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第18話:王都に向かう事になりました
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キキたちに別れを告げ、一旦屋敷に戻る。
「それにしても、王都の海は一体どうしちゃったのかしら?今までは王都でも海を汚さない様に、皆気を付けていたはずなのに…」
「王妃の仕業だよ、きっと。王妃はとにかくこの国を工業で栄えさせたいと考えているんだ。だから、王都にどんどんと工場を作ろうと父上に申し出ていた。でも父上は、せっかく美しい海があるのだから、今まで通り海の恵みを分けてもらって生活をしたい、そう考えていたんだよ。父上が倒れた事で、王妃が好きなようにしているんだ!あの女!」
悔しそうに唇を噛むノア様。なんて王妃様なの。そもそも、お父様やお兄様は何をしているのかしら?王都の海の生き物たちも、きっとお父様やお兄様に必死に訴えていたはずなのに!
屋敷に戻ると、すぐに執事を呼び出した。
「王都の海が酷い事になっているそうじゃない。それに陛下まで倒れられたそうだし。一体どうなっているの?」
「お嬢様、落ち着いて下さい。そうですか…ついにお嬢様の耳にも…ノア殿下がこっちにいらした翌日、旦那様が急いで帰って行きましたよね。実は陛下が倒れたと連絡が入ったからなのです」
「何だって!そんなに前に父上は倒れたのかい?それなら、なぜすぐに教えてくれなかったんだ!」
「そうよ、ノア様にとっては唯一の肉親なのよ!酷いじゃない!」
ノア様と一緒に、さらに執事に詰め寄った。
「落ち着いて下さい。陛下自身が、ノア殿下に心配を掛けたくはないから、黙っていて欲しいとおっしゃられたそうなのです」
「父上なら、そう言いそうだ…」
そう言うと、寂しそうに笑ったノア様。そんなノア様を見ていたら、胸が張り裂けそうになった。ついノア様をギューッと強く抱きしめた。
「ありがとう、ステファニー。それで、父上の容体はどうなんだ?」
「はい…日に日に弱ってしまっている様で…」
「そうか…分かった。それで王都の方はどうなっているんだ」
「旦那様の話しでは、陛下が病に伏せられてから、実質王妃様と王妃様の兄でもあるモリージョ公爵が実権を握っている様で。それはもうやりたい放題。街のあちこちに工場を建設して、工場から出る汚水を海に垂れ流しているそうです。さらに、クジラやイルカなどを乱獲して、他国に高く売っていると言う話も聞きます。とにかく今王都は滅茶苦茶の様です」
ノア様がさっき言っていた通りね。それにしても海に汚水を流し、生き物を乱獲するなんて…とにかく何とかして止めないと!
「それから、ここ数日王都の海は荒れている様で、停泊していた船は次々に波で破壊され、さらに頻繁に地震も起きているそうです。あちらこちらで地割れを起し、人々は海を汚したから、海の神様が怒っていると怯えているとか…」
なるほど、やっぱりキキ達が言っていた通り、海の神、ポセイドン様が怒っているのね。
「状況は分かったわ。とにかく、一度私もノア様も王都に戻るわ。明日の朝には出発したいの、至急馬車の準備をお願い」
「はい、かしこまりました」
とにかく、一旦王都に行かないと!執事と話をした後、自室に戻り王都に行く為の荷造りをする。ふと窓の外を見ると、今日も美しい海が広がっていた。領地の海はこんなにも美しいのに、王都の海は…
はっきり言って、全く想像できない。そもそも、私が前回王都に行った時は、人や船で賑わっていたが、それでも美しい海だった。一刻も早く王都に戻らないと。それから海の神、ポセイドン様についても調べないと!
確か領地の書庫に海の神について書かれている本があったはず。早速書庫に向かい、本を手に取る。
何々、ポセイドンは海の奥底の神殿に、妻で海の女神のアムピトリーテと共に住んでいる。海以外にも地震と馬の神でもある。気性は荒めで、特に海を汚したり、海の生態系を乱される事を極端に嫌っている。かつて海を汚した国を、大陸ごと沈めた事もある。
なるほど、確かに今の王都の様子を見ると、ポセイドン様の怒りを買うのは当然の事ね。ポセイドン様は深海の宮殿にいるとの事。という事は、交渉に行くのは私の役目ね。でも宮殿の周りには、凶暴なウツボやサメ、ダイオウイカなどが守っていると書いてある。
ウツボか…あの子たち、あまり人の話を聞かずに攻撃してくるから苦手なのよね…でも、今はそんな事を言ってはいられない。とにかく王都で暮らす大切な家族や人々の為、それにノア様のお父様の為にも、私が人肌脱がなくちゃ!
