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第18話:僕はやっぱりユーリが大好きだ~ディアン視点
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丘に向かう途中、昔を懐かしむユーリについ
「相変わらずアレックスが好きなのかい?」
なんて意地悪な質問をしてしまった。すると、一瞬悲しそうな顔をしたかと思うと、アレックスは別の令嬢と婚約する事になったと教えてくれたのだ。
ユーリを絶対に幸せにすると、僕に約束したのに。あろう事か、別の令嬢と婚約するだなんて!再びアレックスに対する怒りがこみ上げて来た。あいつになんて、ユーリを渡さない。僕の手で、ユーリを幸せにしたい。
そんな思いが、僕の心を支配していく。こんなに悲しい顔をさせるアレックスなんかに、これ以上ユーリを傷つけさせはしない。僕がユーリの心を少しでも癒してあげたい。
そう強く思った。
丘に着くと、早速美しい夕日をユーリに見せた。目を輝やかせて夕日を見つめるユーリ。そんなユーリを、つい見つめてしまう。ユーリは貴族令嬢として僕に接したいみたいだけれど、僕は昔の様にユーリには接して欲しい。そんな思いで、無理に貴族令嬢の様な話し方はしなくていい。
昔みたいに“ディアン”と呼んで欲しいとお願いした。その結果、僕の事をディアンと呼ぶことにした様だ。それがなんだか嬉しい。
それにずっと見せたかったこの景色を、ユーリに見せる事が出来た。本当に夢みたいだ。ユーリの心も、少しは癒えてくれると嬉しい。
夕日を見た後は、再び屋敷に戻り夕食を食べた。父上と母上、ユーリの母上はぐびぐびとお酒を飲み、楽しそうに3人で盛り上がっていた。僕とユーリは、領地で採れた野菜をふんだんに使った料理を頂いた。
ユーリは野菜が大好きなのだ。その為、料理長に頼んで、今日は野菜中心の料理にしてもらったのだが、正解だった様だ。嬉しそうに料理を頬張るユーリを見ていたら、つい世話を焼いてしまう。
こうやってユーリと食事が出来るだなんて、本当に幸せだな。
食後は食べ過ぎて動けなくなったユーリを抱きかかえて、ユーリの部屋へと連れて行く。僕よりも頭1つ分小さいユーリ。ユーリってこんなに小さかったのだな、それに軽いや。昔は同じくらいの身長だったのに…やっぱりユーリは令嬢なんだ。それに柔らかくて温かい。
ユーリをギュッと抱きしめる。ずっとユーリを抱っこしていたいけれど、そんな事はダメだよね。そう思い部屋まで連れて行ったのだが、いつの間にか眠っていた様だ。この短時間で眠っちゃうだなんて、本当にユーリは可愛くてたまらない。
このまま寝かせてあげたいけれど、やっぱり起こした方がいいよね。そう思い、そっとユーリを起こした。すると、恥ずかしそうに謝るユーリ。1つ1つの表情が、愛おしくてたまらない。
もっと彼女と一緒にいたい、そんな思いを必死に抑え、ユーリの部屋を後にした。
自室に戻ると、そのままソファに座り込む。
ユーリ、本当に可愛かったな。やっぱり僕は、ユーリが大好きだ。今度こそ僕の手で、ユーリを幸せにしたい。でも、その前にユーリの心の傷を癒してあげたい。
そうだ!明日、領地を案内してあげよう。我が家の領地は、温泉が湧くのだ。伯爵家の露天風呂から見る夕焼けも綺麗なのだよね。
既に相当お酒を飲んでいたユーリの母上、明日の移動は無理だろう。少なくとも、夕方くらいまでは動けないはずだ。となると、明日も我が家に泊っていくよね。
もしユーリの母上が元気だったとしても、母上に頼んでもう1泊してもらう様に、ユーリの母上に頼んでもらおう。
そうと決まれば、明日に備えて早く寝よう。
湯あみを済ませ、ベッドに横になると、そのまま眠りについたのだった。
翌日。
朝早く目が覚めた僕は、ユーリの部屋の前で、ユーリが出てくるのを待つ。昨日来たばかりのユーリは、きっと食堂の場所を知らないだろう。僕が案内してあげないと。
そんな思いで待っていると、ユーリが出て来た。そして僕の顔を見ると、嬉しそうに挨拶をして来たのだ。
仲良く2人で手を繋いで食堂へと向かった。今日も朝取れたての野菜をたっぷり使った朝食だ。2人仲良く朝食を食べた。
案の定、両親とユーリの母上は、明け方まで飲んでいた様で、部屋で寝ている様だ。きっと夕方くらいまで起きてこないだろう。とりあえず、朝一番でファルスィン伯爵領に使いを出し、もう1泊我が家に泊る事を伝えた。
これで今日もユーリと一緒にいられる。
早速午前中は、伯爵家を案内した。僕の予想通り、ユーリは露天風呂に興味を示してくれたのだ。ユーリと2人で温泉に入れる様に、お湯につかっても透けない特別な服と準備しておくように使用人に頼んでおいた。
そして午後は、領地の街へと繰り出した。ここでもユーリは、目を輝かせて楽しんでいた。ユーリは我が伯爵領をすっかり気に入ってくれた様だ。
そして夕方、2人で露天風呂に入った。
すっかり元気になってくれたユーリ。彼女の心が少しでも穏やかでいてくれたら、僕は嬉しい。
好きな人を忘れようとすることがどれほど辛いか、僕は嫌というほど知っている。だからこそ、ユーリには僕と同じ思いはして欲しくなった。
でも…
ユーリがアレックスを諦めると決めたのなら、僕は全力でユーリをサポートしたい。そしていつの日か、ユーリが僕を選んでくれたら…
嬉しそうに温泉につかるユーリを見ながら、ついそんな事を考えたのだった。
※次回、ユーリ視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
「相変わらずアレックスが好きなのかい?」
なんて意地悪な質問をしてしまった。すると、一瞬悲しそうな顔をしたかと思うと、アレックスは別の令嬢と婚約する事になったと教えてくれたのだ。
ユーリを絶対に幸せにすると、僕に約束したのに。あろう事か、別の令嬢と婚約するだなんて!再びアレックスに対する怒りがこみ上げて来た。あいつになんて、ユーリを渡さない。僕の手で、ユーリを幸せにしたい。
そんな思いが、僕の心を支配していく。こんなに悲しい顔をさせるアレックスなんかに、これ以上ユーリを傷つけさせはしない。僕がユーリの心を少しでも癒してあげたい。
そう強く思った。
丘に着くと、早速美しい夕日をユーリに見せた。目を輝やかせて夕日を見つめるユーリ。そんなユーリを、つい見つめてしまう。ユーリは貴族令嬢として僕に接したいみたいだけれど、僕は昔の様にユーリには接して欲しい。そんな思いで、無理に貴族令嬢の様な話し方はしなくていい。
昔みたいに“ディアン”と呼んで欲しいとお願いした。その結果、僕の事をディアンと呼ぶことにした様だ。それがなんだか嬉しい。
それにずっと見せたかったこの景色を、ユーリに見せる事が出来た。本当に夢みたいだ。ユーリの心も、少しは癒えてくれると嬉しい。
夕日を見た後は、再び屋敷に戻り夕食を食べた。父上と母上、ユーリの母上はぐびぐびとお酒を飲み、楽しそうに3人で盛り上がっていた。僕とユーリは、領地で採れた野菜をふんだんに使った料理を頂いた。
ユーリは野菜が大好きなのだ。その為、料理長に頼んで、今日は野菜中心の料理にしてもらったのだが、正解だった様だ。嬉しそうに料理を頬張るユーリを見ていたら、つい世話を焼いてしまう。
こうやってユーリと食事が出来るだなんて、本当に幸せだな。
食後は食べ過ぎて動けなくなったユーリを抱きかかえて、ユーリの部屋へと連れて行く。僕よりも頭1つ分小さいユーリ。ユーリってこんなに小さかったのだな、それに軽いや。昔は同じくらいの身長だったのに…やっぱりユーリは令嬢なんだ。それに柔らかくて温かい。
ユーリをギュッと抱きしめる。ずっとユーリを抱っこしていたいけれど、そんな事はダメだよね。そう思い部屋まで連れて行ったのだが、いつの間にか眠っていた様だ。この短時間で眠っちゃうだなんて、本当にユーリは可愛くてたまらない。
このまま寝かせてあげたいけれど、やっぱり起こした方がいいよね。そう思い、そっとユーリを起こした。すると、恥ずかしそうに謝るユーリ。1つ1つの表情が、愛おしくてたまらない。
もっと彼女と一緒にいたい、そんな思いを必死に抑え、ユーリの部屋を後にした。
自室に戻ると、そのままソファに座り込む。
ユーリ、本当に可愛かったな。やっぱり僕は、ユーリが大好きだ。今度こそ僕の手で、ユーリを幸せにしたい。でも、その前にユーリの心の傷を癒してあげたい。
そうだ!明日、領地を案内してあげよう。我が家の領地は、温泉が湧くのだ。伯爵家の露天風呂から見る夕焼けも綺麗なのだよね。
既に相当お酒を飲んでいたユーリの母上、明日の移動は無理だろう。少なくとも、夕方くらいまでは動けないはずだ。となると、明日も我が家に泊っていくよね。
もしユーリの母上が元気だったとしても、母上に頼んでもう1泊してもらう様に、ユーリの母上に頼んでもらおう。
そうと決まれば、明日に備えて早く寝よう。
湯あみを済ませ、ベッドに横になると、そのまま眠りについたのだった。
翌日。
朝早く目が覚めた僕は、ユーリの部屋の前で、ユーリが出てくるのを待つ。昨日来たばかりのユーリは、きっと食堂の場所を知らないだろう。僕が案内してあげないと。
そんな思いで待っていると、ユーリが出て来た。そして僕の顔を見ると、嬉しそうに挨拶をして来たのだ。
仲良く2人で手を繋いで食堂へと向かった。今日も朝取れたての野菜をたっぷり使った朝食だ。2人仲良く朝食を食べた。
案の定、両親とユーリの母上は、明け方まで飲んでいた様で、部屋で寝ている様だ。きっと夕方くらいまで起きてこないだろう。とりあえず、朝一番でファルスィン伯爵領に使いを出し、もう1泊我が家に泊る事を伝えた。
これで今日もユーリと一緒にいられる。
早速午前中は、伯爵家を案内した。僕の予想通り、ユーリは露天風呂に興味を示してくれたのだ。ユーリと2人で温泉に入れる様に、お湯につかっても透けない特別な服と準備しておくように使用人に頼んでおいた。
そして午後は、領地の街へと繰り出した。ここでもユーリは、目を輝かせて楽しんでいた。ユーリは我が伯爵領をすっかり気に入ってくれた様だ。
そして夕方、2人で露天風呂に入った。
すっかり元気になってくれたユーリ。彼女の心が少しでも穏やかでいてくれたら、僕は嬉しい。
好きな人を忘れようとすることがどれほど辛いか、僕は嫌というほど知っている。だからこそ、ユーリには僕と同じ思いはして欲しくなった。
でも…
ユーリがアレックスを諦めると決めたのなら、僕は全力でユーリをサポートしたい。そしていつの日か、ユーリが僕を選んでくれたら…
嬉しそうに温泉につかるユーリを見ながら、ついそんな事を考えたのだった。
※次回、ユーリ視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
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