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3章 第3部 鳥かごの中の少女
146話 逃走
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レイジとカノンそして結月は現在、走行中の車の中にいた。彼女たちは後ろの席、レイジがいるのは助手席だ。そして運転しているのは。
「ふぅ、それにしても助かったよ。エリーに来てもらってて正解だったな」
レイジの隣で運転しているのはエデン協会ヴァーミリオン所属のエリー・バーナード。
実はカノンを自由にするため、今朝のうちに雇っておいたのだ。というのも彼女は昔の経験がら、裏の仕事系の荒事に慣れているらしい。よくアイギスにその部分でアピールし、仕事の 催促をしているのであった。
「フフ、自分荒事には慣れてるっすから、こういう依頼はぜひとも声をかけてほしいっす。もちろんそれなりの依頼料は取るっすけどね」
エリーは運転しながらも、不敵にウィンクしてくる。
「そういえばスモークグレネードなんて、どこで調達してきたんだ? 今の時代セフィロトのせいで武器の類はほとんど 撤廃され、もう軍ぐらいしかもってないだろ?」
このご時世、銃器などの危険物はどの国でも所持することが禁止されているのだ。これはセフィロトがさだめた政策の一つ。もし銃器などが普通に存在すれば、セフィロトの導く世界に不満をもったものが暴挙を起こす可能性が。これは当然セフィロトにとって容認できぬ問題。ゆえに今後の世界のためにも、刃向かう力そのものを排除しようとしたのが事の経緯だ。よってセフィロトが起動してからの世界では、一般人が銃器を持つことは許されない。もし発覚すれば、テロリスト並みのとても重い罪に問われるのであった。
「装備一式、ナユタさんが用意してくれた物っすよ。例え罪に問われたとしても、権力の力でもみ消しておくから好きなだけやればいいってね。フフ、おかげで久しぶりに特殊工作員じみたことができて、楽しかったっす」
エリーはいっぱい暴れられて、さぞご満悦の様子だ。
「――ははは……、さすが那由他……、相変わらず恐ろしい奴だ」
「いやー、ナユタさんみたいなチートじみた人とつながりがあるのは、最高っすね!自分が持ってる偽造免許も、昔に作ってもらったやつなんすよ!」
現在進行形で運転しているエリーは、まだ車に乗れる歳に達していない。だが那由他に頼んで偽造の免許を作ってもらったらしく、こうやって乗り回しているとのこと。
「それはそうとレイジさん。今回の依頼、少し気が乗らないので報酬上げてもらっていいっすか? 実はあちら側に知り合いがいて、やりづらいというか……」
さっきから興奮さめず、はしゃぎ気味だったエリー。しかし次の瞬間ため息交じりに肩を落としながら、なにやら交渉してきた。
「ははは、そんなの知らないな。そっちの事情だろ? こっちは関係ない」
「――そうっすよねー」
レイジの正論に対し、エリーは苦笑しながらあきらめる。
そうこうしているとカノンが話に加わってきた。
「エリーさんだっけ。すごい手ぎわだったね。普通にエージェントとしてやっていけるほどのウデ前なんだよ」
「おほめいただき光栄っす。ヴァーミリオンに入る前、エデンでああいったことやりまくってたっすからね。そういうわけでカノン様もなにかあれば呼んで欲しいっす! なんでも結月様レベルのお金持ちのお嬢様とか! フフ、ぜひともお得意様になってほしいっすね!」
エリーは気を取り直したようで、いつもの調子で上客に対する営業トークを。
「おい、なに押し売りしてるんだ? ほら、仕事中だろ。集中しろ」
目を輝かせるエリーの頭を軽く小突き、カノンから引き離す。
「レイジさん、ほんと 容赦ないっすね。せっかくいい金づるを釣ろうと、がんばっているところを……」
