52 / 62
第52話:真実が明らかになります
しおりを挟む
ドアの方を見ると、そこにはエヴァン様とハドソン殿下の姿が。
「やっと来たか…遅いぞエヴァン!」
「申し訳ございません、父上、少し編集に手間取っておりまして」
ホッとした表情のクリスティロソン公爵。よく見るとクリスティロソン公爵はもちろん、エヴァン様もハドソン殿下も、髪の毛はボサボサ、目も充血し目にくっきりとクマが出来ている。
「裁判員の皆さん、お待ちください。今回のアルフィーノ侯爵と令息の毒物栽培及び売買の罪に関して、不服申し立てを行います。これが不服申し立て状です」
「な…今更何をおっしゃるのですか?エヴァン殿。あなた様がルーナ嬢に熱をあげている事は知っております。でも、アルフィーノ侯爵家はこれほどまで決定的な証拠があるのです。それを今更不服申し立てを行うだなんて。それもハドソン殿下まで一緒に」
あり得ないと言った表情のヴィノーデル公爵。隣でナタリー様も怖い顔をして、エヴァン様達を睨んでいる。
「ヴィノーデル公爵、僕は王太子として、罪もない人間が裁かれようとしているのを黙って見ているほど愚かではありません。とにかく、これをご覧ください。エヴァン」
王太子殿下の指示で、エヴァン様が映像を流し始めた。これは、お父様の書斎ね。そこにはお父様専属の執事が、キョロキョロと辺りも見渡し、書類を入れている映像が。お父様とお兄様に偽の書類にサインさせている映像も流れた。
さらに、執事が手に入れた書類を別の使用人に渡す映像や、使用人と執事の会話も流れる。そこには
“旦那様と若旦那様から直筆のサインを手に入れた。これで私の家族は、解放してくれるのだろうな?”
“ああ、お前の家族は解放してやる。これをあのお方に渡せば、アルフィーノ侯爵家もおしまいだ”
“旦那様…若旦那様…お許しください…”
その場で泣き崩れる執事の姿が…
「アルフィーノ侯爵の専属執事は、何者かによって脅され、侯爵と令息に嘘のサインをさせました。さらに毒物の栽培や売買に関する書類も、こっそりと侯爵の部屋に置いたのです。そこで質問したいのですが、ヴィノーデル公爵、あなた様が持ってきた栽培契約に関する書類は、どうやって手に入れたのですか?」
エヴァン様がヴィノーデル公爵に詰め寄っている。
「そ…そんな物、私の家にタレこみに来たものに貰ったのだ。第一、こんな映像は偽物だ!どうやってこんな映像を撮る事が出来ると言うのだ?」
「アルフィーノ侯爵家には、本宅はもちろん、別宅にも監視用映像機が至る所に設置されておりました。元々はルーナをナタリー嬢から守るために設置されていたのですが、まさかこの様な目的で使う事になるなんてね」
「たとえその映像が本当だったとしても、アルフィーノ侯爵と令息は、実際サインをしているではないか?それに彼らは侯爵家で雇っていた使用人だぞ。使用人の不始末は、主である侯爵の不始末でもあるんだ!」
一歩の引かないヴィノーデル公爵。エヴァン様が一生懸命調べてくれた映像、このままでは判決は覆らないわ…
「そうですね…これだけでは意味がない事くらい、僕たちも分かっていますよ。それでは、これならどうですか?」
次に映し出された映像は、ヴィノーデル公爵と先ほど書類を受け取った使用人だ。
“ヴィノーデル公爵、例の書類を手に入れました。それから、栽培や売買に関する書類も、全てアルフィーノ侯爵の部屋に仕込んでおきました。これでアルフィーノ侯爵の有罪は確定です”
“よくやってくれた。これでアルフィーノ侯爵を潰すことが出来る。ただ…今まで我が家で栽培していた毒物を失う事にはなるが、これもナタリーの為だ。仕方がない。また新たな栽培場所を探さないとな”
“それにしても、公爵様が行っていた悪事を、そのままアルフィーノ侯爵に擦り付けるだなんて。そうそう、全ての毒物を失う訳にはいかないと考え、一部をヴィノーデル公爵家が所有する山岳部に移しておきましたよ。そうすれば、毒物収入をこれからも得られますからね”
“さすが私の執事だけの事はある。さすがだ”
ガハガハと笑うヴィノーデル公爵の顔を最後に、映像が消えた。
「何だこの映像は!まさか我がヴィノーデル公爵家も盗撮していたのか?公爵家を盗撮するだなんて、犯罪だぞ!」
今さらりと罪を認めたヴィノーデル公爵だが、自分の家が映し出された事に腹を立てている様で、その事に気が付いていない様子。
「盗撮?そんな事はしておりません。僕たちはアルフィーノ侯爵家に潜入していたスパイに、盗撮機を付けていたのですよ。この男、事件を起こす前から怪しい動きをしていたので、陰の護衛騎士にこっそりと盗撮機を付ける様に指示したのです。まさか、こんな映像が撮れるなんて。こっちはスパイに盗撮機を付けたところ、たまたまあなた様の家が映っただけです。さあ、もう言い逃れは出来ませんよ!アルフィーノ侯爵家に自分の罪を擦り付け、陥れようとしたのはあなたですね?ヴィノーデル公爵」
エヴァン様の言葉に、悔しそうに唇を噛むヴィノーデル公爵。エヴァン様とハドソン殿下、さらに周りの皆も公爵に注目している。
「やっと来たか…遅いぞエヴァン!」
「申し訳ございません、父上、少し編集に手間取っておりまして」
ホッとした表情のクリスティロソン公爵。よく見るとクリスティロソン公爵はもちろん、エヴァン様もハドソン殿下も、髪の毛はボサボサ、目も充血し目にくっきりとクマが出来ている。
「裁判員の皆さん、お待ちください。今回のアルフィーノ侯爵と令息の毒物栽培及び売買の罪に関して、不服申し立てを行います。これが不服申し立て状です」
「な…今更何をおっしゃるのですか?エヴァン殿。あなた様がルーナ嬢に熱をあげている事は知っております。でも、アルフィーノ侯爵家はこれほどまで決定的な証拠があるのです。それを今更不服申し立てを行うだなんて。それもハドソン殿下まで一緒に」
あり得ないと言った表情のヴィノーデル公爵。隣でナタリー様も怖い顔をして、エヴァン様達を睨んでいる。
「ヴィノーデル公爵、僕は王太子として、罪もない人間が裁かれようとしているのを黙って見ているほど愚かではありません。とにかく、これをご覧ください。エヴァン」
王太子殿下の指示で、エヴァン様が映像を流し始めた。これは、お父様の書斎ね。そこにはお父様専属の執事が、キョロキョロと辺りも見渡し、書類を入れている映像が。お父様とお兄様に偽の書類にサインさせている映像も流れた。
さらに、執事が手に入れた書類を別の使用人に渡す映像や、使用人と執事の会話も流れる。そこには
“旦那様と若旦那様から直筆のサインを手に入れた。これで私の家族は、解放してくれるのだろうな?”
“ああ、お前の家族は解放してやる。これをあのお方に渡せば、アルフィーノ侯爵家もおしまいだ”
“旦那様…若旦那様…お許しください…”
その場で泣き崩れる執事の姿が…
「アルフィーノ侯爵の専属執事は、何者かによって脅され、侯爵と令息に嘘のサインをさせました。さらに毒物の栽培や売買に関する書類も、こっそりと侯爵の部屋に置いたのです。そこで質問したいのですが、ヴィノーデル公爵、あなた様が持ってきた栽培契約に関する書類は、どうやって手に入れたのですか?」
エヴァン様がヴィノーデル公爵に詰め寄っている。
「そ…そんな物、私の家にタレこみに来たものに貰ったのだ。第一、こんな映像は偽物だ!どうやってこんな映像を撮る事が出来ると言うのだ?」
「アルフィーノ侯爵家には、本宅はもちろん、別宅にも監視用映像機が至る所に設置されておりました。元々はルーナをナタリー嬢から守るために設置されていたのですが、まさかこの様な目的で使う事になるなんてね」
「たとえその映像が本当だったとしても、アルフィーノ侯爵と令息は、実際サインをしているではないか?それに彼らは侯爵家で雇っていた使用人だぞ。使用人の不始末は、主である侯爵の不始末でもあるんだ!」
一歩の引かないヴィノーデル公爵。エヴァン様が一生懸命調べてくれた映像、このままでは判決は覆らないわ…
「そうですね…これだけでは意味がない事くらい、僕たちも分かっていますよ。それでは、これならどうですか?」
次に映し出された映像は、ヴィノーデル公爵と先ほど書類を受け取った使用人だ。
“ヴィノーデル公爵、例の書類を手に入れました。それから、栽培や売買に関する書類も、全てアルフィーノ侯爵の部屋に仕込んでおきました。これでアルフィーノ侯爵の有罪は確定です”
“よくやってくれた。これでアルフィーノ侯爵を潰すことが出来る。ただ…今まで我が家で栽培していた毒物を失う事にはなるが、これもナタリーの為だ。仕方がない。また新たな栽培場所を探さないとな”
“それにしても、公爵様が行っていた悪事を、そのままアルフィーノ侯爵に擦り付けるだなんて。そうそう、全ての毒物を失う訳にはいかないと考え、一部をヴィノーデル公爵家が所有する山岳部に移しておきましたよ。そうすれば、毒物収入をこれからも得られますからね”
“さすが私の執事だけの事はある。さすがだ”
ガハガハと笑うヴィノーデル公爵の顔を最後に、映像が消えた。
「何だこの映像は!まさか我がヴィノーデル公爵家も盗撮していたのか?公爵家を盗撮するだなんて、犯罪だぞ!」
今さらりと罪を認めたヴィノーデル公爵だが、自分の家が映し出された事に腹を立てている様で、その事に気が付いていない様子。
「盗撮?そんな事はしておりません。僕たちはアルフィーノ侯爵家に潜入していたスパイに、盗撮機を付けていたのですよ。この男、事件を起こす前から怪しい動きをしていたので、陰の護衛騎士にこっそりと盗撮機を付ける様に指示したのです。まさか、こんな映像が撮れるなんて。こっちはスパイに盗撮機を付けたところ、たまたまあなた様の家が映っただけです。さあ、もう言い逃れは出来ませんよ!アルフィーノ侯爵家に自分の罪を擦り付け、陥れようとしたのはあなたですね?ヴィノーデル公爵」
エヴァン様の言葉に、悔しそうに唇を噛むヴィノーデル公爵。エヴァン様とハドソン殿下、さらに周りの皆も公爵に注目している。
25
お気に入りに追加
2,946
あなたにおすすめの小説
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
虐げられた令嬢は、姉の代わりに王子へ嫁ぐ――たとえお飾りの妃だとしても
千堂みくま
恋愛
「この卑しい娘め、おまえはただの身代わりだろうが!」 ケルホーン伯爵家に生まれたシーナは、ある理由から義理の家族に虐げられていた。シーナは姉のルターナと瓜二つの顔を持ち、背格好もよく似ている。姉は病弱なため、義父はシーナに「ルターナの代わりに、婚約者のレクオン王子と面会しろ」と強要してきた。二人はなんとか支えあって生きてきたが、とうとうある冬の日にルターナは帰らぬ人となってしまう。「このお金を持って、逃げて――」ルターナは最後の力で屋敷から妹を逃がし、シーナは名前を捨てて別人として暮らしはじめたが、レクオン王子が迎えにやってきて……。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした
Karamimi
恋愛
15歳のフローラは、ドミスティナ王国で平和に暮らしていた。そんなフローラは元公爵令嬢。
約9年半前、フェザー公爵に嵌められ国家反逆罪で家族ともども捕まったフローラ。
必死に無実を訴えるフローラの父親だったが、国王はフローラの父親の言葉を一切聞き入れず、両親と兄を処刑。フローラと2歳年上の姉は、国外追放になった。身一つで放り出された幼い姉妹。特に体の弱かった姉は、寒さと飢えに耐えられず命を落とす。
そんな中1人生き残ったフローラは、運よく近くに住む女性の助けを受け、何とか平民として生活していた。
そんなある日、大けがを負った青年を森の中で見つけたフローラ。家に連れて帰りすぐに医者に診せたおかげで、青年は一命を取り留めたのだが…
「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」
そうフローラを怒鳴りつける青年。そんな青年にフローラは
「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!」
そう伝え、大けがをしている青年を献身的に看護するのだった。一緒に生活する中で、いつしか2人の間に、恋心が芽生え始めるのだが…
甘く切ない異世界ラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる