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踊らされていたのは
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「ねぇ、ティナ。
あのお仕置きを選んだのは、ただ自分の苦労を知らしめたかっただけ?」
五人組の処罰が下ったその日の帰り道、馬車の中でテオドールはクリスティーナにそんな質問をした。
クリスティーナはにっこりと笑いながら、「それもありますね。」と答えた。
「それも?」
「ええ。私自身が苦労したことを彼らに知って欲しかったということもありますが、他にも理由はありますの。」
そんなクリスティーナの言葉にテオドールは不思議そうな顔をして、続きを促す。
「彼らは自分たちの世界以外のことを、モノを全く知りませんの。だから想像もできないのですわ。
平民たちの生活も、自分たちがなぜ暮らしていけているのかも、なぜ自分たちがあのように学ぶことが多くあるのかということも。本来なら、それを教えるべき者たちがその役割を果たしていませんでしたから。」
テオドールはそれに静かに頷く。
「シエナさんとジョージさんに関してはその身分の低さと、仕出かした内容が内容でしたから、厳罰は避けられませんでした。けれど、他の三名に関しては正直に言えばそこまでの厳罰を加えることは難しい、そんな内容でございましたでしょう?
もちろん国庫や家からの着服は褒められたことではありませんが。
内容は言ってしまえば、高位貴族ならではの傲慢さと、家同士の取引でどうにかできてしまう程度の内容とも言えます。ただ、彼らはあの夜会を選んだ。あの場でそんなことを仕出かせばどうなるのかという想像ができなかったから、こうなってしまったようなものなのですわね。
そうでなければ、せいぜい嫡子から外され、生涯幽閉されるか、分家の何処かに婿に出される程度だったでしょう。着服金はどうにかして補填する必要はありますが、まあそれでも家の事ですから。国庫は不味いですわねえ。」
クリスティーナを衆目で愚弄されたことを考えれば業腹だが、確かに家同士で内密に済ませ、目撃者には口止めしてしまえば鎮火できる程度の諍いとも言えた。あの夜会で起きた事でなければ。
「彼らはあの夜会で事を起こしてしまったが故に、他の貴族へ示しをつけるためにもそれなりの厳罰を下す必要がありました。
ありうるとすれば、国外追放か、身分剥奪か…。実際にそういった内容でしたわね?」
「ああ。」
「そうなる可能性を考えた時、あの状態の彼らを市井に捨て置けば、迷惑を被るのは大事な国民だと思いました。
他国に追放なぞすれば、元の身分が高いだけあって下手に扱い辛い人物です。そんな人物が国元にいるのと同じ振る舞いをすれば、問題を放り込んできたと国際問題になりかねません。」
元の彼らの様子を思い浮かべ、「ああ、確かにな」とテオドールは納得する。
「ですから、最低限の状態にはしておく必要があると考えました。それに淑女教育や王妃教育はある意味丁度良かったのです。
彼らはアレを全て使いこなすことはできませんが、貴族の常識を学び直せます。それに、王妃教育では王侯貴族が果たすべき責任についてより深く学びます。感情の制御方法も。何よりハンナによって根性が叩き直されます。
あとはある程度市井の生活についても学ばせれば、最悪、市井で顰蹙を買う事なく、なんとか生きるくらいはできましょう。」
「なるほどね。
…そこまで考えてあげるなんて妬けるなぁ。」
テオドールはそう言うとクリスティーナの腰を抱き込み、もう一方の手で髪の毛を指に巻き付けながら顔を近づけ口づける。ちゅっと音がして離れれば顔を真っ赤にしたクリスティーナがそこにいた。
「さすがにもう慣れたと思っていたんだけど?可愛いね。」
「唐突にされたら心の準備が…!」
「なるほど。突然すればその可愛い顔が見れるのか。今度から不意をつくよ。」
「も、もう…!
