20 / 39
第20話:ルドルフ様の様子がおかしいです
しおりを挟む
「アメリナ、昨日のルドルフ様の様子、なんだか変じゃなかった?急に真っ青な顔をして走って行かれて。あれから教室に戻って来なかったし」
朝一番で話しかけてきたのは、サーラだ。確かに彼女の言う通り、ルドルフ様の様子が変だった。それにあの後、彼は1人で校舎裏で泣いていたのだ。あのルドルフ様が泣くだなんて。きっと大嫌いな私に見られてショックだっただろう。
とにかくこの件は、私の心の中にしまっておこう。でも、泣くほどショックな事なんて何かあったかしら?う~ん、よくわからないわ。
「アメリナ、聞いている?」
「ええ、聞いているわ。きっとよほど何かショックな事でもあったのではなくって?とにかく、私達には関係ない事だから、そっとしておきましょう」
「そうね、私たちの食事中に退席するくらいショックなことがあったのだから、きっともう絡んでこないでしょう。とにかく私達には関係ない事だものね」
確かに私達には関係ない事。でも、なぜだろう…ルドルフ様の泣き顔を見た瞬間、胸が締め付けられるような感覚に襲われたのだ。
ルドルフ様の事は吹っ切ったと思っていたのに…そう簡単には忘れられるものではないわよね…
とにかくもう、彼の事は考えないようにしよう。そう思っていたのだが…
「アメリナ、昨日はハンカチを貸してくれてありがとう。あのハンカチ、昔俺の為に龍の刺繍を入れてくれたときに、練習用として使っていたものだよね。あのハンカチは貰ってもいいかな?それからこれ、昔アメリナが大好きだった家の料理長が作ったマカロンだよ。お礼に食べて欲しい」
そう言ってマカロンを渡してきたのだ。昨日までのルドルフ様とは打って変わり、穏やかな表情で私を見つめている。それに私が子供の頃に入れた龍の刺繍の事を、未だに覚えていてくれていただなんて…
ビックリして固まる私に
「あら?マカロンですか?美味しそうですわね。私にも1つ頂けますか?」
笑顔で私たちの前にやって来たのは、クレア様だ。私から箱を奪い取ると、嬉しそうにマカロンを食べたのだ。あら?この人、こんな人だったかしら?
その瞬間
「クレア嬢、これはアメリナにあげたマカロンですよ。人の物を取るだなんて、一体何を考えているのですか?」
ものすごい勢いで、クレア様に文句を言っているルドルフ様。それもなぜか敬語だ。一体どうしたのだろう。2人は恋仲なのではないのかしら?
「あら、1つくらいいいではありませんか。それにしてもこのマカロン、本当に美味しいですわね。私にも作って来てくださいませ」
クレア様がルドルフ様に寄り添おうとしたところで、すっとルドルフ様がよけた。
「悪いが俺は、君の為にお菓子を作るつもりは…」
「皆さん、席に着いて下さい」
絶妙なタイミングで、先生がやって来たのだ。急いで席に着く。ふと視線を感じる。視線の方を向くと、ルドルフ様と目があったのだ。その瞬間、なぜか悲しそうにルドルフ様がほほ笑んだ。
一体どうしたというの?どうして急に、私にほほ笑むの。今まで私に全く興味を持っていなかったじゃない。その上、私とは絶対に結婚したくない、大嫌いだと言っていたのに…
「アメリナ、大丈夫?どうしたの?顔色が悪いわよ」
私の元にやって来たのは、サーラだ。
「いいえ、何でもないわ。ただ…ルドルフ様、なんだか雰囲気が変わった気がしない?」
「ルドルフ様?そう言えばなんだか少し柔らかい雰囲気になったような…昨日までは感じの悪い男だったけれど…一体どうしたのかしら?」
コテンと首をかしげるサーラ。この子、やっぱり可愛いわね。
「まあ、私達には関係ない事よね。変な事を言ってごめんね」
ルドルフ様の雰囲気が変わろうが私には関係ない話だ。どっちにしろ、私は彼に嫌われている。ふとルドルフ様の方を見ると、なぜか私の方に近づいてきたのだ。
「アメリナ、あの…今まで君に酷い態度を取ってしまって、本当にすま…」
「ルドルフ様、見て下さい。このブレスレット、素敵だと思いませんか?家の領地で取れたアクアマリンで作ったのですわ。まるでルドルフ様の瞳の様でしょう?よかったら受け取ってください」
やって来たのはクレア様だ。美しい微笑を浮かべながら、ルドルフ様にブレスレットをプレゼントしている。本当にこの2人、仲が良いわね。もしかしたら彼女のお陰で、ルドルフ様の性格が少し丸くなったのかしら?
