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第12話:充実した1日でした
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しばらく歩くと、そこには立派な木の実がたくさんなっていた。
「凄いわ、こんなに沢山の木の実がなっているだなんて。キイチゴだけで何種類もあるわ」
早速1口。甘酸っぱくて美味しい。
“レアンヌ、すごいでしょう?ここは僕たちの秘密の場所なんだよ。特別にレアンヌにだけ、教えてあげたんだ。もし屋敷を追い出されたら、この森で一緒に暮らそう”
“おい、適当な事を言うな!レアンヌはずっと屋敷で暮らすんだ。そして、俺の面倒を見るんだ。本当に、図々しい動物たちだ!”
“図々しいのはどっちだよ。勝手に逃げ出してレアンヌに心配をかけたくせに。その上、レアンヌにお世話までしてもらっているだなんて。君にはそこの仮面男がいるだろう?”
“何だと!このチビ助が!”
動物たちとマックが喧嘩をし始めた。これはまずい、止めないと。
「皆、落ち着いて。皆も私を気遣ってくれてありがとう。マックも私の事を心配してくれているのよね。でも私は、皆が喧嘩をすると悲しいわ。せっかくお友達になったのだから、仲良くしましょう」
動物たちにそう伝えた。ただ…まだ動物たちもマックもご機嫌斜めな様だが…
「レアンヌ、動物たちは何を怒っているのだい?あのリスなんて、毛並みを逆立ててマックに怒っているみたいだけれど…」
「ああ…えっと…皆私の事を心配してくれていて、それでちょっと言い合いになってしまっただけなのです。ほら、皆が怒っているから、旦那様も心配しているわよ。はい、木の実をどうぞ」
一番怒っているリスに、木の実を上げた。マックにも近くの草を摘んできてあげた。
“レアンヌに免じて許してあげるよ。さあレアンヌ、好きなだけ木の実を摘んでいいよ。奥には美しい滝もあるんだ。後で行こうね。あの意地悪な馬は、仮面男に押し付けてさ…”
“誰が意地悪な馬だ!本当に生意気なチビ助だな!”
「もう、ふたりとも落ち着いて。せっかくだから、木の実を取らせていただくわね」
気を取り直して、沢山の木の実を取った。
“レアンヌ、次はとても綺麗な滝に行こう。ただあの場所は、あまり人間は連れて行きたくないんだ…”
ちらりと旦那様を見たリス。どうやら旦那様や護衛たちは連れて行きたくない様だ。私もチラリと旦那様の方を見る。
「レアンヌ殿、どうしたのだい?」
「あの…私とリスさんはちょっと出かけてきますので、先に皆様は戻っていてくれませんか?」
“おい、チビ助、レアンヌをどこに連れて行く気だ!”
すかさずマックが声を上げた。さらに
「この森にはクマもいる。君1人で森の奥にはいかせられないよ。もしもの事があったら大変だからね。護衛が行くのが嫌なら、私が一緒に付いていこう」
すかさず旦那様からも反対された。
“仕方ないな…それじゃあ、美しい滝はレアンヌ1人で森に来た時にしよう。実はね、あの滝には、僕たちの王様、この森の精霊が住んでいるんだよ。きっとレアンヌの事を気に入ると思うんだ。でも、王様は人間が嫌いだから…”
なるほど、そういう事か。
「まあ、精霊様がいらっしゃるのね。でも人間が嫌いなら、私の事も嫌いなのではなくって?」
“レアンヌは大丈夫だよ。きっと気に入ってくれるよ”
そう言ってリスが笑顔を見せた。他の動物たちも、頷いている。
「レアンヌ殿、そろそろ戻ろう。日が暮れると危ないからね」
「でも…まだ日が高く昇っておりますわ…」
旦那様ったら、急にどうしたのかしら?
「いいから戻ろう。君たち、今日は木の実が沢山ある場所を案内してくれて、ありがとう。それじゃあ、私たちはもう帰るよ」
「分かりましたわ。皆、今日はありがとう。また遊びに来るわね」
“今度は1人で来てね。特にその馬は置いてきて”
“何だと!本当に失礼な奴らだ。もうレアンヌは森には連れてこないからな!”
相変わらず森の動物たちとマックは仲が良くない様で、最後まで言い合いをしていた。
「レアンヌ殿、今日は随分歩いたけれど、足は痛くないかい?」
「ええ、大丈夫ですわ。旦那様、今日はありがとうございました。お陰でこんなに沢山の木の実を取る事が出来ました。この木の実で、ケーキを焼いたら美味しいそうですわね」
せっかくだから、厨房を借りてケーキを焼きたいわ。
「それじゃあ、料理長に早速作ってもらおう。君は家事全般何でもできると聞いた。でも、ここではあえて無理に家事をしなくてもいい。君はその…形上であったとしても私の妻なのだから…」
「旦那様?」
最後の方はとても声が小さくて、全く聞こえなかった。
「何でもない。さあ、馬車のところまで戻って来たよ。少し早いが、もう帰ろう」
「はい」
旦那様がわざわざ馬車の中までエスコートしてくれた。やはり旦那様は、優しい方だ。そのまま馬車が閉まり、ゆっくりと走り出した。今日はとても楽しかったわ。動物たちとも仲良くなれたし。
それにこの森には、精霊がいるのね。機会があれば会ってみないな…
それにしてもこの揺れ、気持ちいい。ゆっくりと目を閉じ、そのまま夢の中へと旅立ったのだった。
※次回、アントニオ視点です。
よろしくお願いします。
「凄いわ、こんなに沢山の木の実がなっているだなんて。キイチゴだけで何種類もあるわ」
早速1口。甘酸っぱくて美味しい。
“レアンヌ、すごいでしょう?ここは僕たちの秘密の場所なんだよ。特別にレアンヌにだけ、教えてあげたんだ。もし屋敷を追い出されたら、この森で一緒に暮らそう”
“おい、適当な事を言うな!レアンヌはずっと屋敷で暮らすんだ。そして、俺の面倒を見るんだ。本当に、図々しい動物たちだ!”
“図々しいのはどっちだよ。勝手に逃げ出してレアンヌに心配をかけたくせに。その上、レアンヌにお世話までしてもらっているだなんて。君にはそこの仮面男がいるだろう?”
“何だと!このチビ助が!”
動物たちとマックが喧嘩をし始めた。これはまずい、止めないと。
「皆、落ち着いて。皆も私を気遣ってくれてありがとう。マックも私の事を心配してくれているのよね。でも私は、皆が喧嘩をすると悲しいわ。せっかくお友達になったのだから、仲良くしましょう」
動物たちにそう伝えた。ただ…まだ動物たちもマックもご機嫌斜めな様だが…
「レアンヌ、動物たちは何を怒っているのだい?あのリスなんて、毛並みを逆立ててマックに怒っているみたいだけれど…」
「ああ…えっと…皆私の事を心配してくれていて、それでちょっと言い合いになってしまっただけなのです。ほら、皆が怒っているから、旦那様も心配しているわよ。はい、木の実をどうぞ」
一番怒っているリスに、木の実を上げた。マックにも近くの草を摘んできてあげた。
“レアンヌに免じて許してあげるよ。さあレアンヌ、好きなだけ木の実を摘んでいいよ。奥には美しい滝もあるんだ。後で行こうね。あの意地悪な馬は、仮面男に押し付けてさ…”
“誰が意地悪な馬だ!本当に生意気なチビ助だな!”
「もう、ふたりとも落ち着いて。せっかくだから、木の実を取らせていただくわね」
気を取り直して、沢山の木の実を取った。
“レアンヌ、次はとても綺麗な滝に行こう。ただあの場所は、あまり人間は連れて行きたくないんだ…”
ちらりと旦那様を見たリス。どうやら旦那様や護衛たちは連れて行きたくない様だ。私もチラリと旦那様の方を見る。
「レアンヌ殿、どうしたのだい?」
「あの…私とリスさんはちょっと出かけてきますので、先に皆様は戻っていてくれませんか?」
“おい、チビ助、レアンヌをどこに連れて行く気だ!”
すかさずマックが声を上げた。さらに
「この森にはクマもいる。君1人で森の奥にはいかせられないよ。もしもの事があったら大変だからね。護衛が行くのが嫌なら、私が一緒に付いていこう」
すかさず旦那様からも反対された。
“仕方ないな…それじゃあ、美しい滝はレアンヌ1人で森に来た時にしよう。実はね、あの滝には、僕たちの王様、この森の精霊が住んでいるんだよ。きっとレアンヌの事を気に入ると思うんだ。でも、王様は人間が嫌いだから…”
なるほど、そういう事か。
「まあ、精霊様がいらっしゃるのね。でも人間が嫌いなら、私の事も嫌いなのではなくって?」
“レアンヌは大丈夫だよ。きっと気に入ってくれるよ”
そう言ってリスが笑顔を見せた。他の動物たちも、頷いている。
「レアンヌ殿、そろそろ戻ろう。日が暮れると危ないからね」
「でも…まだ日が高く昇っておりますわ…」
旦那様ったら、急にどうしたのかしら?
「いいから戻ろう。君たち、今日は木の実が沢山ある場所を案内してくれて、ありがとう。それじゃあ、私たちはもう帰るよ」
「分かりましたわ。皆、今日はありがとう。また遊びに来るわね」
“今度は1人で来てね。特にその馬は置いてきて”
“何だと!本当に失礼な奴らだ。もうレアンヌは森には連れてこないからな!”
相変わらず森の動物たちとマックは仲が良くない様で、最後まで言い合いをしていた。
「レアンヌ殿、今日は随分歩いたけれど、足は痛くないかい?」
「ええ、大丈夫ですわ。旦那様、今日はありがとうございました。お陰でこんなに沢山の木の実を取る事が出来ました。この木の実で、ケーキを焼いたら美味しいそうですわね」
せっかくだから、厨房を借りてケーキを焼きたいわ。
「それじゃあ、料理長に早速作ってもらおう。君は家事全般何でもできると聞いた。でも、ここではあえて無理に家事をしなくてもいい。君はその…形上であったとしても私の妻なのだから…」
「旦那様?」
最後の方はとても声が小さくて、全く聞こえなかった。
「何でもない。さあ、馬車のところまで戻って来たよ。少し早いが、もう帰ろう」
「はい」
旦那様がわざわざ馬車の中までエスコートしてくれた。やはり旦那様は、優しい方だ。そのまま馬車が閉まり、ゆっくりと走り出した。今日はとても楽しかったわ。動物たちとも仲良くなれたし。
それにこの森には、精霊がいるのね。機会があれば会ってみないな…
それにしてもこの揺れ、気持ちいい。ゆっくりと目を閉じ、そのまま夢の中へと旅立ったのだった。
※次回、アントニオ視点です。
よろしくお願いします。
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