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キミとなら、どこまでも。
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「ほら、まだ走れるでしょ?」
アスファルトの上で四つん這いになっている僕に、長い髪をポニーテールに結んだお姉さんが手を差し伸べてくる。
茜色の太陽が彼女の背から差してきて、僕の目を眩ませた。
「もう、無理!! 足がもう動かないよ~」
「そんなことでマラソン大会で入賞できないよ! はい、立った立った!」
そういってお姉さんは僕の脇に手を入れて背中の方から無理矢理立たせてくる。
歳は一個しか変わらないはずの彼女に簡単に持ち上げられてしまった僕は、恥ずかしさで顔を夕焼けみたいに真っ赤になってしまった。
それよりなにより、最近膨らみかけてきたその胸が当たる感触を意識してしちゃったことが一番恥ずかしい……。
「うぅ~。もう夜になっちゃうよユキお姉ちゃん……」
「誰の為に私が付き合ってあげてると思ってるのよ。コウがマラソン大会でいい成績を出したいっていうから、こうしてワザワザ特訓してあげてるんじゃないの」
そう、僕はこの隣りの家に住むユキお姉ちゃんにマラソンの走り方を教えてくれるようにお願いしたんだ。ユキお姉ちゃんは小学生の僕と違って中学生なんだけど、陸上部で選手に選ばれるくらいとっても早い。
逆に僕は毎年学校でやるマラソン大会でビリに近いぐらい足が遅いんだ……。
入賞するぐらい足の速い奴らはクラスの女の子からモテるんだけど、僕みたいな運動神経の無い奴はめっちゃイジられる。それが嫌で、昔から遊んでもらっていたお姉ちゃんに、どうやったら足が速くなるのって聞いたら――
『だったら私と一緒に特訓よ! 今日の放課後からひたすら走るの!』
――って言われて……半ば無理矢理に家から連れ出されたんだ。
それから僕は毎日まいにち、日がどっぷりと暮れるまでお姉ちゃんに連れ出され、泣いても転んでも鼻水がダラダラと垂れても問答無用で走らされた。
今考えれば弱音ばっかりの僕に良く付き合ってくれたなぁと思うけど、そのお陰で僕はマラソン大会で初めて入賞することができた。
僕が入賞者だけが貰える賞状を両手に掲げてユキお姉ちゃんに見せに行ったら、一緒になって喜んでくれた。
だけど、その頃にはもう、入賞したいってことよりお姉ちゃんに喜んでもらいたいって気持ちの方が大きかったんだ……。
「ユキ姉。今日こそは負けないから」
「ふふふ。そういって何年経ったと思ってるの? この泣き虫おチビ!」
そして今。
俺はユキ姉と同じ中学生になった。
相変わらず彼女は俺をチビ扱いして来るけど、もう背は追いついた。
……足の速さはどういうわけか相変わらず敵わないけれど。
だけど、それも時間の問題だ。
「ユキ姉。あの約束はちゃんと覚えてる?」
「……アレ。本気なの?」
俺は中学校の入学式の後、ユキ姉を呼び出して告白したんだ。
『僕……俺がユキ姉で陸上のタイムを追い抜いたら、付き合ってください!!』
頭も身長も、足の速さだって全然敵わなかったけれど、それでも俺はユキ姉ちゃんに追いつきたかったんだ。だから俺はあれからも毎日、日が暮れるまで走っている。
そしてこれからは、ユキ姉の隣りで一緒に走り続けたいんだ!!
「本気。だから俺はユキ姉にだって負けないから」
「……ちょっとは男らしくなったじゃん。いいよ。でも私も簡単には負けてあげないからね!」
その10分後。夕焼け色に染まるグラウンドで、ガッツポーズをする長い影がいつまでも伸びていた。
告白はちょっとフライングしてしまった俺だけど、今度は俺が彼女をリードする番だ。
アスファルトの上で四つん這いになっている僕に、長い髪をポニーテールに結んだお姉さんが手を差し伸べてくる。
茜色の太陽が彼女の背から差してきて、僕の目を眩ませた。
「もう、無理!! 足がもう動かないよ~」
「そんなことでマラソン大会で入賞できないよ! はい、立った立った!」
そういってお姉さんは僕の脇に手を入れて背中の方から無理矢理立たせてくる。
歳は一個しか変わらないはずの彼女に簡単に持ち上げられてしまった僕は、恥ずかしさで顔を夕焼けみたいに真っ赤になってしまった。
それよりなにより、最近膨らみかけてきたその胸が当たる感触を意識してしちゃったことが一番恥ずかしい……。
「うぅ~。もう夜になっちゃうよユキお姉ちゃん……」
「誰の為に私が付き合ってあげてると思ってるのよ。コウがマラソン大会でいい成績を出したいっていうから、こうしてワザワザ特訓してあげてるんじゃないの」
そう、僕はこの隣りの家に住むユキお姉ちゃんにマラソンの走り方を教えてくれるようにお願いしたんだ。ユキお姉ちゃんは小学生の僕と違って中学生なんだけど、陸上部で選手に選ばれるくらいとっても早い。
逆に僕は毎年学校でやるマラソン大会でビリに近いぐらい足が遅いんだ……。
入賞するぐらい足の速い奴らはクラスの女の子からモテるんだけど、僕みたいな運動神経の無い奴はめっちゃイジられる。それが嫌で、昔から遊んでもらっていたお姉ちゃんに、どうやったら足が速くなるのって聞いたら――
『だったら私と一緒に特訓よ! 今日の放課後からひたすら走るの!』
――って言われて……半ば無理矢理に家から連れ出されたんだ。
それから僕は毎日まいにち、日がどっぷりと暮れるまでお姉ちゃんに連れ出され、泣いても転んでも鼻水がダラダラと垂れても問答無用で走らされた。
今考えれば弱音ばっかりの僕に良く付き合ってくれたなぁと思うけど、そのお陰で僕はマラソン大会で初めて入賞することができた。
僕が入賞者だけが貰える賞状を両手に掲げてユキお姉ちゃんに見せに行ったら、一緒になって喜んでくれた。
だけど、その頃にはもう、入賞したいってことよりお姉ちゃんに喜んでもらいたいって気持ちの方が大きかったんだ……。
「ユキ姉。今日こそは負けないから」
「ふふふ。そういって何年経ったと思ってるの? この泣き虫おチビ!」
そして今。
俺はユキ姉と同じ中学生になった。
相変わらず彼女は俺をチビ扱いして来るけど、もう背は追いついた。
……足の速さはどういうわけか相変わらず敵わないけれど。
だけど、それも時間の問題だ。
「ユキ姉。あの約束はちゃんと覚えてる?」
「……アレ。本気なの?」
俺は中学校の入学式の後、ユキ姉を呼び出して告白したんだ。
『僕……俺がユキ姉で陸上のタイムを追い抜いたら、付き合ってください!!』
頭も身長も、足の速さだって全然敵わなかったけれど、それでも俺はユキ姉ちゃんに追いつきたかったんだ。だから俺はあれからも毎日、日が暮れるまで走っている。
そしてこれからは、ユキ姉の隣りで一緒に走り続けたいんだ!!
「本気。だから俺はユキ姉にだって負けないから」
「……ちょっとは男らしくなったじゃん。いいよ。でも私も簡単には負けてあげないからね!」
その10分後。夕焼け色に染まるグラウンドで、ガッツポーズをする長い影がいつまでも伸びていた。
告白はちょっとフライングしてしまった俺だけど、今度は俺が彼女をリードする番だ。
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