「それにしても、王都の海は一体どうしちゃったのかしら?今までは王都でも海を汚さない様に、皆気を付けていたはずなのに…」
「王妃の仕業だよ、きっと。王妃はとにかくこの国を工業で栄えさせたいと考えているんだ。だから、王都にどんどんと工場を作ろうと父上に申し出ていた。でも父上は、せっかく美しい海があるのだから、今まで通り海の恵みを分けてもらって生活をしたい、そう考えていたんだよ。父上が倒れた事で、王妃が好きなようにしているんだ!あの女!」
悔しそうに唇を噛むノア様。なんて王妃様なの。そもそも、お父様やお兄様は何をしているのかしら?王都の海の生き物たちも、きっとお父様やお兄様に必死に訴えていたはずなのに!
屋敷に戻ると、すぐに執事を呼び出した。
「王都の海が酷い事になっているそうじゃない。それに陛下まで倒れられたそうだし。一体どうなっているの?」
「お嬢様、落ち着いて下さい。そうですか…ついにお嬢様の耳にも…ノア殿下がこっちにいらした翌日、旦那様が急いで帰って行きましたよね。実は陛下が倒れたと連絡が入ったからなのです」
「何だって!そんなに前に父上は倒れたのかい?それなら、なぜすぐに教えてくれなかったんだ!」
「そうよ、ノア様にとっては唯一の肉親なのよ!酷いじゃない!」
ノア様と一緒に、さらに執事に詰め寄った。
「落ち着いて下さい。陛下自身が、ノア殿下に心配を掛けたくはないから、黙っていて欲しいとおっしゃられたそうなのです」
「父上なら、そう言いそうだ…」
そう言うと、寂しそうに笑ったノア様。そんなノア様を見ていたら、胸が張り裂けそうになった。ついノア様をギューッと強く抱きしめた。
「ありがとう、ステファニー。それで、父上の容体はどうなんだ?」
「はい…日に日に弱ってしまっている様で…」
「そうか…分かった。それで王都の方はどうなっているんだ」
「旦那様の話しでは、陛下が病に伏せられてから、実質王妃様と王妃様の兄でもあるモリージョ公爵が実権を握っている様で。それはもうやりたい放題。街のあちこちに工場を建設して、工場から出る汚水を海に垂れ流しているそうです。さらに、クジラやイルカなどを乱獲して、他国に高く売っていると言う話も聞きます。とにかく今王都は滅茶苦茶の様です」
ノア様がさっき言っていた通りね。それにしても海に汚水を流し、生き物を乱獲するなんて…とにかく何とかして止めないと!
「それから、ここ数日王都の海は荒れている様で、停泊していた船は次々に波で破壊され、さらに頻繁に地震も起きているそうです。あちらこちらで地割れを起し、人々は海を汚したから、海の神様が怒っていると怯えているとか…」
なるほど、やっぱりキキ達が言っていた通り、海の神、ポセイドン様が怒っているのね。
「状況は分かったわ。とにかく、一度私もノア様も王都に戻るわ。明日の朝には出発したいの、至急馬車の準備をお願い」
「はい、かしこまりました」
とにかく、一旦王都に行かないと!執事と話をした後、自室に戻り王都に行く為の荷造りをする。ふと窓の外を見ると、今日も美しい海が広がっていた。領地の海はこんなにも美しいのに、王都の海は…
はっきり言って、全く想像できない。そもそも、私が前回王都に行った時は、人や船で賑わっていたが、それでも美しい海だった。一刻も早く王都に戻らないと。それから海の神、ポセイドン様についても調べないと!
確か領地の書庫に海の神について書かれている本があったはず。早速書庫に向かい、本を手に取る。
何々、ポセイドンは海の奥底の神殿に、妻で海の女神のアムピトリーテと共に住んでいる。海以外にも地震と馬の神でもある。気性は荒めで、特に海を汚したり、海の生態系を乱される事を極端に嫌っている。かつて海を汚した国を、大陸ごと沈めた事もある。
なるほど、確かに今の王都の様子を見ると、ポセイドン様の怒りを買うのは当然の事ね。ポセイドン様は深海の宮殿にいるとの事。という事は、交渉に行くのは私の役目ね。でも宮殿の周りには、凶暴なウツボやサメ、ダイオウイカなどが守っていると書いてある。
ウツボか…あの子たち、あまり人の話を聞かずに攻撃してくるから苦手なのよね…でも、今はそんな事を言ってはいられない。とにかく王都で暮らす大切な家族や人々の為、それにノア様のお父様の為にも、私が人肌脱がなくちゃ!
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