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隷属者の下剋上
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この衝撃は、さっきも、味わった…。
「うふふー、蓮華にやっちゃダメって云われてたから秘密にしてたけどー。実は僕、結構人類最強かも?」
にこやかに立ち上がりながら、泉はゆっくりとグラスを手に取った。もうすっかり温くなってしまったグラスを、そっと愛の口元に運ぶ。
『 飲め 』
声が直接頭の中で、二重になって響いた。
高い音と低い音とが重なり合い、狭い部屋の中でわんわんと共鳴しているように頭蓋骨を揺らしながら響く。何だろう、気持ち悪いのにふわふわと恍惚感が訪れる。強かに飲んで酔っぱらった時のように、臓物がひっくり返る間から脳内でドーパミンが溢れ出していく。
愛は、差し出されたグラスに口をつけて飲み下していく。わずかに開いた口唇から、つーっと雫が幾筋にも滴り落ちる。
『 立って 僕に キスして 』
愛はフラフラと立ち上がると、ためらいもなく、泉に、キスをした。
ーーー俺の頭がおかしくなっているのか?なんだ、これは。
直接顔面に香水を吹きかけられたような衝撃に一瞬で鼻が麻痺して、呼吸が止まる。目の前がチカチカする。犬なら即死だろう。そして、また強烈に湧き上がってくる、この熱の塊は。
「---発情期?」
「そそ!!ご名答!」
パチパチとあざとく拍手をしながら、愛と向かい合わせにテーブルに腰を下ろす。足を組み、キラキラとラメの輝く黒いエナメルのヒールをぷらぷらと揺らす。爪先で軽く愛の脛を突きながら、太腿の上にトンと足を乗せた。
『 靴を脱がして 爪先に キスして 』
蠱惑的に、艶やかな紅い口唇を震わせて下す命令は、屈辱的なのに背徳的で、どこか扇情的だった。愛は何処を見ているのか分からない虚ろな顔のまま、泉の言葉に従う。すっとヒールを脱がせると、高く爪先を掲げて、恭しくその指に口をつけた。
美しい少女が、世にも美しい男を支配する様は、
荒々し素手で胸を突き破り、心臓を鷲掴みにされる程の
美しさだった。
震えが、止まらない。
「どう?密兄さま!コレってスゴくない?僕さー、もう、無敵って感じじゃない?」
嬉しそうにはしゃぐ姿がブレて、幾つもの泉の虚像が重なる。まとまりが残像になって、どれが本当の泉なのか、俺は見失い始める。
「蓮華曰くね、僕って”神の子”って言ってさ、物凄いレアキャラなんだってー。幾ら密兄さまでも、コレ聞いたら驚くと思うなー。だってね、
僕、αに命令できるΩ、なんだよ?
正確に言うと、番になったαを意の儘に動かせる、ってことなんだけどさー。凄くない?大逆転っていうか、何て言うんだっけ……ああっと、”下剋上”?
僕と交わった番のαはね、どんどん感覚を共有していってΩみたいに発情しちゃって、言うことを聞かされちゃうんだって。ねえ、密兄さまがさ、この人をヤリたいって思ったのは当然なんだよ?だって、この人はΩ化したαなんだからね」
超ウケるよねーと言いながら愛に爪先をしゃぶらせている横顔は、徐々に熱っぽく色を孕んできた。明らかに興奮している、ドSの顔で悦んでいる。
「うふふー、蓮華にやっちゃダメって云われてたから秘密にしてたけどー。実は僕、結構人類最強かも?」
にこやかに立ち上がりながら、泉はゆっくりとグラスを手に取った。もうすっかり温くなってしまったグラスを、そっと愛の口元に運ぶ。
『 飲め 』
声が直接頭の中で、二重になって響いた。
高い音と低い音とが重なり合い、狭い部屋の中でわんわんと共鳴しているように頭蓋骨を揺らしながら響く。何だろう、気持ち悪いのにふわふわと恍惚感が訪れる。強かに飲んで酔っぱらった時のように、臓物がひっくり返る間から脳内でドーパミンが溢れ出していく。
愛は、差し出されたグラスに口をつけて飲み下していく。わずかに開いた口唇から、つーっと雫が幾筋にも滴り落ちる。
『 立って 僕に キスして 』
愛はフラフラと立ち上がると、ためらいもなく、泉に、キスをした。
ーーー俺の頭がおかしくなっているのか?なんだ、これは。
直接顔面に香水を吹きかけられたような衝撃に一瞬で鼻が麻痺して、呼吸が止まる。目の前がチカチカする。犬なら即死だろう。そして、また強烈に湧き上がってくる、この熱の塊は。
「---発情期?」
「そそ!!ご名答!」
パチパチとあざとく拍手をしながら、愛と向かい合わせにテーブルに腰を下ろす。足を組み、キラキラとラメの輝く黒いエナメルのヒールをぷらぷらと揺らす。爪先で軽く愛の脛を突きながら、太腿の上にトンと足を乗せた。
『 靴を脱がして 爪先に キスして 』
蠱惑的に、艶やかな紅い口唇を震わせて下す命令は、屈辱的なのに背徳的で、どこか扇情的だった。愛は何処を見ているのか分からない虚ろな顔のまま、泉の言葉に従う。すっとヒールを脱がせると、高く爪先を掲げて、恭しくその指に口をつけた。
美しい少女が、世にも美しい男を支配する様は、
荒々し素手で胸を突き破り、心臓を鷲掴みにされる程の
美しさだった。
震えが、止まらない。
「どう?密兄さま!コレってスゴくない?僕さー、もう、無敵って感じじゃない?」
嬉しそうにはしゃぐ姿がブレて、幾つもの泉の虚像が重なる。まとまりが残像になって、どれが本当の泉なのか、俺は見失い始める。
「蓮華曰くね、僕って”神の子”って言ってさ、物凄いレアキャラなんだってー。幾ら密兄さまでも、コレ聞いたら驚くと思うなー。だってね、
僕、αに命令できるΩ、なんだよ?
正確に言うと、番になったαを意の儘に動かせる、ってことなんだけどさー。凄くない?大逆転っていうか、何て言うんだっけ……ああっと、”下剋上”?
僕と交わった番のαはね、どんどん感覚を共有していってΩみたいに発情しちゃって、言うことを聞かされちゃうんだって。ねえ、密兄さまがさ、この人をヤリたいって思ったのは当然なんだよ?だって、この人はΩ化したαなんだからね」
超ウケるよねーと言いながら愛に爪先をしゃぶらせている横顔は、徐々に熱っぽく色を孕んできた。明らかに興奮している、ドSの顔で悦んでいる。
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