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4章 第3部 謎の少女と追いかけっこ
179話 小悪魔エージェント?
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「ほら、見逃してやるから、さっさとうせろ」
「すいませんでしたー!!」
レイジが刀を振り脅すと、からんできた男たちは一目散に逃げ出していった。
「路地裏を探すのも一苦労だな。からまれる率が高すぎる」
今レイジがいるのは、怪しい雰囲気をただよわせる路地裏の通路。空が曇っているためより路地裏には光が差し込まず、かなり薄暗い。エージェントならばこういった人気の少なそうな場所にいるかもしれないと踏んで、調べている真っ最中。ただ場所が場所なので、物騒な者たちがたまり場にしていることが多かった。そのため先程からケンカを売られることがしばしば。何度か戦闘になり、追い払う形に。
「ははは、まあ、暴れられる分には、歓迎だけどな。それはそうとこんなゴロツキがたまってそうな場所に、いそうにないか。もっとほかの場所に行くべきかもな」
「お兄さん強いね! 咲、感心だよ!」
考えを改めていると、突然後方から女の子の声が。
「そりゃ、どうも。まあ、この程度の奴らいくら倒したところで、なんの自慢にもならないけどな――なっ!?」
礼を言いつつ後ろを振り向く。すると驚愕の光景が。
なんと探していた画像の少女が、目の前にいたのだ。
「ふふん、お兄さん、そんなハトが豆鉄砲くらった顔してどうしたの? もしかして咲の顔になにかついてる?」
自身のことを咲と呼ぶ少女は、おかしそうに笑いながら首をかしげる。
画像で見た通り、小柄でどこか小悪魔っぽい雰囲気をただよわせる少女。歳はレイジよりも一、二歳下だろうか。一応、初対面のはずだがどこか見覚えが。そう、誰かレイジの知っている人間の雰囲気に、似ている気がしたのである。
「――いや、そういうわけじゃないんだが……」
(まさか向こうからお出ましとは……。とりあえずみんなに連絡して、時間を稼ぐべきか)
思わぬ事態だが、冷静に判断を。
ここで大事なのはカノンや美月に連絡すること。なのですぐさま彼女たちにメールで知らせる。そして時間を稼ぐため、咲に話しかけた。
「キミ、咲ちゃんっていうんだ。ここで会ったのも何かの縁ということで、少しお兄さんとお話ししないか?」
「ふふん、なに? なに? お兄さん? ナンパ? もー、いくら咲がかわいいからって、ダメだよー」
すると咲は後ろで手を組みレイジの顔をのぞきこみながら、小悪魔っぽい笑みを浮かべてくる。
「ははは、つい咲ちゃんがかわいくてね」
「もー、お兄さんったらー。うーん、そうだねー。いいよ! 今時間空いてるし、少しの間お兄さんに付き合ってあげる!」
咲はもてはやされたことで気分をよくしたのか、ぴょんとレイジの方に寄り添ってくる。そしてレイジの腕をとって、ゆさゆさと楽しそうに揺さぶってきた。
(よし! くいついた! なんかレーシスみたいにチャラっぽくなったが、この際細かいことはなしだ。あとはこのまま時間を!)
