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第105話 祭りのあと
しおりを挟むこうしてBBQは大盛況のまま終わりを迎え、後片付けを終えた俺は温泉に浸かっていた。
リディカとのキス?
みんながイケイケとうるさいので、ほっぺにチューをしてその場は誤魔化した。
さすがに直接は俺も恥ずかしいし……。
「夜は覚悟しておいてくださいね?」
ドワーフ謹製の竜酒で酔ったのか、頬を染めた彼女にそんなことを言われてしまったが……。
俺としては好きな人とイチャイチャできるのはご褒美でしかないので、快諾しておいた。旅の間はずっとリディカを村に一人で居させてしまったし、そのお詫びも兼ねてだ。
とまぁ、その前に旅の疲れを癒しておこうというわけで。
「やっぱり落ち着いてゆっくりできるのが一番だよなぁ」
ドワーフの国を目指して旅をしている間も、ちょくちょく戻ってきては温泉に入っていたのだが……。
ふぅ、と息を吐きながら、俺は星空を眺める。
この温泉もすっかりプルア村の名物と定着したなぁ。観光地としてだけでなく、行商の旅人や冒険者などが訪れているし。
俺たちの狙い通り彼らにもウケがよく、経営担当のリディカいわく、口コミで少しずつ利用者が増えていっているそうだ。
獣人三姉妹の食堂もかなり好評みたいだし、今後の発展には大いに期待したいところだ。
発展と言えば、ドワーフ国との交易も始まる。
これで人族と魔族に加えて妖精族、ドワーフ族と商売相手が増えたわけだ。
「バギンス王も良い人だったし、ドワーフの王国とは末永く良い関係を築いていきたいもんだ」
トラブルはたくさんあったけれど、今のところ村の再開発は順調と言えるだろう。
あぁ、そういえばそろそろまた人族の王様に呼び出される頃合いか。アレだけはちょっと面倒臭いんだよなぁ。
温泉に浸かりながらそんなことを考えていると、脱衣場の方から物音が聞こえた気がした。気のせいか? いやでも確かに――。
「え……?」
カラカラと静かに扉を開けて入ってきた人物を見て、俺の思考は一瞬停止した。
顔は湯けむりで見えないが、シルエットがヤバい。
背が高く、細身で、腰まである長い髪の毛。
スレンダーな女性なのか!?
いやでもここは男湯だぞ!?
「だ、誰だ?」
俺が声を上ずらせながら聞くと、その女性らしき人物は普通に声を発した。
「ん、先客がいたのかい?」
聞き覚えがあるどころではない声に、俺は心臓が止まるかと思った。
「どうしてアンタがここに!?」
「あはは、このお風呂が気に入ったからだよ」
温泉の醍醐味を一瞬にして崩壊させるようなことを言いながら現れたのは、やはりエルフであるファルシュさんだった。
普段は白く美しい肌をしているが、今は温泉の熱でほんのりと赤みがかっているように見える。それが妙に艶めかしいというか、男相手に思わずドギマギしてしまう。
「ストラ君、そんなに驚かなくても」
「あ、いやこれは別にそうじゃなくて! あーっと……」
「ふふふっ……キミも大人しそうに見えて、ちゃんと男の子なんだね?」
焦る俺を見てイタズラな笑みを浮かべたファルシュは、そう言って俺の隣に腰かける。
いやだから近いんだって!
そんな俺の気持ちも知らずに、ファルシュさんは肩まで浸かってふぅーと息を吐いた。その仕草のひとつひとつにドキドキしてしまう自分が情けない。
「……ところでストラ君。ドワーフの国はどうだったかい?」
「え? あぁ、一言じゃ説明しきれないけど……いいところだったよ」
「そうか……。ボクは長いことあの国を訪れていないけど、相変わらずのようで良かったよ」
どこか遠い目で語り出したファルシュさんに、俺は無言で耳を傾ける。
「じゃあ今度こそ、キミにプルア村の案内をお願いできるかな?」
「……え?」
――――――――
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『【ボンッ☆】社畜薬剤師ですが、“化学知識”で無双できますか!? 化けモンだらけのハードモードだけど、社畜時代より楽しいぜやっほい!』
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