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地下大迷宮編
巨大蝙蝠と岩人形
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もう絶対に地下への階段は下りねぇ。絶対にだ。
閉じ込められた。
俺の能力を使って、この場所自体を破壊してやろうとも思ったが、リアーナとの相談でそれは保留。
まずここが何処だか正確には分からない。そして俺の能力には持続力が無く、一度使うとしばらくは使えない。例えば、ここが海や湖の底の洞窟だった場合。その場合、洞窟を破壊して俺の能力が切れた所に大量の水が流れ込んで来たらそこで終わりだ。
事前の調査では外に通じる出入口があるらしいので、そこを目指してみるのが先だな。
「とりあえず他の出入口に向かうよ。ロザリンドが先頭。どんな些細な事でも気になったら教えて。ただの気のせいだと思っても絶対にね」
「分かったわ」
「リアーナは最後尾をお願い。大変だと思うけど左右も後ろも全方位に気を配って。もし疲れて集中力が落ちるようならちゃんと教えて。休憩取るから。無理したら危険度が上がるよ」
「大丈夫だよ。その辺りはサンドンさんに叩き込まれたから」
「ベリーは……薄暗いからってセクハラしないで」
「おおぉい!!」
「それと迷宮の地図の作成をお願い。頭でも記憶して、この地図にも何か発見したら書き足して」
「了解した。それとセクハラはちょっとだけなら大丈夫か?」
「ちょっとだけでも大丈夫じゃないよ。じゃあ、よろしく」
学校から渡された地下地図をタックルベリーに渡す。
「じゃあ、みんな。油断しないで、絶対無事に帰ろうね」
「ええ」
「うん」
「おう」
こうして探索が始まるのだった。
★★★
階段を下りて少し歩く。
天井も高く、広い通路。そこで俺達は……戦っていた。
「報告に無いぞ!! どうなってんだよ、これはよ!! 手抜きか!!? 手抜き調査だったのか!!?」
「ベリーうるさい!! 集中して私を守って!!」
「守られる奴の台詞じゃない!!」
タックルベリーの剣が襲い掛かる蝙蝠の群れを薙ぎ払う。魔法専門ではあるが、剣が使えないわけではない。魔力節約の為、剣で対処出来る相手に魔法は使わない。
しかし……蝙蝠とは言うが……普通のサイズじゃ無ぇ。人の上半身程度に巨大だ。噛まれたら骨ごと肉を喰い獲られそうだぜ。
報告でそんな魔物は居なかったはず。
そしてロザリンドとリアーナの前には岩で形造られた岩人形。通路の壁がそのまま何体もの岩人形となり襲い掛かる。ただ元々が岩である人形に斬撃が効くのか分からないが……
ロザリンドの一閃が、リアーナの一撃が岩人形を砕き、ただの岩へと変えていく。理由は分からんけど効くじゃん、斬撃。
しかし壁も天井も足元も岩、どこから岩人形が現れるか分からない。
油断してるわけじゃねぇけどこれじゃ!!
気付いた時にはもう遅い。足元、岩の地面から伸びた手が俺の足首を掴んでいた。現れた岩人形に片手で軽々と持ち上げられ、そのまま地面へと俺の体が振り下ろされる。
自分の能力を使う余裕も無い。この勢いのまま地面に叩き付けられれば絶命。しかし。
「シノブっ!!」
タックルベリーが俺の体と地面の間に滑り込む。
ドバンッ
「あうっ」
「ぐはっ」
広げたタックルベリーの胸の中へ叩き付けられる。タックルベリーの体がクッションとなり絶命は免れるが、それでもとんでもない衝撃。意識が飛びそうだ畜生!!
「シノブちゃん!!」
すっ飛んで来たリアーナが俺の足を掴んでいた岩人形を粉々に粉砕する。
「二人とも大丈夫!!?」
「死なない程度には大丈夫だけど……動けない」
「僕が回復魔法を使う。リアーナはすぐ戻れ」
「ベリー君、シノブちゃんをお願い」
そしてすぐにリアーナは戦闘に戻る。そしてタックルベリーの詠唱魔法が俺とタックルベリー自身のダメージを回復させるのだった。
「どうだ?」
「ありがとう、ベリー、助かっ、危なっ!!」
言っている途中にも、今度は天井から岩人形が。
俺がタックルベリーを押し倒すようにして、その攻撃を回避する。二人、抱き合うようにして地面を転がる。
「今度は僕が助けられたな。それにお前、良い匂いがするぞ」
「さっきのお返し。それにそれセクハラになるからね」
岩の上をゴロゴロと転がり体中が痛ぇ。
「リアーナもロザリンドも大丈夫?」
「ええ、私は大丈夫。リアーナは?」
「うん、私も大丈夫。シノブちゃんは?」
「危なかったけど、大丈夫。でもこれって岩人形の出現に刺激されて、元から居た巨大蝙蝠が襲って来たって感じなのかな?」
辺りを見回せば、砕かれた岩と倒れた巨大蝙蝠。
「分からないわね。そもそも事前調査では居なかった魔物のはずだし」
「でも岩人形が弱くて助かったよね。砕いた後にまた復活するかもと思ったよ」
リアーナの言う通りだ。これで砕いた岩がまた岩人形を形成するなんて無限ループの可能性もあったのだから。
しかし同じく辺りを見回していたタックルベリーが気付く。
「弱くても別に構わなかったんだよ」
「どういう事?」
「全員、周りを良く見てみろ」
「……私達が来た所って一本道だったよね?」
脇道が増えてる……
「どこから来たか分かる?」
ロザリンドの言葉にリアーナは首を横に振る。
「来た通路がこの中にあるかも分からないぞ。地図の作成とか無意味」
「……もしかして岩人形がここの造りを変えているって事?」
「多分な」
俺の言葉にタックルベリーは頷いた。
何てこった……岩人形が動く事により、新たな通路が生まれ、使えた通路が閉ざされる。岩人形の存在は敵の排除ではなく、迷宮を造り変える意図が主。
まさに迷宮。
「……でも誰に対してなの? 竜や魔物を閉じ込めるだけならこんな仕掛けは必要無いわ」
ロザリンドは言う。
そのこの仕掛けはまるで……
「この迷宮への侵入者に対して」
そう、これは人に対しての仕掛けなんじゃないか? 侵入者である俺達を逃さないように……
閉じ込められた。
俺の能力を使って、この場所自体を破壊してやろうとも思ったが、リアーナとの相談でそれは保留。
まずここが何処だか正確には分からない。そして俺の能力には持続力が無く、一度使うとしばらくは使えない。例えば、ここが海や湖の底の洞窟だった場合。その場合、洞窟を破壊して俺の能力が切れた所に大量の水が流れ込んで来たらそこで終わりだ。
事前の調査では外に通じる出入口があるらしいので、そこを目指してみるのが先だな。
「とりあえず他の出入口に向かうよ。ロザリンドが先頭。どんな些細な事でも気になったら教えて。ただの気のせいだと思っても絶対にね」
「分かったわ」
「リアーナは最後尾をお願い。大変だと思うけど左右も後ろも全方位に気を配って。もし疲れて集中力が落ちるようならちゃんと教えて。休憩取るから。無理したら危険度が上がるよ」
「大丈夫だよ。その辺りはサンドンさんに叩き込まれたから」
「ベリーは……薄暗いからってセクハラしないで」
「おおぉい!!」
「それと迷宮の地図の作成をお願い。頭でも記憶して、この地図にも何か発見したら書き足して」
「了解した。それとセクハラはちょっとだけなら大丈夫か?」
「ちょっとだけでも大丈夫じゃないよ。じゃあ、よろしく」
学校から渡された地下地図をタックルベリーに渡す。
「じゃあ、みんな。油断しないで、絶対無事に帰ろうね」
「ええ」
「うん」
「おう」
こうして探索が始まるのだった。
★★★
階段を下りて少し歩く。
天井も高く、広い通路。そこで俺達は……戦っていた。
「報告に無いぞ!! どうなってんだよ、これはよ!! 手抜きか!!? 手抜き調査だったのか!!?」
「ベリーうるさい!! 集中して私を守って!!」
「守られる奴の台詞じゃない!!」
タックルベリーの剣が襲い掛かる蝙蝠の群れを薙ぎ払う。魔法専門ではあるが、剣が使えないわけではない。魔力節約の為、剣で対処出来る相手に魔法は使わない。
しかし……蝙蝠とは言うが……普通のサイズじゃ無ぇ。人の上半身程度に巨大だ。噛まれたら骨ごと肉を喰い獲られそうだぜ。
報告でそんな魔物は居なかったはず。
そしてロザリンドとリアーナの前には岩で形造られた岩人形。通路の壁がそのまま何体もの岩人形となり襲い掛かる。ただ元々が岩である人形に斬撃が効くのか分からないが……
ロザリンドの一閃が、リアーナの一撃が岩人形を砕き、ただの岩へと変えていく。理由は分からんけど効くじゃん、斬撃。
しかし壁も天井も足元も岩、どこから岩人形が現れるか分からない。
油断してるわけじゃねぇけどこれじゃ!!
気付いた時にはもう遅い。足元、岩の地面から伸びた手が俺の足首を掴んでいた。現れた岩人形に片手で軽々と持ち上げられ、そのまま地面へと俺の体が振り下ろされる。
自分の能力を使う余裕も無い。この勢いのまま地面に叩き付けられれば絶命。しかし。
「シノブっ!!」
タックルベリーが俺の体と地面の間に滑り込む。
ドバンッ
「あうっ」
「ぐはっ」
広げたタックルベリーの胸の中へ叩き付けられる。タックルベリーの体がクッションとなり絶命は免れるが、それでもとんでもない衝撃。意識が飛びそうだ畜生!!
「シノブちゃん!!」
すっ飛んで来たリアーナが俺の足を掴んでいた岩人形を粉々に粉砕する。
「二人とも大丈夫!!?」
「死なない程度には大丈夫だけど……動けない」
「僕が回復魔法を使う。リアーナはすぐ戻れ」
「ベリー君、シノブちゃんをお願い」
そしてすぐにリアーナは戦闘に戻る。そしてタックルベリーの詠唱魔法が俺とタックルベリー自身のダメージを回復させるのだった。
「どうだ?」
「ありがとう、ベリー、助かっ、危なっ!!」
言っている途中にも、今度は天井から岩人形が。
俺がタックルベリーを押し倒すようにして、その攻撃を回避する。二人、抱き合うようにして地面を転がる。
「今度は僕が助けられたな。それにお前、良い匂いがするぞ」
「さっきのお返し。それにそれセクハラになるからね」
岩の上をゴロゴロと転がり体中が痛ぇ。
「リアーナもロザリンドも大丈夫?」
「ええ、私は大丈夫。リアーナは?」
「うん、私も大丈夫。シノブちゃんは?」
「危なかったけど、大丈夫。でもこれって岩人形の出現に刺激されて、元から居た巨大蝙蝠が襲って来たって感じなのかな?」
辺りを見回せば、砕かれた岩と倒れた巨大蝙蝠。
「分からないわね。そもそも事前調査では居なかった魔物のはずだし」
「でも岩人形が弱くて助かったよね。砕いた後にまた復活するかもと思ったよ」
リアーナの言う通りだ。これで砕いた岩がまた岩人形を形成するなんて無限ループの可能性もあったのだから。
しかし同じく辺りを見回していたタックルベリーが気付く。
「弱くても別に構わなかったんだよ」
「どういう事?」
「全員、周りを良く見てみろ」
「……私達が来た所って一本道だったよね?」
脇道が増えてる……
「どこから来たか分かる?」
ロザリンドの言葉にリアーナは首を横に振る。
「来た通路がこの中にあるかも分からないぞ。地図の作成とか無意味」
「……もしかして岩人形がここの造りを変えているって事?」
「多分な」
俺の言葉にタックルベリーは頷いた。
何てこった……岩人形が動く事により、新たな通路が生まれ、使えた通路が閉ざされる。岩人形の存在は敵の排除ではなく、迷宮を造り変える意図が主。
まさに迷宮。
「……でも誰に対してなの? 竜や魔物を閉じ込めるだけならこんな仕掛けは必要無いわ」
ロザリンドは言う。
そのこの仕掛けはまるで……
「この迷宮への侵入者に対して」
そう、これは人に対しての仕掛けなんじゃないか? 侵入者である俺達を逃さないように……
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