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女神の微笑み編

ヤリたい度とヤレる度

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『ヤリたい、ヤレる冒険者 第五位 ロザリンド・リンドバーグ』
『ヤリたい度 100%』
 凛とした佇まいに深く黒い瞳と髪が映える美女。胸はやや物足りないが、一度見たら忘れる事の出来ない存在だろう。
『ヤレる度 60%』
 その真偽はまだ確認中だが、パルの存在により%は下がる。
『攻略法』
 冒険者登録後しばらく十等級である事から、アイドル的な要素で祭り上げられた存在だと推察される。
 高そうなプライドを褒めつつ、熟練の冒険者が上手く口説けばヤレる可能性がある存在だ。このタイプは一度抱いてしまえば依存度が高くなる傾向がある。そこで強引に迫るのも吉。
『性感帯』
 アナルが弱そう。

『ヤリたい、ヤレる冒険者 第一位 リアーナ』
『ヤリたい度 100%』
 エルフという種族の美しさ、そしてその胸の大きさは全ての男性冒険者を満足させる事が出来るだろう。
『ヤレる度 95%』
 ビキニアーマーを着込んだ経験もあり、エロい事に興味があるスケベエルフ。
『攻略法』
 優しいという話もあるが、冒険者登録後しばらく十等級である事から、ただの気弱な存在と思われる。
 気弱なスケベエルフは頼み込めばヤラせてくれる可能性が高い。
 冒険者としての経験は少ないので、まずはパーティーに誘い込むのが得策か。
『性感帯』
 胸。しかし既に開発され全身性感帯になっている可能性あり。

『ヤリたい、ヤレる冒険者 選外 シノブ』
『ヤリたい度 測定不能』
 見た目の可愛さは大陸一と言えるが、子供のようであり熟練の冒険者からは対象外。
 バックに不死身のアバンセがいる事は有名なので手を出したら殺される。
 しかし生粋のロリコンには『シノブとヤレるなら死んでも構わない』と思わせ、評価が極端に分かれてしまい測定不能。
『ヤレる度 測定不能』
 学生時代に『白き痴女』の異名を持つ事からエロい事にも積極的だろう。
 しかしアバンセの行動が想定できない為に測定不能。
『攻略法』
 大人の女性のように扱いつつも、容姿の子供っぽい部分を褒めるべし。
 お飾りであろうが商会の代表をしているので、こちら側に少しでも経営知識があると攻略はグッと容易になる。
 金銭的な余裕があり冒険者をするメリットが無い事から、シノブの目的は旅行的なものだと思われる。パーティーを組み、観光地などを回るのが良いだろう。少しだけスリリングな体験を織り込む事ができればなお良し。
『性感帯』
 首筋、脇、背中、内腿。
 性器などの直接的な部分よりも、それ以外の部分が良いと思われる。

★★★

「ロザリンドってお尻が弱かったんだ?」
「えっ? お、お尻? せ、性感帯ってそういう事よね? お尻ってどういう事なの?」
「知らないの? お尻でエッチする人もいるんだよ。そこに入れるわけ」
「い、入れ? え、本当……リアーナ、本当なのかしら?」
「そういう人もいるって聞くけど」
「本当なのね……シノブ、さっきアバンセにお尻の方まで触られたりしているみたいな事を言っていたでしょう? 本当に気持ち良いものなの?」
「あ……うん……お尻の方まで触られたり、キスしたりされると死ぬほど恥ずかしんだよ。その恥ずかしさで盛り上がるみたいな。身体的な気持ち良さより、気分的な気持ち良さの方が高いかな、私は」
「シノブちゃんが凄く遠い存在に見える……」
「そうね……でも私って、周りからそういう感じに見えるのかしら……」
「私なんてスケベエルフって書かれてる……」
「そこは間違ってないじゃん」
「間違ってるよ!! ビキニアーマーだってシノブちゃんが着せたんだし、そもそもシノブちゃんの方がエッチでしょ!!」
「性感帯は『胸』だって」
「それは……そうかも知れないけど……」
「そ、そうなのね……全身性感帯だったなんて……誰に開発を……」
「ロザリンドちゃん!! そこは違うからね!!」
「ちなみに私の性感帯は『首筋、脇、背中、内腿』だって。いったいどういう根拠なんだろ……まぁ……あんまり間違ってないけどね!!」
 そんな俺達を見て、ベルベッティアは呆れたように言う。
「全くあなた達は……特にシノブ。悪乗りしないの」
「あはっ、ごめんごめん。まぁ、刺激的な内容なら何でも良いみたいな落書きだから、気にする必要は無いよ。でも……」
「ええ、この冒険者達のように内容を信じてしまう人がいるのは問題ね」
 ロザリンドも溜息。
「どうするの? この内容を書いた人に抗議した方が良いの?」
 なんてリアーナは言うが。
「否定しても火に油を注ぐだけだから。こういうのは無視するのが一番だよ。この先、私達の等級が上がれば、こんな内容は忘れられていくだろうし。でもこの記事を書いた奴は機会があれば殺すけどね」

