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第36話:王都に着きました
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明日の早朝出掛けるとの事で、その日は早めに就寝した。そして翌日。
「それじゃあ、行ってくる。悪いが留守を頼む」
「かしこまりました」
使用人たちに挨拶をして、旦那様と一緒に馬車に乗り込もうとした時だった。
“レアンヌ、おはよう。どこか行くのかい?”
ものすごいスピードでやって来たのは、リスだ。私の肩にスッと乗った。
「おはよう、久しぶりね。ちょっと王都に行く事になって。すぐに戻ってくる予定だけれどね」
“王都に?あの意地悪な男が僕たちに会わせないために、君を王都に連れて行くのかい?あいつ、僕たちをレアンヌに近づかせないために必死だったんだよ。本当に嫌な男!”
旦那様に向かって、プイっとあちらの方を向くリス。相当ご立腹の様だ。
「旦那様は私がいなくなって、随分と心配してくださったみたいなの。だから、そんな事を言わないで」
リスの頭をなで、そう伝えた。
「レアンヌ、そろそろ行こう。それにしても、本当にどこからでも現れるな。油断も隙も無い。ほら、リス、レアンヌから降りろ」
“何だよお前!相変わらず感じが悪い男だな!それじゃあレアンヌ、気を付けていってらっしゃい。またこっちに戻ってきたら、ミハイル様のところに行こうね。あいつに黙って。それじゃあ”
私の肩から降りると、そのままリスは森の方へ行ってしまった。ミハイル様の元か。また行きたい気持ちもあるが…さすがに無理だろう。
「本当に油断も隙も無いリスだ。さあレアンヌ、他の動物たちが来る前に、早く行こう」
さっきまでリスが乗っていた私の右肩を何度も手ではらっている。もう、旦那様ったら。
旦那様と一緒に馬車に乗り込み、王都を目指す。王都までは、約3日かかる。そう言えばここに来るときも、3日かけて来たのよね。初めて見た外の世界に、随分興奮したものだわ。
「レアンヌ、何を嬉しそうな顔をしているのだい?」
「この街に向かっていた日々の事を思い出していたのです。初めて見る街やレストラン、ホテルに随分興奮していたなって。私は本当に世間を知りませんでしたので」
街に出る事は許されなかったけれど、それでも馬車の窓から色々な街を見る事が出来た。その土地の美味しいお料理も頂いた。私にとっては、楽しい旅だったのだ。
「君がこの街に来た時の話は聞いたよ。王女が泊るにはふさわしくない、安いホテルに泊まらされていたと聞いたが…そうか、レアンヌにとっては、楽しい思い出だったのだな。今回泊まるホテルは、前回とは比べ物にならない程立派なホテルだ。行きはさすがに無理だが、帰りは気になる街を観光しながら帰ろう」
「他の街を観光できるのですか?窓から見ているだけでもとても楽しかったのに、実際見てまわれるだなんて。それは楽しみですわね」
「レアンヌ、私たちは夫婦だ。私は君の喜ぶ顔を見ると嬉しくなる。だから、私には何も遠慮せず、やりたい事があるなら遠慮なく話して欲しい。出来る限り叶えられる様にするから。ただ…あの精霊に会いたいとか、森に行きたいという願いは叶えてやれないが…」
少し恥ずかしそうに旦那様が呟く。
「ありがとうございます。私はずっと1人で生きて参りましたので、旦那様が傍にいて下さるだけで十分幸せですわ。これからもずっと、傍にいて下さいますか?」
この地に来て、初めてお母様以外から与えられた人の温もりや優しさ。その心地よさに、私はすっかり魅了された。これからもずっと、この温もりを感じていたいのだ。もう1人ボッチは嫌だ。
たとえ動物たちが傍にいてくれても、やはり人間の温もりは格別なのだ。だからこそ、これからは本当の夫婦になりたいと、私も思っている。
「もちろんだよ。私の命が尽きるまで、ずっと傍にいるよ。レアンヌ、隣国に移り住んだら、私たちの結婚式を挙げようと考えている。君が私から逃げないためにも、お披露目は必要だろう」
ん?私が旦那様から逃げる?この人は何を言っているのだろう。
「旦那様、私はあなた様から逃げたりしませんわ。先ほども申し上げた通り、ずっと傍におります」
「それならいいのだが…とにかく、今回の就任式が終わったら、早々に隣国へ向かおう。早くあの森から離れないと」
私をギュッと抱きしめ、呟く旦那様。まだ私とミハイル様の事を気にしているのね。本当に私たちは、そんな関係ではないのだけれど…
その後も何度も休憩を挟みつつ、王都を目指す。旦那様が言った通り、行きに泊まったホテルとは比べ物にならない程、立派なホテルだった。
そして3日後。
「レアンヌ、王都の街並みが見えて来た。国王が王宮に泊れとうるさいから、今から王宮に向かわないといけない。レアンヌにとっては、あまりいい思い出のない王宮かもしれないが、明日の就任式が終わったら、すぐに帰る予定だ。だから、今日と明日の2日間だけ、我慢して欲しい。私も極力側にいるし、リサもいるから」
「ありがとうございます。私は大丈夫ですわ。旦那様もリサもいて下さるのですから」
王宮か…
正直あまり行きたくないが、旦那様もリサもいるからきっと大丈夫だろう。
「それじゃあ、行ってくる。悪いが留守を頼む」
「かしこまりました」
使用人たちに挨拶をして、旦那様と一緒に馬車に乗り込もうとした時だった。
“レアンヌ、おはよう。どこか行くのかい?”
