13 / 27
第13話:沢山の人に祝福されたのですが…
しおりを挟む
翌日、いつもの様に貴族学院に向かうため準備をしていると…
「お嬢様、グレイズ様がいらっしゃいました」
「グレイズが?わかったわ、すぐに行くわ」
急いで準備を終え、玄関に向かう。
「アンリ、おはよう。今日から俺と一緒に登下校をするぞ」
「おはよう、グレイズ。別に一緒に行かなくても大丈夫よ。まだお兄様もいるし」
「何を言っているんだ。俺とお前は婚約したんだぞ!お前はすぐに暴走するからな。とにかく、これからはずっと一緒だ。いいな、分かったな」
そう言うと私の手を掴み、グレイズの家の馬車に乗せられた。
「グレイズ、いくら何でももう私はあなたと婚約したのよ。どこをどうすれば、私が暴走すると思うのよ」
「1年半もの間、マッキーノ侯爵令息を追い回したお前がよく言うよ。いいか、もうよそ見するなよ。もしまた別の男を好きになっても、婚約は解消しないからな」
「そんな事はわかっているわ。そもそも私は…今は…グレイズが好きなんだから…」
最後の方は蚊の鳴くような声で呟く。本人を目の前にして、恥ずかしいじゃない。
「お前は移り気が激しいからな。俺は心配でたまらないんだよ。とにかく、俺から離れるなよ。いいな、分かったな」
「誰が移り気が激しいよ。一体私の事を何だと思っているの。第一…」
「学院に着いたぞ。ほら、さっさと降りろ」
再び私の手を掴み、馬車から降ろすグレイズ。ちょっと、話しはまだ済んでいないのよ!
「アンリ、グレイズ様、ご婚約おめでとう」
「おめでとう」
馬車を降りると、同じクラスの令嬢たちに囲まれた。そうか、昨日私たちが婚約したという事が、各貴族に伝わったのだったわ。
「ありがとう、皆」
令嬢の元にすかさず向かおうとしたのだが、なぜかグレイズが私の手を引っ張った。
「おい、俺から離れるな。お前は目を離すと、すぐにどこかに行くからな」
「ちょっとグレイズ、馬車の中といい、私を何だと思っているのよ」
すかさず文句を言う。すると
「あら、グレイズ様はずっとあなたの事が好きだったのよ。それなのにアンリったら、他の令息を追い回していたでしょう。グレイズ様が心配するのも、無理はないわ」
と、なぜか令嬢たちもグレイズの味方だ。グレイズめ、いつの間に令嬢たちを味方につけたのかしら?
「とにかく、教室に向かいましょう。きっとクラスの皆も、あなた達が来るのを心待ちにしているわ」
令嬢たちに背中を押され、教室へと向かった。そして教室に入ると
「「「「おめでとう。グレイズ(様)、アンリ(嬢)」」」」
クラスの皆から祝福されたのだ。
「グレイズ、よかったな。アンリ嬢と婚約出来て。こいつずっとアンリ嬢が好きだったんだぜ」
「そうそう、もう無理やり婚約してしまえって言っていたんだが、こいつ無駄に硬派でさ。“アンリが俺の事を好きになってくれるまで待つ”なんて言いやがって。でも、結局待ちきれなかったんだろ?」
そう言って、グレイズの肩をバシバシ叩いている令息たち。
「人聞きの悪い事を言うな。俺はちゃんとアンリから、俺の事が好きで俺と婚約したいという言葉を貰ったんだ。なあ、アンリ」
「ちょっとグレイズ、人前でそんな恥ずかしい事を言わないでよ!」
この人は一体何を言っているのかしら?こんな公衆の面前で。本当に恥ずかしいったらありゃしないわ。
「なんだ、アンリ嬢もグレイズが好きだったのか。でもまあお前たち、お似合いだぜ。本当によかったな」
そう言ってほほ笑んでいた令息。
その後はいつも通り授業開始だ。ただ先生たちも私たちが婚約したことを知っている様で、次々と祝福の言葉を頂いた。まさか先生たちにも祝福してもらえるなんて、なんだか恥ずかしいわ。ただ…
「スリーフェイル伯爵令嬢はずっと金魚の糞みたいにマッキーノ侯爵令息を追い掛け回していたから、どうなる事かと思ったが。いやぁ、本当によかったな」
そう言ってガハガハ笑いながら品のない事を言う先生もいた。確かに私はエディソン様を1年半にわたり追い掛け回してきましたわ。でも、わざわざ言わなくてもいいじゃない。出来る事なら消し去りたい黒歴史だわ…
沢山の人から祝福され、放課後を迎えた。
「アンリ、帰るぞ。今日から俺の家で晩御飯を食べるからな」
「分かっているわよ。うるさいわね」
ジト目でグレイズを睨んだ。
そんな私を無視し、さっさと馬車に乗り込むグレイズ。向かいに座ろうとしたのだが、なぜか膝に座らされた。そして、後ろからギューッと抱きしめられる。
「グレイズ、あなた一体何をしているのよ。恥ずかしいじゃない」
「何って、俺たちは婚約者同士なんだ。スキンシップってやつだな」
そう言うと、私の唇を一気に塞いだのだ。さらに離れては触れ、離れたは触れを繰り返している。
「もう、グレイズ。いい加減にしてよ」
「何をいい加減にするんだ。俺たちは婚約したんだ。これくらいのスキンシップで、文句を言われる筋合いはない。お前が少しでもスキンシップに慣れる様、これから毎日抱きしめたり口づけをしてやるからな」
ちょっと、そんな恥ずかしい事を宣言しないでよ。本当にこの男は…
伯爵家に着いた時は、既にぐったりだ。伯爵家でも特に何かする事もなく、グレイズと中庭でお茶を楽しむ。その時だった。
お父様付きの執事がやって来たのだ。
「お取込み中失礼いたします。実は我が家に、マッキーノ侯爵様と令息様がいらしております。至急お帰りになってください」
「えっ、エディソン様と侯爵様が?」
「お嬢様、グレイズ様がいらっしゃいました」
「グレイズが?わかったわ、すぐに行くわ」
急いで準備を終え、玄関に向かう。
「アンリ、おはよう。今日から俺と一緒に登下校をするぞ」
「おはよう、グレイズ。別に一緒に行かなくても大丈夫よ。まだお兄様もいるし」
「何を言っているんだ。俺とお前は婚約したんだぞ!お前はすぐに暴走するからな。とにかく、これからはずっと一緒だ。いいな、分かったな」
そう言うと私の手を掴み、グレイズの家の馬車に乗せられた。
「グレイズ、いくら何でももう私はあなたと婚約したのよ。どこをどうすれば、私が暴走すると思うのよ」
「1年半もの間、マッキーノ侯爵令息を追い回したお前がよく言うよ。いいか、もうよそ見するなよ。もしまた別の男を好きになっても、婚約は解消しないからな」
「そんな事はわかっているわ。そもそも私は…今は…グレイズが好きなんだから…」
最後の方は蚊の鳴くような声で呟く。本人を目の前にして、恥ずかしいじゃない。
「お前は移り気が激しいからな。俺は心配でたまらないんだよ。とにかく、俺から離れるなよ。いいな、分かったな」
「誰が移り気が激しいよ。一体私の事を何だと思っているの。第一…」
「学院に着いたぞ。ほら、さっさと降りろ」
再び私の手を掴み、馬車から降ろすグレイズ。ちょっと、話しはまだ済んでいないのよ!
「アンリ、グレイズ様、ご婚約おめでとう」
「おめでとう」
馬車を降りると、同じクラスの令嬢たちに囲まれた。そうか、昨日私たちが婚約したという事が、各貴族に伝わったのだったわ。
「ありがとう、皆」
令嬢の元にすかさず向かおうとしたのだが、なぜかグレイズが私の手を引っ張った。
「おい、俺から離れるな。お前は目を離すと、すぐにどこかに行くからな」
「ちょっとグレイズ、馬車の中といい、私を何だと思っているのよ」
すかさず文句を言う。すると
「あら、グレイズ様はずっとあなたの事が好きだったのよ。それなのにアンリったら、他の令息を追い回していたでしょう。グレイズ様が心配するのも、無理はないわ」
と、なぜか令嬢たちもグレイズの味方だ。グレイズめ、いつの間に令嬢たちを味方につけたのかしら?
