11 / 351
[1]高砂・飛遊午
ー9-:よりによってダブルポーンかよ
しおりを挟む
「くそっ!もう来たんかッ!!」
レーダー画面に目を移したルーティは叫んだ。「アカン!コイツ、速すぎる」
最中、キャサリンを捕えていた隠し腕の肘間接部分に、上空から何かが衝突!一瞬にして粉砕された。
そして、それはゆっくりと上昇して、ベルタと対峙した。
その姿はベルタやキャサリンよりも小柄で。
自転車レース時に被るヘルメットのような頭部に×印状の口元。
兜の裾からは4本の金髪縦ロール巻き毛が垂れており、上腕を隠すように半袖のシ-スルー生地がなびいている。
両肩と両腰部には沢山の噴射口を備え、延長線上に金魚のヒレのようなものが伸びている。
そして足のつま先が膝下くらいまで長く伸びているので、これも何らかの推進器と思われ、正直、まともに歩けそうには見えない。
右手にはキャサリンと同じランス、左手には野球のホームベースのような形の小盾を携えている。
「もう1騎の盤上戦騎!?だと?」
これがチェスのルールならばと、ヒューゴは目の前に現れた盤上戦騎の存在が理解できなかった。
「よりによってダブル・ポーンかよ・・」
違う!
ダブル・ポーンとは同じファイル(チェス盤の縦の列)上に2つのポーンが前後に並んだ状態のこと。良い状態とは言えず、バスケのダブル・チームと同じに考えてはいけない。
ピピコン!と今まで聞いた事の無い効果音がタブレットから鳴った。タブレットに目を移す。
“黒側盤上戦騎の情報を獲得しました”と表示されている。
項目は2つ。
骸骨亡者のキャサリンと飢屍のソネ。
「ゾンビのソネ?アイツの名前か?」画面と見比べ。「自分たちだけでディザスターと呼んでいたのね」改めて確認した。
スケルトンのキャサリンも復活。
タブレットで両騎の情報を確認したい衝動を抑えて。
「これは、一体、どういう事だ?」
「ココミちゃん。アンパッサン(兵士の駒の特殊攻撃)を受けてベルタさんがテイクスされたから、今の戦いが始まったんだよね?なのに、どうしてもう一騎出てきているのよ?」
「おや?アンデスィデ[en décider]のルールを伝えていなかったのかい?ココミ。と、言うか、契約時に─」「!!切迫した状況だったので、クレハさんにはまだ説明していませんでしたね」
告げるライクの声を遮って、慌てたようにココミが説明を始めた。
「アンデスィデだけを説明しても疑問は多く残りますので、最初から説明させて頂きます」
「いや、今は─」「では」
別に要所々々をその都度説明頂ければ問題無いのですが…制する声も空しく一から説明を始めてくれた。
「まずは私たちの行っているチェスがただのチェスで無いのはお解りですね?」
「う、うん。普通のチェスにはロボットなんか登場しないし」
「私たちの行っているチェスは、この魔導書を用いて、双方が従えるモンスターをチェスの駒に宿してゲームを行うグリモワールチェス。略してグリチェスと呼んでいます」
略称はいいから、次。次。
「そしてこの世界の人間と契約を結ぶことにより、人間の持つ霊力を得て、それを魔力へと変換。供給されることによってチェスの駒は晴れて本来の力を発揮する事ができるのです」
「それが盤上戦騎ね」
「はい。そして彼ら盤上戦騎同士で戦いを行うことをアンデスィデと呼びます。こちらの言葉で“決着を付ける”または“白黒を付ける”という意味だそうです」
「へぇー。チェスなだけにねぇ。で、何で敵が2騎もいる事になるの?」
「それはテイクされた駒を中心に、王を除く、周囲8マスの敵味方の駒全てが参戦する戦いが繰り広げられるからだよ」
とても楽しそうに、横からライクが説明をくれた。
最高9体が、いや、ナイトの駒がテイクを仕掛ければ10体もの駒が参戦する戦い、それも最悪は多数対単体の“数による暴力”が展開される可能性もある。まさに今がその状態と言えるが。
「つまり、隣のファイルのポーンも参戦して来やがったって事か」
とても厄介な状況。
だけど、こういう事は最初に言っておいて欲しいのよ。
レーダー画面に目を移したルーティは叫んだ。「アカン!コイツ、速すぎる」
最中、キャサリンを捕えていた隠し腕の肘間接部分に、上空から何かが衝突!一瞬にして粉砕された。
そして、それはゆっくりと上昇して、ベルタと対峙した。
その姿はベルタやキャサリンよりも小柄で。
自転車レース時に被るヘルメットのような頭部に×印状の口元。
兜の裾からは4本の金髪縦ロール巻き毛が垂れており、上腕を隠すように半袖のシ-スルー生地がなびいている。
両肩と両腰部には沢山の噴射口を備え、延長線上に金魚のヒレのようなものが伸びている。
そして足のつま先が膝下くらいまで長く伸びているので、これも何らかの推進器と思われ、正直、まともに歩けそうには見えない。
右手にはキャサリンと同じランス、左手には野球のホームベースのような形の小盾を携えている。
「もう1騎の盤上戦騎!?だと?」
これがチェスのルールならばと、ヒューゴは目の前に現れた盤上戦騎の存在が理解できなかった。
「よりによってダブル・ポーンかよ・・」
違う!
