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第4話:失礼な男は第二王子でした

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少し歩くと、他の生徒たちがたくさんいた。そして目の前には、大きなホールが。よかった、あの失礼な男のお陰で、なんとかホールに着くことが出来たわ。

そのままホールに入って行く。既にたくさんの席が埋まっていた。とにかく開いている席に座る。なんとか入学式までに間に合った様で、ホッとした。

ふと周りを見渡すと、たくさんの貴族たちが座っている。でも…やっぱり皆、同じような顔をしていて、誰が誰なのかよくわからない。もう、もうちょっと特徴的な顔にしてよね。

そういえば、マリアナ様と第二王子はどこにいるのかしら?確かマリアナ様は金髪に赤い瞳をしていると聞いたことがある。金髪なんて、多すぎて分からないじゃない。

そんな事を考えているうちに、入学式が始まった。まずは学院長先生の挨拶からだ。ちょっと小太りの頭の薄い男性が話し始めた。あれはギャグマンガに出てきそうな顔ね…

そう思ったら、なんだか笑いがこみ上げて来た。ダメよ、笑ったら!必死に耐える。私が笑いに堪えている間に、話しは終わった様だ。よかったわ…

次は生徒会長でもある、王太子殿下のお話だ。金髪に金色の瞳をしている男性が、壇上に上がった。周りから

“あぁ、王太子殿下様、なんて素敵なのかしら”

何て声が聞こえる。確かにとてもカッコいいが、でも私には近くに座っている令息とそれほど変わらない気がするが…やっぱり私には、この国のカッコいい男性の基準が分からない…

気が付くと、王太子殿下の話しも終わっていた。

「次は新入生代表の、リュカ・レフェル・アメニーション殿下の挨拶です」

司会者の先生が第二王子を紹介した瞬間、周りから黄色い声が聞こえる。

“キャーー、リュカ殿下だわ!なんて素敵なの”

“あの美しさ…見ているだけで癒されるわ…”

“美しすぎて倒れそう”

などなど、絶賛する声が聞こえる。そういえば、第二王子はこの国一番の美少年と言われていたわね。

ふと壇上に上がった第二王子が目に入る。あれ?あの人…

銀色の髪に金色の瞳。さっき私に失礼な事を言った令息によく似ているわ。でも…
やっぱり第二王子もアニメ顔…さっきの男性だった様な気もするが、違う気もする。そもそも、銀色の髪の令息なんて、パッと見た感じ他にもいるし。

でも、やっぱりさっきの失礼な令息に似ているわ。そういえば、王族は皆金色の目をしていると聞いたことがある。という事は…

ギャーーー!私ったら、もしかして第二王子にホールに案内してもらったの。それも、言葉に気を付けた方がいいとか、あなたみたいな失礼な令息とか言ってしまったわ。どうしましょう!!

完全に1人パニックになる。とにかく、今回の事はなかった事にしよう。幸い、第二王子はとてもお優しい方だと聞いたことがある。とにかく、もうこれ以上絡まない様にしないと。
そう心に誓った。

気が付くと、入学式は終わった様で、皆がホールから出ていく。とにかく今度は迷子にならない様に、皆に付いて行かないと。

流れに沿って、皆が進む方向へと進んでいく。すると、何やらひときわ人が集まっている場所が。何を皆見ているのかしら?

人をすり抜け、皆が見ているところまでやって来ると、そこにはクラスが張り出されていた。貴族学院では、ABCDEクラスまである様だ。きっと頭の良い順でクラス分けされているのだろう。普通に考えて、Aクラスが一番頭がいいのよね。という事は、私はCくらいかしら?

そう思いCクラスを見たが、名前がない。もしかして、D?それともB?そう思い、2つのクラスを確認するが、そこにも名前がない。まさか、Eですって?恐る恐るEクラスを見るが、そこにも名前がない。

「嘘でしょう…」

なんと、Aクラスに名前があったのだ。確かに入学前テストは、全て回答出来たけれど、まさかAクラスだなんて…

ふと周りを見ると、既に人がまばらになっていた。いけない、早くクラスに行かないと!近くにいた令嬢の後ろをそっと付いて行く。でもその令嬢は、Bクラスに入って行ってしまった。Aクラスはどこかしら?

周りを見渡すが、なぜかAクラスが見当たらない。どうしよう…

完全にパニックになる。どうしていいか分からず、周りを見ながら歩いていると

「「ジュリア」」

この声は!

「お兄様、お姉様」

私の元にやって来たのは、お兄様とお姉様だ。でも、どうして…

「やっぱり迷子になっていたわね。ジャンからあなたがホールに中々来なかったと聞いたから、心配で見に来たのよ」

「お前の事だから、きっと迷子にでもなっているのだろうと思ったんだ。Aクラスはここじゃない。あっちだ」

そう言うと、私を連れ、歩き出したお兄様とお姉様。

「Aクラスは別の棟にあるのよ。それにしてもジュリア。あなた、ちゃんと入学のしおりを読んだの?そこに案内図も書いてあったでしょう?」

あきれ顔のお姉様。

「あぁ、そういえば書いてあったような…」

「もう、あなたは本当に抜けているのだから。ほら、ここが1年生のAクラスよ。ちなみに私とジャンは、この棟の4階にいるから、何かあったらいつでもいらっしゃい」

「もしかして、お兄様とお姉様もAクラスなのですか?」

「そうだよ。基本的に侯爵以上は皆Aクラスだ。ただその年によって、爵位にばらつきがあるから、伯爵家の人間がAクラスに入る事もあるけれどね。ジュリア、今年は侯爵以上の生徒が多かったみたいで、ほとんどの生徒が侯爵以上みたいだ。だから、俺たちもあまりお前を庇ってあげられないかもしれない。でも、出来る限りの事はするから、何かあったらすぐに来るんだよ。わかったね。それじゃあ、俺たちは先に馬車で待っているから」

「お兄様、お姉様、ありがとうございます」

2人に向かってお礼を言う。すると、にっこりとほほ笑み手を振りながら棟を出て行った2人。どうやらお兄様とお姉様は、もう授業が終わった様だ。

それにしても、まさか別の棟だなんてね。とにかく、教室に入らないと。
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