25 / 26
LAST CASE リリーとムーン
最後に
しおりを挟む
1
柔らかい太陽光が降り注いでいる。景色は灰、茶、白などの地味な色合いで構成されている。空も重く感じる鉛色だ。それでいて乾燥した空気が遠景までくっきりと見せている。
リリーが部屋で編み物をしていると、ドアがノックされた。
「はーい」
中年の女が器を持って入ってくる。
「リリーちゃん、朝ごはん。ごめんね。こんなもので」
「ありがとうございます。助かってます」
リリーはベッドを降りて朝食を受け取りに行く。器の中身はスープだ。農村では一般的な食事。細かい野菜と少ない雑穀が入っていることが多い。
「だいぶ体調が回復してきたね。ここに来た頃は顔色が悪くて心配したよ」
リリーの肌は血色がよく、体調不良には見えない。ただし、手と足には布が巻かれている。
「おばさんのお陰よ」
中年の女――ケリーは冗談っぽく胸を張る。その仕草にころころと笑い声が生まれた。
リリーとムーンは城から逃れた後、しばらく近くの農村で世話になっていた。冷たい石牢に二日間閉じ込められていたリリーは軽い凍傷になっていた。そんな状態では森での暮らしは厳しい。身体が治るまで息子が一人立ちしたばかりで部屋が余っているという夫婦の家に転がり込むことになった。村中で少しずつ食材を出し合い、リリーの分を捻出している。その礼にリリーは薬草の相談に乗ることにした。凍傷はゆっくり身体を温めることで順調に回復し、牢屋を出た直後に動かせなかった手足は既にほとんど機能が戻ってきた。
「うひゃあああ」という外から情けないような男の悲鳴が聞こえた。ケリーとリリーは顔を見合わせる。
「またやっちゃったみたい……」
外へ確認しに行くと、男とムーンがドアのすぐそばに立っていた。ペコペコと頭を下げる男のズボンには土埃がついている。
「すまん。すまん。ムーンさん」
「こちらこそ、すまない。驚かせた」
ケリーは呆れた顔をして腰に手を当てた。
「あんたはもう……! 肝っ玉が小さいんだよ。いい加減になれなさいよ」
バツが悪い顔をした男は外見からするとケリーより少し年上に見える。後頭部を掻きながら食料の入った袋を渡して帰っていった。
「またやっちゃったの?」
リリーは眉根を寄せてムーンを見上げる。
「ああ。悪いことをしたな……」
心なしかムーンの兜の角度が下向きになっていた。
村でリリーの療養をしている間、ムーンは薪を割ったり、設備の修繕を手伝ったりして村に貢献していた。
しかし、一つ困った問題ができた。前に増してリリーから離れないようになったのだ。用事がないときは、門番のようにドアの外に立って不審者がいないか見張る。人の気配がすれば、すぐに飛んでくる。
ケリーの家を訪れる村民は突然目の前に現れるムーンにことごとく驚かせられた。毎日悲鳴が上がり、今の男で五十四人目だ。
リリーが心配しすぎだとムーンを言い聞かせても、よほど誘拐されたときのことが心の傷になっているのか、ムーンの行動は治らない。元々は森で攻撃的な人間を見つける度に黙らせていたのだから、態度に出さなくても繊細なのかもしれない。最近生まれたリリーの悩みだった。
――大切に思ってくれるのは嬉しいけど、ずっと警戒を続けて疲れないのかな。
2
部屋は常に暖炉で温めて温石でリリーの身体を保温する。ムーンは薪を絶やさないようにしていた。
「もう帰っちゃうのかい。寂しくなるねえ」
ケリーは残念そうに口を窄める。
「ずっとお世話になるわけにはいかないもの。それに家も心配だし」
年が明けて一月になる。これから三月の半ばまでは寒い季節が続く。平民には厳しい季節だ。食料だって少ない。二日後には出発するつもりだった。
「リリーちゃんが教えてくれたセボリーと豆の和え物、美味しくて今年の冬は楽しく越せそうよ」
「役に立ててよかった」