「ねえ、ねえ、お兄さん! その前に一ついいかな?」
以外にうまくいったため心の中でガッツポーズしていると、咲が上目遣いでかわいらしくたずねてきた。
「うん? なんでも聞いてくれ」
「じゃあ、もっとこっち、こっち! 耳を寄せて」
「ああ」
彼女に言われるがままに耳を近づける。もはや二人の距離は、いつふれてもおかしくないほど近い。さらに耳には彼女の吐息が当たり、思わずドキドキしてしまっていた。
「じゃあ、聞くね……。――ねえ……お兄さんは……」
そして咲はわざとなのか、色っぽい感じでささやいてくる。
もはや第一印象の通りの小悪魔らしさ。並の男なら、すぐさま彼女の虜になってしまいそうであった。
「どうして咲のこと探してるのかな?」
「ハッ!?」
次の瞬間、レイジの首元に吸い込まれるように銀閃が。
なにが起こったかというと、突然咲がナイフを取り出し切りかかってきたのだ。その動作は惚れ惚れするほど洗練されており、もはや一瞬の出来事。どれだけ手慣れているか一目瞭然である。
そんな奇襲の斬撃に、レイジは後方に下がりながら刀を抜く。そしてナイフの軌道上に割り込ませ、首の皮一枚分のところでなんとか防ぎきった。
「わー、すごい! すごい! 今の奇襲を防ぐなんてお兄さん、やるー!」
レイジが距離をとると、咲がナイフを器用にクルクル回しながら賞賛の言葉を投げかけてくる。
今の一撃を防げたのは、彼女が確信を突いた質問をしたから。あの問いのおかげでこちらの狙いがばれたと判断し、瞬時に戦闘態勢に移れたのだ。もし先程のささやきがなにげないものであったならば、今ごろ致命傷並の一撃を受けていただろう。
「チッ、追ってることばれてたか……。こうなったらオレ一人でやるしか……」
「ふふん、じゃあ、お次はどうかな!」
状況を整理していると、咲がいたずらっぽく笑って動く。
「ッ?! 速い!?」
猫みたいな俊敏さで接近し、すれ違いざまにナイフを一閃する咲。その一連動作はまるで流れるよう。どこまでもするどく、正確無慈悲。まさしく凄腕の暗殺者のごときナイフさばきといっていい。
その一撃をギリギリいなし、すれ違いざまの咲の背に追撃を。
「そこ!」
だがレイジの斬撃は虚しく空を切った。
「ふふん、こっちだよ! お兄さん!」
「上か!?」
見上げると、咲がレイジのはるか頭上に。なんとこちらの攻撃が届く前にかろやかに跳躍し、レイジを飛び越えていったのだ。
「猫みたいな俊敏さだな」
「ふふん、猫さんかー。にゃん、にゃん!」
レイジのツッコミに、咲は楽しそうに猫の真似を。
「ははは、ずいぶん余裕だな。今度はこちらから行かせてもらうぞ!」
レイジは地を蹴り、刀を振りかぶる。しかし間合いを詰めている間に異変が。
「極限、一式」
「なっ!?」
咲がなにかをつぶやいた瞬間、彼女の姿が消えたのだ。そして気付けばレイジの目の前まで。
せまり来るは標的を貫くであろう銀の閃光。超高速移動内で放たれるナイフの刺突。とっさに反応し刀で防御しようとするが、あまりのキレにしのぎ切れない。結果、肩口を斬り裂かれてしまった。
(――クッ、――今のアビリティ……、透と同じ?)
驚愕しながらも、敵の情報を分析する。
今の攻撃の速度や重さは、先程よりもはるかに上がっていた。そして彼女がつぶやいた言葉。確かアビスエリアの十六夜島で戦った如月透も、口にしていたのを思い出す。もしかすると咲は、透と同じアビリティなのかもしれない。
(次が来る!)
咲の方を振り向くと、すでに彼女はナイフをかまえ突撃する準備を。
その姿は先程までの小悪魔っぽい少女ではない。相手を仕留める凄腕の暗殺者そのもの。彼女の瞳は冷たいナイフのようにするどく、こちらを射抜いていた。
ただこの感じ、誰かとかぶってしまう。あれはそう、透と戦った時だったか。
(ッ!? なんて威圧だ……。これが上層部のエージェント!?)
「極限、二式」
そして死の宣告が告げられる。
咲はさらにギアを上げ疾走。ステータスをまたもや跳ね上がらせ、とどめを刺しに。
「ッ!? 間に合わない!?」
身の危険を感じすぐさま抜刀のアビリティを起動しようとするが、間に合わない。刀を抜き終わる前に先に、彼女のナイフがレイジを絶つだろう。
それほどまでに今の咲のスペックは、レイジとかけ離れているのだ。もはや弾丸などとうに追い越すレベルの速度。目で捕らえるのでさえ、至難の業といっていい。もし一度でも今の彼女の動きを見れていたら、まだ反応できていたかもしれない。だが初見ではさすがのレイジも対応しきれなかった。
(やられる!?)
被弾を覚悟し、一瞬目を閉じてしまう。
「にゃー!」
しかし次に起こったのはナイフの斬撃でなく、咲の猫のマネ。
なんと彼女はレイジの目の間で立ち止まり、かわいらしく驚かせてきたのだ。
「ハッ!?」
猫だましをくらったかのように固まるレイジであったが、すぐさま我に返り刀を一閃。
だがあまりの予想外の出来事のせいで剣筋が鈍ってしまっており、容易くかわされてしまった。
「もー、お兄さん! いきなり斬りかかってくるなんてひどいよー!」
すると咲はほおを膨らませ、ぷんぷん抗議してくる。
すでに彼女は初め会った時のよう。無邪気な感じで、先程のエージェントらしさはまったく感じられなかったといっていい。
「なんのつもりだ?」
とどめを刺さなかったことに、疑問を投げかける。
エデン財団上層部のエージェントならば、嗅ぎ回ろうとしている人間を快く思わないはず。やれる機会があるなら、やっておくべき場面である。
いぶかしんでいると、咲は無邪気に笑いながら答えてきた。
「だってこのままお兄さん倒しても面白くないでしょ? お兄さんのこと、咲気にいったたから、もっと遊びたい!」
「遊ぶって……」
「そうだなー。あ、そうだ! 鬼ごっこしようよ! もし咲をつかまえられたら、お兄さんの勝ち! いろいろ話してあげるから! じゃあ、よーい、スタート! わー、逃げろー!」
咲は問答無用で遊ぶ内容を決め、開始の合図を。そして楽しそうに大通りの方へと駆けていった。
「おい、まだやるとは一言も!? クッ、こうなったら遊びに付き合うしかないか」
ツッコミをいれるが、すでに咲は走り去ってしまったあと。
レイジはあわてて彼女を追うのであった。
「すいませんでしたー!!」
レイジが刀を振り脅すと、からんできた男たちは一目散に逃げ出していった。
「路地裏を探すのも一苦労だな。からまれる率が高すぎる」
今レイジがいるのは、怪しい雰囲気をただよわせる路地裏の通路。空が曇っているためより路地裏には光が差し込まず、かなり薄暗い。エージェントならばこういった人気の少なそうな場所にいるかもしれないと踏んで、調べている真っ最中。ただ場所が場所なので、物騒な者たちがたまり場にしていることが多かった。そのため先程からケンカを売られることがしばしば。何度か戦闘になり、追い払う形に。
「ははは、まあ、暴れられる分には、歓迎だけどな。それはそうとこんなゴロツキがたまってそうな場所に、いそうにないか。もっとほかの場所に行くべきかもな」
「お兄さん強いね! 咲、感心だよ!」
考えを改めていると、突然後方から女の子の声が。
「そりゃ、どうも。まあ、この程度の奴らいくら倒したところで、なんの自慢にもならないけどな――なっ!?」
礼を言いつつ後ろを振り向く。すると驚愕の光景が。
なんと探していた画像の少女が、目の前にいたのだ。
「ふふん、お兄さん、そんなハトが豆鉄砲くらった顔してどうしたの? もしかして咲の顔になにかついてる?」
自身のことを咲と呼ぶ少女は、おかしそうに笑いながら首をかしげる。
画像で見た通り、小柄でどこか小悪魔っぽい雰囲気をただよわせる少女。歳はレイジよりも一、二歳下だろうか。一応、初対面のはずだがどこか見覚えが。そう、誰かレイジの知っている人間の雰囲気に、似ている気がしたのである。
「――いや、そういうわけじゃないんだが……」
(まさか向こうからお出ましとは……。とりあえずみんなに連絡して、時間を稼ぐべきか)
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ここで大事なのはカノンや美月に連絡すること。なのですぐさま彼女たちにメールで知らせる。そして時間を稼ぐため、咲に話しかけた。
「キミ、咲ちゃんっていうんだ。ここで会ったのも何かの縁ということで、少しお兄さんとお話ししないか?」
「ふふん、なに? なに? お兄さん? ナンパ? もー、いくら咲がかわいいからって、ダメだよー」
すると咲は後ろで手を組みレイジの顔をのぞきこみながら、小悪魔っぽい笑みを浮かべてくる。
「ははは、つい咲ちゃんがかわいくてね」
「もー、お兄さんったらー。うーん、そうだねー。いいよ! 今時間空いてるし、少しの間お兄さんに付き合ってあげる!」
咲はもてはやされたことで気分をよくしたのか、ぴょんとレイジの方に寄り添ってくる。そしてレイジの腕をとって、ゆさゆさと楽しそうに揺さぶってきた。
(よし! くいついた! なんかレーシスみたいにチャラっぽくなったが、この際細かいことはなしだ。あとはこのまま時間を!)
「ねえ、ねえ、お兄さん! その前に一ついいかな?」
以外にうまくいったため心の中でガッツポーズしていると、咲が上目遣いでかわいらしくたずねてきた。
「うん? なんでも聞いてくれ」
「じゃあ、もっとこっち、こっち! 耳を寄せて」
「ああ」
彼女に言われるがままに耳を近づける。もはや二人の距離は、いつふれてもおかしくないほど近い。さらに耳には彼女の吐息が当たり、思わずドキドキしてしまっていた。
「じゃあ、聞くね……。――ねえ……お兄さんは……」
そして咲はわざとなのか、色っぽい感じでささやいてくる。
もはや第一印象の通りの小悪魔らしさ。並の男なら、すぐさま彼女の虜になってしまいそうであった。
「どうして咲のこと探してるのかな?」
「ハッ!?」
次の瞬間、レイジの首元に吸い込まれるように銀閃が。
なにが起こったかというと、突然咲がナイフを取り出し切りかかってきたのだ。その動作は惚れ惚れするほど洗練されており、もはや一瞬の出来事。どれだけ手慣れているか一目瞭然である。
そんな奇襲の斬撃に、レイジは後方に下がりながら刀を抜く。そしてナイフの軌道上に割り込ませ、首の皮一枚分のところでなんとか防ぎきった。
「わー、すごい! すごい! 今の奇襲を防ぐなんてお兄さん、やるー!」
レイジが距離をとると、咲がナイフを器用にクルクル回しながら賞賛の言葉を投げかけてくる。
今の一撃を防げたのは、彼女が確信を突いた質問をしたから。あの問いのおかげでこちらの狙いがばれたと判断し、瞬時に戦闘態勢に移れたのだ。もし先程のささやきがなにげないものであったならば、今ごろ致命傷並の一撃を受けていただろう。
「チッ、追ってることばれてたか……。こうなったらオレ一人でやるしか……」
「ふふん、じゃあ、お次はどうかな!」
状況を整理していると、咲がいたずらっぽく笑って動く。
「ッ?! 速い!?」
猫みたいな俊敏さで接近し、すれ違いざまにナイフを一閃する咲。その一連動作はまるで流れるよう。どこまでもするどく、正確無慈悲。まさしく凄腕の暗殺者のごときナイフさばきといっていい。
その一撃をギリギリいなし、すれ違いざまの咲の背に追撃を。
「そこ!」
だがレイジの斬撃は虚しく空を切った。
「ふふん、こっちだよ! お兄さん!」
「上か!?」
見上げると、咲がレイジのはるか頭上に。なんとこちらの攻撃が届く前にかろやかに跳躍し、レイジを飛び越えていったのだ。
「猫みたいな俊敏さだな」
「ふふん、猫さんかー。にゃん、にゃん!」
レイジのツッコミに、咲は楽しそうに猫の真似を。
「ははは、ずいぶん余裕だな。今度はこちらから行かせてもらうぞ!」
レイジは地を蹴り、刀を振りかぶる。しかし間合いを詰めている間に異変が。
「極限、一式」
「なっ!?」
咲がなにかをつぶやいた瞬間、彼女の姿が消えたのだ。そして気付けばレイジの目の前まで。
せまり来るは標的を貫くであろう銀の閃光。超高速移動内で放たれるナイフの刺突。とっさに反応し刀で防御しようとするが、あまりのキレにしのぎ切れない。結果、肩口を斬り裂かれてしまった。
(――クッ、――今のアビリティ……、透と同じ?)
驚愕しながらも、敵の情報を分析する。
今の攻撃の速度や重さは、先程よりもはるかに上がっていた。そして彼女がつぶやいた言葉。確かアビスエリアの十六夜島で戦った如月透も、口にしていたのを思い出す。もしかすると咲は、透と同じアビリティなのかもしれない。
(次が来る!)
咲の方を振り向くと、すでに彼女はナイフをかまえ突撃する準備を。
その姿は先程までの小悪魔っぽい少女ではない。相手を仕留める凄腕の暗殺者そのもの。彼女の瞳は冷たいナイフのようにするどく、こちらを射抜いていた。
ただこの感じ、誰かとかぶってしまう。あれはそう、透と戦った時だったか。
(ッ!? なんて威圧だ……。これが上層部のエージェント!?)
「極限、二式」
そして死の宣告が告げられる。
咲はさらにギアを上げ疾走。ステータスをまたもや跳ね上がらせ、とどめを刺しに。
「ッ!? 間に合わない!?」
身の危険を感じすぐさま抜刀のアビリティを起動しようとするが、間に合わない。刀を抜き終わる前に先に、彼女のナイフがレイジを絶つだろう。
それほどまでに今の咲のスペックは、レイジとかけ離れているのだ。もはや弾丸などとうに追い越すレベルの速度。目で捕らえるのでさえ、至難の業といっていい。もし一度でも今の彼女の動きを見れていたら、まだ反応できていたかもしれない。だが初見ではさすがのレイジも対応しきれなかった。
(やられる!?)
被弾を覚悟し、一瞬目を閉じてしまう。
「にゃー!」
しかし次に起こったのはナイフの斬撃でなく、咲の猫のマネ。
なんと彼女はレイジの目の間で立ち止まり、かわいらしく驚かせてきたのだ。
「ハッ!?」
猫だましをくらったかのように固まるレイジであったが、すぐさま我に返り刀を一閃。
だがあまりの予想外の出来事のせいで剣筋が鈍ってしまっており、容易くかわされてしまった。
「もー、お兄さん! いきなり斬りかかってくるなんてひどいよー!」
すると咲はほおを膨らませ、ぷんぷん抗議してくる。
すでに彼女は初め会った時のよう。無邪気な感じで、先程のエージェントらしさはまったく感じられなかったといっていい。
「なんのつもりだ?」
とどめを刺さなかったことに、疑問を投げかける。
エデン財団上層部のエージェントならば、嗅ぎ回ろうとしている人間を快く思わないはず。やれる機会があるなら、やっておくべき場面である。
いぶかしんでいると、咲は無邪気に笑いながら答えてきた。
「だってこのままお兄さん倒しても面白くないでしょ? お兄さんのこと、咲気にいったたから、もっと遊びたい!」
「遊ぶって……」
「そうだなー。あ、そうだ! 鬼ごっこしようよ! もし咲をつかまえられたら、お兄さんの勝ち! いろいろ話してあげるから! じゃあ、よーい、スタート! わー、逃げろー!」
咲は問答無用で遊ぶ内容を決め、開始の合図を。そして楽しそうに大通りの方へと駆けていった。
「おい、まだやるとは一言も!? クッ、こうなったら遊びに付き合うしかないか」
ツッコミをいれるが、すでに咲は走り去ってしまったあと。
レイジはあわてて彼女を追うのであった。
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