「とにかく、教室に向かいましょう。きっとクラスの皆も、あなた達が来るのを心待ちにしているわ」
令嬢たちに背中を押され、教室へと向かった。そして教室に入ると
「「「「おめでとう。グレイズ(様)、アンリ(嬢)」」」」
クラスの皆から祝福されたのだ。
「グレイズ、よかったな。アンリ嬢と婚約出来て。こいつずっとアンリ嬢が好きだったんだぜ」
「そうそう、もう無理やり婚約してしまえって言っていたんだが、こいつ無駄に硬派でさ。“アンリが俺の事を好きになってくれるまで待つ”なんて言いやがって。でも、結局待ちきれなかったんだろ?」
そう言って、グレイズの肩をバシバシ叩いている令息たち。
「人聞きの悪い事を言うな。俺はちゃんとアンリから、俺の事が好きで俺と婚約したいという言葉を貰ったんだ。なあ、アンリ」
「ちょっとグレイズ、人前でそんな恥ずかしい事を言わないでよ!」
この人は一体何を言っているのかしら?こんな公衆の面前で。本当に恥ずかしいったらありゃしないわ。
「なんだ、アンリ嬢もグレイズが好きだったのか。でもまあお前たち、お似合いだぜ。本当によかったな」
そう言ってほほ笑んでいた令息。
その後はいつも通り授業開始だ。ただ先生たちも私たちが婚約したことを知っている様で、次々と祝福の言葉を頂いた。まさか先生たちにも祝福してもらえるなんて、なんだか恥ずかしいわ。ただ…
「スリーフェイル伯爵令嬢はずっと金魚の糞みたいにマッキーノ侯爵令息を追い掛け回していたから、どうなる事かと思ったが。いやぁ、本当によかったな」
そう言ってガハガハ笑いながら品のない事を言う先生もいた。確かに私はエディソン様を1年半にわたり追い掛け回してきましたわ。でも、わざわざ言わなくてもいいじゃない。出来る事なら消し去りたい黒歴史だわ…
沢山の人から祝福され、放課後を迎えた。
「アンリ、帰るぞ。今日から俺の家で晩御飯を食べるからな」
「分かっているわよ。うるさいわね」
ジト目でグレイズを睨んだ。
そんな私を無視し、さっさと馬車に乗り込むグレイズ。向かいに座ろうとしたのだが、なぜか膝に座らされた。そして、後ろからギューッと抱きしめられる。
「グレイズ、あなた一体何をしているのよ。恥ずかしいじゃない」
「何って、俺たちは婚約者同士なんだ。スキンシップってやつだな」
そう言うと、私の唇を一気に塞いだのだ。さらに離れては触れ、離れたは触れを繰り返している。
「もう、グレイズ。いい加減にしてよ」
「何をいい加減にするんだ。俺たちは婚約したんだ。これくらいのスキンシップで、文句を言われる筋合いはない。お前が少しでもスキンシップに慣れる様、これから毎日抱きしめたり口づけをしてやるからな」
ちょっと、そんな恥ずかしい事を宣言しないでよ。本当にこの男は…
伯爵家に着いた時は、既にぐったりだ。伯爵家でも特に何かする事もなく、グレイズと中庭でお茶を楽しむ。その時だった。
お父様付きの執事がやって来たのだ。
「お取込み中失礼いたします。実は我が家に、マッキーノ侯爵様と令息様がいらしております。至急お帰りになってください」
「えっ、エディソン様と侯爵様が?」
216
お気に入りに追加
4,693
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
婚約者に選んでしまってごめんなさい。おかげさまで百年の恋も冷めましたので、お別れしましょう。
ふまさ
恋愛
「いや、それはいいのです。貴族の結婚に、愛など必要ないですから。問題は、僕が、エリカに対してなんの魅力も感じられないことなんです」
はじめて語られる婚約者の本音に、エリカの中にあるなにかが、音をたてて崩れていく。
「……僕は、エリカとの将来のために、正直に、自分の気持ちを晒しただけです……僕だって、エリカのことを愛したい。その気持ちはあるんです。でも、エリカは僕に甘えてばかりで……女性としての魅力が、なにもなくて」
──ああ。そんな風に思われていたのか。
エリカは胸中で、そっと呟いた。
拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】
僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。
※他サイトでも投稿中
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者アルバン様が私の事を悪く言ってる場面に遭遇してしまい、ショックで落ち込んでしまう。
しかもアルバン様が悪口を言っている時に側にいたのは、美しき銀狼、又は冷酷な牙とあだ名が付けられ恐れられている、この国の第三王子ランドール・ウルフイット様だったのだ。
だから、問い詰めようにもきっと関わってくるであろう第三王子が怖くて、私は誰にも相談できずにいたのだがなぜか第三王子が……。
○○sideあり
全20話
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
はずれのわたしで、ごめんなさい。
ふまさ
恋愛
姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。
婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。
こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。
そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる