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第115話:婚約披露パーティの日を迎えました
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「ルージュ、準備は出来たかい?」
「ええ、バッチリよ」
紫色のドレスに身を包み、首にはブルーパールのネックレスを付けた。このネックレスは、叔母様が送ってくれたものだ。どうやらパレッサ王国では、好きな人の瞳の色に加工した真珠を身に付けると、ずっとその人と一緒にいられると言われているらしい。
わざわざこの日の為に、船で1ヶ月かけて運ばれてきたのだ。叔母様の思いがたっぷり詰まった真珠は、なんだか重みがある。
「その真珠、パレッサ王国から今日の日の為に運ばれてきたそうだね。とても綺麗だ。よく似合っているよ」
「本当に美しい真珠ですわ。まるでグレイソン様の瞳の色みたい。グレイソン様、どうかこの真珠の様に、いつも瞳を輝かせていてくださいね」
もう二度と、あんな絶望に満ちたグレイソン様の瞳は見たくない。これからはこの真珠の様に、希望に満ちた輝きを放ったグレイソン様の瞳を見ていたいのだ。
「この真珠の様にか。それは中々難しいな。でも、ルージュが望むのなら、頑張るよ。さあ、そろそろ行こう。今日はたくさんの人が、僕たちの為に集まってくれているよ」
差し出された手を握り、2人で今日の会場でもあるホールへと向かった。
「グレイソン、そのスーツ、よく似合っているぞ。亡くなった君の父親にそっくりだ」
「本当ね…今日のグレイソンの姿を見て、天国の2人もきっと喜んでいるわ」
なぜかお父様とお母様が、グレイソン様の姿を見て涙ぐんでいる。そういえば今日のグレイソン様のスーツ、少し古いものを着ているのよね。
「義父上、義母上、この5年、僕を大切に育てて下さり、ありがとうございました。そして、今日の日の為に、父が母と婚約した時に着ていたスーツを叔父から取り返してくださったのですね。父と同じスーツを着て、ルージュと婚約出来る事を、幸せに思っています」
「「グレイソン!」」
お父様とお母様が、グレイソン様に抱き着いている。ちょっと待って、なんだかグレイソン様がお嫁に行くみたいになっているじゃない。
それにしてもお父様ったら、まさかグレイソン様のお父様のスーツを取り寄せるだなんて。中々やるわね。
「グレイソン様、そのスーツ、とてもよく似合っておりますよ。もしかしたら今頃、ご両親が私たちの様子を見に来ていらっしゃるかもしれませんね。ご両親に安心して頂けるよう、目いっぱい幸せな姿を見せて差し上げましょう」
「ありがとう、ルージュ。そうだね、僕の幸せな姿を亡くなった両親はもちろん、今の両親にも見せないと。そうでしょう?義父上、義母上」
「グレイソン、お願い、これ以上私たちを泣かせないで」
何となく気が付いていた。お父様とお母様は、実の娘の私よりもグレイソン様の事を大切にしているという事を。正直娘としては複雑だが、まあいいか。
「お父様もお母様も、もうすぐお客様が来ますわ。いつまでもビービー泣いていないで、しゃきっとしてください」
「ルージュ、お前も私たちに感謝の言葉はないのかい?」
「そうよ、少しくらい感謝をしてくれてもいいじゃない」
「はいはい、お父様、お母様、私の事を大切に育ててくれて、ありがとうございました。これからもどうかよろしくお願いいたします。これでよろしいですか?」
「愛情がこもっていないぞ!」
「そうよ」
ブーブー文句を言う両親。
「私はお父様のこともお母様のことも、大切に思っておりますわ。どうかこれからは、心穏やかに生きて下さい。今まで沢山迷惑をかけた分、これからは私達が2人を幸せにしますわ。それが私たちの願いでもあるのです。そうでしょう、グレイソン様」
「もちろんです。今まで散々心配をかけ多分、これからは義両親には楽をしてもらうつもりでいますから」
グレイソン様も同意してくれた。
1度目の生では、壮絶な最期を遂げた両親。さぞ無念だっただろう。でも、今回の生では、どうか穏やかな日々を過ごして欲しい。
「「ルージュ!グレイソン」」
なぜか私まで巻き込んで、抱きしめられた。涙も止まるどころか、酷くなっている。でも、まあいいか。そっとお父様とお母様の背中に手を回した。
「旦那様、奥様、坊ちゃま、お嬢様、お取込み中のところ申し訳ございません。来賓の皆様が続々といらしております」
ふと入口の方を見ると、沢山の貴族たちがやって来ていた。いけない!
