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第15話:イジャ様が私を置いて出て行きました

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イジャ様にプレゼントを渡して1週間が過ぎた。あの日以降、毎日ブレスレットを身につけてくれているイジャ様。なんだか私があげたブレスレットを身につけているイジャ様を見ると、物凄く嬉しい気持ちになる。

今日もいつもの様に、イジャ様を仕事場に送り出した後、家事を済ませ、ヴィクトリアさんと一緒にアクセサリー作りを開始する。そう言えば、イジャ様は3ヶ月程度滞在してお金を貯めたら、次の国に移動すると言っていたわね。

あともう少しでこの国に来て3ヶ月経つ。そろそろ次の国に移動する次期ね。でも、せっかくヴィクトリアさんや街の人たちとも仲良くなれたのに、お別れだなんてなんだか寂しいわ。

そうだわ!イジャ様にもう少しこの国にいられないか、聞いてみましょう。早速夜ご飯の時に、イジャ様に話しかけた。

「イジャ様、もうすぐこの国に来て3ヶ月になりますが、やっぱり他の国に移動するのですか?」

「そうだね…資金も貯まったし。でも、エリーは随分この土地が気に入っているみたいだね。エリーはここでこの先も生活したいかい?」

優しいイジャ様は、いつも私の意見を真っ先に聞いてくれる。そんなイジャ様に、つい甘えてしまう。今回ももちろん

「はい。出来ればもう少しここにいたいです!せっかく皆とも仲良くなれましたので」

そう答えた。

「わかったよ。エリーの言う通りにしよう」

良かった。もうしばらくこの国にいられるのね!

「ありがとうございます!イジャ様!」

イジャ様にお礼を言うと、少し寂しそうに笑った。なぜか最近、寂しそうなオーラが出ている。そう、私は今ヴィクトリアさんに魔力について色々と教えてもらっている。その為、イジャ様のちょっとした変化も気づく事が出来る様になったのだ。

どうして最近、こんなにも悲しそうなオーラが出ているのかしら?それとも元々出ていたオーラを、私が気付ける様になっただけ?そう言えばイジャ様は、辛い過去を抱えているのよね。きっとまだ引きずっているのかもしれないわ!でも…私には何もしてあげられない…そんな自分が歯がゆくて仕方がない!

そうだわ!

「イジャ様、今日はヴィクトリアさんから苺を貰ったので、ケーキを作りましたの!一緒に食べましょう!」

甘いものを食べれば、少しは心が晴れるはず!そう思い、早速ケーキを切り分けた。

「美味しそうだね!早速頂くよ」

嬉しそうに頬張っているイジャ様。良かった、少し元気になってくれた様ね。食後はいつもの様に湯あみをして、それぞれベッドに入る。

「イジャ様、お休みなさい!」

「おやすみ。エリー」

いつもの様に、お休みの挨拶をして眠りに付く。それにしても、今日はなぜか物凄く眠い…いつもこんなに眠くないのに、どうしたのかしら?そう思う程眠くて眠くてたまらないのだ。

そしてベッドに入って数分もしないうちに、眠ってしまったのであった。


翌朝
いつもの様に目を覚ました。なんだかしっかり寝たおかげか、いつも以上に頭がスッキリしている。ふとイジャ様の方を見ると、いつも眠っているはずのイジャ様がいない。あら?おかしいわね。どこかに行っているのかしら?

まあいいわ。イジャ様が帰ってくるまでに、急いで食事の準備をしないとね。着替えを済ませ、朝食の準備をする為キッチンへと向かう。すると、ダイニングテーブルに、1通の手紙が置いてあることに気が付いた。この手紙は何かしら?

気になって手に取ると、差出人はイジャ様だ!どういう事?急いで手紙を開ける。

“エリー、急に出て行って本当に申し訳なく思っている。でも、どうしても僕は君への気持ちを抑える事が出来なくなってしまったんだ。これ以上君と一緒にいると、きっと僕はエリーを傷つけてしまう。

いいや…
本当は僕自身が傷つくのが怖いんだ…
だから、どうか僕の事は忘れてこの地で幸せに暮らして欲しい。今のエリーなら大丈夫だ。ヴィクトリアさんに色々と頼んである。困った事があれば、彼女を頼って欲しい。この3ヶ月、本当に君と過ごせて幸せだったよ。どうか幸せになってくれ“

手紙にはそう書かれていた。

「イジャ様…どうして…」

手紙を握りしめ、その場に座り込んだ。次から次へと溢れる涙をこらえる事が出来ず、声を上げて泣いた。

イジャ様、どうして私を置いて出て行ってしまったのですか?私だってイジャ様の事、大好きなのに…どうして私がイジャ様に傷つけられると決めつけるのですか?あなたは一体何を隠しているのですか?

聞きたいことが山の様にあるのに、その事を聞く事すら出来ない現実に、心が張り裂けそうになる。

誰よりも優しいイジャ様…
この3ヶ月で、私は本当に一生分の素敵な思い出を作る事が出来たと言っても過言ではない。それくらい、充実した3ヶ月だったのだ。それもこれも、イジャ様が側にいて支えてくれたから…

私にとって、イジャ様はこれから幸せに暮らしていくうえで、いなければいけない絶対的存在なのだ。そんな彼を失った今…私はこれからどうやって生きて行けばいいのだろう…

生まれて初めて味わう絶望感に、エリーはただ涙を流す事しか出来なかったのであった。
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