141 / 351
[14]騎士と兵士
-136-:恋は盲目とは良く言ったもの
しおりを挟む
アンデスィデが始まる3時間前―。
「本気で言っているのですか!?ライク」
ココミは、彼女らしからぬほどに声を荒げた。
「大丈夫だよ、ココミ。心配は無いよ。彼は絶対に死ぬことにはならないよ」
なだめるようにライクはココミに告げる。
「いい加減な事は言わないで!そんな事をして、彼にもしもの事があれば、私は…」
握りしめる拳に、さらに力が込められた。
「ココミさぁ、君のその想いは否定したい気持ちでいっぱいだろうけど、現実を知る君は、彼が多重契約をしても大丈夫な理由をすでに知り得ているはずだろう?」
ライクの言葉に、ココミは驚いた表情を見せる。
「現実を知る私??私が多重人格者とでもおっしゃりたいのですか?」
訊ねるココミに、ライクは肩をすくめて見せた。
「恋は盲目とは良く言ったもの。いや、この際、天然と言ったほうが妥当かな。いいかい?ココミ。説明する僕だって滅茶苦茶恥ずかしいんだから、一回で理解してよね」
前置きを添えて。
ライクは咳払い一つすると。
「君は高砂・飛遊午に想いを寄せている」告げた瞬間「プッ」とココミは吹いた。
「そんなワケ『いいから聞きなさい!』」横槍は一切受け付けません。
「その一方で、彼にはすでに“鈴木・くれは”という彼女がいる事を知っている」
「あの二人がそんなに親密な仲だとは『だから、黙っていて』」再度口を挟んだ事に厳重注意を受けた。
「あのね、僕は、ヒューゴとクレハの間に入る余地なんて無い理由を言っているんだが。君だって、すでに気付いているハズだよ。クレハが時折ヒューゴに霊力を供給しているコトを」
「う…」
ココミは思わず目を逸らしてしまった。
「クレハの霊力は女王に準ずるほどの、とても強力なものだよ。だから2騎目の兵士と契約を結んだくらいでは、どうという事はないと思うよ」
「“思う”だなんて不確定じゃないですか。クィックフォワードと契約を結んだ瞬間に死ぬかもしれない可能性もまだ残されているのに」
即否定して見せた。
たとえ可能性がゼロだったとしても、ヒューゴにこれ以上負担を強いる事なんてできない。
「しょうがないね。だったら、こうしよう」
ライクはため息をつくと、新たな条件を提示した。
「今日、天馬学府の上空に盤上戦騎を召喚させる。ヒューゴが戦ってくれるのならば、この地域で最も被害の少ない場所に戦場を移すよ。もしも、彼以外のマスターを立ててくると言うのなら、そのまま学園で戦闘を続行する」
それは条件というよりも、むしろ脅迫であった。
睨みつけてくるココミを見やり、ため息をつくと。
「しょうがないだろ。そうしないと、シンシアが無差別テロを行うって、僕を脅してきたんだから。僕だって被害者なんだよ。協力してよ」
態度を一変させて、今度はすがるように頼み込んできた。
「私たちが行っているのは、あくまでもクリモワールチェスです。それ以外の争い事を引き入れる訳にはいきません」
断じてテロ行為など介入させたりはしない。
脅迫に屈するカタチとなってしまったが、ヒューゴを参戦させる以外、手は無さそうだ。
だけど、ココミはこの条件に“穴”が存在する事に気付いた。
もう1騎のディザスターの存在がすっぽりと抜け落ちている。
手は無い事もない。
ヒューゴには取り敢えずクィックフォワードと契約してもらう。
だけど、彼には戦ってもらう必要は無い。
騎士のダナに戦ってもらうことにしよう。
しかし、そもそも、その考えが甘かった。
「本気で言っているのですか!?ライク」
ココミは、彼女らしからぬほどに声を荒げた。
「大丈夫だよ、ココミ。心配は無いよ。彼は絶対に死ぬことにはならないよ」
なだめるようにライクはココミに告げる。
「いい加減な事は言わないで!そんな事をして、彼にもしもの事があれば、私は…」
握りしめる拳に、さらに力が込められた。
「ココミさぁ、君のその想いは否定したい気持ちでいっぱいだろうけど、現実を知る君は、彼が多重契約をしても大丈夫な理由をすでに知り得ているはずだろう?」
ライクの言葉に、ココミは驚いた表情を見せる。
「現実を知る私??私が多重人格者とでもおっしゃりたいのですか?」
訊ねるココミに、ライクは肩をすくめて見せた。
「恋は盲目とは良く言ったもの。いや、この際、天然と言ったほうが妥当かな。いいかい?ココミ。説明する僕だって滅茶苦茶恥ずかしいんだから、一回で理解してよね」
前置きを添えて。
ライクは咳払い一つすると。
「君は高砂・飛遊午に想いを寄せている」告げた瞬間「プッ」とココミは吹いた。
「そんなワケ『いいから聞きなさい!』」横槍は一切受け付けません。
「その一方で、彼にはすでに“鈴木・くれは”という彼女がいる事を知っている」
「あの二人がそんなに親密な仲だとは『だから、黙っていて』」再度口を挟んだ事に厳重注意を受けた。
「あのね、僕は、ヒューゴとクレハの間に入る余地なんて無い理由を言っているんだが。君だって、すでに気付いているハズだよ。クレハが時折ヒューゴに霊力を供給しているコトを」
「う…」
ココミは思わず目を逸らしてしまった。
「クレハの霊力は女王に準ずるほどの、とても強力なものだよ。だから2騎目の兵士と契約を結んだくらいでは、どうという事はないと思うよ」
「“思う”だなんて不確定じゃないですか。クィックフォワードと契約を結んだ瞬間に死ぬかもしれない可能性もまだ残されているのに」
即否定して見せた。
たとえ可能性がゼロだったとしても、ヒューゴにこれ以上負担を強いる事なんてできない。
「しょうがないね。だったら、こうしよう」
ライクはため息をつくと、新たな条件を提示した。
「今日、天馬学府の上空に盤上戦騎を召喚させる。ヒューゴが戦ってくれるのならば、この地域で最も被害の少ない場所に戦場を移すよ。もしも、彼以外のマスターを立ててくると言うのなら、そのまま学園で戦闘を続行する」
それは条件というよりも、むしろ脅迫であった。
睨みつけてくるココミを見やり、ため息をつくと。
「しょうがないだろ。そうしないと、シンシアが無差別テロを行うって、僕を脅してきたんだから。僕だって被害者なんだよ。協力してよ」
態度を一変させて、今度はすがるように頼み込んできた。
「私たちが行っているのは、あくまでもクリモワールチェスです。それ以外の争い事を引き入れる訳にはいきません」
断じてテロ行為など介入させたりはしない。
脅迫に屈するカタチとなってしまったが、ヒューゴを参戦させる以外、手は無さそうだ。
だけど、ココミはこの条件に“穴”が存在する事に気付いた。
もう1騎のディザスターの存在がすっぽりと抜け落ちている。
手は無い事もない。
ヒューゴには取り敢えずクィックフォワードと契約してもらう。
だけど、彼には戦ってもらう必要は無い。
騎士のダナに戦ってもらうことにしよう。
しかし、そもそも、その考えが甘かった。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
俺の相棒は元ワニ、今ドラゴン!?元飼育員の異世界スローライフ
ライカタイガ
ファンタジー
ワニ飼育員として働いていた俺は、ある日突然、異世界に転生することに。驚いたのはそれだけじゃない。俺の相棒である大好きなワニも一緒に転生していた!しかもそのワニ、異世界ではなんと、最強クラスのドラゴンになっていたのだ!
新たな世界でのんびりスローライフを楽しみたい俺と、圧倒的な力を誇るドラゴンに生まれ変わった相棒。しかし、異世界は一筋縄ではいかない。俺たちのスローライフには次々と騒動が巻き起こる…!?
異世界転生×ドラゴンのファンタジー!元飼育員と元ワニ(現ドラゴン)の絆を描く、まったり異世界ライフをお楽しみください!
転生ギフトでドラゴンを貰いました。
銀狐
ファンタジー
絵を描くのが好きな大学2年生の新崎亮。
バイトへ向かうときに交通事故に合い、死んでしまった。
気づいたら目の前に神様。
そこで転生ギフトがあると言われ、ドラゴンを選びました。
※『カクヨム』『小説家になろう』で同時掲載をしております。
世界にダンジョンが発生した・死にたがりの男は・奪われたものを取り返すため深淵世界と対決する!
蒼衣翼
ファンタジー
正木光夜は探索者達の間で、死にたがりとして有名だった。
光夜は、十年前のダンジョン発生の際に、ダンジョンに呑み込まれつつも生還したが、それは見知らぬ小さな子どもを下敷きにしてのことだったのだ。
それ以来、死者の呼び声に惹かれるように、迷宮と呼ばれる最難関ダンジョンに潜り続けていた。
「まだ救われない奴がいるなら、俺が救う」それが光夜に出来るただ一つの償いなのだ。
※小説家になろうさま・カクヨムさまでも連載しています。
『突撃!東大阪産業大学ヒーロー部!』
M‐赤井翼
ライト文芸
今回の新作は「ヒーローもの」!
いつもの「赤井作品」なので、「非科学的」な「超能力」や「武器」を持ったヒーローは出てきません。
先に謝っておきます。
「特撮ヒーローもの」や「アメリカンヒーロー」を求められていた皆さん!
「ごめんなさい」!
「霊能力「を持たない「除霊師」に続いて、「普通の大学生」が主人公です。
でも、「心」は「ヒーロー」そのものです。
「東大阪産業大学ヒーロー部」は門真のローカルヒーローとしてトップを走る2大グループ「ニコニコ商店街の門真の女神」、「やろうぜ会」の陰に隠れた「地味地元ヒーロー」でリーダーの「赤井比呂」は
「いつか大事件を解決して「地元一番のヒーロー」になりたいと夢を持っている。
「ミニスカートでのアクションで「招き猫のブルマ」丸見えでも気にしない「デカレッド」と「白鳥雛子」に憧れる主人公「赤井比呂」」を筆頭に、女兄妹唯一の男でいやいや「タキシード仮面役」に甘んじてきた「兜光司」好きで「メカマニア」の「青田一番」、元いじめられっ子の引きこもりで「東映版スパイダーマン」が好きな「情報系」技術者の「木居呂太」、「電人ザボーガー」と「大門豊」を理想とするバイクマニアの「緑崎大樹」、科学者の父を持ち、素材加工の匠でリアル「キューティーハニー」のも「桃池美津恵」、理想のヒーローは「セーラームーン」という青田一番の妹の「青田月子」の6人が9月の海合宿で音連れた「舞鶴」の「通称 ロシア病院」を舞台に「マフィア」相手に大暴れ!
もちろん「通称 ロシア病院」舞台なんで「アレ」も登場しますよー!
ミリオタの皆さんもお楽しみに!
心は「ヒーロー」!
身体は「常人」の6人組が頑張りますので、応援してやってくださーい!
では、ゆるーく「ローカルヒーロー」の頑張りをお楽しみください!
よーろーひーこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~
アズドラ
ファンタジー
主人公タカトはテンプレ通り事故で死亡、運よく異世界転生できることになり神様にドラゴンになりたいとお願いした。 夢にまで見た異世界生活をドラゴンパワーと現代地球の知識で全力満喫! 仲間を増やして夢を叶える王道、テンプレ、モリモリファンタジー。
W職業持ちの異世界スローライフ
Nowel
ファンタジー
仕事の帰り道、トラックに轢かれた鈴木健一。
目が覚めるとそこは魂の世界だった。
橋の神様に異世界に転生か転移することを選ばせてもらい、転移することに。
転移先は森の中、神様に貰った力を使いこの森の中でスローライフを目指す。
異世界召喚巻き込まれ追放テイマー~最弱職と言われたスキルで魔物軍団を作ったら世界最強の町ができました~
九龍クロン
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれた女の話。
最弱職として有名なモンスターテイマーだったので国外に追放されたが、隠されたユニークスキルが最強すぎてイージーモードな異世界物語。
ご都合主義多め。気負わず読める軽さでお届けしております。
転生者ジンの異世界冒険譚(旧作品名:七天冒険譚 異世界冒険者 ジン!)
夏夢唯
ファンタジー
男の名前は沖田仁、彼が気がつくとそこは天界であった。
現れた神により自分の不手際で仁が次元の狭間に落ちてしまい元の世界に戻れなくなってしまった事を告げられるが、お詫びとして新たな体を手に入れ異世界に転生することになる。
冒険者達が剣や魔法で活躍するファンタジー冒険物語。
誤字脱字等は気づき次第修正していきますので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる