10 / 48
第10話:旦那様と森に向かいます
しおりを挟む
一旦自室に戻り、昼食を頂く事にした。
「レアンヌ様は本当に動物の心が分かるのですね。昨日話を聞いた時は半信半疑でしたが、あなた様が今日マック様や鳥たちとのやり取りを見て、そう感じました。昨日は疑ったりして、申し訳ございませんでした」
リサが頭を下げた。
「信じてくれてありがとう。でも、動物とお話が出来るというのは、あまり話してはいけない様ね。昨日マックにも言われたわ」
「そうですわね、色々な人間がおりますから。あまり公言しない方がよいかと」
「わかったわ、それじゃあ、これからは内緒にしておくわね。と言っても、昨日公言しちゃったけれど」
「大丈夫ですわ。ほとんどの使用人が、あまり信じていないので」
リサの言う通り、確かにあまり信じていない様だった。それでも旦那様とリサに信じてもらえた事が、やっぱり嬉しい。
昼食後、動きやすい様にとリサが髪を束ねてくれた。
「レアンヌ様のエメラルドグリーンの髪、とても美しいですわね。せっかくなので、髪留めを付けておきましょう」
そう言って髪留めも付けてくれた。リサは私を自分の娘の様に可愛がってくれるのだ。私にとって、第二のお母様だ。
「ありがとう、リサ。それじゃあ、行ってくるわ」
屋敷の外に出ると、マックと旦那様、さらに馬車も待っていた。
「旦那様、お待たせして申し訳ございません。あの、この馬車は…」
「レアンヌ殿用の馬車だ。リサがうるさくてな。どうか馬車に乗ってくれ」
リサが?
「レアンヌ様、昨日の様にワンピースで馬にまたがる様な、はしたない真似はお止めください。足が出ておりましたわ!女性がむやみやたらに、足を出すものではありません。さあ、馬車に乗ってください」
女性は足をあまり出してはいけないのか…
「わかったわ。それでは旦那様、また後程」
リサと一緒に馬車に乗り込んだ。どうやらリサも一緒に行く様だ。でも、森に行くくらいなら歩いて行くのだが…あっ、でももしかしたら、馬車で移動するのがマナーなのかもしれない。私、本当にマナー知らずなのよね。
「リサ、私、本当にマナーを知らないのよね。女性が足を出してはいけないというのも、初めて知ったわ。これからここで生きていくなら、やっぱりマナーは身に付けた方がいいかしら?」
「そうですわね。それでしたら、家庭教師を雇って、マナーのレッスンを行いましょう。旦那様は一応公爵位を承っておりますし、いずれ貴族界に顔を出すこともあるかもしれませんから」
貴族界か…
私はほとんど公の場に出たことがないので知らないが、きっと華やかな場所なのだろう。
「私、マナーの勉強を本格的にするわ。でも、家庭教師を雇ってもらうのは…」
「いいえ、やはり家庭教師は必要でしょう。すぐに手配いたしましょう」
本格的にマナーの勉強が出来る様だ。お母様から少しは教えてもらったけれど、それももう9年以上も前の話。なんだか楽しみになって来た。
「さあ、レアンヌ様、森に着きましたよ。参りましょう」
リサと一緒に馬車から降りる。そして
「今日は送ってくれてありがとう。疲れたでしょう。ゆっくり休んでね」
馬車を引いてくれた馬にお礼を伝えた。
“これくらいどうって事はないよ。ただ、今日の晩御飯は、新鮮な草とリンゴ、人参が良いと伝えてくれると嬉しいな”
「わかったわ、伝えておくわね」
“おいレアンヌ、来るのが遅いぞ、待ちくたびれたじゃないか!馬車なんかで来るから遅いんだ。帰りは俺の背中に乗って帰れ!”
近くにいたマックが文句を言っている。
「ごめんね、マック。随分待たせてしまったのね。旦那様、私はここでのんびりしておりますので、マックを走らせてあげて下さい。ご機嫌が悪いようなので」
“誰がご機嫌が悪いだ。俺も今日はここで草を食べるから、走らなくても問題ない”
フンとあっちを向くと、そのまま草を食べだした。
「どうやら今日は草を食べたい気分だそうです…マックは自由な子ね」
マックの様子を見て、つい笑みがこぼれる。
「マックは我が儘なところがあるからな。私も手を焼く事もあるんだ。ただ、マックは君の事が大好きな様だぞ。ここに来るまでの間、何度も馬車がちゃんと付いて来ているか確認していたからな」
「まあ、そうだったのですね。マック、ありがとう」
草を食べているマックの背中を撫でる。
“別にお前を待っていた訳じゃない。遅いからちょっと様子を見ただけだ。やっぱり気が変わった、走りに行くとアントニオに伝えろ”
「素直じゃないわね。わかったわ…旦那様、マックがやっぱり走りに行きたいそうです」
「わかった。レアンヌ殿はここでゆっくりしていてくれ。ここなら多分クマも来ないだろうから。それじゃあマック、行こうか」
旦那様がマックにまたがると、爽快に走り去っていった。やっぱりマックは走る事が好きなのだろう。
「レアンヌ様は本当に動物の心が分かるのですね。昨日話を聞いた時は半信半疑でしたが、あなた様が今日マック様や鳥たちとのやり取りを見て、そう感じました。昨日は疑ったりして、申し訳ございませんでした」
リサが頭を下げた。
「信じてくれてありがとう。でも、動物とお話が出来るというのは、あまり話してはいけない様ね。昨日マックにも言われたわ」
「そうですわね、色々な人間がおりますから。あまり公言しない方がよいかと」
「わかったわ、それじゃあ、これからは内緒にしておくわね。と言っても、昨日公言しちゃったけれど」
「大丈夫ですわ。ほとんどの使用人が、あまり信じていないので」
リサの言う通り、確かにあまり信じていない様だった。それでも旦那様とリサに信じてもらえた事が、やっぱり嬉しい。
昼食後、動きやすい様にとリサが髪を束ねてくれた。
「レアンヌ様のエメラルドグリーンの髪、とても美しいですわね。せっかくなので、髪留めを付けておきましょう」
そう言って髪留めも付けてくれた。リサは私を自分の娘の様に可愛がってくれるのだ。私にとって、第二のお母様だ。
「ありがとう、リサ。それじゃあ、行ってくるわ」
屋敷の外に出ると、マックと旦那様、さらに馬車も待っていた。
「旦那様、お待たせして申し訳ございません。あの、この馬車は…」
「レアンヌ殿用の馬車だ。リサがうるさくてな。どうか馬車に乗ってくれ」
リサが?
「レアンヌ様、昨日の様にワンピースで馬にまたがる様な、はしたない真似はお止めください。足が出ておりましたわ!女性がむやみやたらに、足を出すものではありません。さあ、馬車に乗ってください」
女性は足をあまり出してはいけないのか…
「わかったわ。それでは旦那様、また後程」
リサと一緒に馬車に乗り込んだ。どうやらリサも一緒に行く様だ。でも、森に行くくらいなら歩いて行くのだが…あっ、でももしかしたら、馬車で移動するのがマナーなのかもしれない。私、本当にマナー知らずなのよね。
「リサ、私、本当にマナーを知らないのよね。女性が足を出してはいけないというのも、初めて知ったわ。これからここで生きていくなら、やっぱりマナーは身に付けた方がいいかしら?」
「そうですわね。それでしたら、家庭教師を雇って、マナーのレッスンを行いましょう。旦那様は一応公爵位を承っておりますし、いずれ貴族界に顔を出すこともあるかもしれませんから」
貴族界か…
私はほとんど公の場に出たことがないので知らないが、きっと華やかな場所なのだろう。
「私、マナーの勉強を本格的にするわ。でも、家庭教師を雇ってもらうのは…」
「いいえ、やはり家庭教師は必要でしょう。すぐに手配いたしましょう」
本格的にマナーの勉強が出来る様だ。お母様から少しは教えてもらったけれど、それももう9年以上も前の話。なんだか楽しみになって来た。
「さあ、レアンヌ様、森に着きましたよ。参りましょう」
リサと一緒に馬車から降りる。そして
「今日は送ってくれてありがとう。疲れたでしょう。ゆっくり休んでね」
馬車を引いてくれた馬にお礼を伝えた。
“これくらいどうって事はないよ。ただ、今日の晩御飯は、新鮮な草とリンゴ、人参が良いと伝えてくれると嬉しいな”
「わかったわ、伝えておくわね」
“おいレアンヌ、来るのが遅いぞ、待ちくたびれたじゃないか!馬車なんかで来るから遅いんだ。帰りは俺の背中に乗って帰れ!”
近くにいたマックが文句を言っている。
「ごめんね、マック。随分待たせてしまったのね。旦那様、私はここでのんびりしておりますので、マックを走らせてあげて下さい。ご機嫌が悪いようなので」
“誰がご機嫌が悪いだ。俺も今日はここで草を食べるから、走らなくても問題ない”
フンとあっちを向くと、そのまま草を食べだした。
「どうやら今日は草を食べたい気分だそうです…マックは自由な子ね」
マックの様子を見て、つい笑みがこぼれる。
「マックは我が儘なところがあるからな。私も手を焼く事もあるんだ。ただ、マックは君の事が大好きな様だぞ。ここに来るまでの間、何度も馬車がちゃんと付いて来ているか確認していたからな」
「まあ、そうだったのですね。マック、ありがとう」
草を食べているマックの背中を撫でる。
“別にお前を待っていた訳じゃない。遅いからちょっと様子を見ただけだ。やっぱり気が変わった、走りに行くとアントニオに伝えろ”
「素直じゃないわね。わかったわ…旦那様、マックがやっぱり走りに行きたいそうです」
「わかった。レアンヌ殿はここでゆっくりしていてくれ。ここなら多分クマも来ないだろうから。それじゃあマック、行こうか」
旦那様がマックにまたがると、爽快に走り去っていった。やっぱりマックは走る事が好きなのだろう。
24
お気に入りに追加
1,627
あなたにおすすめの小説
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。
ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。
即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。
そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。
国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。
⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎
※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる