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5-3 交わる二人
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「はぁ……分かった。なら余も覚悟を決めよう」
「では……!!」
「あぁ。だがどうする。女神は許したとしても、後の子らが困るようでは本末転倒であるぞ」
元々は不要な争い事を防ぐために子を為していたのだ。
勇者も、聖女も、王族もすべては家族である、という絆を以って。
「……えぇ。ですから私ももう少し身体を張ろうかと思いまして」
「おい、まさか」
「陛下……今の私ではご不満でしょうか。こんな年増では……」
「そんなことはない。そんなことはないが……」
するり、とローブを脱ぐと煽情的な下着姿となるレジーナ。
ふだん教会では決して見せないような、大人の女性の恰好だ。
絹の様な滑らかな肌にくびれのある腰回り。
とても娘二人を生んだ体型とは思えない美貌に、フレイ王の淫棒も言葉とは裏腹に驚くほど屹立していた。
「私はあの晩、貴方様に一度抱かれたきりでしたが、それでもずっとお慕いしておりましたのよ」
「そ、そうか……」
椅子に座ったままの王の背後に近寄ると、その白く嫋やかな手で彼の首元を撫でまわす。
もしもモナが見たら卒倒するような光景だ。
しかし、これも母であるレジーナの本性。
彼女もれっきとした熟成されたオンナなのである。
「もし……また子種を頂けるのでしたら、その子を陛下に……」
「はぁ、そういうことか。……分かった。聖女である其方に、これ以上恥をかかせる訳にもいかぬだろうな」
「陛下ぁ……」
甘ったるい香りがレジーナから漂う。
フレイ王もすっかりその気になったのか、レジーナの顎を片手で摘まむと、彼女の挑発に乗り始めた。
「――だが、覚悟しろよ。あの晩の様にまた気をやってしまっても看病はせぬ」
「ふふふ、お手柔らかにお願いいたしますわ」
ネットリと重ね合う二人。
ふだん立場もある二人は冠も聖衣も脱ぎ去って裸のまま絡み合う。
嬌声も肉をぶつけ合う粘着音も、二人だけの空間であればそれはもう興奮のスパイスとなっていた。
そんな情事を小さなのぞき穴からコッソリと覗いている者たちがいた。
「そんな……まさか父上が……モナの……」
「そうだ。これがこの英雄たちが行ってきたことの真実だ」
「くそっ、このままじゃ僕はモナを手に入れられないじゃないか」
おそらく王とレジーナさえも知らない、隠し部屋の更に裏側。
そこに居たのは王子ミケと、仮面の人物だった。
実の父がモナと血縁で繋がっていたこと、そしてしきたりを廃止しようとしていることを知り、ミケは憤怒に震えていた。
この世界では姉弟同士の婚姻は禁止されてはいないが、重婚は許されていない。
つまり、しきたりが当代で消失すれば、ミケがモナと結ばれることは出来ないということだ。
「いや、王子。勇者と聖女を仲違いさせればいいのだ。そして王子が聖女を助け、心の支えとなれば正式に妻となるだろう」
「そ、それは本当ですか!?」
「あぁ。そなたにも、真なる女神の祝福を与えよう……」
そういって仮面の人物は懐から何かを取り出し、ミケに手渡す。
「こ、これは……もしかして!」
怪しげな小瓶を受け取ったミケはそれが何か分かると、ニヤりと昏い笑みを浮かべるのであった。
「では……!!」
「あぁ。だがどうする。女神は許したとしても、後の子らが困るようでは本末転倒であるぞ」
元々は不要な争い事を防ぐために子を為していたのだ。
勇者も、聖女も、王族もすべては家族である、という絆を以って。
「……えぇ。ですから私ももう少し身体を張ろうかと思いまして」
「おい、まさか」
「陛下……今の私ではご不満でしょうか。こんな年増では……」
「そんなことはない。そんなことはないが……」
するり、とローブを脱ぐと煽情的な下着姿となるレジーナ。
ふだん教会では決して見せないような、大人の女性の恰好だ。
絹の様な滑らかな肌にくびれのある腰回り。
とても娘二人を生んだ体型とは思えない美貌に、フレイ王の淫棒も言葉とは裏腹に驚くほど屹立していた。
「私はあの晩、貴方様に一度抱かれたきりでしたが、それでもずっとお慕いしておりましたのよ」
「そ、そうか……」
椅子に座ったままの王の背後に近寄ると、その白く嫋やかな手で彼の首元を撫でまわす。
もしもモナが見たら卒倒するような光景だ。
しかし、これも母であるレジーナの本性。
彼女もれっきとした熟成されたオンナなのである。
「もし……また子種を頂けるのでしたら、その子を陛下に……」
「はぁ、そういうことか。……分かった。聖女である其方に、これ以上恥をかかせる訳にもいかぬだろうな」
「陛下ぁ……」
甘ったるい香りがレジーナから漂う。
フレイ王もすっかりその気になったのか、レジーナの顎を片手で摘まむと、彼女の挑発に乗り始めた。
「――だが、覚悟しろよ。あの晩の様にまた気をやってしまっても看病はせぬ」
「ふふふ、お手柔らかにお願いいたしますわ」
ネットリと重ね合う二人。
ふだん立場もある二人は冠も聖衣も脱ぎ去って裸のまま絡み合う。
嬌声も肉をぶつけ合う粘着音も、二人だけの空間であればそれはもう興奮のスパイスとなっていた。
そんな情事を小さなのぞき穴からコッソリと覗いている者たちがいた。
「そんな……まさか父上が……モナの……」
「そうだ。これがこの英雄たちが行ってきたことの真実だ」
「くそっ、このままじゃ僕はモナを手に入れられないじゃないか」
おそらく王とレジーナさえも知らない、隠し部屋の更に裏側。
そこに居たのは王子ミケと、仮面の人物だった。
実の父がモナと血縁で繋がっていたこと、そしてしきたりを廃止しようとしていることを知り、ミケは憤怒に震えていた。
この世界では姉弟同士の婚姻は禁止されてはいないが、重婚は許されていない。
つまり、しきたりが当代で消失すれば、ミケがモナと結ばれることは出来ないということだ。
「いや、王子。勇者と聖女を仲違いさせればいいのだ。そして王子が聖女を助け、心の支えとなれば正式に妻となるだろう」
「そ、それは本当ですか!?」
「あぁ。そなたにも、真なる女神の祝福を与えよう……」
そういって仮面の人物は懐から何かを取り出し、ミケに手渡す。
「こ、これは……もしかして!」
怪しげな小瓶を受け取ったミケはそれが何か分かると、ニヤりと昏い笑みを浮かべるのであった。
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