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第26話:何なのよ!この気持ちは
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面倒なお妃候補にさせられてから早4ヶ月。先日カルティア様から、手紙が来た。私に対する数々の無礼に対する謝罪と、あの時庇った事へのお礼が丁寧に書かれていた。今は心を入れ替え、立派な侯爵令嬢になるべく、再びマナーなどのレッスンを頑張っているとの事。
手紙の最後には
“私も次期王妃になられるヴィクトリア様を支えられる様、もっともっと勉強を頑張ります。どうかこれからは、私とも仲良くしてください。私はヴィクトリア様に付いていくつもりでおりますので”
と、訳の分からないことが書かれていたのだ。どうして私が次期王妃になる事になっているのよ!その事がどうしても納得できなくて、カルティア嬢に抗議の手紙を書いたところだ。
そもそも殿下は、マーリン様と結婚する事が決まっているはずだ。それなのにどうして皆私と結婚すると思っているのかしら?確かにあの男は、私にやけに絡んでくるし、私が喜ぶことをたくさんしてくれるし、私には良く笑いかけてくれるし。
一緒にいて楽しいけれど…て、これじゃあ私が殿下に興味があるみたいじゃない!私はこれからも領地で好き勝手に生きたいのよ。そうよ、お妃候補になったのだって、貴族学院という面倒な生活を免除してくれると言ったからだし…
とにかく私は、殿下と結婚だなんて面倒な事は、絶対にしないのだから!
なんだか変な気持ちになってしまったわ。こんな時は丘にでも行こう。そう思い外に出ると、中庭で殿下とマーリン様がお茶をしている姿が目に入る。そうか、今はマーリン様との面会時間なのね…
殿下、なんだかんだ言ってマーリン様と楽しそうにお茶をしているじゃない。何よ、あの顔は!あら?マーリン様、いつもはクールなのに、殿下の前ではあんな風に笑うのね。それになんだかあの2人、よく似合っているわ…
なぜだろう、その場から動く事が出来ずについ2人を見つめてしまう。それに胸がなんだか苦しい…て、私は一体どうしたのかしら?あの2人はいずれ結婚するのだから、仲睦まじくて結構じゃない。
私はあの2人を見ている程暇じゃないわ。さっさと丘に行って、剣の稽古でもしましょう!
そう思いその場を去ろうとした時だった。
「ヴィクトリア様、そんな怖いお顔をされてどうされたのですか?」
嬉しそうな顔で私の方にやって来たのは、アマリリス様だ。
「別に怖い顔などしておりませんわ。それでは私はこれで」
この子、隙あらば私に絡んでくるのよね。それもとても嬉しそうな顔をして。いつもならつい相手をしてしまうのだけれど、今日はなんだかむしゃくしゃしている為、適当にあしらう事にしたのだが…
「ああ、殿下がマーリン様とお話をされているから、嫉妬されたのですね。気持ちは分かりますわ。既にヴィクトリア様が殿下のお妃になる事が決まっている様なものなのに、他の令嬢と話している姿を見たら不安になりますよね」
「アマリリス様、私は別に嫉妬などしておりません。それから何度も申し上げますが、私は殿下のお妃にはなりませんわ。いい加減変な妄想をするのはお止めください」
この子、おバカなのかしら?何度言ったらわかるのだろう。本当にもう!
「はいはい、分かりましたよ。とにかく落ち着いて下さい。今すぐリラックスできるカモミールティを準備させますから。それから、ヴィクトリア様がお好きなスイートポテトも」
私を近くの席に座らせると、すかさずお茶とスイートポテトを準備してくれた。せっかくなので頂く。このスイートポテト、家の領地で採れたものではないわね。味がイマイチだわ。
ただ、カモミールティを飲んだら少し落ち着いた。
「アマリリス様、美味しいお茶をありがとうございます。それでは私はこれで」
笑顔で彼女の元を去ろうとしたのだが
「待って下さい。まだいいではありませんか。それにしても、いつも冷静なヴィクトリア様でも嫉妬するのですね。意外な一面を見られてよかったですわ」
だから、誰が嫉妬なんてするのよ!そう叫びたいが、ぐっと抑える。
「アマリリス様、私は別に嫉妬などしておりませんわ。そもそもお2人はいずれ結婚するのです。ですから私は、アマリリス様の様に色々と面倒ごとを回避したいのですが…殿下がそれを許してくださらないのです!おかしいと思いませんか?」
そうよ、私はこの件について怒っているのよ。どうしてアマリリス様は良くて、私はダメなのよ。
「ヴィクトリア様は本当にマーリン様と殿下がご婚約なさると思っていらっしゃるのですか?あれほどまでに殿下から溺愛アピールをされているのに?この人、優秀に見えて実は超絶鈍いのかもしれないわね…それとも演技?」
「アマリリス様、何をブツブツとおっしゃっているのですか?でもまあ、いいですわ。後2ヶ月すれば、私は自由になれるのですもの。父がお妃候補を無事努めたら、面倒な貴族学院へは通わなくてもいいと言ってくれていて。私はまた、領地で療養生活を送るつもりですわ」
「…侯爵様が本当にその様な事を?ああ…きっとヴィクトリア様を丸め込むために嘘をおつきになったのね…そもそも2ヶ月後は正式に殿下とご婚約なさるでしょうに。それに領地で生活だなんて、あの殿下が許すわけありませんわ…」
「さっきから何を訳の分からない事をおっしゃっていらっしゃるのですか?」
ブツブツと小声で何やら呟いているアマリリス様。本当にこの子、大丈夫かしら?
「いいえ、何でもありませんわ。私はヴィクトリア様と一緒に貴族学院に通える事を、楽しみにしておりますのよ。あっ、殿下がいらっしゃったみたいですね。それでは私はこれで」
笑顔でアマリリス様が去っていく。
一体何だったのかしら、あの子…
手紙の最後には
“私も次期王妃になられるヴィクトリア様を支えられる様、もっともっと勉強を頑張ります。どうかこれからは、私とも仲良くしてください。私はヴィクトリア様に付いていくつもりでおりますので”
と、訳の分からないことが書かれていたのだ。どうして私が次期王妃になる事になっているのよ!その事がどうしても納得できなくて、カルティア嬢に抗議の手紙を書いたところだ。
そもそも殿下は、マーリン様と結婚する事が決まっているはずだ。それなのにどうして皆私と結婚すると思っているのかしら?確かにあの男は、私にやけに絡んでくるし、私が喜ぶことをたくさんしてくれるし、私には良く笑いかけてくれるし。
一緒にいて楽しいけれど…て、これじゃあ私が殿下に興味があるみたいじゃない!私はこれからも領地で好き勝手に生きたいのよ。そうよ、お妃候補になったのだって、貴族学院という面倒な生活を免除してくれると言ったからだし…
とにかく私は、殿下と結婚だなんて面倒な事は、絶対にしないのだから!
なんだか変な気持ちになってしまったわ。こんな時は丘にでも行こう。そう思い外に出ると、中庭で殿下とマーリン様がお茶をしている姿が目に入る。そうか、今はマーリン様との面会時間なのね…
殿下、なんだかんだ言ってマーリン様と楽しそうにお茶をしているじゃない。何よ、あの顔は!あら?マーリン様、いつもはクールなのに、殿下の前ではあんな風に笑うのね。それになんだかあの2人、よく似合っているわ…
なぜだろう、その場から動く事が出来ずについ2人を見つめてしまう。それに胸がなんだか苦しい…て、私は一体どうしたのかしら?あの2人はいずれ結婚するのだから、仲睦まじくて結構じゃない。
私はあの2人を見ている程暇じゃないわ。さっさと丘に行って、剣の稽古でもしましょう!
そう思いその場を去ろうとした時だった。
「ヴィクトリア様、そんな怖いお顔をされてどうされたのですか?」
嬉しそうな顔で私の方にやって来たのは、アマリリス様だ。
「別に怖い顔などしておりませんわ。それでは私はこれで」
この子、隙あらば私に絡んでくるのよね。それもとても嬉しそうな顔をして。いつもならつい相手をしてしまうのだけれど、今日はなんだかむしゃくしゃしている為、適当にあしらう事にしたのだが…
「ああ、殿下がマーリン様とお話をされているから、嫉妬されたのですね。気持ちは分かりますわ。既にヴィクトリア様が殿下のお妃になる事が決まっている様なものなのに、他の令嬢と話している姿を見たら不安になりますよね」
「アマリリス様、私は別に嫉妬などしておりません。それから何度も申し上げますが、私は殿下のお妃にはなりませんわ。いい加減変な妄想をするのはお止めください」
この子、おバカなのかしら?何度言ったらわかるのだろう。本当にもう!
「はいはい、分かりましたよ。とにかく落ち着いて下さい。今すぐリラックスできるカモミールティを準備させますから。それから、ヴィクトリア様がお好きなスイートポテトも」
私を近くの席に座らせると、すかさずお茶とスイートポテトを準備してくれた。せっかくなので頂く。このスイートポテト、家の領地で採れたものではないわね。味がイマイチだわ。
ただ、カモミールティを飲んだら少し落ち着いた。
「アマリリス様、美味しいお茶をありがとうございます。それでは私はこれで」
笑顔で彼女の元を去ろうとしたのだが
「待って下さい。まだいいではありませんか。それにしても、いつも冷静なヴィクトリア様でも嫉妬するのですね。意外な一面を見られてよかったですわ」
だから、誰が嫉妬なんてするのよ!そう叫びたいが、ぐっと抑える。
「アマリリス様、私は別に嫉妬などしておりませんわ。そもそもお2人はいずれ結婚するのです。ですから私は、アマリリス様の様に色々と面倒ごとを回避したいのですが…殿下がそれを許してくださらないのです!おかしいと思いませんか?」
そうよ、私はこの件について怒っているのよ。どうしてアマリリス様は良くて、私はダメなのよ。
「ヴィクトリア様は本当にマーリン様と殿下がご婚約なさると思っていらっしゃるのですか?あれほどまでに殿下から溺愛アピールをされているのに?この人、優秀に見えて実は超絶鈍いのかもしれないわね…それとも演技?」
「アマリリス様、何をブツブツとおっしゃっているのですか?でもまあ、いいですわ。後2ヶ月すれば、私は自由になれるのですもの。父がお妃候補を無事努めたら、面倒な貴族学院へは通わなくてもいいと言ってくれていて。私はまた、領地で療養生活を送るつもりですわ」
「…侯爵様が本当にその様な事を?ああ…きっとヴィクトリア様を丸め込むために嘘をおつきになったのね…そもそも2ヶ月後は正式に殿下とご婚約なさるでしょうに。それに領地で生活だなんて、あの殿下が許すわけありませんわ…」
「さっきから何を訳の分からない事をおっしゃっていらっしゃるのですか?」
ブツブツと小声で何やら呟いているアマリリス様。本当にこの子、大丈夫かしら?
「いいえ、何でもありませんわ。私はヴィクトリア様と一緒に貴族学院に通える事を、楽しみにしておりますのよ。あっ、殿下がいらっしゃったみたいですね。それでは私はこれで」
笑顔でアマリリス様が去っていく。
一体何だったのかしら、あの子…
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