上 下
25 / 63

第25話:王妃様とお茶をする為王宮に向かいます

しおりを挟む
「ヴーヴー」
う~ん、なんかヴーヴー言っているわ…
って、今何時?
ふと時計を見ると、午後9時10分だ!しまった、気付かないうちに眠ってしまった様だ。慌てて飛び起き、通信機をオンにした。

「クラウド様、ごめんなさい!疲れて眠ってしまっていた様ですわ!」

慌ててクラウド様に謝罪をした。

“そんなに勢いよく謝らなくても大丈夫だよ。疲れていたんだね。起こしてしまってごめんね”

「いいえ、大丈夫ですわ。クラウド様、大事な話があるのですが」

クラウド様に王妃様の事を話さないとね。

“どうしたんだい?”

「実は、王妃様にお茶に誘われまして。今週末王宮に行く事になりましたの」

“王妃にだって!もしかしたら、王太子との婚約を結び直せと言う話かもしれない。王妃とのお茶は断れないのかい?”

画面越しから、心配そうなクラウド様の姿が見える。そうよね、心配よね。でも…

「クライド様、心配してくれてありがとう。でも、多分断っても何度も誘われると思いますの。それなら、一度行っておいた方がいいかと!それに、たとえ王妃様が何と言おうが、私が王太子と婚約を結び直す事はありませんから、安心してください」

たとえ王妃様に脅されても、これだけは譲れない!そもそも、王太子の浮気が原因で婚約を解消したのだ。今更グチグチ言われる筋合いはないわ。

“ミレニアがそう言うなら、僕はミレニアを信じるよ”

そう言って、少し寂しそうに笑ったクラウド様。やっぱり直接会った時に話せばよかったわ。画面越しでは、クラウド様を抱きしめられないじゃない!

「そうだわ!せっかく王宮に行くのですもの。クラウド様の住まいにも、立ち寄ってもよろしいかしら?」

”僕の住んでいる離宮にかい?構わないよ”

「それでは、王妃様のお茶が終わったら通信を入れますわね。そうだわ、アロマオイルを持って行きますわ。私のスペシャルマッサージ、楽しみにしていて下さいね」

“スペシャルマッサージか、それは楽しみだな!”

そう言うと、嬉しそうに笑ったクラウド様。良かった、元気になってくれたみたいね。

その後少し雑談をした後、そのまま通信を切った。王妃様とのお茶は気が重いと思っていたけれど、クラウド様の住む離宮に行けると思うと、なんだか気持ちも軽くなった!

さっさと王妃様とのお茶を終わらせて、クラウド様とイチャイチャしよう!

そして迎えた週末。
いよいよ今日は王妃様とお茶をする日だ。お茶をする事が決まった翌日、早速王太子に絡まれたがスルーしておいた。

王宮に行くという事で、朝から湯あみを済ませ、ドレスに着替えさせられた。ドレスって堅苦しくて嫌なのよね。

そうだわ、アロマオイルを忘れたら大変。どの香りがいいかしら?よくわからないから、カバンに入るだけ持って行く事にした。

「お嬢様、そろそろお時間です」

「ありがとう。すぐに行くわ!」

呼びに来たメイドと一緒に玄関へと向かう。お父様は既に仕事で登城している為、1人で王宮に行く予定だ。

「ミレニア、本当に1人で大丈夫?お母様も一緒に行きましょうか?」

心配そうな顔のお母様。

「ありがとう、お母様。でも大丈夫よ。それじゃあ、行って来ます」

そりゃお母様に来てくれたら心強いけれど、お母様がいたら離宮には行けないものね。さっさと王妃様とのお茶を終わらせ、早くクラウド様に会いたいわ。

そう言えば、婚約を解消して以来の登城ね。なんだか緊張して来たわ。ふと窓の外を見ると、王宮が見えて来た。いよいよね。ゆっくりと深呼吸をして、心を落ち着かせる。馬車が止まり、ドアが開いた。

いよいよね。気を引き締め、メイドの案内の元、王妃様の待つ部屋へと向かう。

「こちらでしばらくお待ちください」

そう言うと、メイドが1人で部屋に入って行った。そう言えば、いつも王妃様とお茶をする時は、この部屋だったわね。しばらく待っていると、メイドが部屋から出て来た。

「お待たせいたしました。どうぞ中へ」

メイドに促され、ゆっくりと部屋の中に入って行く。部屋には1人の護衛騎士と王妃様が待っていた。王妃様は金髪の髪を肩まで延ばした美しい女性だ。

「ミレニアちゃん、よく来てくれたわね。さあ座って」

私の顔を見ると、嬉しそうに話しかけて来る王妃様。

「王妃様、今日はお招きいただきありがとうございます」

カーテシーを決め、早速イスに座る。

「ミレニアちゃん、マシューの事、本当にごめんなさい!マシューと男爵令嬢はあの後すぐに別れたのよ。やっぱりマシューにはあなたしかいないわ!」

早速私と王太子の婚約を結び直したいアピールね。

「そうでしょうか?王太子殿下は、他の令嬢とも非常に仲がよろしいようですよ。毎日楽しそうに過ごされていますし。それに私には恋人もおりますので、王太子殿下とは、よきクラスメートとしてお付き合いさせていただいておりますの」

さりげなく、王太子との再婚約は考えていない、クラスメートとしか見ていないと伝えた。

「そう言えば、第二王子と恋仲にあると聞いたわ。でも、まだ付き合っているだけなのでしょう?まあ、学生時代は色々な殿方を見ておくことも大切ですものね」

そう言うと、紅茶を1口飲んだ王妃様。

「でもね、ミレニアちゃん。あなたは公爵令嬢なのよ。家の事を思うなら、マシューと結婚して王妃になる事を考えた方がいいと思わない?あんなにも厳しい王妃教育にも耐えてきたのですもの。それに最近あの子、変わったのよ。きっと今なら、あなたの事を大切にしてくれると思うわ」

この王妃、何が何でも私と王太子の婚約を結び直させたいのね。下手に刺激して、クラウド様に危害を加えられても面倒だ。ここは濁しておくか。

「王妃様の言う事はごもっともですわ。ただ、両親も私の好きなようにさせてくれると申しておりますし。しばらく婚約者探しはお休みして、学院生活を楽しみたいと考えておりますの」

しばらくは誰とも婚約するつもりはないと、やんわりと答えておいた。さあ、王妃様はどうでるかしら?

「あら、そうなの?確かに学生のうちは色々な経験が出来る数少ない時間ですものね。分かったわ。でも、マシューとの再婚約の事もしっかり考えておいてね」

にっこり笑った王妃様。そんなに私と王太子を婚約させたいのかしら?そもそもマシュー様は既に王太子に内定しているのだから、私じゃなくても良いと思うのだけれど…

でも、とりあえずこれで婚約の話は一旦終わりそうね。ホッとするミレニアであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます

葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。 しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。 お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。 二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。 「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」 アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。 「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」 「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」 「どんな約束でも守るわ」 「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」 これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。 ※タイトル通りのご都合主義なお話です。 ※他サイトにも投稿しています。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

悪役令嬢に転生したけど足掻きます

石原 ぴと
恋愛
 乙女ゲーム『救国のヴァルキュリア』の世界の死亡フラグのある悪役令嬢エリカに転生をした女子高生 愛。  その中で避けている筈なのに、ゲームの様に攻略対象者に出会ってしまう。前世の性格を引きずって、トラウマ持ちの攻略対象者がほっとけなくなってしまうエリカは、次第に彼らを救う為、転生したのではと思う様になる。  しかし、やり尽くしていない為、中途半端にしか乙女ゲームのシナリオがわからない。果たして愛は死亡フラグを回避する事が出来るのか?  そしてタイトルの救国の意味は?国の未来は?エリカの恋の行方は?  間抜けで不器用でエリカが過去の自分のクズっぷりを後悔しながら、強く成ろうと四苦八苦しながら奮闘するお話。  恋愛要素は最初はうっすらとしか出て来ません。

この異世界転生の結末は

冬野月子
恋愛
五歳の時に乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したと気付いたアンジェリーヌ。 一体、自分に待ち受けているのはどんな結末なのだろう? ※「小説家になろう」にも投稿しています。

紫の百合 〜乙女ゲームの世界に転生して、前世で好きだった人と再び出会いました〜

冬野月子
恋愛
火事を見かけた事がきっかけで、前世を思い出した侯爵令嬢リリー。同時に、ここがかつてプレイした乙女ゲームの世界と酷似しており、自分はライバルキャラだという事に気づく。けれどゲームの世界と実際とでは人間関係も性格も異なっており、さらにまだ登場するはずではなかった隠しキャラは前世での…。ゲームとは異なるようでリンクしながら進んでいくイベント。リリーは無事学園生活を乗り越えられる事ができるのか。 ※「小説家になろう」『カクヨム」でも公開しています。

記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました

冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。 家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。 過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。 関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。 記憶と共に隠された真実とは——— ※小説家になろうでも投稿しています。

申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!

甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。 その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。 その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。 前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。 父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。 そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。 組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。 この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。 その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。 ──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。 昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。 原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。 それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。 小説家になろうでも連載してます。 ※短編予定でしたが、長編に変更します。

処理中です...