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第68話:レオナルド様と最後の思い出を作ります【後編】
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散策の後はお昼ご飯を食べ、午後も街を見て歩いた。
「レオナルド様、この甘い香り。あっ!あのお店だわ。砂糖で出来た雲の様なお菓子が販売されているのは」
お店の周りには、本当に雲の様なお菓子を食べている人たちが沢山いた。白・ピンク・青・紫・黄・オレンジなど、色々な色がある様だ。早速お店に入り、私はピンク、レオナルド様は白を注文した。
本当に雲みたいね。お店の中は、お砂糖のいい匂いがしていた。
出来上がったお菓子を、早速1口。
「これはすごいわ。口の中に入れた瞬間、溶けてしまうのですもの。なんて美味しいのかしら!」
そう、口に入れた瞬間、本当に溶けるのだ。こんなお菓子、食べた事がない。
「オリビアは随分とこのお菓子が気に入った様だね。それなら、この店の主人に頼んで、定期的に公爵家に作りに来てもらう様に依頼しよう。そうすれば、オリビアも好きな時に食べられるだろう?」
公爵家に作りに来てもらっても、きっと私はその時にはもういないだろう。
「ありがとう。でも、そこまでしてもらう必要は無いわ。それに、また食べにこればいい事だもの…」
「そうだね。でも、もうあまり来られないかもしれないね…」
そう言うと、レオナルド様がニヤリと笑った。この顔、危険なにおいがするときの顔だわ。でも、もう私には関係ない。それが無性に悲しくて、泣きそうになってしまった。でも泣く訳にはいかない。
急いでお菓子を食べた後、また2人で街を見て歩く。中には夫婦なのか恋人同士なのか、幸せそうに男女が手を繋いで歩いている人達が、何組もいる。
あの人たち、幸せそうね。私もあの人たちみたいに、ずっとレオナルド様と一緒に過ごせると思っていたのに…
どうしてこんな事になってしまったのかしら?そう思ったら、また涙がこみ上げてきた。ダメよ、泣いたら。必死に涙を抑えた。
「そろそろ帰ろうか」
「そうね、今日は私に付きあってくれて、ありがとう。とても楽しかったわ」
「こっちこそ楽しかったよ。オリビア、これからもずっと一緒だよ」
そう言うと、私の唇を一気に塞いだレオナルド様。温かくて柔らかい…ダメよ、レオナルド様はメアリーが好きなの。それなのにこんな事をしていては。きっとレオナルド様は、私とはしたくないはず。それでも、婚約者としての義理でしてくれているだけ。でも、どうしても拒むことが出来ない。
少しだけ…
これが最後の口づけにするから、お願い…
そんな気持ちで、レオナルド様の口づけを求め続けてしまった。結局馬車に乗り込んだ後も、何度も何度も口づけを交わした。そして気が付くと、王宮に着いていた。
「レオナルド様、送ってくれてありがとう。あの…もう少しだけ時間を貰ってもいいかしら?」
「ああ、いいよ」
いつもの様に、笑顔でそう答えてくれたレオナルド様。私はレオナルド様の手を引き、ある場所へと向かった。その場所とは、王宮の裏にある丘だ。
「レオナルド様、見て。夕日がとても綺麗よ。覚えている?私達、ここで初めて会ったのよ」
「ああ、覚えているよ。あの時君は、木に登っていたのだよね。女の子がドレスで木登りしていたから、びっくりしたよ」
「そうだったわね。そうだわ、今も登れるかしら?」
懐かしくて木に登ろうとしたが、上手く登れない。
「あれ?うまく登れないわ」
必死に登ろうとする私を見て、クスクスと笑いながらスルスルと木の上に登って行くレオナルド様。
「ほら、おいで」
私を引き上げてくれた。
「もう、レオナルド様の手なんか借りなくても登れたのに」
頬を膨らませて、文句を言う。
「それは悪かったね。オリビア、君はあの頃から変わっていないね。純粋で無知で、真っ白な心を持っている。だから僕は、君から目を離さない。ねえ、オリビア、僕に隠し事なんてしていないよね」
真っすぐ私を見つめるレオナルド様。
「…そんなのしていないわ。それに私は、そんな真っ白な人間なんかじゃない」
嫉妬に狂い、醜い感情をひた隠した挙句、大切なレオナルド様の心を、メアリーに取られてしまった私が…
「そう…それならいいよ。さあ、冷えてきた。風邪をひいたら大変だからね。そろそろ王宮に戻ろうか。降りられるかい?」
レオナルド様がスルスルと降りていき、私に手をのばしている。もう、私だって1人で降りられるわ。そんな思いから、レオナルド様の手を無視して、降りようとしたのだが…
「きゃぁぁ」
上手く降りられず、木から落ちてしまった。ただ、レオナルド様がキャッチしてくれたので、事なきを得た。
「オリビアは相変わらずだね。本当に君は、目を離すと何をするか分からないよ」
そう言って笑っている。その笑顔を見たら、やっぱり胸が張り裂けそうになる。そして、やはりこの笑顔を私の手で守らないと!そのためにも、必ず国から出ていこう。絶対に!
「レオナルド様、この甘い香り。あっ!あのお店だわ。砂糖で出来た雲の様なお菓子が販売されているのは」
お店の周りには、本当に雲の様なお菓子を食べている人たちが沢山いた。白・ピンク・青・紫・黄・オレンジなど、色々な色がある様だ。早速お店に入り、私はピンク、レオナルド様は白を注文した。
本当に雲みたいね。お店の中は、お砂糖のいい匂いがしていた。
出来上がったお菓子を、早速1口。
「これはすごいわ。口の中に入れた瞬間、溶けてしまうのですもの。なんて美味しいのかしら!」
そう、口に入れた瞬間、本当に溶けるのだ。こんなお菓子、食べた事がない。
「オリビアは随分とこのお菓子が気に入った様だね。それなら、この店の主人に頼んで、定期的に公爵家に作りに来てもらう様に依頼しよう。そうすれば、オリビアも好きな時に食べられるだろう?」
公爵家に作りに来てもらっても、きっと私はその時にはもういないだろう。
「ありがとう。でも、そこまでしてもらう必要は無いわ。それに、また食べにこればいい事だもの…」
「そうだね。でも、もうあまり来られないかもしれないね…」
そう言うと、レオナルド様がニヤリと笑った。この顔、危険なにおいがするときの顔だわ。でも、もう私には関係ない。それが無性に悲しくて、泣きそうになってしまった。でも泣く訳にはいかない。
急いでお菓子を食べた後、また2人で街を見て歩く。中には夫婦なのか恋人同士なのか、幸せそうに男女が手を繋いで歩いている人達が、何組もいる。
あの人たち、幸せそうね。私もあの人たちみたいに、ずっとレオナルド様と一緒に過ごせると思っていたのに…
どうしてこんな事になってしまったのかしら?そう思ったら、また涙がこみ上げてきた。ダメよ、泣いたら。必死に涙を抑えた。
「そろそろ帰ろうか」
「そうね、今日は私に付きあってくれて、ありがとう。とても楽しかったわ」
「こっちこそ楽しかったよ。オリビア、これからもずっと一緒だよ」
そう言うと、私の唇を一気に塞いだレオナルド様。温かくて柔らかい…ダメよ、レオナルド様はメアリーが好きなの。それなのにこんな事をしていては。きっとレオナルド様は、私とはしたくないはず。それでも、婚約者としての義理でしてくれているだけ。でも、どうしても拒むことが出来ない。
少しだけ…
これが最後の口づけにするから、お願い…
そんな気持ちで、レオナルド様の口づけを求め続けてしまった。結局馬車に乗り込んだ後も、何度も何度も口づけを交わした。そして気が付くと、王宮に着いていた。
「レオナルド様、送ってくれてありがとう。あの…もう少しだけ時間を貰ってもいいかしら?」
「ああ、いいよ」
いつもの様に、笑顔でそう答えてくれたレオナルド様。私はレオナルド様の手を引き、ある場所へと向かった。その場所とは、王宮の裏にある丘だ。
「レオナルド様、見て。夕日がとても綺麗よ。覚えている?私達、ここで初めて会ったのよ」
「ああ、覚えているよ。あの時君は、木に登っていたのだよね。女の子がドレスで木登りしていたから、びっくりしたよ」
「そうだったわね。そうだわ、今も登れるかしら?」
懐かしくて木に登ろうとしたが、上手く登れない。
「あれ?うまく登れないわ」
必死に登ろうとする私を見て、クスクスと笑いながらスルスルと木の上に登って行くレオナルド様。
「ほら、おいで」
私を引き上げてくれた。
「もう、レオナルド様の手なんか借りなくても登れたのに」
頬を膨らませて、文句を言う。
「それは悪かったね。オリビア、君はあの頃から変わっていないね。純粋で無知で、真っ白な心を持っている。だから僕は、君から目を離さない。ねえ、オリビア、僕に隠し事なんてしていないよね」
真っすぐ私を見つめるレオナルド様。
「…そんなのしていないわ。それに私は、そんな真っ白な人間なんかじゃない」
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「そう…それならいいよ。さあ、冷えてきた。風邪をひいたら大変だからね。そろそろ王宮に戻ろうか。降りられるかい?」
レオナルド様がスルスルと降りていき、私に手をのばしている。もう、私だって1人で降りられるわ。そんな思いから、レオナルド様の手を無視して、降りようとしたのだが…
「きゃぁぁ」
上手く降りられず、木から落ちてしまった。ただ、レオナルド様がキャッチしてくれたので、事なきを得た。
「オリビアは相変わらずだね。本当に君は、目を離すと何をするか分からないよ」
そう言って笑っている。その笑顔を見たら、やっぱり胸が張り裂けそうになる。そして、やはりこの笑顔を私の手で守らないと!そのためにも、必ず国から出ていこう。絶対に!
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