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第28話:グレイソン様のお陰でお茶会も無事に終わりました
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「まあ、お花畑に行くのですか?それなら是時私たちもご一緒させていただきたいですわ」
「私もですわ。本当に王宮の中庭は、お美しいですものね」
どこからともなく現れた令嬢たちに、一瞬にして殿下は囲まれてしまった。
「君たち、一体どこから…」
「さあ、参りましょう」
殿下を連れて奥に入っていく令嬢たち。
「僕たちはお邪魔の様なので、ここで失礼します。殿下、次こそは僕に綺麗なキンシバイ畑を見せて下さいね」
笑顔でグレイソン様が殿下たちに手を振っている。その瞬間
「止めろ、グレイソン。何なんだよお前」
「グレイソン様ったら。もう笑いをこらえるのに必死だったのですよ」
「もうだめ。それにしてもクリストファーのあの顔。見た?”僕はそっち方面には興味がない”みたいな顔をしていたわよ。どうしたらそんな誤解をするのかしら?」
「やっぱり殿下、グレイソン様が殿下に好意を抱いたと勘違いしたわよね。もうだめ、おかしすぎる」
皆が一斉に声を上げて笑ったのだ。あの場面で一体何がおかしいところがあったのだろう。全く分からないが、皆楽しそうだ。
「僕はただ、ルージュが困っていたから助けようと思っただけだよ。今日は僕がルージュを守ると決めていたからね」
「そうでしたわね。守って頂き、ありがとうございました」
グレイソン様のお陰で、殿下に触れられることもなかったし、連れていかれる事もなったのだ。グレイソン様には感謝しかないのだが、なぜか皆が笑っているのだ。
「皆、殿下も連れ去られた事だし、いつまでも笑っていないでお菓子を食べに行こうよ。王宮のお菓子、とても美味しいだろう。僕はあの美味しいお菓子を、ルージュにも食べさせてあげたいんだよ」
「そうね、でも、もう少しだけ待って…」
必死に呼吸を整えようとしている。セレーナに至っては、目に涙まで浮かべているし。
「ルージュ、これはダメだよ。僕たちだけ先にお菓子を食べに行こう。皆、落ち着いたら後で来てね」
グレイソン様が私の手をしっかり握ると、2人で一緒に王宮のお菓子を頂いた。
「どうだい、とても美味しいだろう?」
「ええ、本当に美味しいですわ。特にこのイチゴのムースが格別です」
私はこのイチゴのムースが大好きだったのだ。今日は沢山イチゴのムースが準備されている。やっぱりこのムースが一番おいしいわ。
その後友人たちも合流し、皆でお腹いっぱいお菓子を頂いたのだった。
「それでは皆、今日は色々とありがとう」
「こちらこそ、面白いものを見させてもらったわ。それからグレイソン様、ルージュを守って下さり、ありがとうございました」
「僕は当たり前の事をしただけで、お礼を言われることはしていないよ。それに今までずっとルージュに守ってもらっていたから。今日ルージュを守れて、とても嬉しかったんだ」
「グレイソン様ったら。ルージュ、素敵な殿方がすぐ近くにいてくれて、よかったわね。それじゃあ、またね」
「ええ、それじゃあね」
グレイソン様と一緒に馬車に乗り込んで、家路を目指す。今日は色々とあったけれど、楽しかった。殿下の件も、最初は恐怖でパニックになってしまったけれど、グレイソン様達のお陰で、冷静に対応する事が出来た。
ただ…
どうして私に話しかけてきたのかしら?1度目の生の時は、私から話し掛けた記憶があるし、殿下から令嬢に話しかける事はあまり考えられないのだが…
まあいいか。深く考えても仕方がない。
それにもうすぐ、あの女も領地から戻って来くるし、貴族学院も始まる。
あの女に会うのか…正直恐怖でしかないのだが…
て、そんな弱気じゃダメよ。もう私は、あの女に関わらないと決めたのよ。本当はあの女にギャフンと言わせたい気持ちもあるが、そんな事をしたらきっと、倍返しに合うわ。
あの女はとても恐ろしい女なのだから…
あの女の事を考えたら、一気に気が重くなってきた…
「ルージュ、また顔色が悪いね。大丈夫かい?」
しまった、またグレイソン様に心配をかけてしまった。
「ええ、大丈夫ですわ。グレイソン様、今日は私を守って下さり、ありがとうございます。お陰で楽しい時間を過ごすことが出来ました。もう王宮主催のお茶会でも、どんとこいですわ」
「それは良かったよ。ルージュにそう言ってもらえると、僕は本当に嬉しいんだ。これからもずっとルージュの傍にいて、守るからね」
「それは心強いですわ。期待しておりますから」
1度目の生の時との最大の違いは、グレイソン様との絆が深まった事だ。きっと今のグレイソン様なら、私たち家族を裏切る事は絶対ない。
それに既に友達が沢山いて、孤独とは無縁になったグレイソン様が、ヴァイオレットに惹かれる事もない…と言いたいが、あの女、見た目だけは可愛いのよね。
やっぱり油断は出来ないが、それでも今、グレイソン様が私を守ると言ってくれていることが嬉しくてたまらない。
貴族学院入学まで、後5ヶ月たらず。それまでは今の幸せを噛みしめながら、穏やかに暮らしたい。そう強く思ったのだった。
※次回、クリストファー視点です。
よろしくお願いします。
「私もですわ。本当に王宮の中庭は、お美しいですものね」
どこからともなく現れた令嬢たちに、一瞬にして殿下は囲まれてしまった。
「君たち、一体どこから…」
「さあ、参りましょう」
殿下を連れて奥に入っていく令嬢たち。
「僕たちはお邪魔の様なので、ここで失礼します。殿下、次こそは僕に綺麗なキンシバイ畑を見せて下さいね」
笑顔でグレイソン様が殿下たちに手を振っている。その瞬間
「止めろ、グレイソン。何なんだよお前」
「グレイソン様ったら。もう笑いをこらえるのに必死だったのですよ」
「もうだめ。それにしてもクリストファーのあの顔。見た?”僕はそっち方面には興味がない”みたいな顔をしていたわよ。どうしたらそんな誤解をするのかしら?」
「やっぱり殿下、グレイソン様が殿下に好意を抱いたと勘違いしたわよね。もうだめ、おかしすぎる」
皆が一斉に声を上げて笑ったのだ。あの場面で一体何がおかしいところがあったのだろう。全く分からないが、皆楽しそうだ。
「僕はただ、ルージュが困っていたから助けようと思っただけだよ。今日は僕がルージュを守ると決めていたからね」
「そうでしたわね。守って頂き、ありがとうございました」
グレイソン様のお陰で、殿下に触れられることもなかったし、連れていかれる事もなったのだ。グレイソン様には感謝しかないのだが、なぜか皆が笑っているのだ。
「皆、殿下も連れ去られた事だし、いつまでも笑っていないでお菓子を食べに行こうよ。王宮のお菓子、とても美味しいだろう。僕はあの美味しいお菓子を、ルージュにも食べさせてあげたいんだよ」
「そうね、でも、もう少しだけ待って…」
必死に呼吸を整えようとしている。セレーナに至っては、目に涙まで浮かべているし。
「ルージュ、これはダメだよ。僕たちだけ先にお菓子を食べに行こう。皆、落ち着いたら後で来てね」
グレイソン様が私の手をしっかり握ると、2人で一緒に王宮のお菓子を頂いた。
「どうだい、とても美味しいだろう?」
「ええ、本当に美味しいですわ。特にこのイチゴのムースが格別です」
私はこのイチゴのムースが大好きだったのだ。今日は沢山イチゴのムースが準備されている。やっぱりこのムースが一番おいしいわ。
その後友人たちも合流し、皆でお腹いっぱいお菓子を頂いたのだった。
「それでは皆、今日は色々とありがとう」
「こちらこそ、面白いものを見させてもらったわ。それからグレイソン様、ルージュを守って下さり、ありがとうございました」
「僕は当たり前の事をしただけで、お礼を言われることはしていないよ。それに今までずっとルージュに守ってもらっていたから。今日ルージュを守れて、とても嬉しかったんだ」
「グレイソン様ったら。ルージュ、素敵な殿方がすぐ近くにいてくれて、よかったわね。それじゃあ、またね」
「ええ、それじゃあね」
グレイソン様と一緒に馬車に乗り込んで、家路を目指す。今日は色々とあったけれど、楽しかった。殿下の件も、最初は恐怖でパニックになってしまったけれど、グレイソン様達のお陰で、冷静に対応する事が出来た。
ただ…
どうして私に話しかけてきたのかしら?1度目の生の時は、私から話し掛けた記憶があるし、殿下から令嬢に話しかける事はあまり考えられないのだが…
まあいいか。深く考えても仕方がない。
それにもうすぐ、あの女も領地から戻って来くるし、貴族学院も始まる。
あの女に会うのか…正直恐怖でしかないのだが…
て、そんな弱気じゃダメよ。もう私は、あの女に関わらないと決めたのよ。本当はあの女にギャフンと言わせたい気持ちもあるが、そんな事をしたらきっと、倍返しに合うわ。
あの女はとても恐ろしい女なのだから…
あの女の事を考えたら、一気に気が重くなってきた…
「ルージュ、また顔色が悪いね。大丈夫かい?」
しまった、またグレイソン様に心配をかけてしまった。
「ええ、大丈夫ですわ。グレイソン様、今日は私を守って下さり、ありがとうございます。お陰で楽しい時間を過ごすことが出来ました。もう王宮主催のお茶会でも、どんとこいですわ」
「それは良かったよ。ルージュにそう言ってもらえると、僕は本当に嬉しいんだ。これからもずっとルージュの傍にいて、守るからね」
「それは心強いですわ。期待しておりますから」
1度目の生の時との最大の違いは、グレイソン様との絆が深まった事だ。きっと今のグレイソン様なら、私たち家族を裏切る事は絶対ない。
それに既に友達が沢山いて、孤独とは無縁になったグレイソン様が、ヴァイオレットに惹かれる事もない…と言いたいが、あの女、見た目だけは可愛いのよね。
やっぱり油断は出来ないが、それでも今、グレイソン様が私を守ると言ってくれていることが嬉しくてたまらない。
貴族学院入学まで、後5ヶ月たらず。それまでは今の幸せを噛みしめながら、穏やかに暮らしたい。そう強く思ったのだった。
※次回、クリストファー視点です。
よろしくお願いします。
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