ダブル・ポーンとは同じファイル(チェス盤の縦の列)上に2つのポーンが前後に並んだ状態のこと。良い状態とは言えず、バスケのダブル・チームと同じに考えてはいけない。
ピピコン!と今まで聞いた事の無い効果音がタブレットから鳴った。タブレットに目を移す。
“黒側盤上戦騎の情報を獲得しました”と表示されている。
項目は2つ。
骸骨亡者のキャサリンと飢屍のソネ。
「ゾンビのソネ?アイツの名前か?」画面と見比べ。「自分たちだけでディザスターと呼んでいたのね」改めて確認した。
スケルトンのキャサリンも復活。
タブレットで両騎の情報を確認したい衝動を抑えて。
「これは、一体、どういう事だ?」
「ココミちゃん。アンパッサン(兵士の駒の特殊攻撃)を受けてベルタさんがテイクスされたから、今の戦いが始まったんだよね?なのに、どうしてもう一騎出てきているのよ?」
「おや?アンデスィデ[en décider]のルールを伝えていなかったのかい?ココミ。と、言うか、契約時に─」「!!切迫した状況だったので、クレハさんにはまだ説明していませんでしたね」
告げるライクの声を遮って、慌てたようにココミが説明を始めた。
「アンデスィデだけを説明しても疑問は多く残りますので、最初から説明させて頂きます」
「いや、今は─」「では」
別に要所々々をその都度説明頂ければ問題無いのですが…制する声も空しく一から説明を始めてくれた。
「まずは私たちの行っているチェスがただのチェスで無いのはお解りですね?」
「う、うん。普通のチェスにはロボットなんか登場しないし」
「私たちの行っているチェスは、この魔導書を用いて、双方が従えるモンスターをチェスの駒に宿してゲームを行うグリモワールチェス。略してグリチェスと呼んでいます」
略称はいいから、次。次。
「そしてこの世界の人間と契約を結ぶことにより、人間の持つ霊力を得て、それを魔力へと変換。供給されることによってチェスの駒は晴れて本来の力を発揮する事ができるのです」
「それが盤上戦騎ね」
「はい。そして彼ら盤上戦騎同士で戦いを行うことをアンデスィデと呼びます。こちらの言葉で“決着を付ける”または“白黒を付ける”という意味だそうです」
「へぇー。チェスなだけにねぇ。で、何で敵が2騎もいる事になるの?」
「それはテイクされた駒を中心に、王を除く、周囲8マスの敵味方の駒全てが参戦する戦いが繰り広げられるからだよ」
とても楽しそうに、横からライクが説明をくれた。
最高9体が、いや、ナイトの駒がテイクを仕掛ければ10体もの駒が参戦する戦い、それも最悪は多数対単体の“数による暴力”が展開される可能性もある。まさに今がその状態と言えるが。
「つまり、隣のファイルのポーンも参戦して来やがったって事か」
とても厄介な状況。
だけど、こういう事は最初に言っておいて欲しいのよ。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
リアゼノン・オンライン ~プレイ中のゲームから異世界に連行された俺は、多くの人に学ぶ中で最強を目指す。現在地球は大変だそうです
八ッ坂千鶴
SF
レベルアップするとステータスの数値が減少するデスゲーム
〈リアゼノン・オンライン〉
そんなゲームにログインしたのは、要領が悪い高校1年生宮鳥亜蓮十六歳。
ひょんなことから攻略ギルド【アーサーラウンダー】へ参加することになり、ギルド団長ルグア/巣籠明理に恋をしてしまう。
第十層で離れ離れになっても、両思いし続け、ルグアから団長の座をもらったアレン。
スランプになりながらも、仲間を引っ張って行こうとしていたが、それは突然崩されてしまった。
アレンはルーアという謎の人物によって、異世界【アルヴェリア】へと誘拐されて行方不明に……。
それを聞きつけてきた明理は、アレンを知っているメンバーと共に、異世界から救出するため旅に出る。
しかし、複数の世界が混じり合い、地球が破滅の一途に進んでいたとは、この時誰も知らなかった。
たった一人を除いて……。
※なろう版と同じにしている最中なので、数字表記や記号表記が異なる場合があります
宇宙からの女体化ウィルスが俺をTS少女に変えたんだが
中七七三
SF
隕石に付着していた謎のウィルスは男を女体化させる病原体だった。
ウィルスに感染した男は女体化し、猛烈なメスフェロモンを出すことになる。
そのフェロモンが男を発情させ、レイパーに変貌させるのだ。
「犯される!」
その恐怖の中、夜の街を逃げるTS少女――
そこに救いの手がのびた「TS団」。
それは、「TS少女」を守るための組織であった――
■イーデスブックスより電子書籍化しました■
エルフだったの忘れてた……
ころキャベ
SF
80歳の青山アリアは、ボランティアとして草むしり中に突然意識を失う。目覚めると、彼女はエルフの姿となって異世界。そこは彼女が80年間過ごした世界ではなく、現実の世界だった。以前いた世界が作られた世界だったと知る。アリアに寄り添うのは、かつてのロボット同僚である紗夜。紗夜から魔力を授かり、アリアは新たな冒険に向けて魔法を学びを始める。彼女の現実生活は、果たしてどんな展開を迎えるのか?
