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turn B - 破 -
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ふいにシャワーの音が止まって、カチャリとドアが開く音がした。ペタリと湿った足音たちがふいに消えて、ギシっとベッドが弾む。今、あなたはどんな顔でオレに近づいてきているんだろう。気が狂いそうなほど見たい、触れたい、キスしたいのに、許されない。
ふわり、と頬に風を感じて、これまでにない距離で吐息を感じる。堰を切って溢れる愛しさに、胸が音を立てて軋んだ。
「お前は、何もしなくていいから」
同じセリフを吐いて、丁寧にそっと服を脱がせていく指先が、ひどく冷たい。ためらいで震えながら、壊れ物を扱うみたいにそっと触れてくるのは、あなたの優しさなのか、それとも。暗闇の中では空気すら推し量ることができない。
何一つ隠すものがなくなって、忍び寄る寒さに粟立つ肌に、そっと添えられた手が吸いつくようにしっとりと重なる。膝を割るように進んでくる何かが足の内側に触れて、少しゴワゴワとしたタオルのような感触が徐々に前進してくる。くすぐったさと恥ずかしさと、口には出せない期待に、血流が身体の中心に集中するのを感じた。いつもより何倍も鋭くなった感覚が、神経の針のような穴を高速で縫って駆け上がっていく。繋がりあった細胞全体が肥大して、ふるりと全身が震えた。
急に、太腿に圧迫感と重量感がのしかかってきた、と感じた瞬間、敏感な部分が温かくぬめりのある何かに包まれて、一気にきゅっと吸い上げられた。腰がガクガクっと跳ねて、思わずうわっと情けない声が漏れる。だって、いきなり、咥えるなんて思うわけない。
予想外の出来事に、ジリジリと身体が引いたのを敏感に感じ取ったのか、ねっとりとした余韻を残して離れていく温もり。濡れて晒された部分は気化熱で冷えるはずなのに、熱が逃げてくれない。
「…やっぱ、やめとくか?」
ーーーきもち、わるいよな。
そう確信的に尋ねる声が、ひどく震えていて、慌てて首を振った。
「ちが、ちがうんです。びっくり、しただけ、で。その、えっと、きもちいい、から」
何かオレ、めっちゃ頭悪そう。自分でも呆れるほどバカみたいに必死な言い訳をして、どこにあるのか分からない愛しいひとのカケラを探して、宙に手を伸ばす。
掠めることすら出来ない指先が、ふわふわと頼りなげにさ迷うだけ。繋がれない身体と繋がりたい気持ち。もどかしく首を振り、あなたを探すオレは、あなたの目にどう映っていますか。
無言のまま、ベッドを軋ませてまた近づいてくる気配の後から、温もりに包まれる。浮きそうになる腰をなだめるように押さえ込まれながら、何度も繰り返される上下の動きは滑らかで的確で、こんな行為を一度もしたことのないオレには到底マネ出来ない巧みさで、簡単にオレを高みまで運んでいってしまう。
狭い部屋に沈殿していく卑猥な水音と、呻くような自分の声。昂りを逃すように腹に力を入れて堪える。与えられる刺激が容易に快感にすり替えられていく過程を、暗い嫉妬に焼かれながらじっと耐えるうちに、もうこれ以上はキツいと張り詰めた痛みが爆発する寸前で、ぷはっという吐息と共に吐き出された。
ベッドの上をゆっくりと移動しながら沈み込む振動が繰り返された後に、ピリリと千切れるアルミの音。そして、また温かい何かが今度はギチギチと締めつけるように移動してオレを包み込んでいく。
…口で、被せるのとか、えっろ…何なのこのひと。やっぱりさっきのルールなんか無視して喰らいついてやろうか、と上半身を起こしかかった瞬間、また肩をトンと押されて仰向けに倒れ込んだ。とろり、と冷たい何かが、腹に、足に、滴のように垂れる。
「結局、女の子とヤるのと一緒だから……そのまま動かないで」
胸に押し当てられた大きな手が、わずかに震えていた。ん、と何かを堪えて焦がれるような甘い声が降ってきて、きゅうきゅうと吸い付くような暗がりに飲み込まれていく。
「え、待って、え」
いきなり、もう、そんな。混乱する頭とは裏腹に下半身は強烈な快感に包まれて。ずずずっと押し入るように狭い壁の中を進むにつれ、顔の横に置かれた手が、腕が、ベッドに深く沈んでいく。体重をかけて自らオレのものを飲み込んでいるのだろう、その姿を見られないなんて、ウソだろ。
気が狂いそうな愛しさと快楽に、一瞬理性を手放しそうになる。ん、ぐ、っと時折聞こえる呻き声に挟まる粗い息が厭らしさを増幅させて、腰が我慢できずに揺れれば、それに反応するようにぴったりと絡みついてくる内襞。感じたことのない快楽を味わった脳がドーパミンを大量に撒き散らす。
とうとう互いの肌が密着して全て深淵に飲み込まれた瞬間の恍惚に耐えられず、バカみたいに腰を突き上げた。優しさや労りなどカケラもないただがむしゃらな抽挿に、びくびくと震える肌が気持ちいいと訴えているようで、気がつけば手探りで腰を掴んでぐいぐいと揺さぶっていた。
ふわり、と頬に風を感じて、これまでにない距離で吐息を感じる。堰を切って溢れる愛しさに、胸が音を立てて軋んだ。
「お前は、何もしなくていいから」
同じセリフを吐いて、丁寧にそっと服を脱がせていく指先が、ひどく冷たい。ためらいで震えながら、壊れ物を扱うみたいにそっと触れてくるのは、あなたの優しさなのか、それとも。暗闇の中では空気すら推し量ることができない。
何一つ隠すものがなくなって、忍び寄る寒さに粟立つ肌に、そっと添えられた手が吸いつくようにしっとりと重なる。膝を割るように進んでくる何かが足の内側に触れて、少しゴワゴワとしたタオルのような感触が徐々に前進してくる。くすぐったさと恥ずかしさと、口には出せない期待に、血流が身体の中心に集中するのを感じた。いつもより何倍も鋭くなった感覚が、神経の針のような穴を高速で縫って駆け上がっていく。繋がりあった細胞全体が肥大して、ふるりと全身が震えた。
急に、太腿に圧迫感と重量感がのしかかってきた、と感じた瞬間、敏感な部分が温かくぬめりのある何かに包まれて、一気にきゅっと吸い上げられた。腰がガクガクっと跳ねて、思わずうわっと情けない声が漏れる。だって、いきなり、咥えるなんて思うわけない。
予想外の出来事に、ジリジリと身体が引いたのを敏感に感じ取ったのか、ねっとりとした余韻を残して離れていく温もり。濡れて晒された部分は気化熱で冷えるはずなのに、熱が逃げてくれない。
「…やっぱ、やめとくか?」
ーーーきもち、わるいよな。
そう確信的に尋ねる声が、ひどく震えていて、慌てて首を振った。
「ちが、ちがうんです。びっくり、しただけ、で。その、えっと、きもちいい、から」
何かオレ、めっちゃ頭悪そう。自分でも呆れるほどバカみたいに必死な言い訳をして、どこにあるのか分からない愛しいひとのカケラを探して、宙に手を伸ばす。
掠めることすら出来ない指先が、ふわふわと頼りなげにさ迷うだけ。繋がれない身体と繋がりたい気持ち。もどかしく首を振り、あなたを探すオレは、あなたの目にどう映っていますか。
無言のまま、ベッドを軋ませてまた近づいてくる気配の後から、温もりに包まれる。浮きそうになる腰をなだめるように押さえ込まれながら、何度も繰り返される上下の動きは滑らかで的確で、こんな行為を一度もしたことのないオレには到底マネ出来ない巧みさで、簡単にオレを高みまで運んでいってしまう。
狭い部屋に沈殿していく卑猥な水音と、呻くような自分の声。昂りを逃すように腹に力を入れて堪える。与えられる刺激が容易に快感にすり替えられていく過程を、暗い嫉妬に焼かれながらじっと耐えるうちに、もうこれ以上はキツいと張り詰めた痛みが爆発する寸前で、ぷはっという吐息と共に吐き出された。
ベッドの上をゆっくりと移動しながら沈み込む振動が繰り返された後に、ピリリと千切れるアルミの音。そして、また温かい何かが今度はギチギチと締めつけるように移動してオレを包み込んでいく。
…口で、被せるのとか、えっろ…何なのこのひと。やっぱりさっきのルールなんか無視して喰らいついてやろうか、と上半身を起こしかかった瞬間、また肩をトンと押されて仰向けに倒れ込んだ。とろり、と冷たい何かが、腹に、足に、滴のように垂れる。
「結局、女の子とヤるのと一緒だから……そのまま動かないで」
胸に押し当てられた大きな手が、わずかに震えていた。ん、と何かを堪えて焦がれるような甘い声が降ってきて、きゅうきゅうと吸い付くような暗がりに飲み込まれていく。
「え、待って、え」
いきなり、もう、そんな。混乱する頭とは裏腹に下半身は強烈な快感に包まれて。ずずずっと押し入るように狭い壁の中を進むにつれ、顔の横に置かれた手が、腕が、ベッドに深く沈んでいく。体重をかけて自らオレのものを飲み込んでいるのだろう、その姿を見られないなんて、ウソだろ。
気が狂いそうな愛しさと快楽に、一瞬理性を手放しそうになる。ん、ぐ、っと時折聞こえる呻き声に挟まる粗い息が厭らしさを増幅させて、腰が我慢できずに揺れれば、それに反応するようにぴったりと絡みついてくる内襞。感じたことのない快楽を味わった脳がドーパミンを大量に撒き散らす。
とうとう互いの肌が密着して全て深淵に飲み込まれた瞬間の恍惚に耐えられず、バカみたいに腰を突き上げた。優しさや労りなどカケラもないただがむしゃらな抽挿に、びくびくと震える肌が気持ちいいと訴えているようで、気がつけば手探りで腰を掴んでぐいぐいと揺さぶっていた。
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