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56. 第三者からの勧誘
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「なぁジェラミー。ルナストーンってのはどこで採掘できる??」
マナポーションを自作しようという計画は、思っていたのと違う原材料の発覚でいきなり頓挫しようとしていたが、ティルミオは諦めずに頭を切り替えて、次の一手を考えていた。
「えっ?この辺りだとアウリーサ洞窟ならありそうだけど、えっ?何で??材料なんか聞いて、マナポーションを作る気なのか?」
「うん、まぁ……ちょっとやってみようかなって……」
「何で??」
ティルミオの突然の申し出に、ジェラミーは目を丸くしながら理由を訊ねた。彼からしてみたら、素人がマナポーションを作るなんて無謀だし意味不明なのだ。
「何でって……そりゃ、作れたらお金になるからだよ!」
「にしても、なんでマナポーション?もっと他にあるだろう?」
「それは……ティナが作ってみたいって言うから、兄としては作らせてやりたいんだ!」
ジェラミーからの当然の疑問に、ティルミオは、タジタジになりながらも何とか答えた。妹をダシにしてしまったが、一応嘘は付いていない。
そんな必死な様子のティルミオにジェラミーは益々不思議に思ったが、何か事情があるのだろう事は察した。
なので取り敢えずこれ以上詮索するのは止めて、代わりにティルミオに、先輩冒険者として自分が知っている事を教えてあげたのだった。
「まぁ、お前たち兄妹が決めた事ならこれ以上は何も言わないが……でも、ルナストーンって相当希少で見つけるのは大変だぞ?」
「大丈夫だ、俺なら直ぐに見つけられる!」
「後、採掘して持って帰るつもりなら鉱石はギルドで採掘量を厳しく管理してるから、採取と違って許可証制じゃなくて、個人的に採掘するのなら、持ち出す量に比例して金払う必要があるし、採掘量も制限あるぞ?」
「う……分かった。そんなに多い量じゃ無い筈だからきっと、大丈夫だ……。だからジェラミー、アウリーサ洞窟に連れてってくれ!頼む!!」
ジェラミーから厳しい話を聞かされても、ティルミオの考えは変わらなかった。観察眼があるので、たとえどんなに希少だったとしても見つけられる自信があったし、費用の方も今の手持ちの額、毎日の稼ぎの額、そしてこれからの見込みの額を計算して多分何とか出来ると踏んでいたのだ。
だからティルミオは、ジェラミーにアウリーサ洞窟へ連れて行ってくれるように必死に頼み込んだのだが、不意に、二人の会話に第三者が割って入ってきたのだった。
「ルナストーンを直ぐに見つけられるだって?それは本当なのか?!」
ティルミオ達の話を側で聞いていた中堅どころといった感じの三人組の冒険者が話し掛けてきたのだ。
「あ、あぁ……えっと、そういうのは得意なんだ。」
急に知らない冒険者に話しかけられて動揺しつつも、ティルミオは素直に答えた。
すると、その三人の冒険者達は値踏みするようにティルミオをながめ回すと、お互いの顔を見合わせて大きく頷き、そして、リーダーと思われる一人がティルミオに向かって、手を差し伸べたのだった。
「どうだろう、君、我々と一緒にアウリーサ洞窟に行くかい?同行者を探していたんだろう?」
「えっ?!!」
突然の提案にティルミオは驚き、そして戸惑った。
確かにアウリーサ洞窟にはルナストーンを探しに行きたいが、見ず知らずの人にいきなり話しかけられて誘われるなんて事は冒険者にとって普通なのか分からないかったので、ティルミオはジェラミーの様子を伺った。
すると、ジェラミーは少しムッとした様子でティルミオの肩をガシッと抱くと、声をかけてきた三人組の冒険者にはキッパリと断わりを入れたのだった。
マナポーションを自作しようという計画は、思っていたのと違う原材料の発覚でいきなり頓挫しようとしていたが、ティルミオは諦めずに頭を切り替えて、次の一手を考えていた。
「えっ?この辺りだとアウリーサ洞窟ならありそうだけど、えっ?何で??材料なんか聞いて、マナポーションを作る気なのか?」
「うん、まぁ……ちょっとやってみようかなって……」
「何で??」
ティルミオの突然の申し出に、ジェラミーは目を丸くしながら理由を訊ねた。彼からしてみたら、素人がマナポーションを作るなんて無謀だし意味不明なのだ。
「何でって……そりゃ、作れたらお金になるからだよ!」
「にしても、なんでマナポーション?もっと他にあるだろう?」
「それは……ティナが作ってみたいって言うから、兄としては作らせてやりたいんだ!」
ジェラミーからの当然の疑問に、ティルミオは、タジタジになりながらも何とか答えた。妹をダシにしてしまったが、一応嘘は付いていない。
そんな必死な様子のティルミオにジェラミーは益々不思議に思ったが、何か事情があるのだろう事は察した。
なので取り敢えずこれ以上詮索するのは止めて、代わりにティルミオに、先輩冒険者として自分が知っている事を教えてあげたのだった。
「まぁ、お前たち兄妹が決めた事ならこれ以上は何も言わないが……でも、ルナストーンって相当希少で見つけるのは大変だぞ?」
「大丈夫だ、俺なら直ぐに見つけられる!」
「後、採掘して持って帰るつもりなら鉱石はギルドで採掘量を厳しく管理してるから、採取と違って許可証制じゃなくて、個人的に採掘するのなら、持ち出す量に比例して金払う必要があるし、採掘量も制限あるぞ?」
「う……分かった。そんなに多い量じゃ無い筈だからきっと、大丈夫だ……。だからジェラミー、アウリーサ洞窟に連れてってくれ!頼む!!」
ジェラミーから厳しい話を聞かされても、ティルミオの考えは変わらなかった。観察眼があるので、たとえどんなに希少だったとしても見つけられる自信があったし、費用の方も今の手持ちの額、毎日の稼ぎの額、そしてこれからの見込みの額を計算して多分何とか出来ると踏んでいたのだ。
だからティルミオは、ジェラミーにアウリーサ洞窟へ連れて行ってくれるように必死に頼み込んだのだが、不意に、二人の会話に第三者が割って入ってきたのだった。
「ルナストーンを直ぐに見つけられるだって?それは本当なのか?!」
ティルミオ達の話を側で聞いていた中堅どころといった感じの三人組の冒険者が話し掛けてきたのだ。
「あ、あぁ……えっと、そういうのは得意なんだ。」
急に知らない冒険者に話しかけられて動揺しつつも、ティルミオは素直に答えた。
すると、その三人の冒険者達は値踏みするようにティルミオをながめ回すと、お互いの顔を見合わせて大きく頷き、そして、リーダーと思われる一人がティルミオに向かって、手を差し伸べたのだった。
「どうだろう、君、我々と一緒にアウリーサ洞窟に行くかい?同行者を探していたんだろう?」
「えっ?!!」
突然の提案にティルミオは驚き、そして戸惑った。
確かにアウリーサ洞窟にはルナストーンを探しに行きたいが、見ず知らずの人にいきなり話しかけられて誘われるなんて事は冒険者にとって普通なのか分からないかったので、ティルミオはジェラミーの様子を伺った。
すると、ジェラミーは少しムッとした様子でティルミオの肩をガシッと抱くと、声をかけてきた三人組の冒険者にはキッパリと断わりを入れたのだった。
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