告を受けてイマース」
突然現れた男性は土足で道場に上がっていた。
「オイ!ここは土足禁止!」「でもデース。サツキは土足デスよネー」
「それでもアカンものはアカンのだ」
口答えする謎の人物に再度注意を促す。
それにしても。
何とも胡散臭い出で立ち。
藍色なのか?濃緑の大きな本を抱えた、やたら肩幅の広い紫色のスーツをまとった、跳っ毛気味の長髪、しかも左目を前髪で隠した、変なイントネーションで喋る男性。
「高砂・飛遊午。僕はこの男は敵だと思う」
「ああ、コイツは間違いなく俺たちの敵だ」
二人して剣を取ろうとすると、男性は慌てて。
「待ってクダサーイ。私の名前はミュッセ・ペンドラゴン。正確にはミュッセ・グラーフ・ペンドラゴン。魔導書ゴエティアの持ち主にして黒側のプレイヤー。以後、お見知りおきを」
訊いてもいないのに自己紹介してくれた。だけど。
「正確にとは何だよ?」
ツッコまれてしまった。
「ほとんど使われる事の無いミドルネームですヨ。我が世界では、頻繁に変える者が多々いるので、あまり意味をなさないノデス」
ココミやライクもそうなのだろうか?だけど、あの二人は省略せずにキチンと名乗っている。
「コラコラ二人とも。お客様がお見えなんだから、ちゃんとお出迎えしなきゃ失礼でしょう?」
言われても、道場はメチャクチャ。おまけに血の惨劇と来たものだ。
「あれ?」
二人が途方に暮れて道場を見渡していると、見る見る内に飛び散った血液やハギトの遺体が光の粒となって消えて行く。
「心配はアリマセーン。魔者や私の体は元々この世界に存在しないモノ。なので、死んでしまえば跡形も無くこの世から消え去るノデース」
しかし、メチャクチャにされた道場はそのまま。
話せば話すほどに胡散臭さを増すこのミュッセなる男を、二人は殺してもどうせ死なないんだし、いっその事、一度殺してしまおうかと企むのだった。
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