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第37話:大けがをしていた様です
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「ルミナス様、申し訳ございません。私どもが近くにいたにもかかわらず、あなた様を守れませんでした」
申し訳なさそうに頭を下げる護衛たち。
「あなた達のせいではないわ。私があの様な軽率な行動をとったのがいけないのよ。お兄様からあれほど“知らない人には近づくな!とにかく誰かと一緒にいろ!”と言われていたのに…」
そうよ、私ったらここ最近ずっとアナリス殿下を見ていなかったせいで、すっかり危機管理の意識が低下していたのだわ。顔も確認できない様な女性に付いて行くだなんて。でも、最初に話しかけていた時の声、アナリス殿下の声と明らかに違ったのだけれど…
それにしても、私の軽率な行動のせいで、皆に迷惑を掛けてしまった。特にカルロス様…かなり血が出ていたけれど、大丈夫かしら?カルロス様にもしもの事があったら…
そう考えた瞬間、恐怖で震えた。さらに涙も溢れ出す。
「ルミナス様、怪我が痛むのですか?おい、もっとスピードを上げてくれ。すぐに病院に急ぐんだ!」
怪我が痛むため泣いていると勘違いした護衛が、御者に指示を飛ばす。
違うの…カルロス様が心配で泣いているの。なんてさすがに言えない。どうか無事でいて欲しい…
「ルミナス様、病院につきました。すぐに治療を」
なぜかすぐに処置室に運ばれた。
「これは酷いですな。さぞ痛かったでしょう」
痛かった?確かに痛いが、それよりもカルロス様の方が心配だ。どうか無事でいてくれたらいいのだが…
「右足の骨が折れておりますね。それに全身打撲も。あぁ、ここもヒビが入っている。これは重傷だ」
何やら先生がブツブツ言いながら治療を行っている。ただ私は、カルロス様が心配すぎてそれどころではなかった。
治療が終わると、寝かされたまま処置室を出る。
「あの…この病院にカルロス様が運ばれてきていると思うのですが、彼の容態は…」
近くにいた看護師さんに聞こうとした時だった。
「「「ルミナス(ちゃん)」」」
処置室を出た瞬間、お母様とお兄様、さらにお義姉様が私の元に駆けつけたのだ。お母様とお義姉様は泣いていたのか、目が真っ赤だ。
「ルミナス、よかったわ。崖から突き落とされたと聞いた時は、血の気が引いたのよ」
「本当よ。それにしても酷い怪我だわ。でも、生きていてくれてよかった」
お母様とお姉様に抱きしめられた。
「だから十分注意しろと言っただろう。お前は本当に…でも、よかった…」
お兄様の目にも涙が光っていた。どうやら皆に、かなりの心配をかけていた様だ。
「ごめんなさい…私…」
皆に謝ろうとした時だった。
「ルミタン!!」
この声は…
「カルロス様!!」
肩に包帯を巻いたカルロス様が真っすぐこちらにやって来て、私を抱きしめたのだ。
「カルロス様、よかったです。無事だったのですね」
「何が良かったものか。ルミタンがこんな大けがを負っているではないか。すまない、ルミタン。俺が少し目を離したばかりに…」
涙を流して謝るカルロス様。
「おい、カルロス。お前は重傷を負っているのだぞ。勝手に病室を抜け出すな!!」
「カルロス様、すぐに病室に戻ってください!!」
後ろから急いでやって来たのは、看護師さんとカルロス様のご両親だ。
「あの、お取込み中のところ申し訳ございませんが、ルミナス様も重傷を負っております。病室に運びますので、話はそこでなさってください」
私を運ぼうとしていた看護師さんが、そのまま病室へと運んでいく。
「あの、それでルミナスの容態は…」
「全身打撲、それから右足が折れているのと、肋骨にヒビが入っていますね。しばらくは入院していただく事になると思いますので、準備をお願いいたします」
「えっ、私、入院する程悪いのですか?」
ビックリして看護師さんに聞き返した。
「何をおっしゃっているのですか?先ほど先生からもお話しがあったでしょう。あなた様は重傷を負っているのです。全治3ヶ月ですよ。もしかしたら今夜熱が出るかもしれませんので。とにかく、安静にしていてください」
