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第16話:やっぱり絡んで来ましたか
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「マリーヌ嬢、ここにいたのだね。随分と楽しそうに話しをしていたけれど…て、あなたは確か、元ラスティーヌ侯爵家のグレイソン殿では?そういえばヴァレスティナ公爵家の養子になったそうだね」
私達に話しかけてきたのは、未来のマリーヌの婚約者、アルフレッド様だ。後ろには何人かの令息もいる。ちょうどいいわ。
「アルフレッド様、お久しぶりですわ。あなたの言う通り、彼は私の義理兄ですの。よかったら仲良くしてくださいね」
やはり殿方は殿方同士仲良くした方がいいだろう。そう思い、アルフレッド様にグレイソン様を紹介した。
「あの…グレイソン・ヴァレスティナです。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく。グレイソン殿は、ヴァレスティナ公爵家をいずれ継ぐのだろう?もしかして、ルージュ嬢と結婚する予定なのかい?」
「ちょっと、アルフレッド様、何をおっしゃっているのですか?グレイソン様は確かに公爵家を継ぎますが、私と結婚なんてしませんわ。グレイソン様も私も、それぞれパートナーを見つけてその方と結婚するのです!」
本当にアルフレッド様ったら!
「そんなに顔を真っ赤にして怒らなくてもいいだろう?それよりもグレイソン殿、ルージュ嬢は本当にお節介だろう?でも、このお節介に俺も助けられたんだよ」
「ぼ…僕もルージュには本当に色々と助けられていて。僕が今、ここにいられるのも、ルージュのお陰なのです!」
なぜかグレイソン様が、急にそう叫んだのだ。
「そうなんだね。そうだ、あっちで令息同士、話をしないかい?よかったら僕たちと友達になってくれると嬉しいな」
アルフレッド様の有難い申し出、もちろん断らないわよね。そんな思いでグレイソン様を見つめた。ただ、困惑しているグレイソン様。
「アルフレッド様、グレイソン様は今日久しぶりに社交の場に出てきて、緊張しているのです。ですから…」
「あれ?グレイソンじゃないか?どうしてお前がここにいるのだよ!」
ん?この声は…
ゆっくり声の方を向くと、そこにはグレイソン様の従兄弟、クザイ様がいた。その瞬間、真っ青な顔をして小刻みに震えるグレイソン様。
きっと辛かった時の記憶が蘇ったのだろう。彼の手をギュッと握った。
「アルフレッド様、こいつとは仲良くしない方がいいですよ。こいつは疫病神で根暗で、本当にムカつく奴なのです。ルージュ嬢も気の毒に。急にこんな奴と兄妹にさせられて」
こいつ、一体何を言っているの?一言文句を言ってやらないと!でも、私は公爵令嬢、ここは冷静に。
「まあ、何というお言葉使いでしょう。品がない事この上ないですわ。それにグレイソン様は今、私の兄でヴァレスティナ公爵家の次期当主。それを分かっていてこの様な品の無い事をおっしゃられるのでしたら、我が家への侮辱と捕らえ、正式に侯爵家に抗議をさせていただきますわよ」
にっこり笑ってそう伝えてやった。
さらに
「ルージュの言う通りですわ。よくもまあ、ルージュのお義兄様でもあるグレイソン様を侮辱する様な発言が出来ますわね」
「ガブディオン侯爵は、クザイ様にどのような教育をされてきたのでしょう。本当に侯爵令息とは思えない発言ですわ」
「それもご自分の従兄弟に、この様な暴言を吐くだなんて。もしかしてガブディオン侯爵様がグレイソン様に酷い扱いをしていたという噂は、本当なのかしら?」
「それ、私も聞いたことがありますわ。もし本当なら、ろくでなしもいいとこですわね」
次々と友人たちがクザイ様を攻撃している。
さらに
「クザイ殿、彼女たちの言う通りだ。悪いが俺も聞いていて気分が悪い!今すぐ俺たちの元から立ち去ってくれるかい?」
アルフレッド様まで怖い顔をしてそう言い放ったのだ。彼は10歳にして、騎士団期待の星と言われている。そんな彼からの言葉は、実に迫力があるものだった。
「も…申し訳ございませんでした」
一目散に逃げていくクザイ様。見苦しいことこの上ない。
「何なの、あれは?グレイソン様、どうかお気になさらずに。一定数ゴミの様な人間は存在いたしますわ…申し訳ございません。いくらなんても、ゴミは失礼でしたわね」
「もう、ミシェルったら。でも、ゴミみたいなものだから、問題ありませんわ」
確かにクザイ様は、ゴミみたいな人間だが、高貴な身分の令嬢たちが“ゴミ”というのはどうかと思うが、まあいいか。彼女たちはグレイソン様を思って言ってくれているのだし。
「グレイソン殿、その…なんて言ったらいいか分からないけれど、ここにいる俺たちは皆、君の味方だよ。だから俺たちとも仲良くしてくれるかい?もしまたクザイ殿が何かしてきら、俺が懲らしめてやるから」
「アルフレッド様は本当にお強いのよ。クザイ様なんて秒殺でやっつけてしまうのだから。グレイソン様、その…ずっとお辛い思いをして来たのですね。どうかこれからは、私たちと楽しい時間を過ごしましょう」
「そうしましょう。今日から皆、グレイソン様のお友達です」
皆がグレイソン様に笑顔を向けている。
「皆…ありがとう。本当にありがとう…こんな僕だけれど、どうかよろしくお願いします」
ポロポロと涙を流しながら、頭を下げるグレイソン様。そんな彼の背中を、優しく撫でたのだった。
私達に話しかけてきたのは、未来のマリーヌの婚約者、アルフレッド様だ。後ろには何人かの令息もいる。ちょうどいいわ。
「アルフレッド様、お久しぶりですわ。あなたの言う通り、彼は私の義理兄ですの。よかったら仲良くしてくださいね」
やはり殿方は殿方同士仲良くした方がいいだろう。そう思い、アルフレッド様にグレイソン様を紹介した。
「あの…グレイソン・ヴァレスティナです。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく。グレイソン殿は、ヴァレスティナ公爵家をいずれ継ぐのだろう?もしかして、ルージュ嬢と結婚する予定なのかい?」
「ちょっと、アルフレッド様、何をおっしゃっているのですか?グレイソン様は確かに公爵家を継ぎますが、私と結婚なんてしませんわ。グレイソン様も私も、それぞれパートナーを見つけてその方と結婚するのです!」
本当にアルフレッド様ったら!
「そんなに顔を真っ赤にして怒らなくてもいいだろう?それよりもグレイソン殿、ルージュ嬢は本当にお節介だろう?でも、このお節介に俺も助けられたんだよ」
「ぼ…僕もルージュには本当に色々と助けられていて。僕が今、ここにいられるのも、ルージュのお陰なのです!」
なぜかグレイソン様が、急にそう叫んだのだ。
「そうなんだね。そうだ、あっちで令息同士、話をしないかい?よかったら僕たちと友達になってくれると嬉しいな」
アルフレッド様の有難い申し出、もちろん断らないわよね。そんな思いでグレイソン様を見つめた。ただ、困惑しているグレイソン様。
「アルフレッド様、グレイソン様は今日久しぶりに社交の場に出てきて、緊張しているのです。ですから…」
「あれ?グレイソンじゃないか?どうしてお前がここにいるのだよ!」
ん?この声は…
ゆっくり声の方を向くと、そこにはグレイソン様の従兄弟、クザイ様がいた。その瞬間、真っ青な顔をして小刻みに震えるグレイソン様。
きっと辛かった時の記憶が蘇ったのだろう。彼の手をギュッと握った。
「アルフレッド様、こいつとは仲良くしない方がいいですよ。こいつは疫病神で根暗で、本当にムカつく奴なのです。ルージュ嬢も気の毒に。急にこんな奴と兄妹にさせられて」
こいつ、一体何を言っているの?一言文句を言ってやらないと!でも、私は公爵令嬢、ここは冷静に。
「まあ、何というお言葉使いでしょう。品がない事この上ないですわ。それにグレイソン様は今、私の兄でヴァレスティナ公爵家の次期当主。それを分かっていてこの様な品の無い事をおっしゃられるのでしたら、我が家への侮辱と捕らえ、正式に侯爵家に抗議をさせていただきますわよ」
にっこり笑ってそう伝えてやった。
さらに
「ルージュの言う通りですわ。よくもまあ、ルージュのお義兄様でもあるグレイソン様を侮辱する様な発言が出来ますわね」
「ガブディオン侯爵は、クザイ様にどのような教育をされてきたのでしょう。本当に侯爵令息とは思えない発言ですわ」
「それもご自分の従兄弟に、この様な暴言を吐くだなんて。もしかしてガブディオン侯爵様がグレイソン様に酷い扱いをしていたという噂は、本当なのかしら?」
「それ、私も聞いたことがありますわ。もし本当なら、ろくでなしもいいとこですわね」
次々と友人たちがクザイ様を攻撃している。
さらに
「クザイ殿、彼女たちの言う通りだ。悪いが俺も聞いていて気分が悪い!今すぐ俺たちの元から立ち去ってくれるかい?」
アルフレッド様まで怖い顔をしてそう言い放ったのだ。彼は10歳にして、騎士団期待の星と言われている。そんな彼からの言葉は、実に迫力があるものだった。
「も…申し訳ございませんでした」
一目散に逃げていくクザイ様。見苦しいことこの上ない。
「何なの、あれは?グレイソン様、どうかお気になさらずに。一定数ゴミの様な人間は存在いたしますわ…申し訳ございません。いくらなんても、ゴミは失礼でしたわね」
「もう、ミシェルったら。でも、ゴミみたいなものだから、問題ありませんわ」
確かにクザイ様は、ゴミみたいな人間だが、高貴な身分の令嬢たちが“ゴミ”というのはどうかと思うが、まあいいか。彼女たちはグレイソン様を思って言ってくれているのだし。
「グレイソン殿、その…なんて言ったらいいか分からないけれど、ここにいる俺たちは皆、君の味方だよ。だから俺たちとも仲良くしてくれるかい?もしまたクザイ殿が何かしてきら、俺が懲らしめてやるから」
「アルフレッド様は本当にお強いのよ。クザイ様なんて秒殺でやっつけてしまうのだから。グレイソン様、その…ずっとお辛い思いをして来たのですね。どうかこれからは、私たちと楽しい時間を過ごしましょう」
「そうしましょう。今日から皆、グレイソン様のお友達です」
皆がグレイソン様に笑顔を向けている。
「皆…ありがとう。本当にありがとう…こんな僕だけれど、どうかよろしくお願いします」
ポロポロと涙を流しながら、頭を下げるグレイソン様。そんな彼の背中を、優しく撫でたのだった。
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