110 / 351
[11]迫撃!トリプルポーン
-105-:黙ってないで何か言ってよ!
しおりを挟む
「ダメージだと!?ベルタ、一体何をされた!?」
敵騎は正面。しかし、背後からダメージを被った。
コクピット内に設けられたサイドミラーや、後方モニターに目をやるも、何も映ってはいない。
一体、何をされたのだ?
「今日はツイていると思ったのにねぇ」
アラートが鳴る中、聞こえてきたのは残念がるカムロの声。
カムロへと目を戻す。
どういう事だ!?
カムロが手にする三又槍の先には、ベルタのハンドチェーンガンが突き刺さっていた。
背中のウェポンラックに掛けていたはずのハンドチェーンガンがどうして?
突き刺さっていたハンドチェーンガンを振り飛ばすと、またもや三又槍の先端部が青白く光り出した。
カムロが再び突きの構えに入り―。
ガンッ!!
またもや衝撃!
今度は左脚の脛部分に真横から刺突攻撃を受けた。
幸い、ベルタの脛部分は足首から延びた装甲なので、脚本体にはダメージは届いていない。
何ィィ、今度は違う方向からの攻撃だと!?
考えられる事は。
「アイツ、もしかして座標指定攻撃を仕掛けて来たのか?」
遠く離れた相手にも任意の座標に攻撃を仕掛ける、まさに空想上の攻撃手段。
マンガなどでは使い古された手段ではあるけれど。
急に音楽がコクピット内に鳴り響いた。
ヒューゴのスマホの着信音楽が鳴ったのだ。
相手は“鈴木くれは”。
状況は片時も気を抜くことは許されないが、とにかく電話に出よう。
「どうした?スズキ」
「どうしたも、こうしたも無いでしょ!!」
電話に出るなり、いきなりの怒鳴り声。
「男子に聞いたんだから!タカサゴが屋上に向かいながら電話をしていたって。タカサゴの事だから、アンデスィデの要請が来たから参戦しているんでしょ!?」
それはそうなのだが。一切反論は致しません。
「黙ってないで何か言ってよ!」
つかの間の沈黙も許さない。
「ゴメンな。スズキ。今、手が離せないから、これで切るわ『いい加減にしてッ!!』」
電話の向こうの相手は切る事さえも許してくれない。
その声は次第に涙声へと変わりつつ。
「タカサゴのバカ!私にだって解るんだからねッ!3対1の無茶な戦いをしている事くらい。今、天馬教会に向かっているから、それまで無茶しないでいてよね!」
告げて、クレハの方からの電話は切られた。
雨が降り出した中、クレハは傘も差さずに、外履きのブーツに履き替えることさえもせずに校内履きのスニーカーのまま学園を飛び出し、天馬教会へと向かって走った。
校門なんざ、直接通らなければ何の問題も無い。
垂直に立つ塀を一歩踏み台にして駆け上がり、よじ登る。
飛び降りた拍子に両手を地面に着こうが気にも留めない。
再び天馬教会めざして走り出す。
顔を打つ雨粒と両眼から流れ出る涙との区別がつかないくらい、顔をぐしゃぐしゃにして。
ベルタを取り囲む、降りしきる雨はさらに激しさを増していた。
座標指定攻撃を避ける方法は、ただひとつ。
絶えず動き回ること。
絶対に動きを止めてはならない。ひたすら動き回るしかない。
そんな中。
劣勢を強いられ、幾度となく回避を余儀なくされたベルタの回避運動推力はもう、底を尽きようとしていた…。
敵騎は正面。しかし、背後からダメージを被った。
コクピット内に設けられたサイドミラーや、後方モニターに目をやるも、何も映ってはいない。
一体、何をされたのだ?
「今日はツイていると思ったのにねぇ」
アラートが鳴る中、聞こえてきたのは残念がるカムロの声。
カムロへと目を戻す。
どういう事だ!?
カムロが手にする三又槍の先には、ベルタのハンドチェーンガンが突き刺さっていた。
背中のウェポンラックに掛けていたはずのハンドチェーンガンがどうして?
突き刺さっていたハンドチェーンガンを振り飛ばすと、またもや三又槍の先端部が青白く光り出した。
カムロが再び突きの構えに入り―。
ガンッ!!
またもや衝撃!
今度は左脚の脛部分に真横から刺突攻撃を受けた。
幸い、ベルタの脛部分は足首から延びた装甲なので、脚本体にはダメージは届いていない。
何ィィ、今度は違う方向からの攻撃だと!?
考えられる事は。
「アイツ、もしかして座標指定攻撃を仕掛けて来たのか?」
遠く離れた相手にも任意の座標に攻撃を仕掛ける、まさに空想上の攻撃手段。
マンガなどでは使い古された手段ではあるけれど。
急に音楽がコクピット内に鳴り響いた。
ヒューゴのスマホの着信音楽が鳴ったのだ。
相手は“鈴木くれは”。
状況は片時も気を抜くことは許されないが、とにかく電話に出よう。
「どうした?スズキ」
「どうしたも、こうしたも無いでしょ!!」
電話に出るなり、いきなりの怒鳴り声。
「男子に聞いたんだから!タカサゴが屋上に向かいながら電話をしていたって。タカサゴの事だから、アンデスィデの要請が来たから参戦しているんでしょ!?」
それはそうなのだが。一切反論は致しません。
「黙ってないで何か言ってよ!」
つかの間の沈黙も許さない。
「ゴメンな。スズキ。今、手が離せないから、これで切るわ『いい加減にしてッ!!』」
電話の向こうの相手は切る事さえも許してくれない。
その声は次第に涙声へと変わりつつ。
「タカサゴのバカ!私にだって解るんだからねッ!3対1の無茶な戦いをしている事くらい。今、天馬教会に向かっているから、それまで無茶しないでいてよね!」
告げて、クレハの方からの電話は切られた。
雨が降り出した中、クレハは傘も差さずに、外履きのブーツに履き替えることさえもせずに校内履きのスニーカーのまま学園を飛び出し、天馬教会へと向かって走った。
校門なんざ、直接通らなければ何の問題も無い。
垂直に立つ塀を一歩踏み台にして駆け上がり、よじ登る。
飛び降りた拍子に両手を地面に着こうが気にも留めない。
再び天馬教会めざして走り出す。
顔を打つ雨粒と両眼から流れ出る涙との区別がつかないくらい、顔をぐしゃぐしゃにして。
ベルタを取り囲む、降りしきる雨はさらに激しさを増していた。
座標指定攻撃を避ける方法は、ただひとつ。
絶えず動き回ること。
絶対に動きを止めてはならない。ひたすら動き回るしかない。
そんな中。
劣勢を強いられ、幾度となく回避を余儀なくされたベルタの回避運動推力はもう、底を尽きようとしていた…。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
ワイルド・ソルジャー
アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。
世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。
主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。
旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。
ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。
世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。
他の小説サイトにも投稿しています。
女子竹槍攻撃隊
みらいつりびと
SF
えいえいおう、えいえいおうと声をあげながら、私たちは竹槍を突く訓練をつづけています。
約2メートルほどの長さの竹槍をひたすら前へ振り出していると、握力と腕力がなくなってきます。とてもつらい。
訓練後、私たちは山腹に掘ったトンネル内で休憩します。
「竹槍で米軍相手になにができるというのでしょうか」と私が弱音を吐くと、かぐやさんに叱られました。
「みきさん、大和撫子たる者、けっしてあきらめてはなりません。なにがなんでも日本を守り抜くという強い意志を持って戦い抜くのです。私はアメリカの兵士のひとりと相討ちしてみせる所存です」
かぐやさんの目は彼女のことばどおり強い意志であふれていました……。
日米戦争の偽史SF短編です。全4話。
果てしなき宇宙の片隅で 序章 サラマンダー
緋熊熊五郎
SF
果てしなき宇宙の片隅で、未知の生物などが紡ぐ物語
遂に火星に到達した人類は、2035年、入植地東キャナル市北東35キロの地点で、古代宇宙文明の残滓といえる宇宙船の残骸を発見した。その宇宙船の中から古代の神話、歴史、物語とも判断がつかない断簡を発掘し、それを平易に翻訳したのが本物語の序章、サラマンダーである。サラマンダーと名付けられた由縁は、断簡を納めていた金属ケースに、羽根を持ち、火を吐く赤い竜が描かれていたことによる。
あの夕方を、もう一度
秋澤えで
ファンタジー
海洋に浮かび隔絶された島国、メタンプシコーズ王国。かつて豊かで恵まれた国であった。しかし天災に見舞われ太平は乱れ始める。この国では二度、革命戦争が起こった。
二度目の革命戦争、革命軍総長メンテ・エスペランサの公開処刑が行われることに。革命軍は王都へなだれ込み、総長の奪還に向かう。しかし奮闘するも敵わず、革命軍副長アルマ・ベルネットの前でメンテは首を落とされてしまう。そしてアルマもまた、王国軍大将によって斬首される。
だがアルマが気が付くと何故か自身の故郷にいた。わけもわからず茫然とするが、海面に映る自分の姿を見て自身が革命戦争の18年前にいることに気が付く。
友人であり、恩人であったメンテを助け出すために、アルマは王国軍軍人として二度目の人生を歩み始める。
全てはあの日の、あの一瞬のために
元革命軍アルマ・ベルネットのやり直しファンタジー戦記
小説家になろうにて「あの夕方を、もう一度」として投稿した物を一人称に書き換えたものです。
9月末まで毎日投稿になります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ファイナルアンサー、Mrガリレオ?
ちみあくた
SF
1582年4月、ピサ大学の学生としてミサに参加している若きガリレオ・ガリレイは、挑戦的に議論をふっかけてくるサグレドという奇妙な学生と出会った。
魔法に似た不思議な力で、いきなりピサの聖堂から連れ出されるガリレオ。
16世紀の科学レベルをはるかに超えるサグレドの知識に圧倒されつつ、時代も場所も特定できない奇妙な空間を旅する羽目に追い込まれるのだが……
最後まで傍観してはいられなかった。
サグレドの望みは、極めて深刻なある「質問」を、後に科学の父と呼ばれるガリレオへ投げかける事にあったのだ。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる