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大陸のアイドル編
夢魔の置物とスケベ宿屋
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昼間っからベッドの上に乗せられる。
アバンセの手が伸びる。
「何、アバンセが脱がせてくれるの?」
「ああ、任せろ」
座った姿勢のまま一枚一枚と脱がされて胸が露わになる。
「……いっぱい触られたら大きくなるって話も聞くんだけど。全く大きくならない」
「まだまだ足りないか」
「あんなに毎回触られてるのに……んっ」
指先が触れる。アバンセの温かい手が肌の上を滑る。
そうしてしばらく体を触られて。
「シノブ」
アバンセの視線が下がる。
「相変わらずのエロ竜だよ」
寝転がる。
そしてアバンセの指が下着へと掛かる。
「下着の上からでも濡れているのが分かるぞ」
「……アバンセがいっぱい触るからじゃん」
「そうだな。確かにそうだ」
ゆっくりと下げられる下着との間に粘液の糸が引いていた。そして最後の一枚も脱がされ、足を大きく開かれる。
「……可愛いな」
「分かってますけど……っ!!」
視線を逸らしたその先、寝室に置かれた鏡台に自分の姿が映っていた。
頬を赤く染め、薄っすらと涙を浮かべる。自分自身のその表情に下腹部が熱くなる。
「やはり。充分に濡れているな」
「……だから見れば分かるでしょ。いちいち言わないで」
「自分で開いて、もっとよく見せてくれ」
「……」
「……」
「ほんっっっと、男って奴は女にそういう恥ずかしい事をさせるのが大好きだよね」
「当然だ」
「当然なのか」
「……」
「……んっ」
指先をそこに伸ばして濡れた音と共に左右へと開く。
「……」
「……」
「……」
「……ね、ねぇ、いつまで見てるの? もういい? 恥ずかし過ぎて死にそうなんだけど……」
「もう少しそのままでいてくれ」
そう言いアバンセは自らの膨張した根元に手を添える。そして腰を前へと突き出した。
「えっ、ま、待って、アバンセ、まだ最後までしないって……」
咄嗟にアバンセの体を両手で押さえるが……
「お前を一生大事にする」
「で、でも、だって、私」
「シノブ」
「……」
「……」
「ゆっくり……ゆっくりして。もし痛くっても我慢するから……だからいっぱい優しくして。それとキスして」
押さえていた手を解いて、アバンセの首へと手を回した。
「ああ、シノブ。愛しているぞ」
「うん」
お互いの唇が重なる。そしてアバンセの男性部分をとうとう受け入れ……
★★★
「っ!!」
飛び起きると、最初に目に入ったのは薄暗い自分の部屋。まだ日が昇る前。
暗闇の中に浮かび上がるヴォルフラムの姿。
「どうしたシノブ、大丈夫か?」
「えっ、ヴォル? 私……夢?」
と、当然だ……どこまでとはあえて言わないが途中までの経験はしている。けど断じて挿入はされていない。断固処女。
やっぱり夢か。
「ちょっと変な夢を見ちゃって。ごめんね、起こしちゃって」
「大丈夫」
再びベッドの中に体を沈める。
そして指先を下腹部へと伸ばす。
うわっ……ただの夢でもこんなに濡れるんだね……
★★★
それから数日。
朝。
「……」
「シノブ」
「ヴォル。おはよう」
「おはよう。どうかしたか?」
「別に。どうもしないよ」
「……なら良いけど」
いや、実は良くない。
今日もスケベな夢でパンツがグチョグチョに。
ここんとこ毎晩、いくらなんでも異常。とはいえ毎夜スケベな夢を見るなんて相談してもな……そこで今夜はこれだ。
「しかし急に何なの、泊まりに来てとか」
「いや、こうやってシャーリーと二人でお泊り会とかしたこと無かったなって」
「そうかもだけど、ベッドも一緒なの?」
「嫌だった?」
「別に嫌じゃないけど狭い」
「まぁまぁ」
シャーリーを呼び出し、事情を伏せて一緒に寝てみる。
……
…………
………………
最初は背中同士を合わせていたが。
「……シャーリー。まだ起きてる?」
シャーリーの方を向く。
「起きてるけど」
シャーリーも寝返り。お互いに向き合い、見詰め合う。お互いの呼吸音はもちろん、心臓の音まで聞こえてきそうな近い距離。
「……ねぇ、キスしてみる?」
「シノブって時々バカだよね」
「確かに。たださぁ、かわいい女の子を目の前にして何もしないってのもどうかなって」
「だからって……そういう事はアバンセやパルとすれば良いじゃん」
「違うんだよ、男性相手だと私も恥ずかしいから何も出来ない。けど女の子同士なら少しは大胆に出来るでしょ」
「いやいや、意味が分からないんだけど」
「シャーリーが嫌じゃなければしたい。嫌?」
「それも……別に嫌じゃない」
シャーリーとのキス。
お互いの柔らかい唇が重なる。
「まさか、あたしの最初のキスがシノブになるなんてね」
少しだけ困ったように笑うシャーリー。
「私は嬉しいよ」
再びキス。
今度はさっきよりも深く。最初は唇の舐めるようなキスだったが、やがてお互いの舌が絡み合う。くちゅ、くちゅ、っと唾液が交じり合う。
やがて服の上からシャーリーの胸に触れる。その瞬間、シャーリーはビクッと体を震わせた。唇が離れる。
「えっ、シ、シノブ、さ、触るの?」
「うん。触る。もちろん胸だけじゃないよ。お尻も、大事な所も全部触りたい」
「だ、大事な所って……」
「こっち」
手を伸ばした先はシャーリーの下腹部。
「んんっ、ちょ、本気?」
「本気だよ。シャーリーとしたい」
「……」
「……」
「……あたしさ、した事ないから上手く出来るか分からないけど」
「良いよ。一緒に勉強してけば」
「勉強って……本当にシノブってバカ」
ベッドの上。裸の二人。
観察して、触り、キスをする。指先と舌でお互いの気持ち良い部分を探すような愛撫。少しだけ荒い息と濡れた音。
震えるような快楽に甘い声が漏れる。
やがて二人は……
翌朝。
「……シャーリー」
「シノブ……あたし、本当にしちゃったの?」
「……多分、夢なんだけど」
「夢!!? 夢ってどういう事!!?」
シャーリーは飛び起きた。
「いや、実はね」
事情説明。
「マジでバカ!! バカアホエロ小女神じゃん!! 巻き込まれたこっちの身にもなれっての!!」
「ごめんごめん、だって他に検証のしようがないんだもん」
「だからって、事前に説明ぐらいしろ!!」
「ちなみに何処までが現実で、何処からが夢か曖昧なんだよね」
「えっ!!? じゃあ、あたしとシノブが本当にキスしてた可能性も……」
「だったら嫌?」
「……嫌ではないけど」
「とにかくこれでハッキリした。ここでスケベな夢を見る事が。そこで相談役に同性のこちらの方々に来て頂きました」
フレア、ホーリー、ベルベッティアに来て貰ったわけだが、そのホーリーが早々に。
「シノブ様、こちらの置物が原因だと思われますが」
机の上の小さな置物。ホーリーはそれを手に取る。
木彫り馬の置物。黒く塗られたそれ。あんまし机の上は片付いてないし、小さいので気付かなかった。けど……
「何それ、私、そんなの知らないんだけど」
「あーそれ、あたしあたし。行商の人からタダで貰ったんだけど、幸運の置物なんだって。シノブに良い事があったら、『実はあたしがこれを置いたおかげだ』って言おうと思って」
シャーリーは言う。
「確かに微かだけど魔力を感じるわね」
ベルベッティアの耳がピクピク動く。
「フレアは?」
「はい。ベルベッティア様と同じく。それとこれは夢魔ではないでしょうか?」
「夢魔……確かに……」
淫魔……女性型の淫魔はサキュバス、男性型の淫魔はインキュバスと呼ばれる。共に性的な夢の中に現れ、人の精を糧にすると言われていた。
それらを含めて夢の中に現れる悪魔の総称を夢魔と言い、その姿は黒い馬の姿で描かれるのである。
「シャーリィィィィィッ、お前が原因かぁぁぁっ!!?」
「ちょ、ま、待って、私はシノブの為にと思ってさぁ!!」
「ふふっ、タダで貰える物には何かしら理由があるという事ね」
ベルベッティアは笑う。
「では、こちらは私の方で処分をしておきます」
「……待って。ホーリー」
これは……良い商売になるんじゃないか?