ものすごいスピードでやって来たのは、リスだ。私の肩にスッと乗った。
「おはよう、久しぶりね。ちょっと王都に行く事になって。すぐに戻ってくる予定だけれどね」
“王都に?あの意地悪な男が僕たちに会わせないために、君を王都に連れて行くのかい?あいつ、僕たちをレアンヌに近づかせないために必死だったんだよ。本当に嫌な男!”
旦那様に向かって、プイっとあちらの方を向くリス。相当ご立腹の様だ。
「旦那様は私がいなくなって、随分と心配してくださったみたいなの。だから、そんな事を言わないで」
リスの頭をなで、そう伝えた。
「レアンヌ、そろそろ行こう。それにしても、本当にどこからでも現れるな。油断も隙も無い。ほら、リス、レアンヌから降りろ」
“何だよお前!相変わらず感じが悪い男だな!それじゃあレアンヌ、気を付けていってらっしゃい。またこっちに戻ってきたら、ミハイル様のところに行こうね。あいつに黙って。それじゃあ”
私の肩から降りると、そのままリスは森の方へ行ってしまった。ミハイル様の元か。また行きたい気持ちもあるが…さすがに無理だろう。
「本当に油断も隙も無いリスだ。さあレアンヌ、他の動物たちが来る前に、早く行こう」
さっきまでリスが乗っていた私の右肩を何度も手ではらっている。もう、旦那様ったら。
旦那様と一緒に馬車に乗り込み、王都を目指す。王都までは、約3日かかる。そう言えばここに来るときも、3日かけて来たのよね。初めて見た外の世界に、随分興奮したものだわ。
「レアンヌ、何を嬉しそうな顔をしているのだい?」
「この街に向かっていた日々の事を思い出していたのです。初めて見る街やレストラン、ホテルに随分興奮していたなって。私は本当に世間を知りませんでしたので」
街に出る事は許されなかったけれど、それでも馬車の窓から色々な街を見る事が出来た。その土地の美味しいお料理も頂いた。私にとっては、楽しい旅だったのだ。
「君がこの街に来た時の話は聞いたよ。王女が泊るにはふさわしくない、安いホテルに泊まらされていたと聞いたが…そうか、レアンヌにとっては、楽しい思い出だったのだな。今回泊まるホテルは、前回とは比べ物にならない程立派なホテルだ。行きはさすがに無理だが、帰りは気になる街を観光しながら帰ろう」
「他の街を観光できるのですか?窓から見ているだけでもとても楽しかったのに、実際見てまわれるだなんて。それは楽しみですわね」
「レアンヌ、私たちは夫婦だ。私は君の喜ぶ顔を見ると嬉しくなる。だから、私には何も遠慮せず、やりたい事があるなら遠慮なく話して欲しい。出来る限り叶えられる様にするから。ただ…あの精霊に会いたいとか、森に行きたいという願いは叶えてやれないが…」
少し恥ずかしそうに旦那様が呟く。
「ありがとうございます。私はずっと1人で生きて参りましたので、旦那様が傍にいて下さるだけで十分幸せですわ。これからもずっと、傍にいて下さいますか?」
この地に来て、初めてお母様以外から与えられた人の温もりや優しさ。その心地よさに、私はすっかり魅了された。これからもずっと、この温もりを感じていたいのだ。もう1人ボッチは嫌だ。
たとえ動物たちが傍にいてくれても、やはり人間の温もりは格別なのだ。だからこそ、これからは本当の夫婦になりたいと、私も思っている。
「もちろんだよ。私の命が尽きるまで、ずっと傍にいるよ。レアンヌ、隣国に移り住んだら、私たちの結婚式を挙げようと考えている。君が私から逃げないためにも、お披露目は必要だろう」
ん?私が旦那様から逃げる?この人は何を言っているのだろう。
「旦那様、私はあなた様から逃げたりしませんわ。先ほども申し上げた通り、ずっと傍におります」
「それならいいのだが…とにかく、今回の就任式が終わったら、早々に隣国へ向かおう。早くあの森から離れないと」
私をギュッと抱きしめ、呟く旦那様。まだ私とミハイル様の事を気にしているのね。本当に私たちは、そんな関係ではないのだけれど…
その後も何度も休憩を挟みつつ、王都を目指す。旦那様が言った通り、行きに泊まったホテルとは比べ物にならない程、立派なホテルだった。
そして3日後。
「レアンヌ、王都の街並みが見えて来た。国王が王宮に泊れとうるさいから、今から王宮に向かわないといけない。レアンヌにとっては、あまりいい思い出のない王宮かもしれないが、明日の就任式が終わったら、すぐに帰る予定だ。だから、今日と明日の2日間だけ、我慢して欲しい。私も極力側にいるし、リサもいるから」
「ありがとうございます。私は大丈夫ですわ。旦那様もリサもいて下さるのですから」
王宮か…
正直あまり行きたくないが、旦那様もリサもいるからきっと大丈夫だろう。
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