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第78話:殿下と話をしました~グレイソン視点~
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結局ルージュの事が心配で、ほとんど眠る事が出来なかった僕は、翌朝ルージュの部屋の前で待つ。どうやらメイドの話では、あの後悪夢にうなされることなく、ぐっすり眠っていたとの事。
その点はホッとした。
しばらく待っていると、ルージュが出て来た。
「おはよう、ルージュ」
「おはようございます、グレイソン様。私を待っていて下さったのですか?嬉しいですわ」
いつも通りの笑顔で、挨拶をしてくれたルージュ。昨日とは打って変わって、穏やかな表情を浮かべている。その姿に、心底ほっとした。
「あら?グレイソン様、なんだか顔色が悪いですわよ。まさか昨日の夜、寝ていらっしゃらないのですか?」
さすがルージュ、よく僕の事を見ている。
「ああ、でも大丈夫だよ。さあ、朝食を食べて学院に向かおう」
「何が大丈夫なのですか?今日は学院をお休みして…」
「本当に大丈夫だよ。ほら、行こう」
不満そうなルージュの手を握り、食堂へと向かった。本当にルージュは僕の事をよく見ている。やっぱり昨日、少しは寝ておくべきだったな。そう後悔をするものの、あの時の僕の心境では、とてもじゃないけれど眠れなかったのだから仕方がない。
気を取り直して制服に着替え、馬車に乗り込むと学院へと向かった。
「グレイソン様、私のせいでごめんなさい。でも、もう大丈夫ですわ」
そう笑顔を僕に向けてくれるルージュ。学院に着いた後も、いつも通り過ごしているルージュを見て、なんだかホッとした。ただ…殿下がいつもの様に、ルージュを見つめていた。さらにヴァイオレット嬢が、ルージュを睨みつけている。
ヴァイオレット嬢は、どうしてそこまでルージュを嫌うのだろう。ルージュが何をしたというのか…
本当に理解できない女性だ。
ただ、理解できないと言えば殿下もだ。どうして殿下は、ルージュに避けられているのに、そこまでルージュに執着するのだろう。
それに昨日のルージュの寝言…
“殿下はまた私を殺すのですか?両親まで殺して”
あの言葉が頭から離れない。もしかして過去に殿下は、ルージュと義父上と義母上を殺した?いや、さすがに非現実すぎる。でも、ルージュのあの怯えようや尋常でない程の汗。彼女の様子を見ていると、なんだか現実に起こった事が、悪夢としてルージュを苦しめている様な気がする。
ダメだ、気になって仕方がない。
こうなったら、本人に聞くしかない。
僕は放課後、殿下を呼び出した。
「殿下、急にお呼び立てして申し訳ございません」
「別に構わないよ。もしかして、ルージュ嬢の事かい?」
さすが殿下、勘がさえているな。
「はい、そうです。無礼を承知でお伺いいたします。昨日ルージュは、僕と会う前から殿下に会っている。そして殿下をその…」
さすがに殿下を恨んでいるなんて、本人には言えない。
「ルージュは君にそんな事を話したのだね。そうだよ、僕とルージュは、かつて婚約者同士だったんだ。でも僕は、彼女を裏切った…それも最悪な形でね…」
切なそうに呟く殿下。かつて婚約者同士だった?一体何を言っているのだ?ルージュは誰とも婚約を結んでなんていなかったはずだ。
でも、殿下が嘘を付いているとは思えない。
「殿下は、ルージュと義父上と、義母上の命を奪ったのですか?」
昨日ルージュの寝言を思い出し、ついそんな事を呟いてしまった。まずい、さすがに失礼すぎる。
「申し訳…」
「ああ、あの頃の僕は本当に愚かだったからね。ヴァイオレットなんかにうつつを抜かし、あの女の言う事を鵜呑みにした結果、僕はルージュもヴァレスティナ公爵も夫人も死なせてしまった。グレイソン殿、君の命も僕が奪ったんだ」
「僕の命も?」
「君はルージュからどこまで話を聞いているのか分からないが、僕とルージュは、ひょんなことから今、2度目の生を生きているのだよ。1度目の生で僕は、ヴァイオレットの虜になり、ルージュに無実の罪を着せ、婚約を解消した。さらに君を含めたヴァレスティナ公爵家の人間を死に追いやったんだ。だからルージュが、僕を嫌っているのは当然だ。ただ僕は…」
ポロポロと殿下が涙を流している。
今二度目の生を生きている?そんな事があるのだろうか?でも、殿下やルージュの様子を見ていると、嘘を付いている様には見えない。それに殿下の話を聞き、今までずっと不思議に思っていたことが、全て解消されたのだ。
そうか、だから殿下はルージュの事を何でも知っていたのだな。そしてルージュは、1度目の生で自分を裏切り、自分と家族を殺した殿下を深く恨んでいたのか。
その点はホッとした。
しばらく待っていると、ルージュが出て来た。
「おはよう、ルージュ」
「おはようございます、グレイソン様。私を待っていて下さったのですか?嬉しいですわ」
いつも通りの笑顔で、挨拶をしてくれたルージュ。昨日とは打って変わって、穏やかな表情を浮かべている。その姿に、心底ほっとした。
「あら?グレイソン様、なんだか顔色が悪いですわよ。まさか昨日の夜、寝ていらっしゃらないのですか?」
さすがルージュ、よく僕の事を見ている。
「ああ、でも大丈夫だよ。さあ、朝食を食べて学院に向かおう」
「何が大丈夫なのですか?今日は学院をお休みして…」
「本当に大丈夫だよ。ほら、行こう」
不満そうなルージュの手を握り、食堂へと向かった。本当にルージュは僕の事をよく見ている。やっぱり昨日、少しは寝ておくべきだったな。そう後悔をするものの、あの時の僕の心境では、とてもじゃないけれど眠れなかったのだから仕方がない。
気を取り直して制服に着替え、馬車に乗り込むと学院へと向かった。
「グレイソン様、私のせいでごめんなさい。でも、もう大丈夫ですわ」
そう笑顔を僕に向けてくれるルージュ。学院に着いた後も、いつも通り過ごしているルージュを見て、なんだかホッとした。ただ…殿下がいつもの様に、ルージュを見つめていた。さらにヴァイオレット嬢が、ルージュを睨みつけている。
ヴァイオレット嬢は、どうしてそこまでルージュを嫌うのだろう。ルージュが何をしたというのか…
本当に理解できない女性だ。
ただ、理解できないと言えば殿下もだ。どうして殿下は、ルージュに避けられているのに、そこまでルージュに執着するのだろう。
それに昨日のルージュの寝言…
“殿下はまた私を殺すのですか?両親まで殺して”
あの言葉が頭から離れない。もしかして過去に殿下は、ルージュと義父上と義母上を殺した?いや、さすがに非現実すぎる。でも、ルージュのあの怯えようや尋常でない程の汗。彼女の様子を見ていると、なんだか現実に起こった事が、悪夢としてルージュを苦しめている様な気がする。
ダメだ、気になって仕方がない。
こうなったら、本人に聞くしかない。
僕は放課後、殿下を呼び出した。
「殿下、急にお呼び立てして申し訳ございません」
「別に構わないよ。もしかして、ルージュ嬢の事かい?」
さすが殿下、勘がさえているな。
「はい、そうです。無礼を承知でお伺いいたします。昨日ルージュは、僕と会う前から殿下に会っている。そして殿下をその…」
さすがに殿下を恨んでいるなんて、本人には言えない。
「ルージュは君にそんな事を話したのだね。そうだよ、僕とルージュは、かつて婚約者同士だったんだ。でも僕は、彼女を裏切った…それも最悪な形でね…」
切なそうに呟く殿下。かつて婚約者同士だった?一体何を言っているのだ?ルージュは誰とも婚約を結んでなんていなかったはずだ。
でも、殿下が嘘を付いているとは思えない。
「殿下は、ルージュと義父上と、義母上の命を奪ったのですか?」
昨日ルージュの寝言を思い出し、ついそんな事を呟いてしまった。まずい、さすがに失礼すぎる。
「申し訳…」
「ああ、あの頃の僕は本当に愚かだったからね。ヴァイオレットなんかにうつつを抜かし、あの女の言う事を鵜呑みにした結果、僕はルージュもヴァレスティナ公爵も夫人も死なせてしまった。グレイソン殿、君の命も僕が奪ったんだ」
「僕の命も?」
「君はルージュからどこまで話を聞いているのか分からないが、僕とルージュは、ひょんなことから今、2度目の生を生きているのだよ。1度目の生で僕は、ヴァイオレットの虜になり、ルージュに無実の罪を着せ、婚約を解消した。さらに君を含めたヴァレスティナ公爵家の人間を死に追いやったんだ。だからルージュが、僕を嫌っているのは当然だ。ただ僕は…」
ポロポロと殿下が涙を流している。
今二度目の生を生きている?そんな事があるのだろうか?でも、殿下やルージュの様子を見ていると、嘘を付いている様には見えない。それに殿下の話を聞き、今までずっと不思議に思っていたことが、全て解消されたのだ。
そうか、だから殿下はルージュの事を何でも知っていたのだな。そしてルージュは、1度目の生で自分を裏切り、自分と家族を殺した殿下を深く恨んでいたのか。
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