確かにこれが夢魔の力を宿しているのなら、一晩ごとに精を抜き取られているのだろう。しかし一日二日なら何の問題も無い。
つまりだ……スケベな夢の見られる宿屋を開店すれば、男性客が集まってくるのではないか!!?
「スケベ宿屋の開店だ!!」
「シノブがトンでもない事を言い出した……」
シャーリーはもちろん、全員が呆れた表情を浮かべるのだった。
★★★
しかし後日。
お母さんと向き合う。その顔を見れば一目で分かる。怒っている。
二人の間のテーブル。ドンッと置かれた夢魔の置物。
「あの……お母さん……どうしてそれを?」
「『どうしてそれを?』じゃないでしょう?」
「それ、シャーリーからのプレゼントなんだよ。でもちょっと趣味が悪いよね~あはは~」
「スケベ宿屋」
「っ!!?」
「男性に変な夢を見せる宿屋をやろうとしているそうね?」
「た、確かにその置物でそんな夢を見るかも知れないけど、スケベ宿屋なんてもちろん冗談で言ったんだよ?」
「だったらどうしてすぐ処分しないの?」
「えっ、あっ、もしかしてフレアとホーリーから聞いたの?」
「そうね、シノブが変な仕事を始めようとしているって。だから止めてくださいって」
「あの裏切り者共めぇぇぇっ!!」
お母さんがドンッとテーブルを叩く。怖い!!
「二人ともシノブの為に言ってくれたんでしょう!!」
「は、はい、その通りでございます!!」
「でも本気じゃかったのよね?」
「もちろんだよ!!」
「ミツバさんに良い空き物件がないか確認したんじゃない?」
「……ごめんなさい」
「シノブ」
「でも本気2割冗談8割くらいの感覚だったんだよ!!」
「2割も……これはちょっと本気で怒らないとダメみたいね」
「だから、ごめんなさい、って言ってるのにーーーっ!!」
以後、説教は深夜まで続くのである。
夢魔の置物?
もちろんお母さんに処分されたわ。
しかしまさかあの夢魔の置物が、この後にとんでもない事態を引き起こすとは……今はまだ思いも寄らないのである。
アバンセの手が伸びる。
「何、アバンセが脱がせてくれるの?」
「ああ、任せろ」
座った姿勢のまま一枚一枚と脱がされて胸が露わになる。
「……いっぱい触られたら大きくなるって話も聞くんだけど。全く大きくならない」
「まだまだ足りないか」
「あんなに毎回触られてるのに……んっ」
指先が触れる。アバンセの温かい手が肌の上を滑る。
そうしてしばらく体を触られて。
「シノブ」
アバンセの視線が下がる。
「相変わらずのエロ竜だよ」
寝転がる。
そしてアバンセの指が下着へと掛かる。
「下着の上からでも濡れているのが分かるぞ」
「……アバンセがいっぱい触るからじゃん」
「そうだな。確かにそうだ」
ゆっくりと下げられる下着との間に粘液の糸が引いていた。そして最後の一枚も脱がされ、足を大きく開かれる。
「……可愛いな」
「分かってますけど……っ!!」
視線を逸らしたその先、寝室に置かれた鏡台に自分の姿が映っていた。
頬を赤く染め、薄っすらと涙を浮かべる。自分自身のその表情に下腹部が熱くなる。
「やはり。充分に濡れているな」
「……だから見れば分かるでしょ。いちいち言わないで」
「自分で開いて、もっとよく見せてくれ」
「……」
「……」
「ほんっっっと、男って奴は女にそういう恥ずかしい事をさせるのが大好きだよね」
「当然だ」
「当然なのか」
「……」
「……んっ」
指先をそこに伸ばして濡れた音と共に左右へと開く。
「……」
「……」
「……」
「……ね、ねぇ、いつまで見てるの? もういい? 恥ずかし過ぎて死にそうなんだけど……」
「もう少しそのままでいてくれ」
そう言いアバンセは自らの膨張した根元に手を添える。そして腰を前へと突き出した。
「えっ、ま、待って、アバンセ、まだ最後までしないって……」
咄嗟にアバンセの体を両手で押さえるが……
「お前を一生大事にする」
「で、でも、だって、私」
「シノブ」
「……」
「……」
「ゆっくり……ゆっくりして。もし痛くっても我慢するから……だからいっぱい優しくして。それとキスして」
押さえていた手を解いて、アバンセの首へと手を回した。
「ああ、シノブ。愛しているぞ」
「うん」
お互いの唇が重なる。そしてアバンセの男性部分をとうとう受け入れ……
★★★
「っ!!」
飛び起きると、最初に目に入ったのは薄暗い自分の部屋。まだ日が昇る前。
暗闇の中に浮かび上がるヴォルフラムの姿。
「どうしたシノブ、大丈夫か?」
「えっ、ヴォル? 私……夢?」
と、当然だ……どこまでとはあえて言わないが途中までの経験はしている。けど断じて挿入はされていない。断固処女。
やっぱり夢か。
「ちょっと変な夢を見ちゃって。ごめんね、起こしちゃって」
「大丈夫」
再びベッドの中に体を沈める。
そして指先を下腹部へと伸ばす。
うわっ……ただの夢でもこんなに濡れるんだね……
★★★
それから数日。
朝。
「……」
「シノブ」
「ヴォル。おはよう」
「おはよう。どうかしたか?」
「別に。どうもしないよ」
「……なら良いけど」
いや、実は良くない。
今日もスケベな夢でパンツがグチョグチョに。
ここんとこ毎晩、いくらなんでも異常。とはいえ毎夜スケベな夢を見るなんて相談してもな……そこで今夜はこれだ。
「しかし急に何なの、泊まりに来てとか」
「いや、こうやってシャーリーと二人でお泊り会とかしたこと無かったなって」
「そうかもだけど、ベッドも一緒なの?」
「嫌だった?」
「別に嫌じゃないけど狭い」
「まぁまぁ」
シャーリーを呼び出し、事情を伏せて一緒に寝てみる。
……
…………
………………
最初は背中同士を合わせていたが。
「……シャーリー。まだ起きてる?」
シャーリーの方を向く。
「起きてるけど」
シャーリーも寝返り。お互いに向き合い、見詰め合う。お互いの呼吸音はもちろん、心臓の音まで聞こえてきそうな近い距離。
「……ねぇ、キスしてみる?」
「シノブって時々バカだよね」
「確かに。たださぁ、かわいい女の子を目の前にして何もしないってのもどうかなって」
「だからって……そういう事はアバンセやパルとすれば良いじゃん」
「違うんだよ、男性相手だと私も恥ずかしいから何も出来ない。けど女の子同士なら少しは大胆に出来るでしょ」
「いやいや、意味が分からないんだけど」
「シャーリーが嫌じゃなければしたい。嫌?」
「それも……別に嫌じゃない」
シャーリーとのキス。
お互いの柔らかい唇が重なる。
「まさか、あたしの最初のキスがシノブになるなんてね」
少しだけ困ったように笑うシャーリー。
「私は嬉しいよ」
再びキス。
今度はさっきよりも深く。最初は唇の舐めるようなキスだったが、やがてお互いの舌が絡み合う。くちゅ、くちゅ、っと唾液が交じり合う。
やがて服の上からシャーリーの胸に触れる。その瞬間、シャーリーはビクッと体を震わせた。唇が離れる。
「えっ、シ、シノブ、さ、触るの?」
「うん。触る。もちろん胸だけじゃないよ。お尻も、大事な所も全部触りたい」
「だ、大事な所って……」
「こっち」
手を伸ばした先はシャーリーの下腹部。
「んんっ、ちょ、本気?」
「本気だよ。シャーリーとしたい」
「……」
「……」
「……あたしさ、した事ないから上手く出来るか分からないけど」
「良いよ。一緒に勉強してけば」
「勉強って……本当にシノブってバカ」
ベッドの上。裸の二人。
観察して、触り、キスをする。指先と舌でお互いの気持ち良い部分を探すような愛撫。少しだけ荒い息と濡れた音。
震えるような快楽に甘い声が漏れる。
やがて二人は……
翌朝。
「……シャーリー」
「シノブ……あたし、本当にしちゃったの?」
「……多分、夢なんだけど」
「夢!!? 夢ってどういう事!!?」
シャーリーは飛び起きた。
「いや、実はね」
事情説明。
「マジでバカ!! バカアホエロ小女神じゃん!! 巻き込まれたこっちの身にもなれっての!!」
「ごめんごめん、だって他に検証のしようがないんだもん」
「だからって、事前に説明ぐらいしろ!!」
「ちなみに何処までが現実で、何処からが夢か曖昧なんだよね」
「えっ!!? じゃあ、あたしとシノブが本当にキスしてた可能性も……」
「だったら嫌?」
「……嫌ではないけど」
「とにかくこれでハッキリした。ここでスケベな夢を見る事が。そこで相談役に同性のこちらの方々に来て頂きました」
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「シノブ様、こちらの置物が原因だと思われますが」
机の上の小さな置物。ホーリーはそれを手に取る。
木彫り馬の置物。黒く塗られたそれ。あんまし机の上は片付いてないし、小さいので気付かなかった。けど……
「何それ、私、そんなの知らないんだけど」
「あーそれ、あたしあたし。行商の人からタダで貰ったんだけど、幸運の置物なんだって。シノブに良い事があったら、『実はあたしがこれを置いたおかげだ』って言おうと思って」
シャーリーは言う。
「確かに微かだけど魔力を感じるわね」
ベルベッティアの耳がピクピク動く。
「フレアは?」
「はい。ベルベッティア様と同じく。それとこれは夢魔ではないでしょうか?」
「夢魔……確かに……」
淫魔……女性型の淫魔はサキュバス、男性型の淫魔はインキュバスと呼ばれる。共に性的な夢の中に現れ、人の精を糧にすると言われていた。
それらを含めて夢の中に現れる悪魔の総称を夢魔と言い、その姿は黒い馬の姿で描かれるのである。
「シャーリィィィィィッ、お前が原因かぁぁぁっ!!?」
「ちょ、ま、待って、私はシノブの為にと思ってさぁ!!」
「ふふっ、タダで貰える物には何かしら理由があるという事ね」
ベルベッティアは笑う。
「では、こちらは私の方で処分をしておきます」
「……待って。ホーリー」
これは……良い商売になるんじゃないか?
確かにこれが夢魔の力を宿しているのなら、一晩ごとに精を抜き取られているのだろう。しかし一日二日なら何の問題も無い。
つまりだ……スケベな夢の見られる宿屋を開店すれば、男性客が集まってくるのではないか!!?
「スケベ宿屋の開店だ!!」
「シノブがトンでもない事を言い出した……」
シャーリーはもちろん、全員が呆れた表情を浮かべるのだった。
★★★
しかし後日。
お母さんと向き合う。その顔を見れば一目で分かる。怒っている。
二人の間のテーブル。ドンッと置かれた夢魔の置物。
「あの……お母さん……どうしてそれを?」
「『どうしてそれを?』じゃないでしょう?」
「それ、シャーリーからのプレゼントなんだよ。でもちょっと趣味が悪いよね~あはは~」
「スケベ宿屋」
「っ!!?」
「男性に変な夢を見せる宿屋をやろうとしているそうね?」
「た、確かにその置物でそんな夢を見るかも知れないけど、スケベ宿屋なんてもちろん冗談で言ったんだよ?」
「だったらどうしてすぐ処分しないの?」
「えっ、あっ、もしかしてフレアとホーリーから聞いたの?」
「そうね、シノブが変な仕事を始めようとしているって。だから止めてくださいって」
「あの裏切り者共めぇぇぇっ!!」
お母さんがドンッとテーブルを叩く。怖い!!
「二人ともシノブの為に言ってくれたんでしょう!!」
「は、はい、その通りでございます!!」
「でも本気じゃかったのよね?」
「もちろんだよ!!」
「ミツバさんに良い空き物件がないか確認したんじゃない?」
「……ごめんなさい」
「シノブ」
「でも本気2割冗談8割くらいの感覚だったんだよ!!」
「2割も……これはちょっと本気で怒らないとダメみたいね」
「だから、ごめんなさい、って言ってるのにーーーっ!!」
以後、説教は深夜まで続くのである。
夢魔の置物?
もちろんお母さんに処分されたわ。
しかしまさかあの夢魔の置物が、この後にとんでもない事態を引き起こすとは……今はまだ思いも寄らないのである。
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★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
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