リリーはテーブルに寝室から持ってきた荷物を置く。色違いの手袋が二組。
「おじさんと使ってね。間に合ってよかった」
部屋に籠りきりのリリーはリハビリも兼ねて夫婦へのお礼用に編み物をしていた。ケリーは「あら、嬉しい」と笑って手袋を試着して眺めていた。
寝室に戻るリリーにムーンは後ろについて行きながら声をかける。
「動き回って大丈夫か?」
「今のうちに動いておかないと家で困るもの」
そこまで言ってから、リリーの指が顎をとんとんと叩く。
「とは言っても、ハンス兄さんみたいに怪我の治りかけで動き回ると悪化しちゃうもんね」
ハンスは計画の日に町で騒ぎを起こした。事前に打ち合わせた相手との乱闘騒ぎ――のはずだったが、全員に熱が入り過ぎて騒ぎが大きくなり、無関係の平民まで参加。そこへ警備兵も加わり、予定以上の事態になった。ハンスは最前線で警備兵と取っ組み合いをしたそうだ。お陰でそのすぐ後に寝込み、母親からこの冬は無断外出禁止を言い渡された。散々な目に遭ったが、山猫亭のカナリアがお見舞いに訪れることもあり、悪いことだけではないらしい。
リリーは言葉を躊躇い、唇を小さく開閉してから切り出す。
「ムーンさん、これ……っ」
胸元に抱えていたものをムーンに突き出す。防寒用に見えたそれは、一枚の長い毛糸の編み物。果てしない大海原のような紺に近い青色をしている。
「本当は年越しのときに渡そうと思ってたんだけど、間に合わなくて……。そもそもムーンさんには必要ないものかもしれないけど……」
自信なさげに言葉が口の中で消えていく。たくさんの刺繍も入れるつもりでいたのに、年末の騒動で時間がなくなってしまった。張り切っていた分、リリーは落胆している。
ムーンは編み物を受け取って広げた。二メートルほどある服飾品を見つめる。兜がわずかに右に倒れた。
「すまない。これは何に使うものだ?」
リリーは驚いた顔をしてから小さな声を上げ、しどろもどろに説明をする。
「あっ! えっと、マフラー……首に巻くもので……」
「なるほど」
外を歩く民衆たちの中で見たことがある。ムーンは相槌を打ってから首に巻きつける。二周してから余った端を背中に流した。
「こうか?」
「そう!」
リリーから不安げな表情が消えて嬉しそうな笑顔が浮かぶ。
常人からは見えないが、マフラーからは手をかけて作った気配がしている。ムーンは首に巻いたマフラーに触れて言った。
「使わせてもらう。ありがとう」
3
家を空けていたのは半月ほど。心配するほどに部屋は荒れていなかった。獣が侵入した形跡もない。動物たちが活動しなくなる冬だったことが不幸中の幸いだったのかもしれない。日が高いうちに籠った空気を入れ換え、軽く掃き掃除するだけで元通りになった。残念ながら取っておいたパンなど一部の食料は無駄になってしまった。
シーツを干しつつ、畑の様子を見る。先月植えた大根やカブなどがある。侵入している雑草をリリーは引き抜いた。数少ない冬の食料だから大切にしなければならない。
「大丈夫か?」
ムーンは円筒形の容器を一つ持って木立から現れた。川に沈めていた保存用の肉だ。身体を回復させるための栄養になる。
「大丈夫よ。ありがとう」
家に戻ってからムーンの心配癖は少し和らいだものの、リリーが動く度に後ろからついて回る。まるで生まれたての雛鳥のようだった。大きさの違いは比べるまでもない。
「ここが終わったら、お茶にしようかな」
「そうするといい。部屋を温めて置こう」
農村で年越しをしたときは賑やかだった。森の家に戻ると人の声がしない。その代わり、風の鳴る音、小動物の鳴き声、葉が揺れる音、鳥の羽ばたき――微かな自然の音が鮮明に耳へ届く。人によっては侘しく感じるものかもしれない。しかし、森に住む二人は苦にもならない。彼女と彼は、二人で寄り添っている限り孤独ではない。
(――了)