そんなに酷い怪我だっただなんて…
なんだか急に痛みが出てきた気がするのは気のせいだろうか。
申し訳なさそうに頭を下げる護衛たち。
「あなた達のせいではないわ。私があの様な軽率な行動をとったのがいけないのよ。お兄様からあれほど“知らない人には近づくな!とにかく誰かと一緒にいろ!”と言われていたのに…」
そうよ、私ったらここ最近ずっとアナリス殿下を見ていなかったせいで、すっかり危機管理の意識が低下していたのだわ。顔も確認できない様な女性に付いて行くだなんて。でも、最初に話しかけていた時の声、アナリス殿下の声と明らかに違ったのだけれど…
それにしても、私の軽率な行動のせいで、皆に迷惑を掛けてしまった。特にカルロス様…かなり血が出ていたけれど、大丈夫かしら?カルロス様にもしもの事があったら…
そう考えた瞬間、恐怖で震えた。さらに涙も溢れ出す。
「ルミナス様、怪我が痛むのですか?おい、もっとスピードを上げてくれ。すぐに病院に急ぐんだ!」
怪我が痛むため泣いていると勘違いした護衛が、御者に指示を飛ばす。
違うの…カルロス様が心配で泣いているの。なんてさすがに言えない。どうか無事でいて欲しい…
「ルミナス様、病院につきました。すぐに治療を」
なぜかすぐに処置室に運ばれた。
「これは酷いですな。さぞ痛かったでしょう」
痛かった?確かに痛いが、それよりもカルロス様の方が心配だ。どうか無事でいてくれたらいいのだが…
「右足の骨が折れておりますね。それに全身打撲も。あぁ、ここもヒビが入っている。これは重傷だ」
何やら先生がブツブツ言いながら治療を行っている。ただ私は、カルロス様が心配すぎてそれどころではなかった。
治療が終わると、寝かされたまま処置室を出る。
「あの…この病院にカルロス様が運ばれてきていると思うのですが、彼の容態は…」
近くにいた看護師さんに聞こうとした時だった。
「「「ルミナス(ちゃん)」」」
処置室を出た瞬間、お母様とお兄様、さらにお義姉様が私の元に駆けつけたのだ。お母様とお義姉様は泣いていたのか、目が真っ赤だ。
「ルミナス、よかったわ。崖から突き落とされたと聞いた時は、血の気が引いたのよ」
「本当よ。それにしても酷い怪我だわ。でも、生きていてくれてよかった」
お母様とお姉様に抱きしめられた。
「だから十分注意しろと言っただろう。お前は本当に…でも、よかった…」
お兄様の目にも涙が光っていた。どうやら皆に、かなりの心配をかけていた様だ。
「ごめんなさい…私…」
皆に謝ろうとした時だった。
「ルミタン!!」
この声は…
「カルロス様!!」
肩に包帯を巻いたカルロス様が真っすぐこちらにやって来て、私を抱きしめたのだ。
「カルロス様、よかったです。無事だったのですね」
「何が良かったものか。ルミタンがこんな大けがを負っているではないか。すまない、ルミタン。俺が少し目を離したばかりに…」
涙を流して謝るカルロス様。
「おい、カルロス。お前は重傷を負っているのだぞ。勝手に病室を抜け出すな!!」
「カルロス様、すぐに病室に戻ってください!!」
後ろから急いでやって来たのは、看護師さんとカルロス様のご両親だ。
「あの、お取込み中のところ申し訳ございませんが、ルミナス様も重傷を負っております。病室に運びますので、話はそこでなさってください」
私を運ぼうとしていた看護師さんが、そのまま病室へと運んでいく。
「あの、それでルミナスの容態は…」
「全身打撲、それから右足が折れているのと、肋骨にヒビが入っていますね。しばらくは入院していただく事になると思いますので、準備をお願いいたします」
「えっ、私、入院する程悪いのですか?」
ビックリして看護師さんに聞き返した。
「何をおっしゃっているのですか?先ほど先生からもお話しがあったでしょう。あなた様は重傷を負っているのです。全治3ヶ月ですよ。もしかしたら今夜熱が出るかもしれませんので。とにかく、安静にしていてください」
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