は、話を戻しますが、彼らのためではなく、国民のためです。アレをした理由は結局のところ、一番は私の苦労を思い知るが良いという思いですよ。」
テオドールの悪戯から立ち直ったクリスティーナは「ほほほ」と晴れやかな笑顔を浮かべる。
それを眩しそうに見つめていれば、いつの間にかハウゼン公爵邸に到着した。
「おかえりなさいませ。」
そう出迎えた使用人たちの顔色もまた明るいもので、彼らも主人達の悩みの種が減ったことに喜んでいるようだ。
一度部屋に戻り、軽装に着替えてから改めてサロンに集まる。父母とテオドール、クリスティーナがそれぞれの定位置に腰掛ければ、茶が供され、一息ついた。祖母は女装子たちに今日の反省点を復習させに、祖父はそんな祖母の手綱を握ると言う名目で観察のために城に残った。
サロンで上がる話題はやっぱり今日のこと。
「そう言えば、シエナがあの商会長とできていたっていうのは本当なのか?どう考えてもあの男の見目では、面食い娼婦が食いつくとは思えないんだが。」
「ああ。それは薬を手に入れるためだったようです。あと…恐らくですが、ジョージさんに依頼した薬の内容と用途を知った商会長が、知られたくないのなら身体をと脅迫したのでしょう。薬も渡さない、とも。
まあ、始まりはそれでも、途中で息子より商会長のほうが金回りが良く、権限もあることに気づいたのではないでしょうか。手に入れられる物資も金子も多いでしょうから。」
「そうか…。じゃああの二人は似た者同士なんだな。なんだかんだで一番相性が良かったんじゃないか?」
「はて、どうでしょう?似たもの同士だから合わないと言うこともありますわ。
顔さえシエナさん好みであれば、裕福ですし、まとまっていた可能性はありますが、身分がと騒ぐと思いますの。
そう言えばお父様、彼らはいつ護送されますの?」
「娼婦とジョージは近いうちに護送されるだろう。商会長の方はもう少し取り調べをするだろうから、それよりも後だな。」
「そうでしたか。陛下にはもう少し頑張って頂かなくてはなりませんね。」
「そうだね。それに陛下はもう一つ、婚約時の条件を忘れているんだよね。」
「そうなのですか?いったいどんな内容で?」
「それはもう少し先の秘密にしておこう。きっと楽しいよ。」
ふふふと笑う父の笑顔にある含みが気になるところだが、そのうち知れるのだからまあいいだろうとクリスティーナは放っておくことにした。
今日の話題は過ぎ去り、穏やかな団らんは夕食の席へと場を移し、喜びに満ちたものとなった。
部屋に下がるという段になって、クリスティーナはテオドールにエスコートされ自室へ向かっていた。
「あと一つ。何となく聞きづらかったから今聞くんだけど…。
あの時、彼らに何かを伝えていただろう?何を言っていたんだ?」
どの時だろうと少し考え、あの声を出さずに事実を伝えた時のことかとすぐに思い至る。
「ああ…あれですか。そうですね。
ただ、『すべてを知っている』と。それだけですわ。」
知っている…?と考えてすぐに何かに思い至ったテオドールは、思わずまじまじとクリスティーナの顔を見る。
「軽蔑しますか?」
「いや。それはないけれど…。女性には厳しい内容だったんじゃないのか?大丈夫かい?」
「ええ。大丈夫ですわ。マリーは小説家ですから。非常に読みやすいものでございましたよ。挿絵には少し困りましたけれど。」
その言葉に、実は二人の後ろを歩いていたエリンは驚いて飛び上がった。
顔を真っ青にして、自分が描いた絵を思い浮かべ、さらに顔を青くして、「これはマリーにも知らせなければならない。なぜお嬢様がご存じなのか。」と混乱していると、変態侍女と目が合った。
変態侍女はにたりと嗤う。
その顔を見て、「犯人はこいつかぁ!」と悟った。
エリンは思う。確かに綺麗ごとばかりではないことをお嬢様に教えた人物だ。それは役に立ったと言う。つまりこいつならアレを見せるのもやりかねない。なぜこいつのことを忘れていたのか。
そう悩んでいればいつの間にか主人と主人予定はお休みのキスをしているところだった。
「美形は絵になるわー」と目に焼き付けながら現実逃避していると、ニーナがすすす…と横に立つ。
小さな声でひっそりと呟いた言葉に目を見開く。
「ねえ、エリン。お嬢様はね、なぁんでもご存じなの。だからね、隠し事はしないほうが良いわ。
マリーにも言っておいてね。」
そういって、また嗤う。
ぷるぷると震えながら、使用人棟の自室に戻ったエリンは、マリーの帰りを待ち伏せ、ニーナから言われたそれを告げる。
マリーと共にぷるぷる震え、隠しているネタ素材を片っ端から集めているうちに、夜が更けていった。
あのお仕置きを選んだのは、ただ自分の苦労を知らしめたかっただけ?」
五人組の処罰が下ったその日の帰り道、馬車の中でテオドールはクリスティーナにそんな質問をした。
クリスティーナはにっこりと笑いながら、「それもありますね。」と答えた。
「それも?」
「ええ。私自身が苦労したことを彼らに知って欲しかったということもありますが、他にも理由はありますの。」
そんなクリスティーナの言葉にテオドールは不思議そうな顔をして、続きを促す。
「彼らは自分たちの世界以外のことを、モノを全く知りませんの。だから想像もできないのですわ。
平民たちの生活も、自分たちがなぜ暮らしていけているのかも、なぜ自分たちがあのように学ぶことが多くあるのかということも。本来なら、それを教えるべき者たちがその役割を果たしていませんでしたから。」
テオドールはそれに静かに頷く。
「シエナさんとジョージさんに関してはその身分の低さと、仕出かした内容が内容でしたから、厳罰は避けられませんでした。けれど、他の三名に関しては正直に言えばそこまでの厳罰を加えることは難しい、そんな内容でございましたでしょう?