まあ、私にはどうでもいい事だわ。
すっと2人の傍を離れると、そのまま教室を後にしたのだった。
朝一番で話しかけてきたのは、サーラだ。確かに彼女の言う通り、ルドルフ様の様子が変だった。それにあの後、彼は1人で校舎裏で泣いていたのだ。あのルドルフ様が泣くだなんて。きっと大嫌いな私に見られてショックだっただろう。
とにかくこの件は、私の心の中にしまっておこう。でも、泣くほどショックな事なんて何かあったかしら?う~ん、よくわからないわ。
「アメリナ、聞いている?」
「ええ、聞いているわ。きっとよほど何かショックな事でもあったのではなくって?とにかく、私達には関係ない事だから、そっとしておきましょう」
「そうね、私たちの食事中に退席するくらいショックなことがあったのだから、きっともう絡んでこないでしょう。とにかく私達には関係ない事だものね」
確かに私達には関係ない事。でも、なぜだろう…ルドルフ様の泣き顔を見た瞬間、胸が締め付けられるような感覚に襲われたのだ。
ルドルフ様の事は吹っ切ったと思っていたのに…そう簡単には忘れられるものではないわよね…
とにかくもう、彼の事は考えないようにしよう。そう思っていたのだが…
「アメリナ、昨日はハンカチを貸してくれてありがとう。あのハンカチ、昔俺の為に龍の刺繍を入れてくれたときに、練習用として使っていたものだよね。あのハンカチは貰ってもいいかな?それからこれ、昔アメリナが大好きだった家の料理長が作ったマカロンだよ。お礼に食べて欲しい」
そう言ってマカロンを渡してきたのだ。昨日までのルドルフ様とは打って変わり、穏やかな表情で私を見つめている。それに私が子供の頃に入れた龍の刺繍の事を、未だに覚えていてくれていただなんて…
ビックリして固まる私に
「あら?マカロンですか?美味しそうですわね。私にも1つ頂けますか?」
笑顔で私たちの前にやって来たのは、クレア様だ。私から箱を奪い取ると、嬉しそうにマカロンを食べたのだ。あら?この人、こんな人だったかしら?
その瞬間
「クレア嬢、これはアメリナにあげたマカロンですよ。人の物を取るだなんて、一体何を考えているのですか?」
ものすごい勢いで、クレア様に文句を言っているルドルフ様。それもなぜか敬語だ。一体どうしたのだろう。2人は恋仲なのではないのかしら?
「あら、1つくらいいいではありませんか。それにしてもこのマカロン、本当に美味しいですわね。私にも作って来てくださいませ」
クレア様がルドルフ様に寄り添おうとしたところで、すっとルドルフ様がよけた。
「悪いが俺は、君の為にお菓子を作るつもりは…」
「皆さん、席に着いて下さい」
絶妙なタイミングで、先生がやって来たのだ。急いで席に着く。ふと視線を感じる。視線の方を向くと、ルドルフ様と目があったのだ。その瞬間、なぜか悲しそうにルドルフ様がほほ笑んだ。
一体どうしたというの?どうして急に、私にほほ笑むの。今まで私に全く興味を持っていなかったじゃない。その上、私とは絶対に結婚したくない、大嫌いだと言っていたのに…
「アメリナ、大丈夫?どうしたの?顔色が悪いわよ」
私の元にやって来たのは、サーラだ。
「いいえ、何でもないわ。ただ…ルドルフ様、なんだか雰囲気が変わった気がしない?」
「ルドルフ様?そう言えばなんだか少し柔らかい雰囲気になったような…昨日までは感じの悪い男だったけれど…一体どうしたのかしら?」
コテンと首をかしげるサーラ。この子、やっぱり可愛いわね。
「まあ、私達には関係ない事よね。変な事を言ってごめんね」
ルドルフ様の雰囲気が変わろうが私には関係ない話だ。どっちにしろ、私は彼に嫌われている。ふとルドルフ様の方を見ると、なぜか私の方に近づいてきたのだ。
「アメリナ、あの…今まで君に酷い態度を取ってしまって、本当にすま…」
「ルドルフ様、見て下さい。このブレスレット、素敵だと思いませんか?家の領地で取れたアクアマリンで作ったのですわ。まるでルドルフ様の瞳の様でしょう?よかったら受け取ってください」
やって来たのはクレア様だ。美しい微笑を浮かべながら、ルドルフ様にブレスレットをプレゼントしている。本当にこの2人、仲が良いわね。もしかしたら彼女のお陰で、ルドルフ様の性格が少し丸くなったのかしら?
まあ、私にはどうでもいい事だわ。
すっと2人の傍を離れると、そのまま教室を後にしたのだった。
157
お気に入りに追加
2,560
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】愛していないと王子が言った
miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。
「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」
ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。
※合わない場合はそっ閉じお願いします。
※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
大好きな婚約者に「距離を置こう」と言われました
ミズメ
恋愛
感情表現が乏しいせいで""氷鉄令嬢""と呼ばれている侯爵令嬢のフェリシアは、婚約者のアーサー殿下に唐突に距離を置くことを告げられる。
これは婚約破棄の危機――そう思ったフェリシアは色々と自分磨きに励むけれど、なぜだか上手くいかない。
とある夜会で、アーサーの隣に見知らぬ金髪の令嬢がいたという話を聞いてしまって……!?
重すぎる愛が故に婚約者に接近することができないアーサーと、なんとしても距離を縮めたいフェリシアの接近禁止の婚約騒動。
○カクヨム、小説家になろうさまにも掲載/全部書き終えてます
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる