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第27話:どうして絡んでくるのですか?
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「ルージュ、本当に大丈夫かい?随分と顔色が悪いよ。とにかくイスに座ろう」
「私、飲み物を持って来るわ。待っていて」
皆が私を心配して、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。なんだか申し訳ない。でも、皆の優しさが嬉しくてたまらない。私は間違いなく1人じゃない。皆が私の傍にいてくれる。
でも…
1度目の生の時だって、グレイソン様とは関係は良くなかったが、それでも他の皆とは良好だった。その事を考えると…
て、弱気になってはダメよ。今回はちゃんと、最初から殿下に近づかないようにしているし、きっと大丈夫。それにいつまでも殿下を怖がっているだなんて、みっともない。私はもっともっと強くならないといけないのだ!
「ルージュ、はい、ジュースよ」
「ありがとう、もう随分と気分もよくなったし、大丈夫よ。せっかくだから、中庭を見て回りましょう。それから、美味しいお料理も頂かないと」
「いつものルージュに戻ったわね。よかったわ。それじゃあ、私が案内してあげる。中庭は私にとって庭みたいなものだから」
案内役を買って出てくれたのは、セレーナだ。セレーナのお父様は陛下の弟。そのせいか、セレーナは子供の頃からよく王宮に遊びに来ていたらしい。ただ、少し気の強いセレーナと穏やかな性格の殿下は、あまり気が合わないらしい。
昔殿下がそんな様なことを言っていた。正直私も王宮の中庭は庭みたいなものだが、今日は初めて王宮に遊びに来た事になっている為、素直に案内してもらう事にした。
「この前初めて王宮の中庭を見せてもらったけれど、とても綺麗だったんだよ」
「まあ、そうなのですね。それは楽しみですわ」
見慣れた中庭を見ていく。あら?あれは…
「あれ?こんなところにキンシバイ畑があるよ」
「本当だわ。この前来た時にはなかったのに。この2ヶ月で作ったのかしら?でも、2ヶ月ではキンシバイは咲かないから、もしかしてわざわざ咲いている花を植えたのかしら?」
「ルージュ、君が好きなお花が沢山咲いているよ。よかったね」
「そういえばルージュは、キンシバイが好きだったわね。公爵家の中庭にも、立派なキンシバイ畑があったわね」
一体どういうことなのだろう。どうして王宮の中庭に、キンシバイ畑が?確か1度目の生の時にはなかったし、婚約が決まった後に殿下が作ってくれたはず。
それなのに、どうして今あるのだろう…
「こんにちは、ルージュ嬢は初めましてだね。どうだい?僕が作ったキンシバイ畑は。とても素敵だろう?」
この声は…
ゆっくり振り向くと、殿下がいたのだ。再びあの時の記憶が蘇り、グレイソン様にしがみつこうとしたが、必死に耐えた。
落ち着くのよ、今の殿下と私は、初対面。だから怯える必要はない。今の彼に私を断罪する理由がないのだから。それに私は公爵令嬢、こんなところで怯えていてはダメよ!
「ちょっとクリストファー、私たちに近づかないでと言ったでしょう?それに沢山いた令嬢たちはどうしたのよ?」
「どうして僕が、セレーナの言う事を聞かないといけないのだい?僕は君たちとも仲良くしたいと思っているよ。それがいけない事なのかい?」
穏やかな表情だが、少し怒っている様な口ぶりでセレーナに詰め寄っている。
「別にいけないとは言っていないわ」
「それじゃあ、僕も一緒にいてもいいよね。ルージュ嬢、見てみて。キンシバイが綺麗に咲いているだろう。太陽の光を浴びて、とても綺麗だね。わざわざ綺麗に咲いている花を植えた甲斐があったよ」
何を思ったのか、スッと私の隣にやって来たのだ。何なのよ、どうして私に絡んでくるの?
「…ええ、とても綺麗ですわね…」
私は殿下と関わりたくはないのだ。それなのに…
「奥にはもっと立派なキンシバイ畑があるんだ。一緒に行こう」
何を思ったのか、私の手を掴もうとしてきたのだ。ただ、次の瞬間、グレイソン様に引き寄せられた。
「それは本当ですか?実は僕の亡くなった母も、キンシバイが大好きでして。嬉しいな、王宮にも立派なキンシバイ畑があるだなんて。それじゃあ、早速見せてもらえますか。行きましょう、殿下」
「どうして君が僕の手を握っているのだい?僕はルージュに…」
「僕はこれでもルージュの義兄で、公爵令息なのですが…僕には見せて下さらないのですか?」
悲しそうな顔(だが演技だとわかる)で、殿下を見つめるグレイソン様。
「イヤ…別に君に見せないなんて言っていないよ。それじゃあ、行こうか?」
グレイソン様を先陣に、皆で殿下に付いていこうとした時だった。
「私、飲み物を持って来るわ。待っていて」
皆が私を心配して、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。なんだか申し訳ない。でも、皆の優しさが嬉しくてたまらない。私は間違いなく1人じゃない。皆が私の傍にいてくれる。
でも…
1度目の生の時だって、グレイソン様とは関係は良くなかったが、それでも他の皆とは良好だった。その事を考えると…
て、弱気になってはダメよ。今回はちゃんと、最初から殿下に近づかないようにしているし、きっと大丈夫。それにいつまでも殿下を怖がっているだなんて、みっともない。私はもっともっと強くならないといけないのだ!
「ルージュ、はい、ジュースよ」
「ありがとう、もう随分と気分もよくなったし、大丈夫よ。せっかくだから、中庭を見て回りましょう。それから、美味しいお料理も頂かないと」
「いつものルージュに戻ったわね。よかったわ。それじゃあ、私が案内してあげる。中庭は私にとって庭みたいなものだから」
案内役を買って出てくれたのは、セレーナだ。セレーナのお父様は陛下の弟。そのせいか、セレーナは子供の頃からよく王宮に遊びに来ていたらしい。ただ、少し気の強いセレーナと穏やかな性格の殿下は、あまり気が合わないらしい。
昔殿下がそんな様なことを言っていた。正直私も王宮の中庭は庭みたいなものだが、今日は初めて王宮に遊びに来た事になっている為、素直に案内してもらう事にした。
「この前初めて王宮の中庭を見せてもらったけれど、とても綺麗だったんだよ」
「まあ、そうなのですね。それは楽しみですわ」
見慣れた中庭を見ていく。あら?あれは…
「あれ?こんなところにキンシバイ畑があるよ」
「本当だわ。この前来た時にはなかったのに。この2ヶ月で作ったのかしら?でも、2ヶ月ではキンシバイは咲かないから、もしかしてわざわざ咲いている花を植えたのかしら?」
「ルージュ、君が好きなお花が沢山咲いているよ。よかったね」
「そういえばルージュは、キンシバイが好きだったわね。公爵家の中庭にも、立派なキンシバイ畑があったわね」
一体どういうことなのだろう。どうして王宮の中庭に、キンシバイ畑が?確か1度目の生の時にはなかったし、婚約が決まった後に殿下が作ってくれたはず。
それなのに、どうして今あるのだろう…
「こんにちは、ルージュ嬢は初めましてだね。どうだい?僕が作ったキンシバイ畑は。とても素敵だろう?」
この声は…
ゆっくり振り向くと、殿下がいたのだ。再びあの時の記憶が蘇り、グレイソン様にしがみつこうとしたが、必死に耐えた。
落ち着くのよ、今の殿下と私は、初対面。だから怯える必要はない。今の彼に私を断罪する理由がないのだから。それに私は公爵令嬢、こんなところで怯えていてはダメよ!
「ちょっとクリストファー、私たちに近づかないでと言ったでしょう?それに沢山いた令嬢たちはどうしたのよ?」
「どうして僕が、セレーナの言う事を聞かないといけないのだい?僕は君たちとも仲良くしたいと思っているよ。それがいけない事なのかい?」
穏やかな表情だが、少し怒っている様な口ぶりでセレーナに詰め寄っている。
「別にいけないとは言っていないわ」
「それじゃあ、僕も一緒にいてもいいよね。ルージュ嬢、見てみて。キンシバイが綺麗に咲いているだろう。太陽の光を浴びて、とても綺麗だね。わざわざ綺麗に咲いている花を植えた甲斐があったよ」
何を思ったのか、スッと私の隣にやって来たのだ。何なのよ、どうして私に絡んでくるの?
「…ええ、とても綺麗ですわね…」
私は殿下と関わりたくはないのだ。それなのに…
「奥にはもっと立派なキンシバイ畑があるんだ。一緒に行こう」
何を思ったのか、私の手を掴もうとしてきたのだ。ただ、次の瞬間、グレイソン様に引き寄せられた。
「それは本当ですか?実は僕の亡くなった母も、キンシバイが大好きでして。嬉しいな、王宮にも立派なキンシバイ畑があるだなんて。それじゃあ、早速見せてもらえますか。行きましょう、殿下」
「どうして君が僕の手を握っているのだい?僕はルージュに…」
「僕はこれでもルージュの義兄で、公爵令息なのですが…僕には見せて下さらないのですか?」
悲しそうな顔(だが演技だとわかる)で、殿下を見つめるグレイソン様。
「イヤ…別に君に見せないなんて言っていないよ。それじゃあ、行こうか?」
グレイソン様を先陣に、皆で殿下に付いていこうとした時だった。
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