もちろん国庫や家からの着服は褒められたことではありませんが。
内容は言ってしまえば、高位貴族ならではの傲慢さと、家同士の取引でどうにかできてしまう程度の内容とも言えます。ただ、彼らはあの夜会を選んだ。あの場でそんなことを仕出かせばどうなるのかという想像ができなかったから、こうなってしまったようなものなのですわね。
そうでなければ、せいぜい嫡子から外され、生涯幽閉されるか、分家の何処かに婿に出される程度だったでしょう。着服金はどうにかして補填する必要はありますが、まあそれでも家の事ですから。国庫は不味いですわねえ。」
クリスティーナを衆目で愚弄されたことを考えれば業腹だが、確かに家同士で内密に済ませ、目撃者には口止めしてしまえば鎮火できる程度の諍いとも言えた。あの夜会で起きた事でなければ。
「彼らはあの夜会で事を起こしてしまったが故に、他の貴族へ示しをつけるためにもそれなりの厳罰を下す必要がありました。
ありうるとすれば、国外追放か、身分剥奪か…。実際にそういった内容でしたわね?」
「ああ。」
「そうなる可能性を考えた時、あの状態の彼らを市井に捨て置けば、迷惑を被るのは大事な国民だと思いました。
他国に追放なぞすれば、元の身分が高いだけあって下手に扱い辛い人物です。そんな人物が国元にいるのと同じ振る舞いをすれば、問題を放り込んできたと国際問題になりかねません。」
元の彼らの様子を思い浮かべ、「ああ、確かにな」とテオドールは納得する。
「ですから、最低限の状態にはしておく必要があると考えました。それに淑女教育や王妃教育はある意味丁度良かったのです。
彼らはアレを全て使いこなすことはできませんが、貴族の常識を学び直せます。それに、王妃教育では王侯貴族が果たすべき責任についてより深く学びます。感情の制御方法も。何よりハンナによって根性が叩き直されます。
あとはある程度市井の生活についても学ばせれば、最悪、市井で顰蹙を買う事なく、なんとか生きるくらいはできましょう。」
「なるほどね。
…そこまで考えてあげるなんて妬けるなぁ。」
テオドールはそう言うとクリスティーナの腰を抱き込み、もう一方の手で髪の毛を指に巻き付けながら顔を近づけ口づける。ちゅっと音がして離れれば顔を真っ赤にしたクリスティーナがそこにいた。
「さすがにもう慣れたと思っていたんだけど?可愛いね。」
「唐突にされたら心の準備が…!」
「なるほど。突然すればその可愛い顔が見れるのか。今度から不意をつくよ。」
「も、もう…!