両親もスッと涙をぬぐうと、来賓の対応に向かう。それにしても凄い数ね。さすが公爵家の婚約披露パーティだわ。
「ルージュ、グレイソン様、今日はおめでとうございます」
「グレイソン、ルージュ嬢、おめでとう」
「皆、来てくれたのね。嬉しいわ」
私達の元にやって来たのは、友人達4人とアルフレッド様、さらにクラスメイト達だ。殿下の姿もある。さらに次々とやって来る来賓たちから、祝福の言葉を頂いた。
ふと周りを見ると、ファウスン侯爵夫妻の姿もある。ただ、特に挨拶もせずに、こちらを睨みつけると帰って行った。きっとヴァイオレットの件で、我が家に恨みでも抱いているのだろう。
それでも一応、侯爵家として顔を出したのだろう。別に祝いたくないなら、来てもらわなくてもよかったのだが…
ヴァイオレットか…
1ヶ月後には謹慎が解かれ、再び学院に戻って来る。きっとあの人の事だから、何かやらかすに決まっている。
ただ…
いつまでもヴァイオレットに付き合ってもいられない。そろそろケリをつけないと!
「ルージュ、怖い顔をしてどうしたのだい?今日は僕たちの為に、皆が集まってくれたのだよ。これから皆に挨拶に行こう。ついでに顔も覚えてもらいたいしね」
しまった、ついヴァイオレットの事を考えてしまったわ。今日は私達の婚約披露パーティなのだ。目いっぱい楽しまないと。
その後も時間が許す限り、挨拶回りを行った。たくさんの貴族たちに祝福され、グレイソン様もとても嬉しそうだった。この笑顔をずっと守っていきたい。
その為にも、そろそろ決着をつけないと!
「ええ、バッチリよ」
紫色のドレスに身を包み、首にはブルーパールのネックレスを付けた。このネックレスは、叔母様が送ってくれたものだ。どうやらパレッサ王国では、好きな人の瞳の色に加工した真珠を身に付けると、ずっとその人と一緒にいられると言われているらしい。
わざわざこの日の為に、船で1ヶ月かけて運ばれてきたのだ。叔母様の思いがたっぷり詰まった真珠は、なんだか重みがある。
「その真珠、パレッサ王国から今日の日の為に運ばれてきたそうだね。とても綺麗だ。よく似合っているよ」
「本当に美しい真珠ですわ。まるでグレイソン様の瞳の色みたい。グレイソン様、どうかこの真珠の様に、いつも瞳を輝かせていてくださいね」
もう二度と、あんな絶望に満ちたグレイソン様の瞳は見たくない。これからはこの真珠の様に、希望に満ちた輝きを放ったグレイソン様の瞳を見ていたいのだ。
「この真珠の様にか。それは中々難しいな。でも、ルージュが望むのなら、頑張るよ。さあ、そろそろ行こう。今日はたくさんの人が、僕たちの為に集まってくれているよ」
差し出された手を握り、2人で今日の会場でもあるホールへと向かった。
「グレイソン、そのスーツ、よく似合っているぞ。亡くなった君の父親にそっくりだ」
「本当ね…今日のグレイソンの姿を見て、天国の2人もきっと喜んでいるわ」
なぜかお父様とお母様が、グレイソン様の姿を見て涙ぐんでいる。そういえば今日のグレイソン様のスーツ、少し古いものを着ているのよね。
「義父上、義母上、この5年、僕を大切に育てて下さり、ありがとうございました。そして、今日の日の為に、父が母と婚約した時に着ていたスーツを叔父から取り返してくださったのですね。父と同じスーツを着て、ルージュと婚約出来る事を、幸せに思っています」
「「グレイソン!」」
お父様とお母様が、グレイソン様に抱き着いている。ちょっと待って、なんだかグレイソン様がお嫁に行くみたいになっているじゃない。
それにしてもお父様ったら、まさかグレイソン様のお父様のスーツを取り寄せるだなんて。中々やるわね。
