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[15]アルマンダルの天使たち
-154-:有難味も何も無ぇわ…again
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天使を思わせるオフィエルの姿に、“サイ”と“ウシ”を見たクレハの抱いた第一印象は…。
「有難味も何も無ぇわ…」
一方の、オフィエルの自己紹介を受けたリョーマは。
「超音速飛龍のダナ!そして、そのマスターの草間・涼馬」
礼を欠く事無く名乗りを上げる。
そして、ダナの身丈程もある野太刀をオフィエルに向けて正眼に構える。
「良い構えだ」
ダナとリョーマを褒めつつ、擱座状態にあるシンシア駆るウッズェへと顔を向けると。
「16番目、この体の昔の好として、ここはひとつお前たちを助けてやるとしよう。俺達がお前たちの代わりに、コイツら白側のドラゴンたちを討伐してやろう」
豪語して見せるとオフィエルは、カイトシールドで前面を覆うように防御を固めてダナに対峙する。
“討伐”などと、言っている事自体不快でならないが。
当然と言えば、当然の構え。
あれほどの大きさの大鉈(刃はギザギザ)では、自ずと“振り下ろす”攻撃に限定される。
つまりは重量級の得物なのだ。
「相手の攻撃を防いでから攻撃に移る構えか」
そう、見越していたら。
先に動いたのはオフィエルの方だった。
カイトシールドで防御しつつ突進!しかも、初速が異常に速い。
体当たりを食らわせる突撃か?違う!
「敵の機動力は確実にこちらを追尾してきます。ご注意を」
ダナの的確で有難い忠告。
突撃を避けたら避けたで、即追尾攻撃に入られる。
右か?左か?それとも剣で敵の動きを止めるか?
しかし、剣を放とうものなら、それこそ敵の思うつぼ。確実に大鉈の一撃の餌食となる。
だったら。
リョーマはダナを急速上昇させて、さらに!両肩のガトリングポッドでオフィエルを捉えつつ後ろへと回り込む。
オフィエルはガトリングガンの攻撃に対応せざるを得ず、カイトシールドを上方へと向きを変えて行く。
それこそがリョーマの狙い。
「真後ろへと回り込まれたら、何で僕たちに対応する?」
オフィエルが気づいた時には、大鉈の切っ先はダナへと向けられた状態であった。
大振りこそが攻撃手段だというのに、切っ先が相手に向いていては、剣を振るう事は叶わない。
野太刀の峰に左手を添えて、リョーマは突きの構えに入っている!
まるで、ビリヤードのショットを打つかの如く、ダナの刺突攻撃が放たれた。
「この男!」
剣撃を払いのけようと咄嗟に大鉈を振るうも、間に合わず、しかし、頭部に備え付けられている角を野太刀の切っ先にぶつける事によって直撃を回避。
だが、ただで済むはずもなく、オフィエルの左頬は大きく切り傷を負う事になる。
この瞬間!リョーマはオフィエルなる者が、“肉を切らせて骨を断つ”を実践できる者だと判断した。
おかげで、油断する事無く、オフィエルの次の手に対応する事ができた。
オフィエルはカイトシールドで護ることはせずに、盾の先をダナに向けていた。一瞬とはいえ、間合いが広がった今、彼の取った構えはシールドバッシュのものではない。
明らかに。
カイトシールドの裏面には炎熱弾の発射口が覗いていた。
射撃攻撃だ。
カルバリンが放たれる。もはやこの距離、回避は不可能。
両者の間に赤く爆炎が広がる。
態勢を整えるべく、立ち込める黒煙の中から緊急後退を行ったオフィエルが目にしたものは。
黒煙の中に光る緑色の小さな球体。
風に流され、黒煙が晴れて行く。
野太刀の峰に添えた左手を拳に変えて前へと突き出しているダナ。そして。
拳を握るダナの手の先には、緑色に光り輝く玉が。
*ピンポイントバリアー*