は、話を戻しますが、彼らのためではなく、国民のためです。アレをした理由は結局のところ、一番は私の苦労を思い知るが良いという思いですよ。」
テオドールの悪戯から立ち直ったクリスティーナは「ほほほ」と晴れやかな笑顔を浮かべる。
それを眩しそうに見つめていれば、いつの間にかハウゼン公爵邸に到着した。
「おかえりなさいませ。」
そう出迎えた使用人たちの顔色もまた明るいもので、彼らも主人達の悩みの種が減ったことに喜んでいるようだ。
一度部屋に戻り、軽装に着替えてから改めてサロンに集まる。父母とテオドール、クリスティーナがそれぞれの定位置に腰掛ければ、茶が供され、一息ついた。祖母は女装子たちに今日の反省点を復習させに、祖父はそんな祖母の手綱を握ると言う名目で観察のために城に残った。
サロンで上がる話題はやっぱり今日のこと。
「そう言えば、シエナがあの商会長とできていたっていうのは本当なのか?どう考えてもあの男の見目では、面食い娼婦が食いつくとは思えないんだが。」
「ああ。それは薬を手に入れるためだったようです。あと…恐らくですが、ジョージさんに依頼した薬の内容と用途を知った商会長が、知られたくないのなら身体をと脅迫したのでしょう。薬も渡さない、とも。
まあ、始まりはそれでも、途中で息子より商会長のほうが金回りが良く、権限もあることに気づいたのではないでしょうか。手に入れられる物資も金子も多いでしょうから。」
「そうか…。じゃああの二人は似た者同士なんだな。なんだかんだで一番相性が良かったんじゃないか?」
「はて、どうでしょう?似たもの同士だから合わないと言うこともありますわ。
顔さえシエナさん好みであれば、裕福ですし、まとまっていた可能性はありますが、身分がと騒ぐと思いますの。
そう言えばお父様、彼らはいつ護送されますの?」
「娼婦とジョージは近いうちに護送されるだろう。商会長の方はもう少し取り調べをするだろうから、それよりも後だな。」
「そうでしたか。陛下にはもう少し頑張って頂かなくてはなりませんね。」
「そうだね。それに陛下はもう一つ、婚約時の条件を忘れているんだよね。」
「そうなのですか?いったいどんな内容で?」
「それはもう少し先の秘密にしておこう。きっと楽しいよ。」
ふふふと笑う父の笑顔にある含みが気になるところだが、そのうち知れるのだからまあいいだろうとクリスティーナは放っておくことにした。
今日の話題は過ぎ去り、穏やかな団らんは夕食の席へと場を移し、喜びに満ちたものとなった。
部屋に下がるという段になって、クリスティーナはテオドールにエスコートされ自室へ向かっていた。
「あと一つ。何となく聞きづらかったから今聞くんだけど…。
あの時、彼らに何かを伝えていただろう?何を言っていたんだ?」
どの時だろうと少し考え、あの声を出さずに事実を伝えた時のことかとすぐに思い至る。
「ああ…あれですか。そうですね。
ただ、『すべてを知っている』と。それだけですわ。」
知っている…?と考えてすぐに何かに思い至ったテオドールは、思わずまじまじとクリスティーナの顔を見る。
「軽蔑しますか?」
「いや。それはないけれど…。女性には厳しい内容だったんじゃないのか?大丈夫かい?」
「ええ。大丈夫ですわ。マリーは小説家ですから。非常に読みやすいものでございましたよ。挿絵には少し困りましたけれど。」
その言葉に、実は二人の後ろを歩いていたエリンは驚いて飛び上がった。
顔を真っ青にして、自分が描いた絵を思い浮かべ、さらに顔を青くして、「これはマリーにも知らせなければならない。なぜお嬢様がご存じなのか。」と混乱していると、変態侍女と目が合った。
変態侍女はにたりと嗤う。
その顔を見て、「犯人はこいつかぁ!」と悟った。
エリンは思う。確かに綺麗ごとばかりではないことをお嬢様に教えた人物だ。それは役に立ったと言う。つまりこいつならアレを見せるのもやりかねない。なぜこいつのことを忘れていたのか。
そう悩んでいればいつの間にか主人と主人予定はお休みのキスをしているところだった。
「美形は絵になるわー」と目に焼き付けながら現実逃避していると、ニーナがすすす…と横に立つ。
小さな声でひっそりと呟いた言葉に目を見開く。
「ねえ、エリン。お嬢様はね、なぁんでもご存じなの。だからね、隠し事はしないほうが良いわ。
マリーにも言っておいてね。」
そういって、また嗤う。
ぷるぷると震えながら、使用人棟の自室に戻ったエリンは、マリーの帰りを待ち伏せ、ニーナから言われたそれを告げる。
マリーと共にぷるぷる震え、隠しているネタ素材を片っ端から集めているうちに、夜が更けていった。
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