♡女子高生と黒ずんだアレ◆ 〜△本小説には、一部刺激の強いシーンがあります(R15♡)〜
大和田大和
SF
◆◇「私まだ女子高生なのに……子育て?」◇◆
○突然ですが、女子高生を妊娠させる方法を知っていますか?
『知りません』と答えたピュアなあなた! この小説はあなたにはまだ早いかもしれません。
あなたは今すぐブラウザバックして他の小説を読んでください。(おすすめはリゼロです!)
●本小説では、たくさんの女性が妊娠します。女子高生の妊娠に興味がない人は読むことを推奨しません(リゼロの方が面白いのでそちらを読んでください!)
○それでは以下があらすじと本編の妊娠シーンです。(リゼロが見たい方はブラバして、長月達平で検索してください!)
◆◇【あらすじ】◇◆
世界中に突如、謎の黒い箱が出現した。
それは大きさ三〇立法センチほど。
宛名も差出人もなく、ただ『開けないでね』とだけ書かれている。
ある箱は公園のベンチの上に置かれ、別の箱は浜辺に流れ着き、また別の箱は普通にポストに届いたりした。
箱を開けるとその中には、気持ちがいいことをした時にできるアレが入っていた。
この物語は、一人の女子高生が子作りと子育てをするお話。
◆◇【妊娠】◇◆
男は白いシーツがかかったベッドを指差し、私にこう言った。
「いいか? お嬢さんは今から俺にここで妊娠させられるんだ? 何をされるかわかるな?」
私はこくんと力なく頷いた。
「嬢ちゃんはベッドでの経験はあるのか?」
私は首を横にフルフルと振った。
「そっか女子高生だもんな。処女だろうな……へへ。安心してくれ、大人しくしてれば痛くしないから……よ?」
男は、ニヤケ面で私の体に視線を這わせた。太もも、胸の谷間、そして股間のあたりをジロジロと見られた。
彼は私をベッドに座らせると、
「今から俺と何するか言ってみな?」
そして、私はこう答えた。
「…………生で……セック(本編へ続く♡)」
(◎本小説は、カクヨムなどで重複投稿しています。詳しくはプロフで)
エッチで淫らな性的行為が原因で性病を患った女性。そして性病を根絶しようと企む素粒子物理学者。世界はその二人によって思いもよらぬ最後を迎える。
ねんごろ
SF
この虚構は一切の現実と関係していない。またあらゆる現実に対してこれは絶対的に独立している。
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
烈火の大東亜
シャルリアちゃんねる
SF
現代に生きる男女2人の学生が、大東亜戦争[太平洋戦争]の開戦直後の日本にタイムスリップする。
2人はその世界で出会い、そして共に、日本の未来を変えようと決意し、
各海戦に参加し、活躍していく物語。その時代の日本そして世界はどうなるのかを描いた話。
史実を背景にした物語です。
本作はチャットノベル形式で書かせて頂きましたので、凝った小説らしさというより
漫画の様な読みやすさがあると思いますので是非楽しんでください。
それと、YOUTUBE動画作製を始めたことをお知らせします。
名前は シャリアちゃんねる です。
シャリアちゃんねる でぐぐってもらうと出てくると思います。
URLは https://www.youtube.com/channel/UC95-W7FV1iEDGNZsltw-hHQ/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0 です。
皆さん、結構ご存じかと思っていましたが、意外と知られていなかった、第一話の真珠湾攻撃の真実等がお勧めです。
良かったらこちらもご覧ください。
主に政治系歴史系の動画を、アップしています。
小説とYOUTUBEの両方を、ごひいきにして頂いたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる