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第9話:待ちに待った半期休みに入りました
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「ユーリ、明日から半期休みに入るわね。と言っても、あなたは数日前から貴族学院をお休みしているから、既に半期休みに入っている様なもだけれどね」
「もう、お母様ったら。私はきちんとお勉強もしていましたよ。それよりも、明日早速領地に向かいたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんよ。明日、出発しましょう」
やっと領地に行けるのね。アレックス様が訪ねていらしてから、心穏やかではなかったのだ。あろう事か、あの後またアレックス様が訪ねて来たらしい。本当にあの人は、何を考えているのかしら?
私の気持ちを知ってもらう為に、昨日アレックス様宛に、手紙を書いた。手紙には、アレックス様を忘れるために、今必死に頑張っている事。私はどうしてもアレックス様を異性として見てしまう事。だからどうか、しばらく距離を置きたい事を記載しておいた。
自分本位な手紙という事は分かっているが、これだけは譲れないのだ。アレックス様だって、いつまでも私に好かれているのも嫌だろうし、きっともう、しばらくは私に関わってくることもないだろう。
と言っても、私は明日から領地に向かうから、どちらにしろ1ヶ月は会う事はないのだけれどね。
早速領地に向かう準備をしないと。
鼻歌を歌いながら自室に戻ると、既にメイドたちが明日の準備をしてくれていた。
「お嬢様、お洋服や下着など、必要な物は詰めさせていただきました。他に何か持って行きたいものがございますか?」
どうやら必需品は全て詰めてもらっている様だ。後持って行くものは…
特にないわね。
「既に必要な物は、全て詰めてくれたのね。ありがとう。他に持って行きたいものはないから、とりあえずこれだけで十分よ」
既に荷造りもすんでいるし、後は明日を待つだけだ。なんだか楽しみになって来たわ。
翌日
「ユーリ、気を付けて行ってくるのだぞ。オルガノやカトリナの言う事をしっかり聞き、いい子にしているのだぞ。分かったな」
「お父様、そんなに心配しなくても大丈夫ですわ」
「そうよ、あなた。私も1週間程度一緒に過ごすのですもの。問題ないわよ」
「そうだな、母さんも一緒だし、大丈夫だよな。でも…しばらくこの広い屋敷に1人で過ごすだなんて、寂しいな。やはり私も一緒に行こうかな?」
「あなたは伯爵の仕事があるでしょう?1週間で帰ってきますから、どうか大人しく待っていてください!」
お母様に強く言われ、シュンとするお父様。きっと寂しくてたまらないのだろう。お父様は非常に寂しがり屋なのだ。きっとお母様に早く帰って来いと、毎日手紙をよこして来るだろう。
これ以上お父様と一緒にいたら、もしかしたらいかないで欲しいと泣きついてくるかもしれない。早く出発しないと!
「それでは行ってきます」
お母様と一緒に、馬車に乗り込んだ。
「気を付けて行って来いよ…やっぱり寂しい、私も…」
お父様が何か言いかけたタイミングで、馬車が走り出した。
「おい、私の話はまだ終わっていないぞ!」
そう叫んでいるお父様に、笑顔で手を振った。
「あの人、本当に寂しがり屋なのよね…ユーリ、申し訳ないのだけれど、多分3日くらいで私は王都に戻る事になると思うわ…」
お母様が遠い目をしながら、そう呟いた。お母様も色々と大変ね。
気を取り直して、お母様と一緒に領地へと向かう。領地までは馬車で約2日かかる。
「こうやってお母様と一緒に外出するの、子供の頃以来ですね」
「そう言えばそうね。ユーリはいつも、アレックス様に夢中で、領地にも付いてきたがらなかったものね。ユーリ、アレックス様のこと…いいえ、何でもないわ」
お母様もある程度、分かっているのだろう。
「私、アレックス様に6回気持ちを伝えて、6回ともフラれているのです。つい最近も気持ちを伝えたのですが、私の事はどうしても女性として見る事が出来ないそうです。だから私、もうアレックス様の事を諦める事にしましたの」
「そう…アレックス様は、見る目がないのね。ユーリはとても可愛くて、魅力的な令嬢なのに。きっとユーリにも、素敵な殿方が現れるわよ」
お母様ったら…親バカね。
「そうだといいのですが…」
そっと窓の外を見る。気が付くともう、王都を出ていた様で、田園風景が広がっていた。王都ではなかなか見る事が出来ない景色ね。これも領地に行くまでの、楽しみの一つだ。
お昼は野菜を中心としたお料理を頂き、夜にはホテルに泊まった。翌日も同じ様に馬車をすすめる。
「ユーリ、今日はね、ある人のお宅に泊めてもらおうと思っているのよ」
「ある人のお宅?」
お母様ったら、一体誰の家に泊ろうとしているのかしら?
「もう、お母様ったら。私はきちんとお勉強もしていましたよ。それよりも、明日早速領地に向かいたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんよ。明日、出発しましょう」
やっと領地に行けるのね。アレックス様が訪ねていらしてから、心穏やかではなかったのだ。あろう事か、あの後またアレックス様が訪ねて来たらしい。本当にあの人は、何を考えているのかしら?
私の気持ちを知ってもらう為に、昨日アレックス様宛に、手紙を書いた。手紙には、アレックス様を忘れるために、今必死に頑張っている事。私はどうしてもアレックス様を異性として見てしまう事。だからどうか、しばらく距離を置きたい事を記載しておいた。
自分本位な手紙という事は分かっているが、これだけは譲れないのだ。アレックス様だって、いつまでも私に好かれているのも嫌だろうし、きっともう、しばらくは私に関わってくることもないだろう。
と言っても、私は明日から領地に向かうから、どちらにしろ1ヶ月は会う事はないのだけれどね。
早速領地に向かう準備をしないと。
鼻歌を歌いながら自室に戻ると、既にメイドたちが明日の準備をしてくれていた。
「お嬢様、お洋服や下着など、必要な物は詰めさせていただきました。他に何か持って行きたいものがございますか?」
どうやら必需品は全て詰めてもらっている様だ。後持って行くものは…
特にないわね。
「既に必要な物は、全て詰めてくれたのね。ありがとう。他に持って行きたいものはないから、とりあえずこれだけで十分よ」
既に荷造りもすんでいるし、後は明日を待つだけだ。なんだか楽しみになって来たわ。
翌日
「ユーリ、気を付けて行ってくるのだぞ。オルガノやカトリナの言う事をしっかり聞き、いい子にしているのだぞ。分かったな」
「お父様、そんなに心配しなくても大丈夫ですわ」
「そうよ、あなた。私も1週間程度一緒に過ごすのですもの。問題ないわよ」
「そうだな、母さんも一緒だし、大丈夫だよな。でも…しばらくこの広い屋敷に1人で過ごすだなんて、寂しいな。やはり私も一緒に行こうかな?」
「あなたは伯爵の仕事があるでしょう?1週間で帰ってきますから、どうか大人しく待っていてください!」
お母様に強く言われ、シュンとするお父様。きっと寂しくてたまらないのだろう。お父様は非常に寂しがり屋なのだ。きっとお母様に早く帰って来いと、毎日手紙をよこして来るだろう。
これ以上お父様と一緒にいたら、もしかしたらいかないで欲しいと泣きついてくるかもしれない。早く出発しないと!
「それでは行ってきます」
お母様と一緒に、馬車に乗り込んだ。
「気を付けて行って来いよ…やっぱり寂しい、私も…」
お父様が何か言いかけたタイミングで、馬車が走り出した。
「おい、私の話はまだ終わっていないぞ!」
そう叫んでいるお父様に、笑顔で手を振った。
「あの人、本当に寂しがり屋なのよね…ユーリ、申し訳ないのだけれど、多分3日くらいで私は王都に戻る事になると思うわ…」
お母様が遠い目をしながら、そう呟いた。お母様も色々と大変ね。
気を取り直して、お母様と一緒に領地へと向かう。領地までは馬車で約2日かかる。
「こうやってお母様と一緒に外出するの、子供の頃以来ですね」
「そう言えばそうね。ユーリはいつも、アレックス様に夢中で、領地にも付いてきたがらなかったものね。ユーリ、アレックス様のこと…いいえ、何でもないわ」
お母様もある程度、分かっているのだろう。
「私、アレックス様に6回気持ちを伝えて、6回ともフラれているのです。つい最近も気持ちを伝えたのですが、私の事はどうしても女性として見る事が出来ないそうです。だから私、もうアレックス様の事を諦める事にしましたの」
「そう…アレックス様は、見る目がないのね。ユーリはとても可愛くて、魅力的な令嬢なのに。きっとユーリにも、素敵な殿方が現れるわよ」
お母様ったら…親バカね。
「そうだといいのですが…」
そっと窓の外を見る。気が付くともう、王都を出ていた様で、田園風景が広がっていた。王都ではなかなか見る事が出来ない景色ね。これも領地に行くまでの、楽しみの一つだ。
お昼は野菜を中心としたお料理を頂き、夜にはホテルに泊まった。翌日も同じ様に馬車をすすめる。
「ユーリ、今日はね、ある人のお宅に泊めてもらおうと思っているのよ」
「ある人のお宅?」
お母様ったら、一体誰の家に泊ろうとしているのかしら?
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