柔らかい太陽光が降り注いでいる。景色は灰、茶、白などの地味な色合いで構成されている。空も重く感じる鉛色だ。それでいて乾燥した空気が遠景までくっきりと見せている。
リリーが部屋で編み物をしていると、ドアがノックされた。
「はーい」
中年の女が器を持って入ってくる。
「リリーちゃん、朝ごはん。ごめんね。こんなもので」
「ありがとうございます。助かってます」
リリーはベッドを降りて朝食を受け取りに行く。器の中身はスープだ。農村では一般的な食事。細かい野菜と少ない雑穀が入っていることが多い。
「だいぶ体調が回復してきたね。ここに来た頃は顔色が悪くて心配したよ」
リリーの肌は血色がよく、体調不良には見えない。ただし、手と足には布が巻かれている。
「おばさんのお陰よ」
中年の女――ケリーは冗談っぽく胸を張る。その仕草にころころと笑い声が生まれた。
リリーとムーンは城から逃れた後、しばらく近くの農村で世話になっていた。冷たい石牢に二日間閉じ込められていたリリーは軽い凍傷になっていた。そんな状態では森での暮らしは厳しい。身体が治るまで息子が一人立ちしたばかりで部屋が余っているという夫婦の家に転がり込むことになった。村中で少しずつ食材を出し合い、リリーの分を捻出している。その礼にリリーは薬草の相談に乗ることにした。凍傷はゆっくり身体を温めることで順調に回復し、牢屋を出た直後に動かせなかった手足は既にほとんど機能が戻ってきた。
「うひゃあああ」という外から情けないような男の悲鳴が聞こえた。ケリーとリリーは顔を見合わせる。
「またやっちゃったみたい……」
外へ確認しに行くと、男とムーンがドアのすぐそばに立っていた。ペコペコと頭を下げる男のズボンには土埃がついている。
「すまん。すまん。ムーンさん」
「こちらこそ、すまない。驚かせた」
ケリーは呆れた顔をして腰に手を当てた。
「あんたはもう……! 肝っ玉が小さいんだよ。いい加減になれなさいよ」
バツが悪い顔をした男は外見からするとケリーより少し年上に見える。後頭部を掻きながら食料の入った袋を渡して帰っていった。
「またやっちゃったの?」
リリーは眉根を寄せてムーンを見上げる。
「ああ。悪いことをしたな……」
心なしかムーンの兜の角度が下向きになっていた。
村でリリーの療養をしている間、ムーンは薪を割ったり、設備の修繕を手伝ったりして村に貢献していた。
しかし、一つ困った問題ができた。前に増してリリーから離れないようになったのだ。用事がないときは、門番のようにドアの外に立って不審者がいないか見張る。人の気配がすれば、すぐに飛んでくる。
ケリーの家を訪れる村民は突然目の前に現れるムーンにことごとく驚かせられた。毎日悲鳴が上がり、今の男で五十四人目だ。
リリーが心配しすぎだとムーンを言い聞かせても、よほど誘拐されたときのことが心の傷になっているのか、ムーンの行動は治らない。元々は森で攻撃的な人間を見つける度に黙らせていたのだから、態度に出さなくても繊細なのかもしれない。最近生まれたリリーの悩みだった。
――大切に思ってくれるのは嬉しいけど、ずっと警戒を続けて疲れないのかな。
2
部屋は常に暖炉で温めて温石でリリーの身体を保温する。ムーンは薪を絶やさないようにしていた。
「もう帰っちゃうのかい。寂しくなるねえ」
ケリーは残念そうに口を窄める。
「ずっとお世話になるわけにはいかないもの。それに家も心配だし」
年が明けて一月になる。これから三月の半ばまでは寒い季節が続く。平民には厳しい季節だ。食料だって少ない。二日後には出発するつもりだった。
「リリーちゃんが教えてくれたセボリーと豆の和え物、美味しくて今年の冬は楽しく越せそうよ」
「役に立ててよかった」
リリーはテーブルに寝室から持ってきた荷物を置く。色違いの手袋が二組。
「おじさんと使ってね。間に合ってよかった」