するとジト目を向け不服そうにするエリー。
「エリーちゃん、それなら今度妹の美月に紹介しとこうか。あの子片桐家次期当主だし、結構いい依頼を持ってこれるかもしれないよ」
「片桐家! しかも次期当主クラスっすか! ユヅキ様まじ神っす。一生ついていくほどっすよ!」
「――はぁ……、もういいよ。少し那由他に状況報告するから、後よろしくな」
結月を 崇めたて盛り上がるエリーを放って、ターミナルデバイスを機動。現状を報告するため那由他に連絡を取る。
「はーい! レイジの那由他ちゃんですよー!」
「那由他、こっちは計画通り、カノンの連れ出しに成功したぞ。そっちの方はどうだ?」
「例の 交渉の案件は結月の協力もあって、着々と進んでますよー! 次にカノンの脱出計画ですが、こちらも準備万端です! エデン協会ヴァーミリオン、ゆきちゃんにも話を付けていますから、あとはアビスエリアの方に乗り込むだけですねー!」
「了解した。とりあえず第一目的地について、準備が整い次第もう一度連絡するよ」
「わっかりましたー! ではお待ちしてますねー!」
那由他の返事を聞きおえ、通話をきった。今のところ計画は順調のようである。
「それでレージくん。これから私たちはどうするつもりなのかな?」
するとカノンが後ろの席から身を乗り出し、たずねてくる。
「ははは、文字通りカノンを自由にするよ。そのためにもまずカノンにはあそこから出てもらわないと」
「――やっぱりそうなるんだね……。うん、レージくんたちの手を取ると決めた以上、私も覚悟を決めるんだよ」
今の説明で、カノンはこれからレイジたちがなにをしようとしてるのかわかったみたいだ。その事のでかさに思い詰めるも、レイジたちを信じ覚悟を決めてくれたらしい。
「必ず成功させてみせるよ。カノンを自由にするための、最重要案件の一つなんだから」
「では、レイジさん、目的地に変更はないっすよね?」
「ああ、当初の予定通りだ」
「フフ、では三名さま、エデン協会ヴァーミリオンの事務所にご案内っす!」
そしてエリーはどこか 芝居がかったように、目的地の場所を口にするのであった。
「ふぅ、それにしても助かったよ。エリーに来てもらってて正解だったな」
レイジの隣で運転しているのはエデン協会ヴァーミリオン所属のエリー・バーナード。
実はカノンを自由にするため、今朝のうちに雇っておいたのだ。というのも彼女は昔の経験がら、裏の仕事系の荒事に慣れているらしい。よくアイギスにその部分でアピールし、仕事の 催促をしているのであった。
「フフ、自分荒事には慣れてるっすから、こういう依頼はぜひとも声をかけてほしいっす。もちろんそれなりの依頼料は取るっすけどね」
エリーは運転しながらも、不敵にウィンクしてくる。
「そういえばスモークグレネードなんて、どこで調達してきたんだ? 今の時代セフィロトのせいで武器の類はほとんど 撤廃され、もう軍ぐらいしかもってないだろ?」
このご時世、銃器などの危険物はどの国でも所持することが禁止されているのだ。これはセフィロトがさだめた政策の一つ。もし銃器などが普通に存在すれば、セフィロトの導く世界に不満をもったものが暴挙を起こす可能性が。これは当然セフィロトにとって容認できぬ問題。ゆえに今後の世界のためにも、刃向かう力そのものを排除しようとしたのが事の経緯だ。よってセフィロトが起動してからの世界では、一般人が銃器を持つことは許されない。もし発覚すれば、テロリスト並みのとても重い罪に問われるのであった。
「装備一式、ナユタさんが用意してくれた物っすよ。例え罪に問われたとしても、権力の力でもみ消しておくから好きなだけやればいいってね。フフ、おかげで久しぶりに特殊工作員じみたことができて、楽しかったっす」
エリーはいっぱい暴れられて、さぞご満悦の様子だ。
「――ははは……、さすが那由他……、相変わらず恐ろしい奴だ」
「いやー、ナユタさんみたいなチートじみた人とつながりがあるのは、最高っすね!自分が持ってる偽造免許も、昔に作ってもらったやつなんすよ!」
現在進行形で運転しているエリーは、まだ車に乗れる歳に達していない。だが那由他に頼んで偽造の免許を作ってもらったらしく、こうやって乗り回しているとのこと。
「それはそうとレイジさん。今回の依頼、少し気が乗らないので報酬上げてもらっていいっすか? 実はあちら側に知り合いがいて、やりづらいというか……」
さっきから興奮さめず、はしゃぎ気味だったエリー。しかし次の瞬間ため息交じりに肩を落としながら、なにやら交渉してきた。
「ははは、そんなの知らないな。そっちの事情だろ? こっちは関係ない」
「――そうっすよねー」
レイジの正論に対し、エリーは苦笑しながらあきらめる。
そうこうしているとカノンが話に加わってきた。
「エリーさんだっけ。すごい手ぎわだったね。普通にエージェントとしてやっていけるほどのウデ前なんだよ」
「おほめいただき光栄っす。ヴァーミリオンに入る前、エデンでああいったことやりまくってたっすからね。そういうわけでカノン様もなにかあれば呼んで欲しいっす! なんでも結月様レベルのお金持ちのお嬢様とか! フフ、ぜひともお得意様になってほしいっすね!」
エリーは気を取り直したようで、いつもの調子で上客に対する営業トークを。
「おい、なに押し売りしてるんだ? ほら、仕事中だろ。集中しろ」
目を輝かせるエリーの頭を軽く小突き、カノンから引き離す。
「レイジさん、ほんと 容赦ないっすね。せっかくいい金づるを釣ろうと、がんばっているところを……」
するとジト目を向け不服そうにするエリー。
「エリーちゃん、それなら今度妹の美月に紹介しとこうか。あの子片桐家次期当主だし、結構いい依頼を持ってこれるかもしれないよ」
「片桐家! しかも次期当主クラスっすか! ユヅキ様まじ神っす。一生ついていくほどっすよ!」
「――はぁ……、もういいよ。少し那由他に状況報告するから、後よろしくな」
結月を 崇めたて盛り上がるエリーを放って、ターミナルデバイスを機動。現状を報告するため那由他に連絡を取る。
「はーい! レイジの那由他ちゃんですよー!」
「那由他、こっちは計画通り、カノンの連れ出しに成功したぞ。そっちの方はどうだ?」
「例の 交渉の案件は結月の協力もあって、着々と進んでますよー! 次にカノンの脱出計画ですが、こちらも準備万端です! エデン協会ヴァーミリオン、ゆきちゃんにも話を付けていますから、あとはアビスエリアの方に乗り込むだけですねー!」
「了解した。とりあえず第一目的地について、準備が整い次第もう一度連絡するよ」
「わっかりましたー! ではお待ちしてますねー!」
那由他の返事を聞きおえ、通話をきった。今のところ計画は順調のようである。
「それでレージくん。これから私たちはどうするつもりなのかな?」
するとカノンが後ろの席から身を乗り出し、たずねてくる。
「ははは、文字通りカノンを自由にするよ。そのためにもまずカノンにはあそこから出てもらわないと」
「――やっぱりそうなるんだね……。うん、レージくんたちの手を取ると決めた以上、私も覚悟を決めるんだよ」
今の説明で、カノンはこれからレイジたちがなにをしようとしてるのかわかったみたいだ。その事のでかさに思い詰めるも、レイジたちを信じ覚悟を決めてくれたらしい。
「必ず成功させてみせるよ。カノンを自由にするための、最重要案件の一つなんだから」
「では、レイジさん、目的地に変更はないっすよね?」
「ああ、当初の予定通りだ」
「フフ、では三名さま、エデン協会ヴァーミリオンの事務所にご案内っす!」
そしてエリーはどこか 芝居がかったように、目的地の場所を口にするのであった。
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