21 / 51
第21話:やはり王族は信用できません!
しおりを挟む
「あ…あの、クリスティーヌ様、こちらに素敵なお花がございます。どうかご覧に…」
「申し訳ないけれど、今カリーナ殿下とお茶をしている最中なの。すぐに戻らないと」
「でも…」
なぜか私を引き留めようとするメイド。おかしい!メイドを無視し、急いで2人のいる部屋に戻ろうとした時だった。
「やあ、クリスティーヌ嬢。今日はカリーナの為に、王宮に来てくれたのだったね。僕が誘っても、全然応じてくれないのに。寂しいな…」
やって来たのは、胡散臭い微笑を浮かべた殿下だ。
「申し訳ございませんが、殿下に構っている暇はございません。それでは失礼いたします」
なんだか嫌な予感がするのだ。早く戻らないと。
「待って、クリスティーヌ嬢。悪い事は言わないから、アルフレッド殿の事は諦めた方がいいよ。カリーナに目を付けられたら、もうおしまいだ。だから僕と…」
「どうして私がアルフレッド様を諦めないといけないのですか?とにかく私は戻ります」
何なのよこの男!鬱陶しいことこの上ない。
「いいよ、じゃあ、カリーナの恐ろしさを見せてあげる。こっちに来て」
私の手を握り、カロイド殿下が歩き出した。ちょっと、気安く触らないでよ!
「殿下、どこに…えっ…」
殿下がある部屋に連れて行ってくれた。とても豪華な造りで、きっと王族の部屋なのだろう。ただ…部屋のあちらこちらに、アルフレッド様の似顔絵が貼っている。さらにアルフレッド様によく似たぬいぐるみや、私の似顔絵にナイフが刺さったものまで…
「この部屋は、カリーナ殿下の部屋なのですね…」
「ああ、そうだよ。すごいだろう?カリーナのアルフレッド殿に対する執着。カリーナはきっと、君たちを何が何でも引き裂くと思うよ。それにしても、カリーナって面白いでしょう?欲しいものを手に入れるためには、手段を択ばないのだよ。我が妹ながら、その執着、尊敬するよ…」
なぜかうっとりとした表情を浮かべている殿下。何なのこの男、気持ち悪い!やっぱりこの人、変態だわ!て、今は殿下の変態っぷりに引いている場合じゃない。アルフレッド様が心配だわ。
「殿下、申し訳ございませんが、アルフレッド様が心配ですので、私はこれで失礼いたします」
「待って、クリスティーヌ嬢…」
後ろで殿下が叫んでいるが、今はそれどころではない。急いで部屋へと戻る。
「お待たせしてごめんなさい。ちょっとお手洗いに手間取っておりまして」
部屋に入ると、なぜかアルフレッド様がカリーナ殿下を押し倒すような形になっていた。これは一体…
「違うんだ、これには訳が…」
「クリスティーヌ様、アルフレッド様が急に私に…」
ポロポロと涙を流すカリーナ殿下。来るのが遅かったのね…
「カリーナ殿下、お怪我はございませんか?それで一体、どうされたのですか?」
「アルフレッド様が急に私を押し倒してきて、その、みだらな事を…」
「違う!僕はそんな事をしていない。クリスティーヌが戻って来るタイミングを見計らって、彼女が僕の腕を無理やり引っ張って、押し倒すような形をとったんだ!本当だ、クリスティーヌ、信じてくれ」
必死に訴えかけてくるアルフレッド様。
「嘘ですわ。そもそもどうやって私が、クリスティーヌ様の動きを把握できるというのですか?」
確かにカリーナ殿下の言う通り、私がどのタイミングで部屋に入って来るかなんて、把握できないはずだ。でも…
ふと扉に背を付けて、こちらを見ているカロイド殿下の姿が目に入った。薄ら笑いを浮かべて、気持ち悪い顔でこちらを見ている。
「カリーナ殿下、アルフレッド様が申し訳ございませんでした。全て彼から目を離した私の責任です。もう二度とこのような事がない様に、アルフレッド様にはカリーナ殿下に近づかない様にさせます。王宮にも連れて参りませんので、どうかご安心を。さあ、アルフレッド様、帰りましょう」
「待って!私は別に、アルフレッド様から遠ざけて欲しいなどとは…」
「いいえ、これ以上アルフレッド様がカリーナ殿下に不快な事をしてしまうと、公爵家の名誉にもかかわります。本当に今回の件、申し訳ございませんでした。さあ、アルフレッド様、帰りましょう」
真っ青な顔をして小刻みに震えているアルフレッド様の手を握り、そのまま部屋を出る。部屋を出るとき、ニヤニヤとこちらを見ている殿下が目に入ったので、一応会釈だけはしておいた。
部屋から出る寸前、一瞬カリーナ殿下の方に目をやると、すごい形相でこちらを睨んでいた。やっぱり王族なんて、信用するべきではなかったわ。そのせいで、アルフレッド様を傷つけてしまったのだから…
「申し訳ないけれど、今カリーナ殿下とお茶をしている最中なの。すぐに戻らないと」
「でも…」
なぜか私を引き留めようとするメイド。おかしい!メイドを無視し、急いで2人のいる部屋に戻ろうとした時だった。
「やあ、クリスティーヌ嬢。今日はカリーナの為に、王宮に来てくれたのだったね。僕が誘っても、全然応じてくれないのに。寂しいな…」
やって来たのは、胡散臭い微笑を浮かべた殿下だ。
「申し訳ございませんが、殿下に構っている暇はございません。それでは失礼いたします」
なんだか嫌な予感がするのだ。早く戻らないと。
「待って、クリスティーヌ嬢。悪い事は言わないから、アルフレッド殿の事は諦めた方がいいよ。カリーナに目を付けられたら、もうおしまいだ。だから僕と…」
「どうして私がアルフレッド様を諦めないといけないのですか?とにかく私は戻ります」
何なのよこの男!鬱陶しいことこの上ない。
「いいよ、じゃあ、カリーナの恐ろしさを見せてあげる。こっちに来て」
私の手を握り、カロイド殿下が歩き出した。ちょっと、気安く触らないでよ!