部屋に籠りきりのリリーはリハビリも兼ねて夫婦へのお礼用に編み物をしていた。ケリーは「あら、嬉しい」と笑って手袋を試着して眺めていた。
寝室に戻るリリーにムーンは後ろについて行きながら声をかける。
「動き回って大丈夫か?」
「今のうちに動いておかないと家で困るもの」
そこまで言ってから、リリーの指が顎をとんとんと叩く。
「とは言っても、ハンス兄さんみたいに怪我の治りかけで動き回ると悪化しちゃうもんね」
ハンスは計画の日に町で騒ぎを起こした。事前に打ち合わせた相手との乱闘騒ぎ――のはずだったが、全員に熱が入り過ぎて騒ぎが大きくなり、無関係の平民まで参加。そこへ警備兵も加わり、予定以上の事態になった。ハンスは最前線で警備兵と取っ組み合いをしたそうだ。お陰でそのすぐ後に寝込み、母親からこの冬は無断外出禁止を言い渡された。散々な目に遭ったが、山猫亭のカナリアがお見舞いに訪れることもあり、悪いことだけではないらしい。
リリーは言葉を躊躇い、唇を小さく開閉してから切り出す。
「ムーンさん、これ……っ」
胸元に抱えていたものをムーンに突き出す。防寒用に見えたそれは、一枚の長い毛糸の編み物。果てしない大海原のような紺に近い青色をしている。
「本当は年越しのときに渡そうと思ってたんだけど、間に合わなくて……。そもそもムーンさんには必要ないものかもしれないけど……」
自信なさげに言葉が口の中で消えていく。たくさんの刺繍も入れるつもりでいたのに、年末の騒動で時間がなくなってしまった。張り切っていた分、リリーは落胆している。
ムーンは編み物を受け取って広げた。二メートルほどある服飾品を見つめる。兜がわずかに右に倒れた。
「すまない。これは何に使うものだ?」
リリーは驚いた顔をしてから小さな声を上げ、しどろもどろに説明をする。
「あっ! えっと、マフラー……首に巻くもので……」
「なるほど」
外を歩く民衆たちの中で見たことがある。ムーンは相槌を打ってから首に巻きつける。二周してから余った端を背中に流した。
「こうか?」
「そう!」
リリーから不安げな表情が消えて嬉しそうな笑顔が浮かぶ。
常人からは見えないが、マフラーからは手をかけて作った気配がしている。ムーンは首に巻いたマフラーに触れて言った。
「使わせてもらう。ありがとう」
3
家を空けていたのは半月ほど。心配するほどに部屋は荒れていなかった。獣が侵入した形跡もない。動物たちが活動しなくなる冬だったことが不幸中の幸いだったのかもしれない。日が高いうちに籠った空気を入れ換え、軽く掃き掃除するだけで元通りになった。残念ながら取っておいたパンなど一部の食料は無駄になってしまった。
シーツを干しつつ、畑の様子を見る。先月植えた大根やカブなどがある。侵入している雑草をリリーは引き抜いた。数少ない冬の食料だから大切にしなければならない。
「大丈夫か?」
ムーンは円筒形の容器を一つ持って木立から現れた。川に沈めていた保存用の肉だ。身体を回復させるための栄養になる。
「大丈夫よ。ありがとう」
家に戻ってからムーンの心配癖は少し和らいだものの、リリーが動く度に後ろからついて回る。まるで生まれたての雛鳥のようだった。大きさの違いは比べるまでもない。
「ここが終わったら、お茶にしようかな」
「そうするといい。部屋を温めて置こう」
農村で年越しをしたときは賑やかだった。森の家に戻ると人の声がしない。その代わり、風の鳴る音、小動物の鳴き声、葉が揺れる音、鳥の羽ばたき――微かな自然の音が鮮明に耳へ届く。人によっては侘しく感じるものかもしれない。しかし、森に住む二人は苦にもならない。彼女と彼は、二人で寄り添っている限り孤独ではない。
(――了)
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる