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第10話:僕に生きる希望をくれた大切な人~ルーク視点~
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彼女が部屋に戻ってからも、考えるのは彼女の事ばかり。どうして彼女は僕の事を気持ち悪いと思わないのだろう…
どうしてあんなに普通に接してくれるのだろう…
そんな事ばかり考えているうちに、夕食の時間になった。
相変わらず嫌そうに食事を運んで来るメイドたち。たとえ移らないと分かっても、分厚い手袋は付けている。そりゃそうだよな。僕みたいな怪物を、素手で触りたくはないものな。
でも…
分かっていた事なのに、彼女に優しくされたせいで、無性に悲しくなってしまった。そんな思いが、また爆発する。食べ物を次々と投げ、暴言をメイドたちに吐く。こんな事をしても仕方がない、自分でも分かっていても、どうしても止められないのだ!
僕が暴れているという報告が行ったのだろう。父上と母上、さらに彼女が飛んできた。
近くに転がっている料理を見て、明らかに怒っている彼女。
「ルーク様、いい加減になさいませ!食べ物を粗末にしてはいけません。それにまたパジャマが汚れていますよ。着替えついでに、治癒を行いますので少し失礼いたします」
そう言うと、魚料理で汚れている僕のパジャマを脱がせた。そしてまた治癒魔法を掛けて行く。温かく気持ちの良い光に包まれた。その瞬間、足が軽くなった。今度は足が動くようになったのだ!
喜んでいる僕をよそに、ついでに着替えをしてくれるとの事。メイドから濡れタオルを借り、丁寧に体を拭いてくれた。こんなに丁寧に体を拭かれたのは、何年ぶりだろう。それにしても、とても気持ちがいい。どうやら彼女は、メイドたちに色々と説明している様だが、もちろん、メイドたちが真剣に聞く訳がない!
体をキレイに拭いてくれ、新しいパジャマに着替えさせてくれた彼女を見た父上が、僕の世話も彼女に頼んでいた。少し考えた後、承諾してくれた彼女。
これからは、彼女が僕のお世話をしてくれるのか。そう思ったら、嬉しくてたまらない。
その後なぜか皆でご飯を食べた。僕に世話を焼いてくれる彼女。いいや、セリーナと呼んだ方がいいのかな。
そんなセリーナは、動かない僕に魚を食べさせてくれた。嬉しくてつい口を開く。でも、なぜか今度は僕の手を持ってフォークを握らせ、口に運んだんだ。どうやら自分で食べろという事らしい。
それでも動かない僕を見て
「今度は1人でやってみてください。それとも、やり方を忘れてしまって出来ないのですか?」
そう挑発してきたのだ。バカにしやがって!1人で食べられるに決まっているだろう。そう思った僕は、むきになって一気に食べつくした。ふとセリーナのお皿を見ると、魚が丸々残っている。よし、食べてやろう。
そう思って、セリーナの料理にフォークを突き刺し、口に運ぶ。
「ルーク様、それは私の魚です。私は魚が大好物なのです。勝手に食べないで下さい!」
そう言って慌てて口に放り込むセリーナ。その姿がまた、可愛くてたまらない。急いで食べたせいで、きっと変な場所に入ったのだろう。せき込んだので、慌てて背中をさすった。クールなセリーナでも、こんなあわてんぼうな一面もあるんだな!
そんな僕達のやり取りを、温かく見守っていた両親。明日からは、2人きりにしてくれるらしい。
そして翌日
今日もセリーナが朝から治療をしてくれ、せっせとお世話をしてくれる。あまりにも自然に世話をしているものだから、つい自分が緑の怪物という事を忘れてしまう。
そんな僕にセリーナは
「もう、すぐ“僕は醜い”と言うのですから!ルーク様は全然醜くはありませんよ!」
そう言って怒るのだ。
今まで僕を見ると恐怖に震える人たちばかりの中、初めて僕の姿を受け入れてくれたセリーナ。セリーナの慈悲に近い優しさは、どんどん僕の凍り付いた心を溶かしてくれる。もっとセリーナの事が知りたい、もっと一緒にいたい。そんな思いがどんどん強くなっていく。
そんなセリーナは本当に努力家だ。僕が果物が好きだと知っている為、寄生虫が増殖しにくい果物を調べてくれた。
そのおかげで、大好きな果物を毎日食べられるようになった。さらに、肌に良いと言われるクリームを自分で作って、毎日塗ってくれている。そのおかげか、少しだけザラザラが改善した。とにかく、僕の為に一生懸命調べて実践してくれるセリーナには感謝しかない。
もし叶うなら、彼女とこの先もずっと一緒にいたい。彼女を公爵夫人として迎え入れられたら、どんなにいいか…
そんな僕の気持ちを知った父上が
「お前が望むなら、ミルトン伯爵にセリーナ先生を我が家に嫁にくれないか聞いても良いぞ」
そう言ってくれた。さらに母上も、かなりセリーナの事を気に入っている様で
「セリーナ先生が私の娘になってくれたら嬉しいわ。一緒にお茶をしたり、ドレスを作ったり、あぁ、今から楽しみね」
何て言っている。もちろん僕も、セリーナを迎えられる様、体が動くようになってからは、勉学や武術に精を出す。最近は、公爵家を継ぐための勉強も始めた。
一生懸命頑張って、セリーナに認めてもらいたい、その一心で頑張っている。もしセリーナが望むなら、治癒師の仕事も続けられるように手配しよう。もちろん、大病院で働けるようにするつもりだ。
そんな僕を見た父上が、なんとミルトン伯爵に、セリーナを嫁に貰う様約束を取り付けて来たらしい。さすがにセリーナの意見を聞く前に伯爵に話すなんて。そう思ったが、きっと僕の事を思っての事だろう。とにかく伯爵には、セリーナにはまだ内緒にして欲しいという旨を、父上経由で伝えてもらった。
そんな中、急に母上が話しかけて来た。
「ねえ、あなたの病気が完治した暁には、家でダンスパーティーを開こうと思っているの。もちろん、セリーナ先生にも出席してもらうつもりよ。あなたのパートナーとしてね」
また母上は勝手な事を。そう思ったが、嬉しそうに準備をしている母上を見たら、止める事が出来なかった。
セリーナの実力なら、きっと近いうちに僕の病気も完治するだろう。その時、セリーナを逃がさない様に、今から準備をしておかないと。
僕にもう一度人間としての姿と、人としての温もりを与えてくれたセリーナ。君無しでは、僕はもう生きて行けないだろう。だから、ずっと僕の側に居て欲しい。その為には、どんな努力も惜しまないから。
完全に完治したら、セリーナにプロポーズをしよう。もちろん、断りづらい状況を作ってね。最低だと言われるかもしれないが、どんな手を使ってでもセリーナを手に入れたい。それほどまでに、僕にとってセリーナの存在は大きいのだ。
そんな事を考えながら、着々とセリーナを迎え入れる準備を進めるルークであった。
どうしてあんなに普通に接してくれるのだろう…
そんな事ばかり考えているうちに、夕食の時間になった。
相変わらず嫌そうに食事を運んで来るメイドたち。たとえ移らないと分かっても、分厚い手袋は付けている。そりゃそうだよな。僕みたいな怪物を、素手で触りたくはないものな。
でも…
分かっていた事なのに、彼女に優しくされたせいで、無性に悲しくなってしまった。そんな思いが、また爆発する。食べ物を次々と投げ、暴言をメイドたちに吐く。こんな事をしても仕方がない、自分でも分かっていても、どうしても止められないのだ!
僕が暴れているという報告が行ったのだろう。父上と母上、さらに彼女が飛んできた。
近くに転がっている料理を見て、明らかに怒っている彼女。
「ルーク様、いい加減になさいませ!食べ物を粗末にしてはいけません。それにまたパジャマが汚れていますよ。着替えついでに、治癒を行いますので少し失礼いたします」
そう言うと、魚料理で汚れている僕のパジャマを脱がせた。そしてまた治癒魔法を掛けて行く。温かく気持ちの良い光に包まれた。その瞬間、足が軽くなった。今度は足が動くようになったのだ!
喜んでいる僕をよそに、ついでに着替えをしてくれるとの事。メイドから濡れタオルを借り、丁寧に体を拭いてくれた。こんなに丁寧に体を拭かれたのは、何年ぶりだろう。それにしても、とても気持ちがいい。どうやら彼女は、メイドたちに色々と説明している様だが、もちろん、メイドたちが真剣に聞く訳がない!
体をキレイに拭いてくれ、新しいパジャマに着替えさせてくれた彼女を見た父上が、僕の世話も彼女に頼んでいた。少し考えた後、承諾してくれた彼女。
これからは、彼女が僕のお世話をしてくれるのか。そう思ったら、嬉しくてたまらない。
その後なぜか皆でご飯を食べた。僕に世話を焼いてくれる彼女。いいや、セリーナと呼んだ方がいいのかな。
そんなセリーナは、動かない僕に魚を食べさせてくれた。嬉しくてつい口を開く。でも、なぜか今度は僕の手を持ってフォークを握らせ、口に運んだんだ。どうやら自分で食べろという事らしい。
それでも動かない僕を見て
「今度は1人でやってみてください。それとも、やり方を忘れてしまって出来ないのですか?」
そう挑発してきたのだ。バカにしやがって!1人で食べられるに決まっているだろう。そう思った僕は、むきになって一気に食べつくした。ふとセリーナのお皿を見ると、魚が丸々残っている。よし、食べてやろう。
そう思って、セリーナの料理にフォークを突き刺し、口に運ぶ。
「ルーク様、それは私の魚です。私は魚が大好物なのです。勝手に食べないで下さい!」
そう言って慌てて口に放り込むセリーナ。その姿がまた、可愛くてたまらない。急いで食べたせいで、きっと変な場所に入ったのだろう。せき込んだので、慌てて背中をさすった。クールなセリーナでも、こんなあわてんぼうな一面もあるんだな!
そんな僕達のやり取りを、温かく見守っていた両親。明日からは、2人きりにしてくれるらしい。
そして翌日
今日もセリーナが朝から治療をしてくれ、せっせとお世話をしてくれる。あまりにも自然に世話をしているものだから、つい自分が緑の怪物という事を忘れてしまう。
そんな僕にセリーナは
「もう、すぐ“僕は醜い”と言うのですから!ルーク様は全然醜くはありませんよ!」
そう言って怒るのだ。
今まで僕を見ると恐怖に震える人たちばかりの中、初めて僕の姿を受け入れてくれたセリーナ。セリーナの慈悲に近い優しさは、どんどん僕の凍り付いた心を溶かしてくれる。もっとセリーナの事が知りたい、もっと一緒にいたい。そんな思いがどんどん強くなっていく。
そんなセリーナは本当に努力家だ。僕が果物が好きだと知っている為、寄生虫が増殖しにくい果物を調べてくれた。
そのおかげで、大好きな果物を毎日食べられるようになった。さらに、肌に良いと言われるクリームを自分で作って、毎日塗ってくれている。そのおかげか、少しだけザラザラが改善した。とにかく、僕の為に一生懸命調べて実践してくれるセリーナには感謝しかない。
もし叶うなら、彼女とこの先もずっと一緒にいたい。彼女を公爵夫人として迎え入れられたら、どんなにいいか…
そんな僕の気持ちを知った父上が
「お前が望むなら、ミルトン伯爵にセリーナ先生を我が家に嫁にくれないか聞いても良いぞ」
そう言ってくれた。さらに母上も、かなりセリーナの事を気に入っている様で
「セリーナ先生が私の娘になってくれたら嬉しいわ。一緒にお茶をしたり、ドレスを作ったり、あぁ、今から楽しみね」
何て言っている。もちろん僕も、セリーナを迎えられる様、体が動くようになってからは、勉学や武術に精を出す。最近は、公爵家を継ぐための勉強も始めた。
一生懸命頑張って、セリーナに認めてもらいたい、その一心で頑張っている。もしセリーナが望むなら、治癒師の仕事も続けられるように手配しよう。もちろん、大病院で働けるようにするつもりだ。
そんな僕を見た父上が、なんとミルトン伯爵に、セリーナを嫁に貰う様約束を取り付けて来たらしい。さすがにセリーナの意見を聞く前に伯爵に話すなんて。そう思ったが、きっと僕の事を思っての事だろう。とにかく伯爵には、セリーナにはまだ内緒にして欲しいという旨を、父上経由で伝えてもらった。
そんな中、急に母上が話しかけて来た。
「ねえ、あなたの病気が完治した暁には、家でダンスパーティーを開こうと思っているの。もちろん、セリーナ先生にも出席してもらうつもりよ。あなたのパートナーとしてね」
また母上は勝手な事を。そう思ったが、嬉しそうに準備をしている母上を見たら、止める事が出来なかった。
セリーナの実力なら、きっと近いうちに僕の病気も完治するだろう。その時、セリーナを逃がさない様に、今から準備をしておかないと。
僕にもう一度人間としての姿と、人としての温もりを与えてくれたセリーナ。君無しでは、僕はもう生きて行けないだろう。だから、ずっと僕の側に居て欲しい。その為には、どんな努力も惜しまないから。
完全に完治したら、セリーナにプロポーズをしよう。もちろん、断りづらい状況を作ってね。最低だと言われるかもしれないが、どんな手を使ってでもセリーナを手に入れたい。それほどまでに、僕にとってセリーナの存在は大きいのだ。
そんな事を考えながら、着々とセリーナを迎え入れる準備を進めるルークであった。
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