「殿下、どこに…えっ…」
殿下がある部屋に連れて行ってくれた。とても豪華な造りで、きっと王族の部屋なのだろう。ただ…部屋のあちらこちらに、アルフレッド様の似顔絵が貼っている。さらにアルフレッド様によく似たぬいぐるみや、私の似顔絵にナイフが刺さったものまで…
「この部屋は、カリーナ殿下の部屋なのですね…」
「ああ、そうだよ。すごいだろう?カリーナのアルフレッド殿に対する執着。カリーナはきっと、君たちを何が何でも引き裂くと思うよ。それにしても、カリーナって面白いでしょう?欲しいものを手に入れるためには、手段を択ばないのだよ。我が妹ながら、その執着、尊敬するよ…」
なぜかうっとりとした表情を浮かべている殿下。何なのこの男、気持ち悪い!やっぱりこの人、変態だわ!て、今は殿下の変態っぷりに引いている場合じゃない。アルフレッド様が心配だわ。
「殿下、申し訳ございませんが、アルフレッド様が心配ですので、私はこれで失礼いたします」
「待って、クリスティーヌ嬢…」
後ろで殿下が叫んでいるが、今はそれどころではない。急いで部屋へと戻る。
「お待たせしてごめんなさい。ちょっとお手洗いに手間取っておりまして」
部屋に入ると、なぜかアルフレッド様がカリーナ殿下を押し倒すような形になっていた。これは一体…
「違うんだ、これには訳が…」
「クリスティーヌ様、アルフレッド様が急に私に…」
ポロポロと涙を流すカリーナ殿下。来るのが遅かったのね…
「カリーナ殿下、お怪我はございませんか?それで一体、どうされたのですか?」
「アルフレッド様が急に私を押し倒してきて、その、みだらな事を…」
「違う!僕はそんな事をしていない。クリスティーヌが戻って来るタイミングを見計らって、彼女が僕の腕を無理やり引っ張って、押し倒すような形をとったんだ!本当だ、クリスティーヌ、信じてくれ」
必死に訴えかけてくるアルフレッド様。
「嘘ですわ。そもそもどうやって私が、クリスティーヌ様の動きを把握できるというのですか?」
確かにカリーナ殿下の言う通り、私がどのタイミングで部屋に入って来るかなんて、把握できないはずだ。でも…
ふと扉に背を付けて、こちらを見ているカロイド殿下の姿が目に入った。薄ら笑いを浮かべて、気持ち悪い顔でこちらを見ている。
「カリーナ殿下、アルフレッド様が申し訳ございませんでした。全て彼から目を離した私の責任です。もう二度とこのような事がない様に、アルフレッド様にはカリーナ殿下に近づかない様にさせます。王宮にも連れて参りませんので、どうかご安心を。さあ、アルフレッド様、帰りましょう」
「待って!私は別に、アルフレッド様から遠ざけて欲しいなどとは…」
「いいえ、これ以上アルフレッド様がカリーナ殿下に不快な事をしてしまうと、公爵家の名誉にもかかわります。本当に今回の件、申し訳ございませんでした。さあ、アルフレッド様、帰りましょう」
真っ青な顔をして小刻みに震えているアルフレッド様の手を握り、そのまま部屋を出る。部屋を出るとき、ニヤニヤとこちらを見ている殿下が目に入ったので、一応会釈だけはしておいた。
部屋から出る寸前、一瞬カリーナ殿下の方に目をやると、すごい形相でこちらを睨んでいた。やっぱり王族なんて、信用するべきではなかったわ。そのせいで、アルフレッド様を傷つけてしまったのだから…
43
お気に入りに追加
1,271
あなたにおすすめの小説
私の婚約者は6人目の攻略対象者でした
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
王立学園の入学式。主人公のクラウディアは婚約者と共に講堂に向かっていた。
すると「きゃあ!」と、私達の行く手を阻むように、髪色がピンクの女生徒が転けた。『バターン』って効果音が聞こえてきそうな見事な転け方で。
そういえば前世、異世界を舞台にした物語のヒロインはピンク色が定番だった。
確か…入学式の日に学園で迷って攻略対象者に助けられたり、攻略対象者とぶつかって転けてしまったところを手を貸してもらったり…っていうのが定番の出会いイベントよね。
って……えっ!? ここってもしかして乙女ゲームの世界なの!?
ヒロイン登場に驚きつつも、婚約者と共に無意識に攻略対象者のフラグを折っていたクラウディア。
そんなクラウディアが幸せになる話。
※本編完結済※番外編更新中
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】
霙アルカ。
恋愛
王太子殿下がところ構わず愛を囁いてくるので困ってます。
辞めてと言っても辞めてくれないので、とりあえず寝ます。
王太子アスランは愛しいルディリアナに執着し、彼女を部屋に閉じ込めるが、アスランには他の女がいて、ルディリアナの心は壊れていく。
8月4日
完結しました。
私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる