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第24話:公爵に交渉しました~クラウディオ視点~

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デイジーの誕生日パーティーから1週間が過ぎた。デイジーが僕の婚約者候補を辞退できるようになるまで、後1週間。僕はある材料をそろえて、公爵を呼び出した。

もちろん、デイジーが婚約者候補を辞退しない様にお願いするためだ。

「クラウディオ殿下、急に私を呼びだして、何の用ですか?」

「わざわざ来ていただき、ありがとうございます。実はデイジーの事で折り入ってお願いがありまして」

「デイジーの事ですか?もし婚約者候補を辞退しないようにして欲しいという件でしたら、お断りさせていただきます。デイジーは既に、貴族から婿を取り、クレスティン公爵家を継ぐ意思でおりますので」

やっぱり、思った通りデイジーは婚約者候補を辞退するつもりで話を進めていたか。分かってはいたが、やっぱりショックが大きい。

「それでデイジーは、誰と結婚させるつもりでいるのですか?」

「そうですね、まだ相手方には話はしておりませんが、レクシティーオ公爵家の三男、ジャック殿がよろしいかと考えております。彼は非常に優秀ですし、何よりデイジーがジャック殿をと指名しておりますので」

だからどうか殿下は諦めて下さい!と言わんばかりに、満面の笑みで僕の方を見つめる公爵。やはり、デイジーはジャックと結婚するつもりなんだな。

真実を突き付けられた僕は、言いようのない怒りを覚える。ジャックにだけは、絶対に渡さない!

「公爵、どうか考え直しては頂けないでしょうか?確かクレスティン公爵家は、弟君の家から養子を取る事を考えていたのではありませんか?」

「確かに最初はそう言う話になっておりましたが、娘がこの家を継いでくれるなら話は別です。それに私も、デイジーが傍にいてくれたら嬉しいので。とにかく、殿下の婚約者候補は辞退させていただく予定になっております。申し訳ございませんが、辞退はこちらの権利でございますので」

権利か…
確かに婚約者候補の権利ではある。でも僕は…

「そうですか、どうしても考え直してもらえませんか。それは残念ですね…そうそう、クレスティン公爵、あなたは昔、この国で許可されていない薬を、勝手に他国から取り寄せましたね」

僕は何か公爵が何か後ろめたい事がないか、必死に探したのだ。そして、ついに見つけた。それは、この国で許可されていない薬を、勝手に密輸していたという事実を。許可されていない薬物を勝手に自国に持ち込むという事は、この国では重罪に値する。

最悪、極刑もありうる重大な罪なのだ。

「それは…妻が病気で、どうしてもその薬が必要だったのです」

「たとえそうだったとしても、王家に届け出る事で、特例で認められることもあるのですよ。それを怠った。この事が公になれば、あなたは…」

「確かに殿下の言う通り、私はあの当時罪を犯しました。でも、私はただ、妻を助けたい一心で…」

「そんな事は分かっていますよ。ですから交渉しているのです。この事実を内緒にしておく替りに、デイジーを僕の婚約者に戻してください」

「殿下、あなたって人は…」

「公爵、僕はね、出来れば公爵には存命でいて欲しいし、公爵家も今まで通り権力を握っていて欲しいのです。あなたが失脚すれば、デイジーは後ろ盾を失います。王太子でもある僕の婚約者でいるためには、ある程度の後ろ盾は必要ですからね」

公爵に向かってほほ笑んだ。自分でも最低な交渉をしている事は分かっている。相手の弱みに付け込んで、デイジーをよこせと言っているのだから。でも、僕はもうどんな手を使ってでも、デイジーが欲しいのだ。

「…分かりました。ただ、デイジーを正式に婚約者にするのは、もう少し待っていただけないでしょうか?その…せめて貴族学院を卒業するまで…」

貴族学院を卒業するまでは、1年半後だ。そんなにもデイジーを野放しにしておくなんて、耐えられない。

「悪いがそんなにも待てません。貴族学院は、最低1年で卒業も可能です。デイジーには1年で卒業してもらい、その後1年は王妃教育に専念してもらうというのはどうでしょうか?彼女は僕の婚約者の間、全く王妃教育を受けていませんでしたので」

この国では最低1年は貴族学院に在籍する必要があるが、2年目からは退学する事も可能なのだ。それに卒業認定試験を受ければ、2年在籍した場合と同じ資格を受ける事が出来る。

「…わかりました。あなたって人は、いつからそんな…いいえ、何でもありません。あの、殿下。どうしてそこまで、デイジーとの婚約にこだわるのですか?」

「どうしてこだわるかですって?そんなの、決まっているではありませんか。デイジーを愛しているからです。僕は誰よりもデイジーを愛しているのです。だから、必ず彼女を幸せにしますから、安心してください」

「分かりました。殿下がそこまでおっしゃるのなら、どうかデイジーをよろしくお願いいたします」

「ええ、もちろんですよ。任せて下さい」

少し悲しそうに微笑む公爵に笑顔でそう伝えた。よし、これでデイジーの方は問題ない。後半年したら、またデイジーと婚約を結び直すことが出来る。

デイジーには王宮で住む様に準備を進めよう。そうだな、デイジーが逃げ出さない様に、厳重に管理した部屋にしないと。窓は鉄格子で囲って、部屋には何頑丈な鍵を付けよう。

それから…
あぁ、考えただけで頬が緩む。デイジー、僕から逃げようと思っても、無駄だよ。絶対に逃がさないからね。


※次回からデイジー視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
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