★★★

 交易都市、冒険者ギルドにて。
 リアーナもロザリンドも、見た目では分からないが単純な腕力も凄ぇ。
 ギルドの中で例の冒険者三人を軽く放り投げた。意識を失い、縛られた屈強な三人の冒険者。
 慌てたように飛び出してくる受付嬢。
「あ、あの、こ、これはどういう事でしょうか?」
 周囲にいた他の冒険者も何事かと注目する。
「くだらない内容に惑わされた害虫が迫ってきたので。まぁ、軽く払っただけなんですけどね」
 俺は笑いながら周囲へと聞こえるように大声で言う。
 そして例の小冊子を転がる冒険者の上に投げ捨てた。周りにはこの小冊子の内容を知っている者もいるだろう。
「つまりこちらの冒険者様とトラブルになったという事ですね?」
「トラブルですか? いえいえ、トラブルとも言えないような些細な出来事ですので。ただそのまま放置するのも危ないかな思いまして、こうして一緒に連れてきました」
 もちろんただの見せしめだけどな。
 俺はニコッと微笑む。

 その時である。
「さすが『女神の微笑み』だね。十等級とはいえその力は本物というわけか」
 その青年は俺達と同じくらいの歳だろうか。明るい栗色の髪、精悍な顔付きの中で屈託の無い笑顔を浮かべる。世間一般で言う男前じゃねぇか。
「えっと、失礼ですが、あなたは……?」
「パーティー『光剣と銀翼』のリーダーを務めるトラコス・コストラ。長い付き合いになるだろう。よろしく」
 手を差し出すトラコス。
「よろしくです。『女神の微笑み』のシノブです」
 とりあえず握手。
「そちらがリアーナとロザリンドだね? 有名だ。ただ僕達もすぐ君達を追い越すぞ」
 笑顔を浮かべたままで言うトラコスの言葉に他意は感じない。
 しかし……トラコスの後ろに立つ四人の女性がこっちを凄く睨んでるんだが……トラコスのパーティーメンバーっぽい……
「そうだ、良ければパーティーを組まないか? 僕達のパーティーは女性だけだから、君達も安心だろう? 変な男達に絡まれる事も無い」
「ありがたいお話ですが、まずは私達三人だけで力を蓄えたいので……」
 いやいや、お前が男だろ……と、ツッコミを入れたいがそこは抑える。それに男一人、女七人のハーレムパーティーとか何か問題がありそうだろ。
「僕達は五等級なんだ。この辺りのギルドでは一番の等級だし、君達にも恩恵はあると思うんだがどうかな?」
「いや、ですから……」
「君達みたいな女性三人だけなんて危ないよ。僕なら君達を守ってあげられる」
 そこでロザリンド。
「シノブ。薬草採取の依頼完了報告。トラコス、話はまた後で聞かせて。まだギルドへの依頼完了報告が残っているのよ」
「ああ、そうなんだね。じゃあ、また後で話をしよう。良い返事が聞けると良いんだけど」
 そう言ってトラコスと背後の四人の女性は去っていくのだが、その後ろ姿を見て……
「ねぇ、シノブちゃん」
「うん。関わらんとこ」
 なんて翌日に、まさか同じ依頼を受ける事に……ったく頭が痛ぇよ。
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