「グレイソン様、そのスーツ、とてもよく似合っておりますよ。もしかしたら今頃、ご両親が私たちの様子を見に来ていらっしゃるかもしれませんね。ご両親に安心して頂けるよう、目いっぱい幸せな姿を見せて差し上げましょう」
「ありがとう、ルージュ。そうだね、僕の幸せな姿を亡くなった両親はもちろん、今の両親にも見せないと。そうでしょう?義父上、義母上」
「グレイソン、お願い、これ以上私たちを泣かせないで」
何となく気が付いていた。お父様とお母様は、実の娘の私よりもグレイソン様の事を大切にしているという事を。正直娘としては複雑だが、まあいいか。
「お父様もお母様も、もうすぐお客様が来ますわ。いつまでもビービー泣いていないで、しゃきっとしてください」
「ルージュ、お前も私たちに感謝の言葉はないのかい?」
「そうよ、少しくらい感謝をしてくれてもいいじゃない」
「はいはい、お父様、お母様、私の事を大切に育ててくれて、ありがとうございました。これからもどうかよろしくお願いいたします。これでよろしいですか?」
「愛情がこもっていないぞ!」
「そうよ」
ブーブー文句を言う両親。
「私はお父様のこともお母様のことも、大切に思っておりますわ。どうかこれからは、心穏やかに生きて下さい。今まで沢山迷惑をかけた分、これからは私達が2人を幸せにしますわ。それが私たちの願いでもあるのです。そうでしょう、グレイソン様」
「もちろんです。今まで散々心配をかけ多分、これからは義両親には楽をしてもらうつもりでいますから」
グレイソン様も同意してくれた。
1度目の生では、壮絶な最期を遂げた両親。さぞ無念だっただろう。でも、今回の生では、どうか穏やかな日々を過ごして欲しい。
「「ルージュ!グレイソン」」
なぜか私まで巻き込んで、抱きしめられた。涙も止まるどころか、酷くなっている。でも、まあいいか。そっとお父様とお母様の背中に手を回した。
「旦那様、奥様、坊ちゃま、お嬢様、お取込み中のところ申し訳ございません。来賓の皆様が続々といらしております」
ふと入口の方を見ると、沢山の貴族たちがやって来ていた。いけない!
両親もスッと涙をぬぐうと、来賓の対応に向かう。それにしても凄い数ね。さすが公爵家の婚約披露パーティだわ。
「ルージュ、グレイソン様、今日はおめでとうございます」
「グレイソン、ルージュ嬢、おめでとう」
「皆、来てくれたのね。嬉しいわ」
私達の元にやって来たのは、友人達4人とアルフレッド様、さらにクラスメイト達だ。殿下の姿もある。さらに次々とやって来る来賓たちから、祝福の言葉を頂いた。
ふと周りを見ると、ファウスン侯爵夫妻の姿もある。ただ、特に挨拶もせずに、こちらを睨みつけると帰って行った。きっとヴァイオレットの件で、我が家に恨みでも抱いているのだろう。
それでも一応、侯爵家として顔を出したのだろう。別に祝いたくないなら、来てもらわなくてもよかったのだが…
ヴァイオレットか…
1ヶ月後には謹慎が解かれ、再び学院に戻って来る。きっとあの人の事だから、何かやらかすに決まっている。
ただ…
いつまでもヴァイオレットに付き合ってもいられない。そろそろケリをつけないと!
「ルージュ、怖い顔をしてどうしたのだい?今日は僕たちの為に、皆が集まってくれたのだよ。これから皆に挨拶に行こう。ついでに顔も覚えてもらいたいしね」
しまった、ついヴァイオレットの事を考えてしまったわ。今日は私達の婚約披露パーティなのだ。目いっぱい楽しまないと。
その後も時間が許す限り、挨拶回りを行った。たくさんの貴族たちに祝福され、グレイソン様もとても嬉しそうだった。この笑顔をずっと守っていきたい。
その為にも、そろそろ決着をつけないと!
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