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第20話:領地での生活が始まります
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「お屋敷の中は、あまり変わっていないのね。懐かしいわ」
「そうね、こっちはあまり変わっていないわね。ユーリはあの部屋を使いなさい」
「ええ、分かりましたわ」
領地に来た時、いつも使っていた部屋を今回も使わせてもらう。早速着替えを済ませた。既に日が沈んでいて、辺りは真っ暗だ。今日の午前中、ディアンの家で過ごしていた為、領地に着いたのは、夕方近くになってしまったのだ。
「お嬢様、そろそろご夕食のお時間です」
「分かったわ。すぐに行くわね」
食堂に向かうと、美味しそうなお料理が既にたくさん並んでいた。お母様やお兄様夫婦も既に来ていた様だ。
「今日は母上とユーリが領地に来たお祝いだ。料理長が美味しい料理をたくさん作ってくれたから、早速食べよう」
「ユーリちゃん、この牛肉、とても美味しいのよ。餌にもこだわり抜いて、大切に育てた牛なの。食べてみて」
お義姉様に勧められ、早速ステーキを一口頂いた。その瞬間、うまみが口の中に広がり、すっと溶けていくような柔らかさだ。なんて美味しいのかしら。
「今まで食べたお肉の中で、一番美味しいわ。こんなお肉が存在しているだなんて」
「そうでしょう?まだ王都にも流通していないのよ。他にも沢山お料理があるから食べてね」
お義姉様に促され、色々なお料理を頂いた。昨日とその前は、ディアンのお家でお腹がはち切れそうなくらいご馳走を頂いたし。このままいくと私、太ってしまうかもしれないわ。
でも、美味しくて手が止まらないのだ。
あら?あのお花は。
ふとテーブルに飾ってあるお花に目が留まった。確かあのお花は、家の領地にしか咲かない珍しいお花なのだ。光を浴びると七色に光る美しい花なのだが、非常に繊細で、切り花はもちろんの事、根っこから丁寧に掘り起こしたとしても、すぐに枯れてしまうのだ。
その為、持ち帰る事は不可能。森の奥に生えているのを見る事くらいしか、出来ないのだが。どうしてそんな繊細な花が、ここに飾られているのだろう。
「ユーリ、どうしたんだい?ああ、この花か。実はね、特殊な液に付ける事で、枯れさせずに切り花にする事が出来る様になったのだよ。液に付ければ、1ヶ月は持つのだよ。凄いだろう?我が国には珍しい花が沢山咲いているからね。今、それらの花の栽培にも力を入れていて、これから王都はもちろん、他国にも出荷しようと思っているのだよ。ただ、虹色に輝く花の栽培だけは上手くいかなくて…」
何と、花の栽培にも力を入れているだなんて。
「それはすごいですわ。お兄様はただ田舎暮らしを楽しんでいた訳ではなかったのですね。この牛肉といい、お花の件といい。お兄様もお義姉様も、凄いですわ」
ただ遊んでいる訳ではなかったのね。次期伯爵として、色々と領地改革を行って来た様だ。
「ユーリ、人を何だと思っているのだい?領民たちが豊かに暮らせる様に、日々僕たちは色々とアイデアを出し合っているのだよ」
「本当にオルガノとカトリナちゃんが領地で暮し始めてから、一気に領民たちの生活もよくなったのよ。本当に2人には感謝しているの」
私が知らないところで、お兄様もお義姉様も領民の為に頑張っていのね。2人とも凄いわ。
「とはいえ、領地の街自体は、ユーリが昔来た時とあまり変わっていないよ。少しお店が増えて、活気が出たくらいかな。ユーリ、せっかく自然豊かな領地に来たのだから、王都では味わえない豊かな自然を存分に味わっていくといい」
「ええ、ぜひそうさせていただきますわ。確か屋敷の裏に大きな森がありましたわよね。それに牧場も。せっかくなので森を散策したり、乗馬を楽しんだりしたいですわ」
自然豊かな領地に来たのだから、自然を目いっぱい満喫したい。美しい空気を吸いながら、お茶をするのもいいだろう。考えただけで、ワクワクしてきた。
その後もお兄様やお義姉様、お母様と一緒に美味しい食事を頂きながら、話しに花を咲かせたのだった。
翌日、朝食を頂いた後、早速屋敷の周りを散歩した。ここら辺はあまり変わっていないのね。それにしても、空気が美味しいわ。
緑豊かな景色と美味しい空気を吸っているだけで、なんだか心が穏やかになる。あら?あれはリスね。あそこにはキツネもいるわ。
王都では絶対に見る事が出来ない動物たちにも会えるのだ。せっかくなので、森のに向かった。確かここには、美しい湖があるのだ。しばらく進むと、大きな湖が見えて来た。その周りを、花々が咲き乱れている。
本当にこの場所は綺麗ね。ディアンにも見せてあげたい。きっと喜ぶわ。
ディアンの喜ぶ顔を想像したら、つい笑みがこぼれた。ディアンが来たら、必ずこの場所に連れてきてあげよう。
ふと湖の奥を見ると、小さな道があった。あら?あんな道、あったかしら?せっかくなので、奥まで行ってみよう。
「そうね、こっちはあまり変わっていないわね。ユーリはあの部屋を使いなさい」
「ええ、分かりましたわ」
領地に来た時、いつも使っていた部屋を今回も使わせてもらう。早速着替えを済ませた。既に日が沈んでいて、辺りは真っ暗だ。今日の午前中、ディアンの家で過ごしていた為、領地に着いたのは、夕方近くになってしまったのだ。
「お嬢様、そろそろご夕食のお時間です」
「分かったわ。すぐに行くわね」
食堂に向かうと、美味しそうなお料理が既にたくさん並んでいた。お母様やお兄様夫婦も既に来ていた様だ。
「今日は母上とユーリが領地に来たお祝いだ。料理長が美味しい料理をたくさん作ってくれたから、早速食べよう」
「ユーリちゃん、この牛肉、とても美味しいのよ。餌にもこだわり抜いて、大切に育てた牛なの。食べてみて」
お義姉様に勧められ、早速ステーキを一口頂いた。その瞬間、うまみが口の中に広がり、すっと溶けていくような柔らかさだ。なんて美味しいのかしら。
「今まで食べたお肉の中で、一番美味しいわ。こんなお肉が存在しているだなんて」
「そうでしょう?まだ王都にも流通していないのよ。他にも沢山お料理があるから食べてね」
お義姉様に促され、色々なお料理を頂いた。昨日とその前は、ディアンのお家でお腹がはち切れそうなくらいご馳走を頂いたし。このままいくと私、太ってしまうかもしれないわ。
でも、美味しくて手が止まらないのだ。
あら?あのお花は。
ふとテーブルに飾ってあるお花に目が留まった。確かあのお花は、家の領地にしか咲かない珍しいお花なのだ。光を浴びると七色に光る美しい花なのだが、非常に繊細で、切り花はもちろんの事、根っこから丁寧に掘り起こしたとしても、すぐに枯れてしまうのだ。
その為、持ち帰る事は不可能。森の奥に生えているのを見る事くらいしか、出来ないのだが。どうしてそんな繊細な花が、ここに飾られているのだろう。
「ユーリ、どうしたんだい?ああ、この花か。実はね、特殊な液に付ける事で、枯れさせずに切り花にする事が出来る様になったのだよ。液に付ければ、1ヶ月は持つのだよ。凄いだろう?我が国には珍しい花が沢山咲いているからね。今、それらの花の栽培にも力を入れていて、これから王都はもちろん、他国にも出荷しようと思っているのだよ。ただ、虹色に輝く花の栽培だけは上手くいかなくて…」
何と、花の栽培にも力を入れているだなんて。
「それはすごいですわ。お兄様はただ田舎暮らしを楽しんでいた訳ではなかったのですね。この牛肉といい、お花の件といい。お兄様もお義姉様も、凄いですわ」
ただ遊んでいる訳ではなかったのね。次期伯爵として、色々と領地改革を行って来た様だ。
「ユーリ、人を何だと思っているのだい?領民たちが豊かに暮らせる様に、日々僕たちは色々とアイデアを出し合っているのだよ」
「本当にオルガノとカトリナちゃんが領地で暮し始めてから、一気に領民たちの生活もよくなったのよ。本当に2人には感謝しているの」
私が知らないところで、お兄様もお義姉様も領民の為に頑張っていのね。2人とも凄いわ。
「とはいえ、領地の街自体は、ユーリが昔来た時とあまり変わっていないよ。少しお店が増えて、活気が出たくらいかな。ユーリ、せっかく自然豊かな領地に来たのだから、王都では味わえない豊かな自然を存分に味わっていくといい」
「ええ、ぜひそうさせていただきますわ。確か屋敷の裏に大きな森がありましたわよね。それに牧場も。せっかくなので森を散策したり、乗馬を楽しんだりしたいですわ」
自然豊かな領地に来たのだから、自然を目いっぱい満喫したい。美しい空気を吸いながら、お茶をするのもいいだろう。考えただけで、ワクワクしてきた。
その後もお兄様やお義姉様、お母様と一緒に美味しい食事を頂きながら、話しに花を咲かせたのだった。
翌日、朝食を頂いた後、早速屋敷の周りを散歩した。ここら辺はあまり変わっていないのね。それにしても、空気が美味しいわ。
緑豊かな景色と美味しい空気を吸っているだけで、なんだか心が穏やかになる。あら?あれはリスね。あそこにはキツネもいるわ。
王都では絶対に見る事が出来ない動物たちにも会えるのだ。せっかくなので、森のに向かった。確かここには、美しい湖があるのだ。しばらく進むと、大きな湖が見えて来た。その周りを、花々が咲き乱れている。
本当にこの場所は綺麗ね。ディアンにも見せてあげたい。きっと喜ぶわ。
ディアンの喜ぶ顔を想像したら、つい笑みがこぼれた。ディアンが来たら、必ずこの場所に連れてきてあげよう。
ふと湖の奥を見ると、小さな道があった。あら?あんな道、あったかしら?せっかくなので、奥まで行ってみよう。
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