ダナは極小範囲の防御壁を備えた盤上戦騎だった。
「楽しませてくれる」
オフィエルは胸の高ぶりを抑えきれない。
「同感だ」
それはリョーマも同じ。
「有難味も何も無ぇわ…」
一方の、オフィエルの自己紹介を受けたリョーマは。
「超音速飛龍のダナ!そして、そのマスターの草間・涼馬」
礼を欠く事無く名乗りを上げる。
そして、ダナの身丈程もある野太刀をオフィエルに向けて正眼に構える。
「良い構えだ」
ダナとリョーマを褒めつつ、擱座状態にあるシンシア駆るウッズェへと顔を向けると。
「16番目、この体の昔の好として、ここはひとつお前たちを助けてやるとしよう。俺達がお前たちの代わりに、コイツら白側のドラゴンたちを討伐してやろう」
豪語して見せるとオフィエルは、カイトシールドで前面を覆うように防御を固めてダナに対峙する。
“討伐”などと、言っている事自体不快でならないが。
当然と言えば、当然の構え。
あれほどの大きさの大鉈(刃はギザギザ)では、自ずと“振り下ろす”攻撃に限定される。
つまりは重量級の得物なのだ。
「相手の攻撃を防いでから攻撃に移る構えか」
そう、見越していたら。
先に動いたのはオフィエルの方だった。
カイトシールドで防御しつつ突進!しかも、初速が異常に速い。
体当たりを食らわせる突撃か?違う!
「敵の機動力は確実にこちらを追尾してきます。ご注意を」
ダナの的確で有難い忠告。
突撃を避けたら避けたで、即追尾攻撃に入られる。
右か?左か?それとも剣で敵の動きを止めるか?
しかし、剣を放とうものなら、それこそ敵の思うつぼ。確実に大鉈の一撃の餌食となる。
だったら。
リョーマはダナを急速上昇させて、さらに!両肩のガトリングポッドでオフィエルを捉えつつ後ろへと回り込む。
オフィエルはガトリングガンの攻撃に対応せざるを得ず、カイトシールドを上方へと向きを変えて行く。
それこそがリョーマの狙い。
「真後ろへと回り込まれたら、何で僕たちに対応する?」
オフィエルが気づいた時には、大鉈の切っ先はダナへと向けられた状態であった。
大振りこそが攻撃手段だというのに、切っ先が相手に向いていては、剣を振るう事は叶わない。
野太刀の峰に左手を添えて、リョーマは突きの構えに入っている!
まるで、ビリヤードのショットを打つかの如く、ダナの刺突攻撃が放たれた。
「この男!」
剣撃を払いのけようと咄嗟に大鉈を振るうも、間に合わず、しかし、頭部に備え付けられている角を野太刀の切っ先にぶつける事によって直撃を回避。
だが、ただで済むはずもなく、オフィエルの左頬は大きく切り傷を負う事になる。
この瞬間!リョーマはオフィエルなる者が、“肉を切らせて骨を断つ”を実践できる者だと判断した。
おかげで、油断する事無く、オフィエルの次の手に対応する事ができた。
オフィエルはカイトシールドで護ることはせずに、盾の先をダナに向けていた。一瞬とはいえ、間合いが広がった今、彼の取った構えはシールドバッシュのものではない。
明らかに。
カイトシールドの裏面には炎熱弾の発射口が覗いていた。
射撃攻撃だ。
カルバリンが放たれる。もはやこの距離、回避は不可能。
両者の間に赤く爆炎が広がる。
態勢を整えるべく、立ち込める黒煙の中から緊急後退を行ったオフィエルが目にしたものは。
黒煙の中に光る緑色の小さな球体。
風に流され、黒煙が晴れて行く。
野太刀の峰に添えた左手を拳に変えて前へと突き出しているダナ。そして。
拳を握るダナの手の先には、緑色に光り輝く玉が。
*ピンポイントバリアー*
ダナは極小範囲の防御壁を備えた盤上戦騎だった。
「楽しませてくれる」
オフィエルは胸の高ぶりを抑えきれない。
「同感だ」
それはリョーマも同じ。
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